映画×ロケンロー備忘録




映画とロックを愛するフリーライターの雑記帖。映画におけるロックの使われ方についての雑感を徒然と書いております

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2010-10-15 食えないヤツら

gakus2010-10-15

 アメリカの食産業に警鐘を鳴らし、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた『フード・インク』(12月公開)のお話。

 『ファースト・フード・ネイション』の原作者エリック・シュローサーがナビゲート役を務めた本作。食生活が農業ではなく、今や工業の上に成り立っていることを紹介。それ自体が不自然なことではあるが、より大きな問題はそれらがすべて一握りの大企業に牛耳られていること。企業の論理では、より大きな利益を生む手段が追及される。そのため、通常は90日ほどで成長する食肉用の鶏が45日で無理矢理成長を促され、食材に不可欠のコーンの多くは遺伝子組み換えによって製造される。それをラベル表示する必要がないよう政治家に手を回すばかりか、正しい栽培をする農家は特許違反で訴えることができる仕組みを作る。農家は今や大企業の言いなりだ。労働者も不法移民を雇って賃金を安く上げ、その取締の際には生産ラインが損なわれない程度に逮捕させるよう手を回す。そなに劣悪な労働環境だから、食中毒が忍び寄ることもたやすい。そして食品を購入する側も、大企業が大量生産した安い食材に手を伸ばす…。

 アメリカにうまれなくて良かったなあ…と一瞬思ったもの、考えてみれば大豆もコーンも日本は輸入に頼っており、それらが”工業製品”であるかどうかはラベルだげではわからない。豆腐や納豆、味噌にも影響があるかも、と不安になってしまう。じゃあ魚だけ食ってりゃいいかというと、その分野も本作では描かれていないけれど、いろいろイヤな噂は耳にするし…。ともかく、”食”について考えさせるという点で、多くの人に見て欲しいと思う。

 エンディングで流れてくるのは、ブルース・スプリングスティーンの"THIS LAND IS YOUR LAND"。フォークの伝説ウディ・ガスリーの名曲のカバーだ。この広い大地は確かに、あなたの、私のものだった。企業のものではなかったはずなのに…。ブルースのゴッツイ歌声を聞いていると、世の中の流れの”過ち”を痛感せざるをえない。切ないぞ。

 ジャケは、このカバーを収録した1985年、BRUCE SPRINGSTEENのライブ・アルバム。

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