映画×ロケンロー備忘録




映画とロックを愛するフリーライターの雑記帖。映画におけるロックの使われ方についての雑感を徒然と書いております

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2011-07-14 死ぬのは奴らだ

gakus2011-07-14

 70〜80年代の虐殺ホラーには負け犬の奮起的な側面があるが、そういう意味では、やっと、やっと日本公開される『ピラニア3D』(8月公開)は正しい傑作。ジョー・ダンテの『ピラニア』の正当な続編とも(『殺人魚フライングキラー』をノーカウントにした場合)、リメイクともとれる本作。もちろん、この2作とのドラマ的な繋がりはないので、見てなくてもノープロブレム。デビュー作『ハイテンション』以降、バスレのないアレクサンドル・アジャだから、期待は裏切らないぞ!

 湖畔の街の春休みはバカンスを楽しむ若者たちで大賑わいで、パーティ気分の彼らは水着で浮かれ騒いでいる。地元の高校生ジェイクも一緒になって騒ぎたいけれど、根がオタクっぽいうえに、保安官をしているシングルマザーが仕事に忙しいので幼い妹や弟の世話をしなければならない。しかし街にやってきたエロビデオ撮影隊が、地元に詳しい彼に案内役を押しつけてきたのを幸いとばかりに、ジェイクは母に内緒で撮影隊のクルーザーに乗って湖に出る。ところが、湖底には人食い魚の大群が…。

 リチャード・ドレイファスが『ジョーズ』のパロディのように最初の餌食になるのは軽い挨拶程度(ドレイファス以外に、『バック・トゥ・ザ・フャーチャー』のクリストファー・ロイドエリザベス・シューが出てきて、なんだか懐かしい)で、大殺戮が始まるや日焼けした兄ちゃんたちも、ビキニの姉ちゃんたちも次々と殺人魚の群れに食い尽くされ、湖畔はすぐに真っ赤に染まる。ちぎれる胴体、露出する白骨、水中で踊り食いされるチ○コ。パニックのあげく、ワイヤーで胴をぶった斬られたり、ボートのスクリューに髪を巻き込まれたり、ボートの衝突に顔面を砕かれたり(湖畔イベントのMC、演じるはイーライ・ロス!)といった二次災害も凄まじい。

 冒頭で”負け犬の奮起”と記したけれど、バカンスをエンジョイしセックスの匂いをプンプンさせているヤツが犠牲者とはなるのは、ホラー・ファンにはおなじみの展開。こういう局面で頑張るのは大抵、遊び人になれないルーザー風の童貞(or処女)で、ここでは当然、主人公ジェイクということになる。

 さて、このジェイク君、登場するや”DEATH TO THE PIXIES"のTシャツを着用している。”THE PIXIES”はもちろん、アメリカン・インディーズのカルト・ヒーローである、あのピクシーズ。しかし、祭で浮かれている勝ち組意識の強い地元の若者たちは、ジェイクをバカにしてこのTシャツにジュースをぶちまける。ジェイクの部屋にはルー・リードラモーンズニルヴァーナレディオヘッドなどのポスターが貼られていて、やっぱりね、と納得してしまう。

 で、劇中ではあいにく、この辺のアーティストの曲はまったく聴こえず、流れてくるのはジェイクのような(というか、自分のような?)人間が好んで聴かない類のエレクトロ・ミュージックばかり。これに合わせて、勝ち組の若者たちはバカ騒ぎしたあげく、殺人魚の餌食となるが、一方でジェイクは意外な根性を見せて頑張る。つまり音楽的な点から見ても、負け犬の奮起が見てとれる、というワケです。

 ジャケは1997年リリース、ピクシーズの編集盤『DEATH TO THE PIXIES』。タイトルに反して簡単には死なないPIXIES、去年までは”まだやってるの!?”と思えるほどツアーをしていたが、今年は音沙汰が途絶えて、チョイ寂しい。

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 オマケ↓。こちらは大虐殺シーンの3分の2ぐらいが見られてしまう。そういえば、ジョー・ダンテ版『ピラニア』も浮き輪の下の尻が噛まれることが惨劇の始まりだったような気が。

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