映画×ロケンロー備忘録




映画とロックを愛するフリーライターの雑記帖。映画におけるロックの使われ方についての雑感を徒然と書いております

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2011-03-02 思考停止

gakus2011-03-02

 ハリウッド映画がMUSEの曲を使うと、ダサく聴こえてしまうのは、なぜなんでしょ? 『トワイライト』シリーズで流れる度に失笑させられるし、『ナイト&デイ』のトレーラーで使われたときも効果的とは思えなかった。単に自分の思い入れが強いバンドだから……かも知れないけれど、フランス映画『ハイテンション』ではイントロが聴こえた途端にドキドキしたしなあ。

 というわけで、今週末公開の『ツーリスト』。ジョニー・デップアンジェリーナ・ジョリーの共演が話題を呼んでいる本作のエンディングではミューズの”STARLIGHT”が流れ、”やっぱり…”と思わせられる。

 デップふんする米国人旅行者がベニスに向かう列車の中で、謎の美女(ジョリー)に声をかけられ、すっかりソノ気になってしまう。ジョリーには国際指名手配されたまま2年も音信不通の恋人がいて、久しぶりにもらった手紙の指示に従い行動をしている様子。そうとも知らず下心を膨らませてノコノコついてゆくデップは、警察に逮捕されるわ、ギャングに命を狙われるわの騒動に巻き込まれ…。

 本作は2005年のフランス映画『アントニー・ジマー』のリメイクで、そちらではイヴァン・アタルとソフィ・マルソーが主演を務めていた。正直、このオリジナル自体あまり褒められた内容ではなく、何の伏線も張らないままドンデン返しに持ち込む展開はサスペンスとしては反則。なのでリメイクするなら改善の余地はあるだろうと思っていたら、コレがまんまで……。

 オリジナルは徹底的にシリアスだったが、リメイクはデップのドタバタにちよっとしたユーモアがある。見終わってみるとサスペンス色よりラブストーリーに寄っていたことがわかるが、そういう点ではオリジナルは恋愛至上主義的なフランス人のメンタリティの表われといえなくもないし、今回のリメイクはお笑い好きの米国的ノリ。それなりにリメイクする価値はあったということか。

 それにしても、"STARLIGHT”だ。アレンジ自体はポップで、この映画のノリに合っていなくはない。でも、いなくなった人への思いを歌った詞はミスマッチな感じで、”クールなアーティストのクールな曲を使おう”という作り手のイヤラしさが透けてるぞ……と邪推したくもなる。

 邪推と言ってみたものの、そうとも思えない、旬のUKインディーズ・バンドの曲をフィーチャーしたハリウッド映画は、思い返せば80年代ごろからたくさん存在していた。今となってはタイトルも思い出せない、ジョン・ヒューズ作品に便乗したノーテンキな青春映画(シンシア・ギブが出ていたと思う)で全米ブレイク直前のデペッシュ・モードの曲が流れていたし、90年代のアメコミ映画にはこの手のアーティストの曲が本質とは関係なくガンガン投入されていた。

 『ツーリスト』の場合、そんな難しいことを考えずにノーテンキに受け止めるのが正解なのかもしれない。ゴルーデングローブ賞ではドラマ部門ではなく、ミュージカル・コメディ部門にノミネートされていたくらいだし。

 ジャケは2006年リリース、"STARLIGHT"のUK盤シングル。邪推ついでに、ハリウッド映画が次にヒップだからと起用したがるアーティストはフローレンス&ザ・マシーンではないだろうか。アカデミー賞授賞式のパフォーマンスでフローレンスが『127時間』のナンバーのパフォーマンスを披露した時に、そう確信した次第。

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