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2013-05-03

少しずつ広がる情報発信の楽しさ 大槌町を初めて訪問してから1年が経過しました

久しぶりに岩手県大槌町を訪問してきました。写真展「大槌の宝箱」(大槌会場)から二ヶ月ぶりです。役場前の「どんりゅう庵」内に移転した大槌みらい新聞の新拠点を見て、現地責任者の松本さんやレポーターの皆さんと話をしてきました。同じタイミングで大槌に来ていた昨年夏のインターンで早稲田大学院ジャーナリズムスクールの藤井君たちが新拠点を訪ねてくれました。

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昨年のゴールデンウィークに初めて大槌を訪問してから1年が経過しました。町や地元の皆さんの協力を得て、大槌北小学校の「きらりベース」に拠点を構えたのが7月。松本さんや学生インターンと仮設住宅などをまわってニーズを把握し、8月に大槌みらい新聞の創刊準備号を、9月に新聞を創刊しました。新聞は月に1度、町内全戸に配布(約5000部)しています。3月には「大槌みらい新聞電子版」(日本語版英語版)を出版しました。

活動は、三菱商事復興支援財団の助成、READYFOR?によるクラウドファンディングでの資金調達、Amazonほしいものリスト、サポーターの支援、記者やデザイナーによる制作支援と、多様な取り組みによって支えられてきました。

写真や動画などの情報発信のワークショップは3月末までに80回、約400人の方に参加頂きました。このワークショップが写真展の開催につながりました。

レポーターとして多くの町の方が新聞づくりに関わってくれています。カメラを持ち「フォトジャーナリスト」として大槌を記録したり、ソーシャルメディアを使って交流したり。夕食を食べにいったお寿司屋さんでも、カメラを取り出しての撮影大会…

「情報発信の楽しさを知ってもらう」「情報発信力を高める」という目標に向かって着実に進んでいることも確認できました。拠点を構えて初めて取り組んだワークショップの参加者がゼロだったことを振り返ると、本当に大きな変化です。改めて、活動を支えてくれている皆さんに感謝します。

多くの皆さんにお越し頂いた写真展は、小さな大槌みらい新聞にとって大きな負担でした。いまは少し活動ペースを落としつつ、夏に再び学生インターンを実施したいと考えています。大槌みらい新聞は学生の力によるところが大きいです。

夏のインターン概要は、ゴールデンウィーク明けにはご案内できる予定です。大学関係の皆様、周知のご協力や単位化の手続きなどよろしくお願いいたします。

2013年5月の大槌。城山公園から

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2012年5月の大槌。城山公園から

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夏には土地のかさ上げが始まるとのことです。

2013-04-01

法政大学社会学部メディア社会学科に「入学」しました

2013年4月付けで法政大学社会学部メディア社会学科の准教授に着任しました。また、関西大学総合情報学部でも特任教授(非常勤)として授業を担当することになりました。

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大学を卒業して徳島新聞の記者として働き始めた頃は、自分が研究者になるとは想像できませんでした。未来はどうなるか分からない。だから面白いし、可能性に満ちていると思います。

もちろん不安もあります。研究者としてやっていけるのか、面白く役に立つ授業が提供できるか、毎日寂しくご飯を食べるのは嫌だなあとか(笑)。環境を変えるのは勇気が必要ですが、ご縁を頂いたのでチャレンジする道を選びました。所属は大学になりますが、引き続き、メディアとジャーナリズムの未来を追いかけたいと思います。

ブログに出会い、徳島新聞からNTTレゾナントに転職したのは2005年でした。NTTレゾナントでの約7年は、チャンスをたくさん頂き、幅を広げることができました。gooラボを担当したことでNTT研究所の知性や技術を知ることができ、ビジネスエスノグラフィの取り組みでは知的な刺激に満ちた日々を送りました。東日本大震災の際には、ボランティア情報データベースの構築や大槌みらい新聞の取り組みも後押ししてもらいました。

悔しい思いや反省もありますが、記者としての取材や編集といったスキルだけでなく、ウェブの技術やサービス開発を経験したことで、データジャーナリズムアントレプレナージャーナリズムをカバーできるようになりました。レゾナントでの経験や人との出会いは、ジャーナリズムにつながっています。振り返ってみれば無駄な事など一つもありませんでした。

大学でも、ソーシャルメディア時代のジャーナリズムを考え、実践し、裾野を広げ、質を高めて行くという取り組みは変わりませんし、ジャーナリストであることも変わりません。地方新聞出身で東京の大学でメディア系を担当している教員は少ないので、地域メディア研究なども進めて行きたいと思っています。

ゼミもスタートします。これまで、日本ジャーナリスト教育センター(JCEJ)学生運営委員との関わりはありましたが、より多くの学生と関わるようになります。不確実な時代を進めるかどうかは、偏差値ではなく、好奇心を持ち続け、クオリティにこだわって最後まで取り組めることが重要になると考えています。いまほど、メディアを学び、実践する面白い時期はありません。日本、世界に通用するジャーナリストやメディア関係者になりたい、と考えている学生の皆さんを待っています。一緒に新しい世界を作って行きましょう。

タイトルに「入学」という言葉を使ったのは、一から学ぶという意味を込めました。法政大学の社会学部は、1952年に私立大学初の社会学部としてスタートした伝統がある学部で、稲増龍夫さん、奥武則さん、藤田真文さん、白田秀彰さんら著名な教員が多く在籍しています。環境を生かして、教育、研究に研鑽していきたいと思います。引き続き、皆様からのご指導をよろしくお願いいたします。

社会学部のある多摩キャンパスは、JR西八王子or京王線めじろ台からバスとやや不便ですが、ぜひ遊びに来てください。

2013-03-17

写真を撮るということは前を向いて生きるということ 写真展「大槌の宝箱」開催にあたって

「町の人々の想いが伝わってくるような熱いものがある」「何気ない日常をいとおしむ人たちの気持ちが表れて心を打つ」といった感想を頂いている写真展「大槌の宝箱」。

大槌みらい新聞」が主催し、大槌のおじいちゃんやおばあちゃんたちが身近で大切な物や人を撮影した写真やお茶っこなどのイベントを行っています。大槌、東京の2会場は既に終了。横浜のさくらWORKS<関内>で開催中です。

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実は写真展の企画が最初に持ち上がった時に「もっと他にやることがあるのでは?」と一旦ストップしたのは内緒です。新たなメディアの立ち上げ、町内全戸をカバーする紙の新聞の取材、印刷、配布、フェイスブックページの運用、情報発信のワークショップなど、取り組むことが山積していたので、優先順位が低いように思ってしまったのです。

しかし、大槌みらい新聞は、メディアを創ると同時に、情報発信者を増やして、地域を盛り上げていくというミッションを掲げています。大槌の方から出た声を応援することこそ、本来の姿ではないかと考え直し、クラウドファンディングREADYFOR?で活動費を募集することにしたのです。

写真展につながった大槌みらい新聞の情報発信ワークショップは、60回以上、延べ400人が参加してくれていますが、一番最初はゼロ人でした。ソーシャルメディアや記事のワークショップは難し過ぎると敬遠されたため、考えついたのが携帯電話を使ったカメラのワークショップでした。

とにかく、簡単に楽しく、という。笑顔を撮影して、その場でプリントアウトすると、とても喜んでくれて「これで葬式に飾る写真が出来た」と言われた時には、笑うに笑えず、どういう顔をしたらいいのか、困ってしましましたが、60%の住宅が何らかの被害を受けた大槌では、住んでいた自宅、家財、そして思い出の詰まった写真も流されてしまったという人も多く、自分の写真すらないという現実を知らされました。

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ワークショップを重ねるにつれて「これからも写真を撮ってみたい」「カメラを買いたい」という声が出て、現地責任者の松本さんがアマゾンで代わりに購入して届けたりもしています。

READYFOR?の説明(参考:おばあちゃん達の「宝物」を集めた写真展「大槌の宝箱」を開催)にも書かれていますが、写真を撮るということは前を向いて生きるということ。明日がある、何かを残したいと思うから撮るのだなということにも気づかされたのです。

東日本大震災から2年目ということで、震災当時の写真を展示する催しもありますが、「大槌の宝箱」は身近で素朴な写真を通じて、被災や仮説住宅での苦労、その中にある楽しさというものがにじみ出て、今の大槌の暮らしを知ってもらえるものになったと思います。記者としての立場を考えると、インパクトがある象徴的な写真を、と考えるのですが(それも被災地を伝えるために意味ある写真と思います)、改めてニュースというのは身の回りにあると考えさせられました。そして、これは日々の記録、ジャーナリズム活動なのだ、とも。

写真展は20日まで。ぜひ会場に足を運んでください。会場への地図やイベント情報などはこちらから

3月1日から5日までは大槌のショッピングセンター「マスト」で開催。NTT東日本岩手支店の皆さんが、 連日サポートしてくれました。

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これまでフィスブックページに掲載してきたニュースを町の人に読んでもらい収録する「アナウンサー体験」を実施しました。

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立命館大学の奥村信幸先生に大槌まで来て映像のワークショップを開いてもらいました。マストで2回、仮説住宅で1回。小さな種をまいてくれました。

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3月8日から11日までは東京目黒のギャラリー「やさしい予感」さんの協力で開催。素敵な会場でした。

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横浜のさくらWORKS<関内>はまた違った雰囲気です。撮影者のおばあちゃんと話せるお茶っこは大人気。

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大槌駅前あるNTT局舎に備え付けられたカメラからフレッツ回線を通して大槌を生中継しています。大槌の知り合いに電話してカメラ前で手を振ってもらう方もいました。

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写真展を担当したJCEJの学生運営委員の庄司君が取材に応じているところ。写真展は本当に多くのメディアに取り上げて頂きました。

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2013-01-24

東日本大震災におけるマスメディアとソーシャルメディアに関する調査研究が出版されました

公益財団法人新聞通信調査会の委託を受けて進めて来た調査研究「大規模震災時における的確な情報流通を可能とする マスメディア・ソーシャルメディア連携の可能性と課題」がまとまり、同じく委託を受けていた5つの調査研究とともに『大震災・原発とメディアの役割〜報道・論調の検証と展望』として出版されました。

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「大規模震災時における的確な情報流通を可能とする マスメディア・ソーシャルメディア連携の可能性と課題」は東海大学の河井孝仁教授を主査として進めてきたものです。

新聞社を中心に、マスメディアのソーシャルメディアやデジタル部門担当者のヒアリング、Twitter分析、ネット調査などで構成されています。

ヒアリングしたのは、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、産經新聞日本経済新聞の全国紙。岩手日報河北新報福島民報茨城新聞の被災地域の地方紙。放送局ではNHK、ラジオ福島IBC岩手放送。ネット企業としてYahoo!JAPAN、ニコニコ動画ニワンゴ)、Ustream、Twitterです。

ヒアリングでは各社のソーシャルメディアへの取り組みや特徴を明らかにしています。全国紙と地方紙を網羅している点で貴重な資料になっていると思います。ニコニコ動画とUstreamからはテレビ・ラジオ局の再配信状況や人気上位番組のデータも提供してもらいました。

Twitter分析では、朝日新聞と茨城新聞、河北新報、ラジオ福島の各アカウントのツイート数や内容を比較しています。Twitterを使うといっても、被災の状況や目的に応じた変化があることが分かりました。そして河北新報の寺島英弥編集委員への記者インタビューも収録することができました。

残念ながらページ数の都合で重要なポイントの抜粋となっています。ほぼ全文書き起こしはブログで読む事ができます:つながりのジャーナリズム 寺島英弥さんとの対話

考察では、ソーシャルメディアが生んだ情報空間、地方と中央の問題、社内連携の不十分さ、報道機関の役割について指摘しています。そして個のジャーナリストの時代であることを踏まえた、ソーシャルジャーナリズムの七つの原則を提言として盛り込みました。

忙しい中、各担当の皆さんは快くヒアリングを引き受けて頂きました。改めてお礼を申し上げます。主査の河井先生の指導、サポートしてくれた大学生・院生の活躍がなければたどり着く事はできなかったと思います。ありがとうございました。

上野征洋事業構想大学院大学副学長は、『大震災・原発とメディアの役割〜報道・論調の検証と展望』を福島原子力発電所の四つの「事故調査報告書」に次ぐ第五の報告書と位置付けています。民間事故調にはワーキンググループの一人として関わり、ソーシャルメディアと政府や東電の情報発信について調査を行い「福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書」となって出版されています。東日本大震災に関わる五つの報告の二つに関われたことは、大きな経験となりました。

この調査研究もメディアや自治体の取り組みの一部を切り取ったに過ぎませんが、次の災害時の情報発信の参考になり被害の低減に役立つこと、そして何よりもジャーナリズムが社会の中で役割を果たす事ができることを願っています。

『[『大震災・原発とメディアの役割〜報道・論調の検証と展望』には、原子力政策報道とジャーナリズム(代表山腰修三慶應大学専任講師)、東日本大震災とニュースメディア(代表大井眞二日本大学教授)など計6つのチームの報告がまとめられています。502ページで、定価1,400円(税別)。

<追記:Amazonで購入できるようになりました>

2012-12-25

[]ボランティアつなぎサービス「skillstock」のクローズについて

仲間と開発を進めて来たボランティアつなぎサービス「skillstock」ですが、このたびサービスをクローズすることになりました。2012年3月2日に公開し、多くの方に登録して頂き、サービスを通じて被災地の支援も行われてきました。これまでにスキルやボランティアプロジェクトを登録して頂いた皆さん、そしてサービス開発を支えてくださった皆さん、本当にありがとうございました。

skillstockは夏のデザイン変更の後、さらに利用しやすいサービスにするために新たなエンジニアの協力も得て12月のリニューアルを目指していましたが、NPO法人「ボランティアインフォ」との連携解消やリニューアルに大幅な変更が必要であることが分かったことにより、継続が難しくなりました。仲間と色々相談して、なんとか前に進めようとしてきましたが、力及ばず悔しい気持ちです。skillstockはクローズしますが、プロジェクトのメンバーはそれぞれ東日本大震災の支援活動を続けて行きますので、何卒ご理解を賜りますように、よろしくお願いいたします。skillstockのトップページに下記のお知らせを掲示しています。

skillstockサービス終了のお知らせ(2012/12/25)

平素は、skillstockをご利用いただきありがとうございます。skillstockは2012年12月31日をもって、サービスを終了することとなりました。利用者の皆様には突然のお知らせとなりますことをお詫び申し上げます。

skillstockは、スキルを生かして東日本大震災の復興を支援するためのボランティアマッチングサイトとしてスタートしました。開発・運営は、IT企業のエンジニアらによるプロボノで開発が行われ、1000名以上、2000スキル以上が登録されており、skillstockを通じて被災地の支援が行われてきました。12月末にさらなる利用を目指してリニューアルを予定していましたが、大幅な改修が必要になることが分かり、サービスを終了することになりました。何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。 皆様からお預かりしたスキルなどのデータは責任をもって消去いたします。

今後のスケジュールですが25日より新規登録停止、31日にサービス停止となります。プロジェクトのメンバーは引き続きそれぞれの立場で東日本大震災の支援を行なって参ります。これまでのご支援ありがとうございました。

skillstockプロジェクト一同

なお「ボランティアインフォ」の社員、理事を退任したことも合わせてお知らせいたします。