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2011-02-17

[]ジャーナリストなら最低限理解してほしい検索エンジンのこと

日本ジャーナリスト教育センター(Japan Center of Education for Journalist)では17日から設立を記念した3日連続の講座を行っています。

第1弾はネットでの情報探索に欠かせない存在となったGoogleやYahoo!といった検索エンジンについて、アカデミック・リソース・ガイド(ARG)株式会社 代表取締役/プロデューサーの岡本真さんに「検索エンジンを知らずにジャーナリストは出来ない」と題して講演してもらいました。

参加者は約50人。ジャーナリズムやメディアを学ぶ大学生・院生が3分の1、広告、出版、新聞、ネットなど幅広い業界から参加がありました。

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岡本さんは自己紹介の後「検索エンジンを使ってレポート書いてはいけないとう大学教員は若い人も含めて多いが、結構分かることがある。ダメならなぜだめなのか説明できないとダメではないか」と会場に投げかけました。

岡本さんは、ネットの学術利用を紹介する無料メールマガジン「アカデミック・リソース・ガイド」を1998年から続けていて、その記事はコストの問題もありネットで調べて書いているという自身の事例を紹介。検索エンジンを活用することで読者に価値がある情報が提供できるという実例を出した後で、クローリング、インデキシング、ランキングといった検索エンジンの仕組みを説明しました。

「グーグルのページランクは、論文がたくさんの人に引用されるのと同じ。そして引用にも差がある。より専門家が引用していると重要と判断される」というランキング(表示順)のロジック。「ウェブサイトがどれだけあるか誰にも分からない。どこにもリンクされていないサイトも大量にある。検索エンジンはあくまでウェブの一部分をカバーしているに過ぎない」「検索エンジンはそもそもウェブにないものは収集できない」というのは言われてみるとそうなのですが、案外忘れて検索エンジンの結果を見て判断してしまっていることに気付かされます。

人々のナレッジは、オンラインとオフラインに分かれており、オフラインの記録と記憶をデジタル化しようとしているのが、立ち上げに関わったYahoo!知恵袋(知恵袋はある意味取るに足りない、どうでもいい情報をウェブに載せるために作っている、というコメントが印象的でした)や最近ではツイッターなどが当てはまり、ウェブ上の情報がどんどん増えているものの、それでも多くのオフラインの記録と記憶のデジタル化はまだまだ進んでいません。

ウェブ情報がダメと感情的に否定するのではなく、検索エンジンで出てくるのは人々のナレッジのごく一部に過ぎないこと、表示も含めて特徴や限界があるという条件が分かった上でダメ出しをということではないかと理解しました。

岡本さんは、そこからもう一段深く信頼性の問題に踏み込みました。

「私が今日話したことは本当か、藤代さんと口裏合わせていたらどうします?さっきそこでスカウトされただけかもしれない」と参加者を揺さぶります。信頼性への取り組みは研究者らも進めているものの、「何を真実とするかは、人間の主観」と提示します。信頼性というのは既存マスメディアからも良く出る意見ですが、百科事典や有力な学説も後から振り返れば間違っていることもあり、信頼性が担保できる信じ込んでいるなら危険かもしれません。

ジャーナリストであれば、検索エンジンの仕組みを理解した上で、データの範囲で限界はあるけれど、人の知識や関心も限界があり、そもそも信頼性とは何か、確かな事とは何か、という話も考えた上で情報を扱う、という大事な投げかけをしてもらいました。

質疑では私も加わり、安全保障やビジネスモデル(投資額、コスト)などについてディスカッションしました。ジャーナリストはネットやウェブを心情的に嫌う人もいますが、検索エンジンの仕組みを理解し、技術やビジネスの競争を理解した上で書いているのか、検索エンジンが寡占状態になると表現の自由はどうなるのかということも参加者も含めて議論になりました。

講座の模様は @ki_chiro さんによってTogetterにまとめられています。岡本さんが講演に使ったパワーポイントはslideshareに公開されています。

18日(金曜)は「ユーザーに刺さる杭を打つ」ネット時代のメディア経営とのタイトルでアイティメディア株式会社の藤村厚夫さんを招き、新たなネットメディアを立ち上げるとしたらどのようなものになるかを考えます。

まだ参加可能ですが、議論を深めるために事前課題:アイティメディアの平成23年3月期 第2四半期決算説明資料(PDF)を読み、ネットにおけるメディア経営の特徴をつかんでおく、に取り組んでおいてください。

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