gayuu_fujinaの愚草記 (別館→本館)

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宇宙望遠鏡ケプラー、制御不能…運用断念も : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

【ワシントン=中島達雄】米航空宇宙局(NASA)は15日、宇宙望遠鏡ケプラーが制御不能になっていることを明らかにした。
このまま復旧しなければ、運用を断念することになる。
今月初めから、姿勢制御装置の一部がうまく作動しなくなった。2016年ごろまで観測を続ける計画だったが、太陽電池パネルを太陽の方角に固定できなくなっている。
ケプラーは太陽系外の地球型惑星を探すため、09年3月に米フロリダ州から打ち上げられた。順調に観測を続け、先月、生物が住むのに適した惑星を3個発見して話題になったばかり。
現在は地球から6400万キロ・メートル離れた場所にあり、地球と月の距離(38万4000キロ・メートル)の約167倍。宇宙飛行士が修理に行くのは不可能だという。
(2013年5月16日12時02分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20130516-OYT1T00481.htm

「制御不能」というのは、誤報スレスレな表現。
実際にはリアクションホイールの1基が故障しただけであり、たった1基のリアクションホイールで地球へ帰還した「はやぶさ」の例を挙げるまでもなく、姿勢制御は「不可能ではない」という状態。
少なくとも、日本語でこの状態を「制御不能」と表現したら、間違いとしか言いようが無いだろう。
では、何が問題かと言うと、「高精度な姿勢制御には」最低3基のリアクションホイールが必要で、1基は昨年7月に故障した為、今回2基目が故障した事により、必要な精度や応答性が実現できない、という話。
ほとんど同じような表現で書いてるロイターの記事をベタで日本語翻訳しただけなのかね。読売のニュース作りは。
…つくづく、新聞記者はお気楽な仕事ですなぁ…裏を取る気なら、NASAのサイトに情報はUPされているというのに。(英語だけど)
閑話休題
ハッブル宇宙望遠鏡のように宇宙飛行士によるメンテナンスが不可能な場所に飛ばす宇宙望遠鏡なのに、リアクションホイールを必要最低限(予備1個)しか積んでないというのは、よっぽど予算がカツカツだったのか…。*1
この辺りが「お手本とすべき良いニュース記事」かな
参考:CNN.co.jp : ケプラー宇宙望遠鏡が故障、太陽系外惑星探査に暗雲

*1:ハッブル宇宙望遠鏡は、姿勢制御モジュールが6つ搭載されていたらしい