Hereditary Angioedema (HAE)

定義:
常染色体優性遺伝のC1-INH欠損症。10万人に1〜2名。

  • HAE typeI・・・C1-INHの産生量減少。患者の85%。
  • HAE typeII・・・機能しないC1-INHの産生。患者の15%。
  • HAE typeIII・・・エストロゲン依存性。女性にのみ起こるタイプ。激稀。

病態生理:

  • AAE参照
  • C1-INH遺伝子の変異は150以上報告されている。
  • typeIIIの機序は不明も、エストロゲンはブラジキンの産生を増やし、分解されにくくする作用があると考えられている。

症状:

  • 遺伝疾患ではあるが、症状発現は通常10〜20代の思春期。
  • 環境の変化や疲労、ストレス、歯科治療により症状が発作という形で現れる。
  • 特に喉頭浮腫は患者の7割が経験し、死亡頻度も低くない(15〜30%)。
  • 1/4の患者では腹部臓器の浮腫→吐き気や疝痛が主症状となる。
  • 浮腫は発生24hは増悪がみられ、3日ほどで消退する。時には5日以上持続。

鑑別:

  • acquired angioedema
  • ACE inhibitor-induced angioedema
  • episodic angioedema

診断・治療:

  • C1-INH、C1q、C2、C4の測定。
  • 急性期の症状にはC1-INH濃縮製剤*1、新鮮凍結血漿(FFP)の投与。
  • 症状発現の予防にアンドロゲン製剤、抗線維素溶解剤が使用され得る。
  • 歯科治療などの前に、予防的にC1-INH濃縮製剤等を投与することが推奨されている。
  • ACE阻害薬の使用はできるだけ避ける。
  • H.pylori菌感染は症状を悪化させる。除菌。
  • カリクレイン阻害剤、ブラジキニン受容体アンタゴニスト、遺伝子組み換えC1-INH製剤が開発中。

*1:ベリナートP。遺伝性のみ保健適応。薬価1バイアル11万円!