ベルトルッチの中二病

ベルナルド・ベルドルッチに対する映画ファンの一般的なイメージは、アカデミー賞を受賞した名匠、退廃美を刻む鬼才……というものだと思うけれど、個人的には時々顔を覗かせる青臭さが本質なのでは……という気がして仕方なかった。初期の『革命前夜』『暗殺の…

引き続き、イギリス映画の当たり年

ほぼ1年ぶりに更新。生きてます! 昨年からのイギリス映画の好調は今年も続いており、見る映画に当たりが多い。上映は終わったが、『ロンドンゾンビ紀行』は老人とゾンビの史上最遅のチェイスに笑ったし、『ジャッジ・ドレッド』も『ザ・レイド』と似た設定…

イギリス映画当たり年

アカデミー賞にいろいろノミネートされているからというワケではないけれど、今年は日本公開されるイギリス映画が元気だ。オスカー関連作では『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』『マリリン 7日間の恋』(以上3月公開)、『裏切りのサーカス』(4月…

くよくよするなよ

アカデミー賞にノミネートされている『ヘルプ〜心がつなぐストーリー』(3月公開)は、1960年代の米国南部を舞台にしたヒューマンドラマ。反人種差別を女性目線で訴えた、ありがちな社会派ドラマと思いきや、これがなかなか面白い。 ミシシッピの上流家庭に…

イタいほど十代

全米賞レースを賑わせつつアカデミー賞ではスルーされてしまったけれど、見どころがないわけではなく、むしろある層にはストライクに入るであろうシャーリズ・セロン主演の『ヤング≒アダルト』(2月公開)。『JUNO/ジュノ』のジェイソン・ライトマン監…

彼女がキターッ!

今週末に日本でもいよいよ封切られるデビッド・フィンチャー版『ドラゴン・タトゥーの女』。原作も読んだし、スウェーデン映画版も見ていて、犯人もオチも知っていたけれど、それでも吸引力は相当なもの。撮る人が撮ると、やっぱ凄い映画になるんだねー。 大…

バカ帰還!

昨年最後のブログでチラリと触れた、1月公開の『ジャック&ジル』。全米ではドル箱スターだが日本ではDVDスルー作品ばかりのアダム・サンドラー主演、久々の日本劇場公開作品です。 広告代理店で働くジャック(サンドラー)は仕事も家庭も順風満帆の成功者…

役に立たない名言集2011 その2

昨日に続いて、2011年公開作の名言・迷言集を。新成人の座右の銘には決して向かないが、話のタネぐらいにはなるかもだ。字幕どおりではないこと、何卒ご了承を。 “成功したければ善人になり過ぎるな”(『ツリー・オブ・ライフ』) 善人でもないけど、成功も…

役に立たない名言集2011

今年も宜しくお願いします! というわけで新年恒例、前年の映画ロケンロー迷言集。役に立つか否かはロケンローなハート次第!? 記憶の不確かさゆえ、中には字幕や言語に忠実でない“超訳”もあります。何卒ご了承ください。 “俺はヒーローだが、おまえは助手だ”…

ダウンしねえぞ!

今年やたらと映画の中で聴いた気がするELECTRIC LIGHT ORCHESTRAだが、中でも"DON'T BRING ME DOWN"は3度は聴いている。『スーパー・エイト』では最初の方で、舞台となる田舎町で鳴り響いていた。『宇宙人ポール』ではポールが死んだ鳥を生き返らせ(そして…

地球は悲しげに回ってる

おそらく来年には日本公開される『APOLLO 18』を輸入DVDで見る。『ウォンテッド』のティムール・ベクマンベトフ監督がプロデュースしたフェイク・ドキュンタリー・ホラー。 アメリカのアポロ計画は17号で終了とされているが、じつは極秘裏に18号が打ち上げら…

SHINY UNHAPPY PEOPLE

周囲の評価がやたらと高いDVDスルーのブラジル映画『エリート・スクワッド』。これが本当に面白い! ブラジル、リオデジャネイロのスラムを舞台に、警察の特殊部隊BOPEのドラッグ・ディーラーとの闘いを徹底したドキュメンタリー・タッチで描く本作。その…

今日は何の日?

CDジャーナルのサイトには音楽・映画関連の”今日は何の日?”が掲載されていたけれど、そこにも載っていなかったのが『エクソシスト』全米公開。1973年12月26日、全米わずか50館で公開されたこの映画が、あっという間に社会現象と化したのは周知のとおり。…

真実は、いまだ見えず

"オルタモントの悲劇"から、ちょうど42年。↓「オルタモントの真実〜メレディス・ハンターはなぜ殺されたのか?」を読了したばかりだったこともあり、改めて当時のドキュメンタリー映画『ギミー・シェルター』を見直してみた。ザ・ローリング・ストーンズ オ…

リーズナブルになりました!?

ビートルズの楽曲の映画における使用料は、ひょっとしたら数年前に比べて、とーっても下落してないか?…などと考えたのは、今月公開されるガス・ヴァン・サントの新作『永遠の僕たち』のせい。この映画の冒頭では、THE BEATLES"TWO OF US"が聴こえてくる。 …

”自由”までの道程

ビートルズ関連のアイテムがショップを賑わす、この時期、前回のエントリーで触れた『ジョージ・ハリスン/リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』の他に、ポール・マッカートニーが企画した9.11同時多発テロ直後のチャリティ・コンサート”コンサート…

精神世界に生きる

ジョージ・ハリスンの生涯を『シャイン・ア・ライト』のマーティン・スコセッシが撮るのだから、こりゃあ期待も高まる『ジョージ・ハリスン/リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』が来月のDVDリリースに先駆け、今週末より劇場公開される。 1部…

最新イギリス映画2題

先週末に閉幕した東京国際映画祭で見た2本のイギリス映画について、忘れないうちに触れておこうと思う。 ひとつめの『サブマリン』は、ARCTIC MONKEYSのALEX TURNERが音楽を提供したことで、その筋のファンの間で話題となっていた青春映画。 主人公のロイド…

家に帰りたいんですけど…

スティーブ・カレルの主演(兼プロデュース)作にしては、さほどオバカじゃない『ラブ・アゲイン』(11月公開)は邦題どおりのロマンチック・コメディ。個人的には、ちょっと身につまされたりして…。 ある日突然、妻(ジュリアン・ムーア)から離婚を切り出…

自然体で行こう

全米公開から一年ほど間が空き、ようやく日本にもお目見えする『ラブ&ドラッグ』(11月公開)は、全米でベストセラーとなった原作に基づくロマンチック・コメディー。1990年代にバイアグラを広めて、全米一の製薬セールスマンとなったジェイミー・ベルのベ…

あなた、勝者ですよ

メジャーリーグの球団経営に革命をもたらしたオークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャー、ビリー・ビーンの栄光を実話に基づいて描いた『マネーボール』(11月公開)。主演にブラッド・ピット、監督に『カポーティ』のベネット・ミラー、脚本に『…

タイムレス・ロンドン

本日もカサビアン絡みの新作の話。12月に公開される『ロンドン・ブルバード』はコリン・ファレル、キーラ・ナイトレー共演のイギリス製クライム・ストーリーで、カサビアンのギタリストでソングライター、サージ・ピッツォーノがスコアを担当している。 3年…

負けても負けねえ!

昨日に続いてカサビアンのナンバーがエンドクレジットで流れる映画。今日は11月公開のクライム・サスペンス『テイカーズ』のお話。 年に一度、念入りに計画を練って銀行を襲撃しては大金を奪い、優雅な生活を楽しむ、ロサンゼルスの5人組の強盗団。久々の強…

恐怖、蛾男!

カサビアンの新譜が出たからというワケではないだろうけれど、映画の中でも最近彼らの曲を、ちょくちょく耳にする。たとえば、今月公開されるジェイソソン・ステイサム主演の刑事アクション『ブリッツ』。 ロンドンで警官を狙った連続殺人事件が発生。叩き上…

日蔭で生きる

今月公開となる『クラッシュ』のポール・ハギス監督、ラッセル・クロウ主演のサスペンス『スリーデイズ』は、なかなか見ごたえアリ。フランス映画『すべて彼女のために』(監督フレッド・カヴァイエ。同作もそうだし、彼の近作『愛のために撃て』もそうだが…

準備はできた

いろいろあって大学生並の夏休みをとってしまったけれど、ぼちぼちブログ復帰と行きましょう。夏に公開された映画で書いておきたいものはいくつかあったけれど、そりはまた折を見て。 とりあえず、公開されてる作品で書いておかねばならないのは『つぐない』…

死ぬのは奴らだ

70〜80年代の虐殺ホラーには負け犬の奮起的な側面があるが、そういう意味では、やっと、やっと日本公開される『ピラニア3D』(8月公開)は正しい傑作。ジョー・ダンテの『ピラニア』の正当な続編とも(『殺人魚フライングキラー』をノーカウントにした場…

動き過ぎるカメラに囚われて

というわけで『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン』。マイケル・ベイ監督と製作総指揮スティーブン・スピルバーグのコンビが放つ人気シリーズの(一応の)完結編。 1950〜70年代の米ソの宇宙計画の影には、ハイテク変型生命体トランスフォーマーの秘…

夜のタイに囚われて

”ブログの更新サボってる間に、公開始まったじゃねーか、ゴラッ!”と、本日バッタリお会いしたBILLY JOELファンのmuraさんに怒られたので、『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』について、今さらですが。 前作『ハングオーバー!』ではラ…

最後の狂走

昨日のエントリーからWEEZERつながり。昨日、報じられたジャッカスのメンバー、ライアン・ダンの悲報に胸を痛めた人が、どれほどいたのかは知らないが、信じられない思いだったのは自分だけではないと思う。あれだけの過激なスタントをやってもピンピンして…