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2008-10-20

[]「明日の広告」に書いていないこと

話題の本「明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法」をようやく読みました。著者は電通のクリエイティブ・ディレクターの佐藤尚之氏。

明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法 (アスキー新書 045)

書いてあることは納得。でも今さら言われて「そうか!」と思う人が多いなら、広告業界は何をやっていたの?と思わなくもありませんが、買っておいて損はなし。なにしろ分かりやすい。

「広告はラブレター」という言葉は、広告だけでなく文章を書く人、写真を撮る人といった表現者にとっても同じく重要なこと。誰かに何かを伝える作業は、相手を思いやる、配慮することだと思っています。

佐藤氏は「ホスト(相手を観察し、サービスできる人)ができない人は、消費者とコミュニケーションする業界には向いていない」と言います。ホストというと無理している感じがするのでなんとなく嫌だけれど… 相手の行動を分析して相手の身になって考えるというのは、振り返ってみれば徳島新聞時代に行った若者向け紙面改革でやったことです(参考・徳島新聞で試みた「若者のコミュニケーションの中心」目指す紙面改革)。

これは今の自分を支えている貴重な経験でした。

ラブレターは受け取ってくれていても、読まれずそのまま捨てられているかもしれない。でも、ラブレターを出した側は読んだと思う。新聞のようなプッシュ型メディアはそんな「勘違い」をしがちです。紙面改革時にはそこを徹底的に洗い出しました。

この本を読んでラブレターが効かないことがようやく分かったとしたら、それは自分に都合よく事態を考えている痛い人かも(そういう人いませんでした?)。

また、この本で何度も触れられているコミュニケーション・デザインも、広告だけでなく表現者にとって大切です。マス四媒体だけではなく、インターネットが登場したおかげで選択肢が増えました。この本で紹介されているスラムダンク一億冊感謝キャンペーンのように、紙(新聞)とウェブ、リアルイベントを組み合わせるなど、これまでになかったクリエイティブが可能になります。

だから佐藤氏が言うようにクリエイティブは死なない。湯川さんの新刊「次世代マーケティングプラットフォーム 広告とマスメディアの地位を奪うもの」には「クリエイティブの重要性は低下する」と書かれているけれど、ツールが増えれば増えるほど、誰に、どんなメッセージを伝えるか、メディアを設計する必要があるからです(湯川さんの本はテクノロジーの潮流を知るにはとても良い。ツールが理解出来なければクリエイティブは出来ない)。

湯川さんの言うクリエイティブは、テレビの枠を買って広告をドバーっと流したら、ドバーっと売れますよ、というマスマーケティング手法なのかもしれませんが、もしそれをクリエイティブと言われてるなら広告業界は恥ずかしいと思わなければ… 

それは実はジャーナリズムも同じ。ジャーナリズムは死なないし、明日は楽しい。だけれどこれまでマスメディアで通用してきたジャーナリズムは通用しなくなるということです。

楽しい明日から何が失われるかというとマスメディアの収益でしょう。独占していたパイは縮小、「選ぶ側」から「選ばれる側」になり、競争は激しくなります。実際、今年に入って地方紙の現場からは「東京からの広告出向が大きく減っている」との声を良く聞くようになりました。クリエイター、表現者にとって楽しい明日は、マスメディアにとって楽しいとは限らないのです…