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10年2月14日 日曜日

長崎旅行記(2)すてきな建物すてきな階段

俺が階段マニアであることを、知っている者は、俺の「奈良旅行記・室生寺編」を読んだ者である。階段マニアとは、階段を見ると、のぼったりおりたりしたくなり、階段の絵や写真を見るだけで興奮するという、世にも愉快な病気である。

これは、龍馬通り近くで見た階段だ。水道管も、いい味だしてる。

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そんな階段マニアにとって、長崎は、聖地である。大好物の階段が、街中いたるところにある。長崎は、階段式都市である。世界階段遺産である。

さて階段が大好きな俺は、健脚だ。一日中、歩き続け、階段をのぼりおりし続けても、「ヘ」でもない。旅行二日目に、俺が徒歩で制覇したのが、下記ルートである。

オランダ坂そばのホテル→大浦天主堂→グラバー園→孔子廟→東山手洋風建築群→新地中華街→(昼食)→思案橋→鍛冶屋通り→興福寺→龍馬通り→亀山社中跡→龍馬のぶーつ像→亀山社中資料展示場→若宮稲荷神社→風頭公園→長崎歴史文化博物館立山防空壕→長崎市立図書館→眼鏡橋→アーケードのある繁華街→路面電車の築町駅(ここから電車。下記の地図はこの駅を指す)→宝町駅(下車。この時点で日没後)→長崎ロープウェイ乗り場(ここからロープウェイ)稲佐山公園展望台(夜景を見ながら夕食)→ロープウェイ乗り場からホテルへは直行バス。


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このルートで、よいこの皆さんへ、いっこ、注意点がある。

路面電車の宝町駅から、ロープウェイ乗り場まで、徒歩で行った俺は、かなりの物好きだ。この道を、昼間ならともかく、平日の真っ暗な時刻に、しかも真冬に、一人で歩くと、寒さと心細さで、軽く死ねる。薄暗い高架下や、徒歩で渡る人とすれ違わない橋や、バスがゴーゴー通り過ぎてゆく、商店ひとつとてない、漆黒の街路なのだ。普通の人間は、ロープウェイ乗り場へ行きたいなら、タクシーかバスを使おう。

では、どんどん写真を見ていこう。この記事には、洋風住宅と、階段の写真を集めた。(写真をクリック、「オリジナルサイズを表示」をクリックで、でっかい写真が見られます。)

朝早く、大浦天主堂にむかう。白いマリア様のお顔を見上げて、俺は感極まって、落涙した。俺はキリスト教徒ではないが、心でこう叫んだ。

「お許しください、お許しください、マリア様!」

俺たち人類は、この地でキリスト教徒を虐殺し、その上、この珠玉の街に、原爆を投下した。この罪をどうやって、つぐなったらよいのだろうか。

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大浦天主堂の前から、俺がのぼってきた階段を振り返ると、こう。

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長崎といえば、グラバー園。幕末から明治期以降に、長崎に住みついた異人さんたちの住宅を、保存した公園だ。グラバーさんちのほか、ウォーカーさんち、リンガーさんちなどが集まっている。中でも、俺が気に入ったのは、この、旧三菱第2ドックハウス。船員さんの宿舎だ。

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2階のテラスからのながめ。港には、大きなお船が見える。三菱重工長崎造船所だ。三菱は、言うまでもないが、by岩崎弥太郎さんだ。大河ドラマ龍馬伝」の副主人公にして語り部、香川照之さん演じる、あの御仁だ。

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次は、二軒並んでいるおうちの、左側。ウォーカーさんちだ。大邸宅であるグラバーさんちやリンガーさんちもよかったが、こじんまりと住みやすそうなウォーカーさんちが、大のお気に入り。すてきなインテリアなので、室内の写真も。見れ。

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ウォーカーさんちを、東側から見る。陽のあたる場所。

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ウォーカーさんちには、4つのお部屋と、廊下がある。南向きのテラスと裏口をむすぶ、直線廊下。廊下の左側の手前が、緑の長椅子のある食堂、続き間のテラス側が、カウチソファのある居間。廊下の右側、手前は書斎で、南側が寝室として展示されていた。厨房やトイレ、浴室は、他の邸宅の造りから想像するに、別棟だったのだろう。

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さんさんと陽光のそそぐ、居間。カウチソファでお昼寝したい。

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居間と続き間になっている、食堂。緑のビロードの長椅子で、読書したい。

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和洋折衷の調度品でまとめた、南向きの寝室。このベッドで、朝まで熟睡したい。

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グラバー園を出てしばらく歩き、オランダ坂をのぼってゆくと、東山手町という一等地に出る。アメリカ人宣教師ラッセル女史が、女性の高等教育を目指して開設した活水学院や、美輪明宏さんが通った海星高校などがある。

…と、たんたんと書いているが、並んでいる建物は、目が覚める素晴らしさなのだが、それよりも俺は、建物の立地条件にビックリ仰天しているのである。なにせ俺は、海のないガラマニ県の、濃尾平野で育った田舎者だ。「家」というものは、地平線まで連綿と続く田んぼの、ところどころに、ぽつんぽつんと建てるもので、「家」が複数戸集まると「集落」になり、それが大規模になると「都市」になる、という感覚がある。

対して、切り立った入り江に作られた港町、長崎は、都市である歴史が深い。その深さが、家と家との間をつたう、狭い狭い側溝に、流流とながれ、あふれているのだ。

山の急斜面の頂上まで、階段状にギッシリ立ち並ぶ、学園や、洋風の高級住宅のありさまに、度肝を抜かされた。隣の家の足元が、自分ちの耳元にある感じ。家々をつなぐのは、どこまでが公道で、どこからが私有地なのかわからない、階段なのだ!

東山手甲十三番館。これは、旧フランス領事館で、館内ではコーヒーが飲めて、明治期ドレスを着ての記念写真もアリ。

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その中にある、ナイス急な裏階段。当時の使用人用階段で、比較的なだらかな表階段より、目いっぱい、急。

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長崎の中でも、東山手から南山手の地区は、ことさら、すてきな建物すてきな階段が密集している。そのすてきさに魅せられた階段マニアは、三日目も朝ぼらけに起きだして、まだ歩いてない階段はないかと、ウキウキ探し回った。

南山手町の、グラバー園正面から、岬のほうに向かう小道は、グラバー通り。ここを行くと、どんどん坂に出る。降雨時に、側溝を流れる雨水が「どんどん」速くなるので、どんどん坂というのだそうだ。

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どんどん坂を下ろうとすると、どんどん早足になって、止まれなくなりそうだよ!写真で見るより、歩くと、もっと急勾配なんだ。
そして、どんどん坂の、上に行くと、こんな階段に出くわす。

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プール坂、だそうだ。ネーミングの由来は、雨水がプールのように以下略だからだろうと想像した。

ああ、階段。

次回は、坂本龍馬さんの足跡をたどります。

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