明け方の夢

あの人が髪を切りそろえていたのは恥ずかしいくらいに過去との決別を象徴していて、あの人がスーツを着ていたのは悲しいくらいに昔には戻れないことを表明していた。
あの背中に負われているのは手に入れることのできなかった全て。失われた何か。黒い髪はもう肩にかかることもなく、毅然とした態度で風に吹かれるのみ。