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13年5月15日 水曜日

ひかりTVビデオざんまいプランで見た映画。最終回、2013年4月は18本!

芥川龍之介が著した文学評論文、『文芸的な、余りに文芸的な』の、第十五章は、こんなふうにはじまります。

十五 「文芸評論」

批評も亦文芸上の一形式である。僕等の誉めたり貶したりするのも畢竟は自己を表現する為であらう。幕の上に映ったアメリカの役者に、――しかも死んでしまったヴアレンテイノに拍手を送って吝まないのは相手を歓ばせる為でも何でもない。唯好意を、――惹いては自己を表現する為にするのである。

芥川龍之介著『文芸的な、余りに文芸的な』より


思い返せば、俺が、ひかりTVで、映画を何本見ましたとゆって、書き記してきて、何年になるでしょうか。2009年7月からですから、4年弱になります。

先に述べます。俺は、2013年4月をもちまして、ひかりTV「ビデオざんまいプラン」を、いったんやめました。とゆって、解約したわけではありません。3月と4月、ひかりTVで見た作品で、本当に見たくて見た映画は、有料オプションの作品が多かったので、定額見放題のプランは一回やめておいて、見たい映画だけチョイスして購入できる、月額無料の「お手軽プラン」に、変更したのです。そのうち、ひかりTVのプログラムに、全話一気見したい連ドラとかが入ってきたら、その月に「ビデオざんまい」に、再入会すればエエのです。俺のテレビは、ひかりTVのチューナー内蔵アクオスですから、月割で、いつでも、入ったり、出たり、できますからね。

なんでやめたかとゆーと、ほかにも理由があります。趣味が、別のほうに向いたのです。3月から、俺内で、読書ブームがわきおこり、SONYの電子書籍で、月に何千円分も買いこんで、読みあさっているので、その分の支出を、削らんといかんくなったのです。家計簿をとっくり見て、まーこのへんでひかりTV定額はやめておこうか、となりました。

ですので、この記事は、「ひかりTVビデオざんまいプランで見た映画、今月は何本!」的な記事の、最終回になります。

先に引用した、ローリー(芥川のこと)の、文芸的なーの文、「批評文とは自己を表現することである」。これ読んだとき、アッハー!と、感嘆しました。まさに、そうなんでしょうね。

俺の映画感想記事をながめて、「ガラマニさんは、ずいぶん、怖い映画ばかり見てるんですね。」と言ったひとも、おられました。どんな映画を選択して、見ているかを、リストアップするだけで、俺が、どんな人間なのかを、表現することになったのです。

また、「ガラマニさんの映画評は、それ自体で作品になっている」と、評価してくださったひとも、おられました。俺は、映画のタイトルを書き、次にいきなり感想を書き出すので、あらすじを、あまり書きません。めんどくさいし、書きたくないからです。書く必要がないから、ではありません。あらすじを書きたいときには、書いてます。

いつも、自分がどうしたいか、だけを、念頭に置いて、感想文を書いてます。

誰の監督作品かは、特に意識している人名だけを書きますね。

俺は、映画監督では、フカギン(深作欣二)と、石井隆と、溝口健二と、大島渚と、是枝裕和と、スタンリー・キューブリックと、クリント・イーストウッドと、オリバー・ストーンなんかが、ひじょうに、好きです。大好きです。

一方、世人がいかようにもてはやそうとも、「レオン」以降のリュック・ベッソンや、ゴジラをあんなふうにした重罪人ローランド・エメリッヒや、「タイタニック」という前科が、船舶タイタニックの総重量より重いジェームズ・キャメロンや、「何々を絶賛したひと」でしかなく、本人の作品はいまひとつなクエンティン・タランティーノは、映画監督として、好きではありません。

俺は、感想文を、書いています。感想文とは、俺の感情を表現した文章です。何について述べるにしても、慎重に、ものすごく慎重に、気をつけていることがあります。感想文を書くさいに、俺以外の人間の感想を、意識に入れないことです。エメリッヒのゴジラは糞です。東宝ゴジラへの冒涜です。こう思うんだからこう書きます。これが、当たり前だと思うんですが、これしきの態度が保てないひとも、います。個人サイトで個人の感想を述べるさいに、「個人的には、…しどろもどろ、えっとえっと、こういうふうに、思います。」みたいに、おまえはどこの団体の代表として発言しとるのだ?「個人的には、〜と思います」の使いかたをまちがえているひとが多い。俺はけして、そんなふうにはなりたくありません。

さて、はじめましょう!映画の、感想文を!

(1)東京原発(2002)日

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なんとビックリ、東京都知事が、東京に原発をつくると言い出した!

原発行政の暗愚を、痛烈に非難している、ブラックジョーク映画。とうぜん、作り手の思惑は、反原発である。原子力発電がかかえている矛盾、問題点を、ひじょうにわかりやすく説明してくれるので、学習用としても超オススメ。痛快娯楽映画としても、超オススメ。劇中より、益岡徹演ずる原子力安全委員のセリフが、ふるってる。

「アッハハハ、なに言ってんですか都知事ぃ〜。国家がやることに、責任者なんて、いるはずがないでしょ〜w」

(2)完全なる飼育(1999)日

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見る前にあらすじを読んで、テーマに興味を持った。ストックホルム症候群をあつかった映画なのかと思って見てみた。んが、たんなる性的なテーマだったし、脇役が豪華なのに無駄な要素が多く、残念な出来だった。

(3)バットマン(1989)米

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映画化初代バットマンだ。俺は、バットマンのことを、特に好きでもきらいでもなかったが、4月に、シリーズを一気見することになり、バットマンのことを好きになった。この初代バットマンの中の人、マイケル・キートンが、いちばん、エロかっこよくて、好きだ。バットマンの衣装スタイルは、ライダーマンのように、くちもとをさらしているので、クチビルのカタチが、エロかっこよくないと、バットマン役には、向かないのだ。

いっぽう、敵役のジョーカーは、ジャック・ニコルソン。ウワサにたがわず、ハイテンションな怪演ぶりだ。

しかし、俺がこの初代バットマン映画で、もっとも好きな、印象的なシーンは、キム・ベイシンガーが、ハッとして天井を見上げるところだ。あのワンシーンによって、俺内で、ハッとして天井を見上げる演技をさせたら、右にでるものはいない女優として、キム・ベイシンガーは不動の地位を築いた。

(4)スティーブ・オースティン S.W.A.T(2011)米

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プロットがおもしろい。訓練中のスワット部隊が、偶然、ホンモノの犯罪現場に居合わせてしまい…ラストのどんでん返しも、おもしろい。

(5)エリート・スクワッド〜ブラジル特殊警察部隊BOPE〜(2010)ブラジル

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ブラジル映画界、いい作品をつくるね!主演俳優さんが、俺の好みのオットコマエ。

(6)八日目の蝉(2011)日

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もうダメだ。永作博美さん、最高だ。ヒロインである彼女が、幼い女の子を連れて夜、森の中、あの歌をうたうシーンが、胸にこびりついて、離れない。

「みあげてごらん よるのほしを…ちいさなほしの ちいさなひかりが…ささやかな、しあわせを…」

「お母さん、お星さまの歌、うたって。」

偽(にせ)の母娘の、この言葉、この歌声が、ふたりが手をつなぎ歩くシーンが、いつまでも、忘れられない。

「みあげて ごらん よるの ほしを…ちいさなほしの…ちいさな、ひかりが…ささやかな、しあわせを…歌ってる…。」

(7)バトル・イン・プリズン(2010)米


http://www.klockworx.com/dvd/dvd_509.html

監獄の中で、ナイショで格闘技してます、賭博してます系。リキ入れて製作していることはわかったが、いかんせん、ストーリーが、二番煎じすぎた。あんましおもしろくない。

買収されてる刑務所の所長さんのところに、日替わりコスプレ娼婦が派遣されるんだが、最初の娼婦が、日本製アニメキャラに影響を受けたらしい、ツインテールでピンクの衣装だったのに対し、次にきた娼婦が、実は本職の検事で、娼婦ではない。しかし彼女をコスプレ娼婦たんだと思い込んだ所長たんが、こう言ったのはおもしろかった。

「おお、今夜の女は上玉だな!ほほう、いいねいいね、校長先生かな?」

ここで日米の文化の違いに、軽くカルチャーショック。アメリカさんでは、「女の校長先生=エロ目線対象」なのか。日本で、女の校長先生つーたら、赤木春恵しか思い浮かばんが。

おもしろくない映画であっても、こういう観点で、おもしろい点が見つかると、おもしろくなるものだ。

(8)SOLDIER ソルジャー(2011)露・米・独

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この映画は最高だ。俺はひかりTVのこのサービスで、現代ロシア映画の出来のよさを発見し、感嘆してきたが、この作品がまたこれ、エエですわー。俳優さんはオットコマエやし、朝昼晩アルコールを摂取し続けるロシア人の生活習慣もおもしろい。

だって、弟がさ、お兄さんのうちに泊まりにきててよ。普通にソファーで寝てよ。普通に、朝起きてよ。お兄さんが、ねぼけまなこの弟のツラに、緑色のビール瓶おしあててよ、

「ほら、これでも飲んで、目を覚ませ!」

なーんてゆうのよ!いや、いいんですけど。いいんですけど。迎え酒でいいんですけど。でも、ビール…目覚ましにビールって…

ロシアって、フリーダムでいいなあ。現代の日本映画じゃ、絶対にこんなシーンは出せないよ!

(9)アフガン(2005)露・ウクライナフィンランド

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このロシア映画も最高。「西部戦線異状なし」と同じく、新兵残酷物語で、ソ連によるアフガニスタン侵攻を克明に活写している。

訓練兵時代の様子は、若者たちが和気藹々(わきあいあい)してて、ユーモラスだが、前線に投入されたとたんに、地獄と化す。戦争とはどういうものかを、これでもか、これでもか、と、リアリズム一徹で見せてくれる。

ラストシーンで、「父に捧げる」と出る。ああ、作中で戦死した、あの兵隊さんのことか…

(10)バットマン リターンズ(1994)米

バットマン リターンズ [DVD]

黒猫が出てくる。ただそれだけの理由で、バットマンシリーズ屈指の作品。黒猫のメスたん、キャットウーマンが魅力的すぎるので、ダブル適役のペンギン男の存在が、余計に感じてしまう俺は、相当の黒猫贔屓だ。

セクシーな女キャットウーマン(ミシェル・ファイファー)と、セクシーな男バットマン(マイケル・キートン)が、エロいエロい戦闘シーンをエロりまくり、中の人同士も、恋仲になってゆく、とてもエロいお話しで、俺はふたりの色恋沙汰に夢中で、ペンギン男が出てくると「おまへ出てくんな」などと、ひとりごちていた。

ここまで見てきて、よくわかった。ウンウン。バットマンの中の人は、基本、ドスケベなのだな。たいへん、よろしいッ。

(11)バットマン フォーエヴァー(1995)米

バットマン フォーエヴァー [DVD]

敵役の緑色のひとが、ジム・キャリーなのは、ナイスキャスティングだったが、ダブル敵役、トゥーフェイス役の、トミー・リー・ジョーンズは、ぶっちゃけ似合ってなかった。トミー・リー・ジョーンズ、無理、しすぎ。

その上、基本ドスケベであることが、全俺から期待されている、バットマンの中の人が、今作から、交代になってしまった。年齢面などで、仕方がなかったのであろうが、新しいバットマンの中の人、ヴァル・キルマーは、そりゃ悪い役者さんではないけれど、ドスケベさ、クチビルのカタチのエロさが、前の人よりかは、ずいぶん見劣りがしてしまった。

(12)バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲!(1997)米

バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲! [DVD]

悪役が、シュワルツネッガー!!ピッタシ!シュワちゃんさすが、わかってるね!

そして、知能指数がやけに高くて、英語版「風の谷のナウシカ」でクシャナ殿下の吹き替えを担当したことで、俺内での評価がウナギのぼりである女優、ユマ・サーマンが、エロエロ悪女役で大活躍!

シュワちゃんと、ユマ・サーマンが、ダブル敵役で、さあ俺様、大歓喜…!…に、なるはずだったが。肝心の、バットマンの中の人が、ドスケベであり、エロかっこいいことが大前提なのが、よりによって、ジョージ・クルーニーと、狂うに、狂ってしまっている。本人も、バットマンやりたくなかったそうだが、こっちだって、おまへのバットマンなんか、見たくない。

せっかく、シュワちゃんとユマが、夢の悪役共演だったのに、バットマンサイドが、ぜんぜんバットマンらしくないクルーニーや、ロビン君のサイドストーリーや、バットガールや、執事さんの病気やと、要素を盛り込みすぎて、失敗作になってしまっている。だいたい、シュワちゃんの適役に対して、ジョージ・クルーニーのバットマンが、まったく弱い。存在感が弱い。かないっこないんである。

(13)SHERLOCK/シャーロック シーズン2 第1話「ベルグベービアの醜聞」(2012)英

SHERLOCK/シャーロック シーズン2 [DVD]

正直なところ、俺が、ひかりTVの定額ビデオざんまいを、やめようと実感したのは、定額外の有料作品である、この「シャーロック」シーズン1を、3月に、見たからである。

これさえ見られたら、ほかは見なくてもいい。それぐらい、惚れこんだ。今、ブルーレイディスクで全巻買おうかなーとすら、考えているぐらいである。さらに、来年ぐらいに、この続きであるシーズン3がはじまるそうなので、それに備えて、最高画質で録画できるよう、機材を買いそろえようかなーとすら、考えているぐらいである。シーズン3の日本での放送が、イギリスより、そうとう遅くなるようだったら、イギリスに行って録画してこようかなーとすら、考えているぐらいである。

さて、シーズン2第1話は、原作の「ボヘミアの醜聞」が元ネタだとすぐわかるタイトル。そして、恋愛感情障害患者であるクソガキ、シャーロックが、ただひとり、心乱される女性、アイリーン・アドラーが登場する回だ!

今回は、シャーロックとアイリーンの対決がメインなので、主人公だったはずのジョン・H・ワトソンくんは、まるっきし、カヤの外だったね。かわいそうに、ジョン。シャーロックとアイリーンが、ラブラブゲッチュー状態になっているのを、苦笑いして見ていたジョンは、こう言う。

「ヘイミッシュ。ヘイミッシュだよ、ぼくのミドルネームだ。きみたちに子供ができたら、ヘイミッシュと名づけてくれたまえ。」

特筆すべきは、シャーロックに片思いをしている、死体安置所勤務の女の子、モリーだ。ベイカー街の、常識人ジョンとクソガキのシャーロックの家で開催されたクリスマス・パーティに、とびきりおしゃれしてきたモリー。中年レストレード警部(注:いちばん俺好みのオットコマエ)も、モリーの肩出しドレスに、スケベな目線を隠せないでいる。その時、パーティの進行がまったく眼中にないクソガキが推理にゆきづまってイライラして、八つ当たりで、パーティ客の私生活をバクロしはじめる。モリーのドレスアップした姿を見て、

「贈り物のなかのひとつだけ、ほかのよりも梱包が丁寧だ。服装から、今日これからその相手と会うことが明白だ。長年の片思いか。」

ズケズケ言って、その梱包に「愛するシャーロックへ」と書いてあるのにハッと気がついたクソガキは、クソガキではあるが、心底から思いやりのないガキでは、なかった。

「シャーロック…あなたは、いつも、いつも、いつも…あたしに、ひどいこと、ばっかり言う。」

涙声で、やっとそれだけ、抗弁できたモリーに、シャーロックは、

「ぼくが悪かった。許してくれ、モリー。メリー・クリスマス。」

そして、彼は、彼女のほほに、そっとキスをした。

俺は、この回を見たあと、ベッドにつっぷして、泣いてしまった。モリーの気持ちが、わかりすぎて…本気で、ギャン泣きをしてしまった。

(14)SHERLOCK/シャーロック シーズン2 第2話「バスカヴィルの犬(ハウンド)」(2012)英

シャーロック(BBCドラマ)・ケースブック

キターッ!!ホームズの長編映像化、バスカヴィル家の犬だー!今作とは関係ないけど、パヤオのアニメの犬のホームズが、テレビシリーズ化されるとアニメ雑誌で知ったとき、中学生だった俺は、

「バスカヴィル家の犬のエピソードは、どうするつもりなんだ。みんな犬やないか。」

と、真顔で心配したものだった。ちなみに、中学生当時から、熱心なホームズの「原作の」ファンであった俺は、アニメの犬のホームズは、好きではなかった。

(下の写真は、俺が所持している、シャーロック・ホームズの書籍ぜんぶである。青い表紙の『バスカーヴィル家の犬』と緑の表紙は、中学生の時、学校が夏休みの読書用に販売していたもの。電子書籍には、紙媒体で保有していないホームズ本をぜんぶ、ダウンロード購入したが、大多数は、やはり小中学生時までに、図書館で借りて読んだ記憶があった。)

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事実、アニメの犬のホームズは、シリーズものとしての整合性を欠いていたし、子供むけとはいえ、あまりにも原作の重要な設定を無視しすぎていた。決定的にいけないのは音楽で、絵のテンポと合っていないという始末だ。

だいたい、動物を擬人化したアニメ作品ならばおもしろいけれど、アニメの犬のホームズは、「犬の人間化」ではなく、「人間の犬化」なのだ。ブルドッグのレストレードが、嗅覚たくましくクンカクンカやって犯人を追ったり、人間の子供らしくふるまっていた浮浪児が、急変して、ワンワンほえだしたり、目をおおいたくなる、子供だましだ。

ベイカー街の家主であり、料理人という職業のハドソン夫人(原作の設定)が、パヤオのロリコン趣味の犠牲者となり、19歳の未亡人になっていて、ホームズが心ひそかに想いをよせている設定も、原作ファンからしてみたら、許せない。

アイリーン・アドラーだけを「あのひと」と呼ぶはずのホームズが、簡単に、身近な若い女に、懸想しているだなんて!

原作「ボヘミアの醜聞」で、ホームズとアイリーンは、頭脳戦で戦う。天才探偵である自分と、互角に渡り合えた唯一の女性だからという理由で、恋愛に興味のない男が、ただひとりアイリーン・アドラーのことだけは、尊敬するにいたるのだ。俺たちホームズファンは、そのホームズらしい「愛しかた」をこそ、愛しているのだ。

それなのに、ハドソンさんが19歳で未亡人で、見た目が若くて、家事が得意な家庭的な女だから、ホームズが彼女を好きになるなどとッ!原作のハドソン夫人が料理を作るのは、料理を作るのが職業だからだ。ベイカー街のお二階は、まかないつきの下宿だからだ。こういう原作の、設定無視をしてからに…アーッ!けしからんッ!シャーロック・ホームズの原作ファンが、どんだけ濃くて、どんだけ世界中に多いと思ってるんだ、パヤオッ!

ハァハァ…怒りのあまり、脱線しすぎた。アニメの犬なんかどうでもよろしい。問題は、この「バスカヴィルの犬(ハウンド)」が、ものすごくヨイことだーッ!!

さよう。シャーロック・ホームズ原作の歴史は古く、コアなファンは、世界中に数多い。そんななかにあって、物語の舞台を、パソコンやスマホや科学兵器がはびこる現代に持ってきたこのシリーズが、いかに意欲的であるか。いかに挑戦的であるか。いかに、難しかったか、だ。

「バスカヴィル家の犬」の原作では、蛍光カラーの犬が、ヒトを襲ってくるし、ホームズは姿を隠してしまうし、ワトソンが単身、バスカヴィル家にのりこんで、複雑にいりくんだ犯罪の根を見つけてゆくし、これが現代劇になったら、いったいどう描くのか、興味シンシン、胸ドキドキ、心臓バクバクで見始めた。

いや、うまい。実に、うまい。

ふだんタクシー生活のジョンとシャーロックが、レンタカーで、山口県の、じゃなかった、ダートムアの奇石群に出かけてくれて、旅情満喫、気分爽快だ。

観光客相手の料理店に、レストレード警部がかけつけてくれて、シャーロックの性格異常についてジョンと討論し、レストレードは言う。

「性格に、問題があるんじゃないのか、彼は…」

シャーロックは、ヴァルキルマーだと、いや、ちがった、バンパイヤーだと、いやいや、なんちゅうたかな、ああそう、アスペルガーだと、医師ジョン・ワトソンが言うシーンも秀逸。このときの、レストレードとジョンとで交わされた、シャーロックの性格分析が、次回「ライヘンバッハ・ヒーロー」への伏線にもなってるんだからっチキショーメ。

(ちなみに、アスペルガーのことを、俺が見た字幕版では、「発達障害」と翻訳していた。)

参考記事「シャーロック・ホームズとアスペルガー症候群」 id:yuhka-uno さん作

狂犬にビビるシャーロックも、いい気味なので爽快。ジョンのガニマタが、ひどくなってるのも愉快。原作ではからまないはずの、マイクロフト兄さんを、登場させてくれたのにも満足よ。マイクロフト兄さん、ブサキモかっこいいのよ。

さてはて、現代ドラマ「バスカヴィルのハウンド」は、原作小説「バスカヴィル家の犬」を、そのまま焼きなおすのは無理と判断して、大胆に改変した内容になっていた。そしてそれが、シャーロック・ホームズらしさ、ジョン・ワトソンらしさ、不気味な犬の恐ろしさ、ダートムアの風景描写と、原作ファンが期待している大事な要素を、十二分に生かした「改変」であるから、俺は大満足した。

原作の重要な設定を無視せず、なおかつ大胆に改変し、現代劇として不自然ではない内容にし、きっとたぶん、原作小説を読んだことのなかった21世紀の人々をも、魅了するであろう、このドラマ。まことにすてきだ!

(15)SHERLOCK/シャーロック シーズン2 第3話「ライヘンバッハ・ヒーロー」(2012)英


(引用できる商品のネタが尽きてきたので、これ。ベイカー街のふたりの居間に置いてあるクッションです。なにこのインテリアセンス。もうアホかと。バカかと。)

英国旗/ユニオンジャック クッション 18インチ×13インチ(46cm×30cm)

ほめちぎっているこのドラマ。「シャーロック」。ここまでの全話を見てきて、ハタと、あることに気がついた。

先だって俺は、水族館に遊びにでかけた。我がガラマニ県キャキャミギャヒャラ市にある、世界淡水魚水族館だ。そこには、たくさんの、ベネディクト・カンバーバッチくんがいた。こんにちは、ベネディクト・カンバーバッチですと、水槽の中から、なんどもなんども、こんにちはをされた。

さよう。このドラマで、主人公シャーロック・ホームズを演じている俳優、カンバーバッチくんは、ものすごい変な顔である。人類よりも、魚類にちかい。ツイッターで、#シャーロックのハッシュタグ検索をしていたら、「シャーロックの役のひとが、もう少し、イケメンの俳優さんだったらよかったなあ。」と書いていたひとがあったが、同感である。同感であった。過去形。

シャーロック&ベネディクト  FLIX special

シーズン1の第1話を見た瞬間は、確かに、シャーロックがもう少し美男子ならいいのにと思ったものよ。だって、語り手であり、もうひとりの主人公である、ジョン・ワトソンは、ひじょうに男ぶりがよく、女好きのするタイプ(女にモテるタイプという意味)だ。ジョンとシャーロックが並ぶと、天才探偵のほうが、ハンサムさでは、見劣りがしてしまう。

(ただしこれは、まったく原作に忠実なのである。コナン・ドイルの小説において、医師ジョン・ワトソンは、医師のコナン・ドイル自身であり、女好きのする好男児であり、反面、天才シャーロック・ホームズは、天才ゆえに変人で、見た目もキモいのだ。

イギリス・グラナダ・テレビ製作「シャーロック・ホームズの冒険」(1984〜1994)がはじまり、ジェレミー・ブレットのホームズを見たときにも、まったく同じように感じた。ホームズは、もっと美男子がいいと思い、いやっ、これが原作通りじゃないかと思い直したのだ。)

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ただ、ジョンにしても、ものすごい完璧な、黄金率な美男子ではない。感じのよいひと、なんである。

そいで、シャーロックは、感じがわるいひとでw、ブサいクソガキだ。だが、そんな彼を、見続けるうち、シャーロックのことも、水族館で、メコンオオナマズを見るときのように、愛おしく思えてくる。

ジョン・ワトソンのことは、人柄のよさに、惚れてしまうのが、悔しいぐらいに悔しい、いい男だ。

レストレード警部は言うに及ばず、ジョンよりずっと年上の、保護者的な貫禄があり、出バラで、オヤジくさくて、俺の好みだ。部下になりたい。

マイクロフト兄さんは、ブサキモかっこいい。顔はブサくて、態度はキモい。コウモリ傘をフンフンふりまわす仕草が、すげー愛おしい。秘書になりたい。

悪役のモリアーティ青年にしても、「ライヘンバッハ・ヒーロー」の回をとっくり見ているうち、地味でキモチわるい役作りでありながら、どこか憎めない、愛嬌がある顔立ちだ。

女性の登場人物もみな、魅力的だ。シャーロックに片思いしている医学者、モリーのことは、俺は同情して大泣きしたぐらい、大好きだ。モリーのファッションセンスが、ことごとく、どこかズレてて、ダサいのが、ヨイのだ。今日はシャーロックに会える日だから、彼に見せようと、おしゃれしてても、ズレている。今日は彼に会わない日だと、見るからに手をぬいた服装とメイクなので、女性の俺から見ると、シンパシー急上昇なのだ。

シャーロックの心をうばってしまう得な役、アイリーン・アドラーも、どんな超美人をもってくるかと思いきや、チャーミングでセクシーなのだが、いっしょにいて、くつろげる女性だった。超美人、ではないのだ。表情が豊かで、生き生きしてる。「ベルグベービアの醜聞」で彼女は、女王様コスチュームを着ていても、全裸になっていても、殺されそうになっていても、チャーミングだった。

なにが言いたいかというと、このドラマには、絵に描いたような美男美女が、一人も、まったく、登場しないのである。全員、ある程度ブサくて、それでいて、魅力的な人材ばかりなのだ。

このことに、俺は、ハタと気がつき、そして、両手をポンとたたいた。うまい。実にうまい。感情移入しやすい。愛しやすい。愛してしまうのだ、彼ら全員を。

俺はモリーに同情し、それでいて、恋敵にあたるアイリーン・アドラーのことも、ワーかわゆい女性やなーと、好きになった。「ベルグベービアの醜聞」の最終で、人知れず彼女を助けに行ったシャーロックを見て、おまへ彼女にベタ惚れやがな!と、大笑いした。

モリアーティを、老教授にしなかったのもうまい。あのメンバーに老教授を持ってきたら、浮くし、愛せない。このドラマでは、恋敵も、宿敵も、魚類も、愛さずにはいられない。この罠は、キャスティングに仕掛けられた、壮大な罠だ。トリックだ。どんでん返しだ。ビックリだ。

乞う、シーズン3!撮影快調!

(16)双生児(1999)日

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この映画を見た、4月の末日、俺は既に、今月いっぱいで、ビデオざんまいをやめようと決めていた。だから、これを見て、この映画でラストを飾ることはできねえと、井戸より深く後悔した。悪趣味すぎるし、寺山修司のマネっこで、ぜんぜん斬新じゃないし、そもそも、おもしろくない。もっくんの迫真の演技だけが印象的だ。

(17)パラサイト(1998)米

パラサイト [DVD]

主人公の男子高校生が、あれーこの子どこかで見たよー、有名でしょこの俳優ーと思って調べたら、イライジャ・ウッドだった。指輪物語で小人の主人公やってた子ねー。

で、この映画は、典型的なアメリカ製の、ティーンズ・ホラーであり、良作だった。主要登場人物が、開始早々10分間以内でキャラ立ちを済ます。事件はすぐに起こり、すぐに主人公たちに問題意識をもたせ、すぐに行動しないといかん窮地に追い込まれる。

いわゆる、脚本のお手本を、忠実に守っているので、展開が早く、ラストが読めても、読めてしまうことを楽しむことができるのだ。

まあまあの映画だった。駄菓子菓子!この作品で、4年も続けてきた、ひかりTVビデオざんまい感想文のラストを飾るのも、なんだかなー。では、最後には、見たかったアレを持ってこよう。

(18)ハプニング(2008)米

ハプニング (特別編) [DVD]

信頼と安定のキモチ悪さ。ナイト・シャマラン監督です!!

ホントーに俺は、キモチ悪い映画が、キモチいいんだなーッ!てなーっ!

あのねえ、俺ねえ、この記事の最初のほうで、好きな監督を列挙したでしょう。シャマラン監督は、そん中には、入らないのよね。全面的に好きでは、ないのよ。キモチ悪くなりたいときに見る映画なのよ。その点、信頼と安定の、リーディング・イノベーションなのよ。明日をつくる技術のシャマランなのよ。

さて、「ハプニング」。前評判は上々。どこで評判聞いたかって、リアル知人に聞いた。なにを間違えたのか、母親である彼女は、中学生のお子さん連れて、映画館までシャマラン見に行ってしまい、感想はと問われて、

「ハプニングは…あれは(汗)…ウーン…ま、ね。ウーン(首をかしげる)、ね。」

そうでしょうとも!それでこそシャマランですよ!すてきな休日が、台無しになったでしょうとも!←本当に心から好き勝手書いている俺 いいぞ俺

キモチ悪い映画を見ると、気分爽快になる俺には、「ハプニング」は最高だった。シャマランの過去作品の中でも、これがいちばん好きかもしんない。

アメリカから、ミツバチがいなくなる現象が報告される。次いで、田舎町で「テロ」らしき事件が起こる。中学の理科教師である主人公男性は、テロではなく、自然災害だと気がつき、家族を連れて逃げるのだが…

とても怖くて、後味も悪くて、意味不明な不気味さが、非常によかった。

ただひとつ、気になったことが。たいへん実力のあるシャマラン監督なのだけど、「ハプニング」のプロットは、ヒッチコックの「鳥」に酷似している。

人類が、自然に対して、傲慢な態度をとり、怒った自然が、人類にむかって殺戮行為をはじめる。このテーマ自体は、「ハプニング」も「鳥」も、そして「ジョーズ」などの、生き物パニック映画全般に共通しているが、「ハプニング」と「鳥」は、逃げ惑う人々の間に感情的対立が最初からある点、襲いくる生き物の目標物、行動指針が判然としない点(例えば「ジョーズ」は、人間を食用にするというわかりやすい行動指針がある)、今回の災害とは関係のないキチガイが出てくる点など、類似点が多い。

かといって、俺はシャマラン監督を批判する気はない。「ハプニング」は、襲いくる生き物の、姿が、まったく見えない。襲ってくる理由も、襲撃が終わる理由も、はっきりとはわからない。(「鳥」のラストシーンで、カモメやカラスたちがヒロインを襲わなくなった理由は、ハッキリ描かれていた。)

なによりも、シャマランらしい、いや〜な間のとりかたが期待通りだった。脚本に無駄がない。必要最低限なセリフ数で、吐く言葉は、辛辣きわまりない。

楽しい映画でした!監督、ありがとうでやんす!

映画年間の終わりに


何事にも、はじめあれば、終わりあり。いったん、映画ざんまいな、おうちがスクリーンな日日には、終止符をうちますが、もうすでに、ひかりTVで今月見る予定の「お気に入り」には、数本の見たかった名画が、ストックされています。

ただ今後は、一か月分をまとめて、何月は何本見ました、という形式の記事には、しないことにしました。

おしまいに、2009年7月から、2013年4月までに、見てきた映画の、総本数を、ここに記しましょう。

「おにいさまへ…」全39話一気見地獄は、カウントに入れてませんよ!

最初がここです。ひかりTVビデオざんまいプランで7月に見た映画一覧(16本)

最初に見たのは、「金融腐食列島 呪縛」だったんですねえ。そして、「ハプニング」まで。

合計、長編映画、839作品でした!