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2011-11-25

「いまどき」ネット敵視では、新聞社に優秀な人材が来ないのは仕方がない

大学のゲスト講義に招かれ「ソーシャルメディアとジャーナリズム」という話をしました。

記者志望の学生もいるとのことで、内容はソーシャルメディアの登場によって、マスメディア以外の情報発信ができること、ジャーナリストを目指すならソーシャルメディアは尖閣諸島ビデオのように現場にもなること、取材ツールとして活用できること、誰もが情報発信できるようになりプロとして活動していくには取材力、書く力、技術を学び続けなければいけないといったものでした。

何人もの学生が質問をしてくれましたが、その中でひとつ気になるものがありました。

新聞社にインターンシップに行ったが、幹部がネットを敵視する発現をしているの聞いて「新聞社は違うと思った」ということでした。一番最初に手を挙げ、熱心に質問してくれ、他の学生が質問してから最後にもうひとつ、といって出たものでした。

一方、新聞社の採用担当者からは「新聞社に優秀な学生が来なくなった」という嘆きの声を直接聞くことがありますし、学生を紹介してほしいと言われたこともあります。しかしながら、インターンシップの学生にこのような態度では、希望者が少なくなるのも仕方ありません。

記者をするにあたって、好奇心や多様性を認めることはとても大切な要素です。社会問題への関心も重要ですが、なにせ扱うのはニュースです。社会の動きをいち早くとらえ伝える。新しいことにチャレンジしている学生は、「いまどき」ソーシャルメディアを使いこなして、イベントを開催したり、社会的な活動に取り組んだり、しています。ネットに否定的な姿勢を見て、不安を持つのも不思議ではないでしょう。

もちろん、新聞社内にも色々な人がいますし、若手に限らずソーシャルメディアをバリバリ使っている人もいます。一部の声をもって「新聞社は違う」と決め付けるのは問題があるかもしれませんが、インターンシップは学生が企業を見る場でもあります。ネットを当たり前に使っている学生にとって、それを否定する幹部がいる会社がどう映るかです。複数だろうが、一人だろうが、「いまどきネットを否定するような幹部がいる企業」はやめておこう、という判断をしたとして、責められることではありません。むしろ、そのような幹部がいる企業に入ることがリスクだという判断もありえるでしょう。

物事は確かに多面的です。「多面的に見えない人間はジャーナリストとして資格なし」「そんな人は新聞社には必要ない。来なくて結構」そんなことを言う人もいそうです。しかしもはや新聞社はそんなことを言える状況ではありません。

リクルートが調査している「就職ブランド調査」(文系男子)を見てみると、1966年には朝日新聞が5位、毎日新聞が18位に入っています。1976年には朝日新聞は2位です。80年代に入り順位が下がり、90年代になると20位以内から姿を消します。いまは公表をやめてしまっていますので、最新の2009年版(総合)だと、朝日新聞は78位となっています。ちなみに上位はJR東海JR東日本全日空、みずほ、三菱UFJ信託といったところ。マスメディア系ではNHKが16位、講談社が31位、フジテレビが67位、博報堂が23位、電通が25位です。

さまざまな企業が優秀な学生を採用しようと努力しています。新聞社のブランド力は下がっていますが、それでも記者という仕事に興味を持っくれる学生すら、自ら遠ざけているのです。

タイトルで「仕方ない」と書きましたが、地方紙で約10年仕事をして、育ててもらったという気持ちを持っています。いまでも多くの新聞関係者と付き合いがあり、講演に行くこともあります。夏には地方紙有志と組んでトレーニングキャンプも開きました。

新聞記者とは「新しきを聞き記す者」です。そこには「紙」という言葉はありません。伝えたいことがあるならば、媒体を選ばず、必死になって模索していく、そこに人は心を揺さぶられるのではないでしょうか。マスゴミと呼ばれることもありますが、やりがいのある仕事です。好奇心が溢れ、問題意識のある学生に記者を志してほしい。新聞社の幹部は、紙の存在価値を確認するためにネットを批判している場合ではないのです。

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