長いお別れ(中島京子/文藝春秋)

長いお別れ

長いお別れ

 元は中学の教師で校長まで勤め、定年後は地元の図書館館長もした昇平は、10年前から認知症。薬は飲んでるものの、緩やかに病状は悪化していってる。それを支える妻と3人の娘たちを描いた連作短編。
 残酷なほどシリアスでリアルな描写であるにも関わらず、単に暗くなるだけにならないのは、作者の人間を見る視線が優しいからだと思う。