2010-08-18
■[お知らせ]朝日カルチャーセンターのジャーナリズム実践講座で講師を担当します
朝日カルチャーセンター立川で9月から開講する「就活に役立つ メディアとジャーナリズムの実戦講座(総論編)+1日記者体験」に協力します。全5回のプログラムには、支局での記者体験も含まれ、優秀作品はアサヒ・コムに掲載される予定とのこと。
コースディレクターを務める、元朝日新聞編集局長補佐・元ジャーナリスト学校事務局長の五十嵐浩司さんから「多摩エリアの大学生向けに本格的名ジャーナリズム教育を」との誘いがありお受けしたのですが、他の講師メンバーがすごい…
朝日ジャーナリスト学校長の野村彰男さん、元NHKスペシャルのエグゼクティブプロデューサーで作家坂上遼としても活動する小俣一平東京都市大学教授、元読売新聞編集局次長・国際部長の山口勉東海大学教授で、本当にここに並んでよいのかと思いますが、精一杯務めたいと思います。担当は3回目の9月18日(土)で、「ウエブ・メディアのいまと、ウエブ・ジャーナリズムの可能性」というタイトルです。講座の概要は以下の通りです。
□就活に役立つ メディアとジャーナリズムの実戦講座(総論編)+1日記者体験
□期間=9月4、11、18、15日、10月2日の全5回 午後5時50分〜8時20分(「記者体験」は午後1時〜午後6時)
□参加費用=1万5750円(朝日カルチャーセンター会員は1万3125円)
<各回のタイトルと担当者 2限は佐藤和雄さん、五十嵐浩司さん担当>
- 4日1限「メディアのいま。メディアが欲しがる若者たち」(講師・野村彰男さん)2限「メディア企業のエントリーシートを書く技法」
- 11日(土)1限「テレビ局で働くということ。テレビ・ジャーナリズム」(講師:小俣一平さん)2限「エントリーシートの講評、書き直し指導」
- 18日(土)1限「ウエブ・メディアのいまと、ウエブ・ジャーナリズムの可能性」(講師:藤代裕之)2限「メディア面接での自己表現訓練・模擬面接」
- 25日(土)1限「新聞で働くということ」(講師:山口勉さん)2限「メディア受験・集団討論訓練」
- 10月2日(土)朝日新聞立川支局などで「1日記者体験」(午後1時〜午後6時)
朝日カルチャーセンター立川は駅にあるルミネ立川店9階。お近くの大学に通っていたり、自宅があったりする方でマスメディアへの就職、ジャーナリズムに関心があるかたは、ぜひどうぞ。
追記 残念ながら講座は最低人数に達せず中止となったとのことです。
2010-08-10
■[スイッチオンPJ]記者体験プログラム2010『模擬取材で起きたメディアスクラム、決め付け…』
記者体験プログラム2010では、スイッチオンプロジェクトで独自に開発した模擬取材(シミュレーション)を行いました。
参加した学生は新人記者となり折船村(架空)に配置された、10人の村人役を取材して行く事で、村で何が起きているのかを探るというものです。取材の大変さ、面白さ、そして何より怖さを知ることを目的としました。たった3時間弱ですが、次々に起きる事象に、メディアスクラム、村人への失礼な取材や態度、決め付け、さらにはデスクの指示を聞かないということまで起きてしまいました。
まずは模擬取材の当日の様子を紹介します。午前9時。取材のスタート地点となった折船村役場の地域振興課長席。近くには地元のミニコミ紙「オリセンタイムス」を出す村議がいるが人が多くて見えません。課長にダムの振興策を聞くとコンサルティング事務所の存在が明らかになります。居場所は村議に聞くと教えてくれるため、何組かが気付き役場設定の部屋を飛び出して行きます。
役場内に設けられた婦人会に会長が出勤。数人の記者が取材を始めますが、多くの記者は課長の前から離れません。実際の取材現場でもあるのですが、出し抜かれないように「他班の質問と答えも押さえよう」と考えると動けなくなってしまいます。この記者心理が、特定の人物や場所に人が集中するメディアスクラムを生む要因となります。「独自の行動を」と言うのは簡単ですが、実際に自分のチームだけこの場を離れるというのは難しいものです。
事前に配布した記事に登場する青年部長の民宿。前村長の息子という設定。
コンサルティング事務所の看板。学生運営委員によって看板やのれんも作られました。コンサルティング事務所以外には、村人が集まるスナック、昔はにぎわったという土産物店など。
村人が、他の村人に会いにいっていると留守になる事もあります。
東京の芸術大学からUターンしてきた女性により「もみじの芸術祭」(初期設定にはない)が企画される。芸術祭は、国内外の有名アーティストが参加、いろは隊と呼ばれるサポートスタッフである村人有志が芸術祭を盛り上げるというもの。
女性をサポートしている婦人会長は、最初に地域振興課長に相談するも断られたため、コンサルティング事務所を訪問して協力を要請。しかし色よい返事はもらえません。
通路(村内)でぶらぶらしているオリセンタイムス発行者の村議(右端)を取材する記者。
持続可能な地域開発という本がベストセラーになった大学教授という設定。ダム反対の立場で環境調査を行っているはずが…
なぜか地域振興課長とコンサルタントの疑惑を報じた「ユウヒ芸能」を手に持っています。見出しは「公共事業の亡霊、再び -町課長とコンサルの親密な関係-」といかにもなもの。記事中にも「親密な交際ぶりは村内でも評判になっており、「何かあるのでは」との噂も」と書かれているが具体的な記述はないが教授が「土建政治や行政の私物化で自然が破壊されてしまうのは情けない」と断定的なコメントを寄せているという巧妙なもの。教授という権威ある肩書き、持続可能な環境を語るという立ち位置に、ダム疑惑が掛け合わされたことで、引きずられるチームが続出…
村人が移動すると記者も一緒に移動。まるで金魚のフン状態となってしまいます。携帯電話で動きをデスクに報告する記者も。
打ち合わせするデスクと記者。デスクによる村人の直接取材は禁止されているので、記者からの情報が頼り。時折取材で分かったことをデスクに伝えて方針を確認しますが、「何がなんだか分からない」「いったい何が起きているんだ」という声も。
現場の取材に没頭し、連絡を忘れたり、携帯がつながらなかったりする記者も。若手のデスクは自分のことを振り返りながら苦笑いしていました。中には、「ダム疑惑を掘るのではなく祭りや人を取材して」との指示を批判する記者まで。
控え室で相談するデスク。自分の班員からの情報が少ないと他班が気になるもの。独自方針で、と考えていても控え室の慌ただしい状況から焦りを感じ、記者に携帯電話で「あれはどうなっている?他班は知っているらしいぞ」「これを確認して」と注文を出すデスクも。残り30分を切ると控え室が殺伐とした雰囲気になっていました。
女性と婦人会長は地域振興課長に再アタック。「住民の声を聞いていない」という指摘を受けて課長が振興ワークショップの実施を決めたとのこと。11時40分ごろ。
同じ頃、スナックでは村人が雑談大会。
「ボトルを入れてくれないと話さない」「今日は気分が乗らないから閉店ね」などと学生記者を翻弄したスナックママが「みんなで話しているから出て行って」と記者の入出を拒否したことで、学生がスナック外に張り付きます。デスクの中には、締め切りぎりぎりにスナックに村人が入ったという報告に「何か談合しているに違いない。出てくるまでそこにいろ」と指示した人も出たようでした。
3時間の模擬取材が終了。取材時間も短いと感じたことから、昼食後に村人役の皆さんに協力をお願いして、再取材を受けてもらうことに。課長、婦人会長、女性、コンサル、教授らが約30分囲み取材を受けてくれました。
実は、村人役の皆さんからは「決め付けの取材がある」「話を聞いてくれない」「マナーが悪い」などの意見があり、デスクの皆さんには記者に注意するようにお願いしていましたが、再取材でもダム建設の反対派か賛成派かレッテルを貼ろうとしたり、嫌がる年齢を聞きだそうとした記者が退出を命じられました。
相手から話を聞き出すというのは、相手の気持ちを理解すること。自説の押し付けや「これはこうに違いない」という固定観念こそが記者の目を曇らせ、相手との距離や断絶を生んでしまいます。問われたのは記者やデスクの固定観念でした。そして目の前の事象に振り回され、他班の動きを気にする。模擬取材中に、何のために、誰のために書くのか、立ち止まって自問自答したデスクはいたのか、気になるところです。
プログラムはこの後、3日目の発表に向けて、取材で集めた情報から記事構成案を作る作業に入りました。
ここで紹介したもの起きていることの一部、私が切り取ったものに過ぎません。これ以外にもどこかで人が会い、何かが決まっていたかも知れません。たった10人、されど10人。たった10人と考え全容が分かるはずだと考えたチームは人の不思議さ、意思を忘れてしまっていたのかもしれません。この模擬取材の最大の特徴は、村人は自由に考え、行動するため、結論や正解はないということです。これは、事前に何度も説明したのですが、何らかの仕組まれたストーリーを暴こうと深みにはまるチームが出ました。
村人には簡単なキャラクターや出来事に対する意見といった初期設定がされており、事前に半日程度の打ち合わせを行いました。村の概要、初期設定をお渡しし、各村人は自分の意思に基づいて考え方を変え、行動してもよい事を伝えました。村人にはそれぞれに村への思いが設定されており自分自身の関心と重ね合わせて肉付けをしてもらいました。打ち合わせでは、グループに分かれてやることのアイデア出しが行われ、その後もメーリングリストで意見が交換されました。その情報は村人役全体ではなく、一部の人やグループに伝えられ、相談されたこともありました。そのためプログラムディレクターや概要を作った川上さん、さらには村人ですら何が起きるか分からず、結論が見えないものとなりました。
このプログラムの目的は冒頭に書いたように、取材の大変さ、面白さ、そして何より怖さを知ることでした。「何かがあるのではないか」と調べるのは面白さであるし、そこで人とであって新しい発見をし、何かを得てもらいたいと考えていましたが、事前の説明が悪く競争心を煽る部分が過剰になってバランスを欠いていました。ただ、それによって怖さが際立つことになりました。
あるデスクは「記者という立場は、こうも人から謙虚さを失わせてしまうのか」と振り返っていました。参加したデスクも学生も、マスメディアやジャーナリズムのあり方に疑問を持ち、意識が高い人たちでしたが、ひとたび環境が用意されると、ついやってしまう、その怖さを体験し、失敗し、自分にも関係があることを認めることから始まります。「分かっている」は分かっていないのです。
学生からは「メディアスクラムなど絶対にやらないと嫌悪していたことをやっている自分がいることに衝撃を受けた」「周囲がある方向に進んでいるときに、別の選択をすることがこれほどまでに難しいとは思いませんでした」などの振り返りが届いており、大事なことを感じ、捉えてくれたのだと嬉しくなりました。
もうひとつ、伝えたかったことは、記者が切り取ろうとしている「現象」や「ニュース」は、複雑な社会や人間が織り成す物語のひとつの断面に過ぎないということです。断面を切り取っていることを自覚し、多様な視点があることに注意を払うこと。実は何もないところから記者が勝手に意味を見出しているだけかもしれません。
ジャーナリストは真実を追究する、と言う人も時折見ますが、その真実とは何か、自分の考えや固定観念で見た断面に過ぎないのではないかと自分を一旦疑ってみる作業が必要ではないでしょうか。断面を切り取る怖さを踏まえ、それでも何かをつむぎだし、伝える。相手と向き合う以上に、自分と向き合う誠実さ、限界を知る謙虚さ、タフさが求められるのがジャーナリストであると私は考えています。そして、何のために、誰のために伝えるのか、問い続けていく。
プログラムは始めての取り組みであり、課題も多くありました。村人役、記者の学生、指導者からも意見を参考にしながら、さらに面白く、取材の怖さを学ぶことが出来るように改善していきます。協力いただいた村人役の皆さんには改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。
- 「駒東大学山口教授」が伝えたかったこと(H-Yamaguchi.net)
教授役の山口さんの振り返り。課長や地域が直面するジレンマ、ユウヒ芸能の位置付け、デスクや学生に望むことなどが書かれています。
- 「記者体験プログラム」遅めの振り返り〜「分かっている」と「できる」の差異(ニュース・ワーカー2)
デスクとして参加した美浦さんの振り返りです。
【関連エントリー】
- 記者体験プログラム2010『インタビューでノートが取れない』
- 記者体験プログラム2010『インタビューには頭を5分割して挑むこと』
- インタビューにおける「事実」と「解釈」を分ける難しさ(東京大学のi.school人間中心イノベーション・ワークショップ「新聞の未来をつくる」より。事実と解釈を分ける、それが出来ていないことを明らかにする訓練の紹介など)
- 良いインタビューのための3カ条(昨年のプログラムで行われた模擬インタビューから)
- 夏イベント「記者体験プログラム」の指導者紹介が始まりました(世代や業界や超えた多彩なメンバーを学生運営委員がインタビュー)
- 夏の記者体験プログラム説明会を開催しました(早稲田大で開かれた説明会の様子。指導者役のトークやスイッチオン修了生からのメッセージ)
2010-08-08
■[スイッチオンPJ]記者体験プログラム2010『インタビューでノートが取れない』
坪田さんの模擬インタビュー(参考:インタビューには頭を5分割して挑むこと)の後は、参加者が3人1組のグループとなり、事前課題を素材にして相互インタビューを行いました。
事前課題は「最近の自分に関するニュース」を説明する写真を1枚撮影して、タイトルと説明を添付のフォーマットに書き込んで印刷してくるというもの。
課題を素材に、取材相手を浮かび上がらせる記事構成案を作るのですが、相手に質問を投げかける前に、課題を見て「どうしてその写真を選んだのか」仮説を立て、質問案を作成します。
インタビューで良いコメントを引き出すためには、良い質問を投げかける必要があります。はい、や、いいえ、だけが返ってくるようでは会話が続かず終わってしまいます。いかに相手の話を聞く姿勢を見せ、話題を膨らませられる質問を投げかけることが出来るかが重要になります。
インタビュアーと受け手、観察者の3人1組でインタビューをスタート。観察者は、インタビューのよかったところ、悪かったところをフィードバックします。一通り終わるとノートに取ったメモからファクトを抜き出し、ポストイットに書き出します。それを、グループ化してタイトルをつけていきます。
この後、グループにタイトルをつけ、ストーリーにするというプログラムを予定していましたが、ファクトを書き出すのに苦戦する学生が続出。ファクトと解釈の区分けで悩んでいるのかと手元を見ると、ノートを取っている量が圧倒に少ないことに気づきました。
15分のインタビューで1ページ。2ページ以上が数人でした。書き込まれているのも、相手の印象や感想といった断片的なもの。インタビューは同時に複数のタスクをこなさなければならず、会話のテンポやスムーズなやり取りに気を取られるあまりに手元が動いていなかったのです。このまま進めても翌日の模擬取材でノートが取れないと判断し、川上さんのプログラムをストップ、観察者がノートを取る事に集中して、3人で1組の記事構成案を作ることに方針転換しました。
もちろん、ベテランになるとメモ数行でも書くことが出来るという人がいると思いますが、私は出来る限りノートを取るタイプです。これは人により違いがあると思います。なるべくその人の言葉を大事にするためと、メモ数行では自分の解釈やフレームで思い込みで書いてしまう可能性があるからです。インタビュアーが聞きたいこと、言わせたいことが聞ければ終わり、ではありません。相互作用のなかで生き物のように変化していくのがインタビューの面白さであり、難しさです(逆に言うと決め付けのインタビューは簡単)。
スイッチオンでは書くプロセスを分解して、スキルを学んでもらう取り組みを行っています。ノートをしっかり取り、そこからファクトを書き出すことで、聞けていないこと、突込みが甘いところが浮かび上がります。
事前指導で川上さんから『人が理解されたいのは「事実」ではなくて「気持ち」であること。しかし気持ちだけでは記事は書けないので、気持ちを汲みながら事実を確認して欲しい」』とのアドバイスがありましたが、ノートからファクトに一度整理することによって、気持ち(相手側の解釈と言えるでしょう)とファクトの区分もできます。
例えばある班では、インタビュイーが社会起業について「多くの企業が関心を持っている」と話したことが、議論になっていました。これでは記事に書くには不確かすぎますが、相手が言ったというのはファクトです。それは相手の社会起業への気持ちを表しているとも言えるでしょう。この場合、「どこかに調査などはありますか」「例えばどんな企業ですか」と突っ込んだり、「多くの企業が関心を持ってほしいと思っていらっしゃるというお考えですか」などと聞き直します。
発言のすべてを取る必要はありませんが、名前や所属大学といった基礎的なこと、インタビュー相手の言葉で心に響くものは、押さえておくことで記事の中身がゆたかになります。
夜になり、学生には一枚の記事が配られました。全国紙である毎読新聞代々木県版で、見出しは「落ち武者伝説で町おこし -折船村青年部が創作舞踊披露へ-」。
青年部が、村の伝説を町おこしにつなげようと取り組んでいるという内容で、村観光の現状や過去だけでなく、人口や中学校が廃校になったこと、復活したダム計画があることなどが書き込まれているものです。この記事を見ながらどのような取材を行うのか仮説を立ててもらいました。
夜8時、全国から指導者役となる記者らが到着。新聞社や通信社だけでなく、出版社、広報関係者など、業界を越えて、20代から60代まで幅広い年齢の指導者が22人が、学生と顔合わせを行いました。それぞれが一言抱負をコメントして、班に合流。記事を見ながら引き続き作戦会議です。早めに就寝するチーム、遅くまで記事から取材のきっかけを見つけようとするチーム、取材メモの取り方を再練習するチームなど、それぞれに工夫して翌日の模擬取材に備えました。
【関連エントリー】
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2010-08-07
■[スイッチオンPJ]記者体験プログラム2010『インタビューには頭を5分割して挑むこと』
スイッチオンプロジェクトの「記者体験プログラム」。1日目は恒例のアイスブレイク「他者紹介」からスタート。「モジュールライティング」を活用したワークショップの後、メディアデザイナー坪田知己さんによる模擬インタビューが行われました。
インタビューは、言葉を引き出しながら、ノートを取り、質問も考えるというマルチタスクが求められる難しいスキルです。坪田さんは、頭を5分割せよ(プログラム、質問、聞き取り、表情チェック、予定外への対処)と表現していました。
参加者には、坪田さんのインタビューを見ながら、話し手の面白い部分を引き出すために坪田さんはどんな工夫をしたか、を考えながら模擬を見てもらうことにしました。
坪田さんのインタビューは、15分という制限時間内でまとめるベテランの技でした。
冒頭、取材相手との共通の知人の話題から入り、気持ちをほぐして本論に。経歴や仕事でのこだわりなどを聞いていきます。時々「なぜ全国紙ではないのか?」といった聞きにくい質問や「こういう視点もあるのでは」と投げかけて、考えを引き出していきます。
「市民との近さ、温度感が大切(だから地方紙に入った)」「自分にとって面白い所とデスクにとって面白い所が違った。読者のことを考えたらこっちじゃないかと喧嘩することもある」「いまのマスメディアは隠蔽している。顔が見えるメディアを作りたい」という話が出て、「饅頭のあんこみたいに均一なものではなく、一人ひとりの個性がある粒あんの方がうまい。誰かの胸に突き刺さる」とまとめて終了しました。
学生からはポイントとして
- いきなり入らないで笑い話から入る。
- 基本的な事実関係を最初に聞いていた。
- こまめに短い文章で質問する。
- 話し手の立ち位置を浮かび上がらせるような質問をする。
- 話の中で全部を相手に委ねるのではなく、自分が知っていることも話す。自分の価値観を一緒にぶつけて聞く。
- メモをとりながらもうなずく。共感を伝える。
- 物の喩えをつかうことで効果的に聴くことができる。
- まとめながら言い換えていた。
との意見がありました。坪田さんからまとめとして「インタビューの要諦(3カ条)」の解説がありました。
温度管理
相手の気分を良くする。冒頭に楽しい話をして気分をリラックスさせ、話しやすい雰囲気を作る。笑顔で接する。
プログラム
事前に相手に関する資料を読んで、「ここを絶対聞きたい」というポイントを定め、その話を引き出すために、前段、中段、終盤の質問をプログラム化して聞いていく。狙いがはずれたときの2次、3次のテーマも用意しておく。
見出し
話しながら、「このインタビュー記事の見出しは何か」を考える。前半でそれを終え、見出しを思いついたら、その見出しの下で記事を書くための細部を徹底的に聞く。いろんなことを聞いて、終了後にメモを整理して記事を書くのは下手な人。
テンポはものすごく大事で、早いと相手が圧迫感を感じる。相手の反応を見ながら、早くしたり遅くしたり、メモをとりながら、相手の表情をチェックする。わざと反論して相手をあぶり出していく、ということでした。
1日目の進行を担当する川上さんからは「相手は皆さんの質問に答える義務はありません。ジャーナリストはなんとか話してもらう。相手に失礼なことをしないように」「人は理解されたい生き物。相手を理解しよう」「その際に注意するのは、理解してもらいたいのは「事実」ではなくて「気持ち」であること。しかし気持ちだけでは記事は書けないので、気持ちを汲みながら事実を確認して欲しい」とアドバイスがありました。この後、学生は事前課題を使った模擬インタビューに挑みました。
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2010-08-06
■[スイッチオンPJ]「記者体験プログラム」始まりました
スイッチオンプロジェクトの「記者体験プログラム」が始まりました。今日から3日間代々木オリンピック記念青少年センターで、参加学生、記者や研究者、広告関係者からなる指導者、運営スタッフ、合わせて100人が合宿します。
全国から集まった学生は、スイッチオンが開発した「他者紹介」や「モジュールライティング」を活用したワークショップ。2日目は、参加学生が記者となりオリンピックセンター(架空の村)に配置された村人(演者)に模擬取材を行います。
スイッチオンはジャーナリストも学生も、共に考え、共に学ぶ「場」です。新聞社や通信社だけでなく、出版社、広報関係者など、業界を越えて、20代から60代まで幅広い年齢の指導者が、多角的な視点、考え方を学ぶ環境をつくっています。
学生と指導者、運営が一緒につくる3日間、どんなことが起きるのか楽しみです。
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