平成16年(わ)第726号の第六回公判の傍聴の続き。



1人目の証人に対する検察の尋問から。


京都府警察本部生活安全部生活安全企画課ハイテク犯罪対策室所属である。
階級は巡査部長で、平成15年4月の拝命からハイテク犯罪対策室に属している。
拝命前は、警察庁の技官として近畿管区警察局兵庫県通信部、京都府通信部で、ハイテク犯罪に関する事件や刑事事件でPCに関する操作を主に担当していた。
不正アクセスを2件、わいせつDVD販売を1件扱ったことがある。
検証調書を作成したことがあり、不正アクセスで検証調書を3件作成している。
本件被告人の捜査に関与し、正犯2名の捜査にも関与している。


愛媛県の正犯宅にて(ググってみたけど個人名を出している報道が見つからなかったので個人名は伏せで)

平成15年11月27日、Winnyを使って正犯宅とハイテク犯罪対策室との間で送信実験を行った。
同行した警部補が令状提示と連絡役、巡査が写真撮影を行い、私がPC操作を担当した。
正犯のPCにはWinnyが入っていた。
正犯のPCからハイテク犯罪対策室へ送信実験を行い、送信できた。
送信実験に用いたファイルは、予め作成していたものと現場で作成したものであった。
予め作成していたファイルはキーロストとなり、送信できなかった。
キーロストとは、回線が切断されることである。
なぜそうなったのかは分からない
現場で作成したファイルは、予め用意しておいたファイルよりもファイル容量を小さくしたファイルである。
送信は最終的にはできた。
検証した経過と結果は、検証調書甲33号証である。


Winny Tips管理人宅にて

平成15年5月10日、Winny Tipsのサイト開設者宅にてPCの検証を行った(もちろん検察側は個人名を出して質問)。
同行した警部補が令状提示と連絡調整役、巡査が写真撮影を行い、自分がPC操作を担当した。
Winnyのやり方や解説が記載されていたTipsページの作成に使われたPCの解析、分析を行った。
PC内にWinnyがあり、起動した状態だった。
PC内には、操作方法の解説や47氏語録があった。
PC内のWinnyが送信可能状態であることを確認した。
検証調書は甲148号証である。
警察官の個人名は伏せるように求めたのに、逮捕もしてない(?)Tipsの管理人の個人名を公判で出すとはこれ如何に。
検察側の言う個人名を伏せるとは、どの程度関与していない人からを指すのでしょうか。


続いて弁護側の反対尋問。

著作権法違反に関する捜査は正犯が初めてである。
正犯2人のうち、愛媛の方だけに直接関わった。
幇助に関わったのは本件が初めてである。
違法コピーに関する事件を扱ったことはない。
わいせつDVDの件ではDVDのコピーが行われていた。
DVDのコピーに必要な機材やソフトウェアについては、メーカなどは分からない。
PCとPCをLANケーブルを使ってLAN接続できるかどうかについては、やってみないとわからない。
行える行えないについては詳しく言ってもらわないと分からない
WindowsXP同士で互いに認識できるようにできるか と尋ねられると、どのレベルでの認識か言ってもらわないと分からない と答えた。
弁護側は できないということでいいですね という理解を示した。
Winnyは仕事以外で使用したことはない。
インターネットからWinnyを入手したのは、被告人が開設したサイトからだったと思う。
Winnyのインストールは自分でダブルクリックをして行った。
Winnyの使用法は自分でネット上サイトを見て習得した。
参考にしたサイト名は分からない。
Winnyの使用法を警察以外の人から説明を受けるなどはしていない。
本は参考にしていない。
2PC間のLAN接続については、わたしもできると思うがやってみないと分からないと答えるでしょう。
どのような状態のPC同士をどのような状態にすればよいのかを明示しないと明確な回答はできません。
弁護側の質問が曖昧すぎて分からないため、曖昧な返答しかできなくなってしまいます。
つまり、この証人はLAN接続について正確な知識を持っている可能性が高いと言えます。
尋問した弁護士が、自分の想定する状況を説明することなく、できないという理解を示したことで、わたしの中での株を大きく下げることになってしまいましたよ。

甲33号証について(愛媛の正犯宅での検証調書)

同行した2人と共に捜査した。
PCに関する知識を一番持っているのは、分野によるため分からない。
ネットワークに関する分野についての知識は自分が最も持っていると思う。
捜査に着手した時点でWinny2が起動していた。
Winnyが起動した状態のまま捜査を行った。
なぜ起動させたまま捜査を行ったかについては分からない。
操作手順は事前に打ち合わせをした。
(打ち合わせの中で?)Winnyの終了の確認手順があったかどうかは覚えていない。
着手時にHDDのバックアップはしていない
着手時から捜査終了までの間にHDD内ではシステムファイルのタイムスタンプ等が変化しているだろうと思う。
それ以外のファイルの変化は分からない。
正犯のPCは自作機で、PCショップで作られた。
正犯が組み立てたか、店で組み立てたかについては、本人が店で組み立てたと言っていたが、その店名は忘れた。
正犯のPCにインストールされていたWinny以外のソフトは忘れた。
正犯のPCの接続環境でルータを使用していたかどうかは、ルータモデムを使用していた。
調書にモデムとだけ書いてあるのは、モデム内にルータが内蔵されているからである。
モデムのメーカや型番は覚えていない。
正犯のPCのTCP/IPの設定は覚えていない。
写真番号29

IPアドレス
192.168.116.2
192.168.116.17
DHCPが動作していた。
写真番号30

グローバルIPアドレス
222.1.242.*(222.1.242.0/24はDIONに割り当てられている模様)
インターネット接続の詳細は確認したか と尋ねられると、詳細とは何か と尋ね返した。
インターネット接続の設定の詳細という項目は確認したかどうか覚えていない。
ファイヤーウォールやウィルス対策ソフトがインストールされていたかは覚えていない。
ウィルス対策ソフトの設定は覚えていない。
Winny以外のリモートアクセスソフトがインストールされていたかどうかは覚えていない。
CD-Rなどのライティングソフトが入っていたかどうかは覚えていない。
データ圧縮のソフトが入っていたかどうかは覚えていない。
著作権侵害なのにCD-Rなどのライティングソフトを確認したかどうかは覚えていない。
ライティングソフトに関する記述は調書にないのはなぜか と尋ねられると、検証では確認していない と答えた。
バックアップを取っていなければ捜査という名の荒らしですね。
インターネット接続の詳細って言われても、何が詳細にあたるのかを具体的に言わないと分からないでしょうに。
検証のときに確認せずにいつ確認するというのでしょうか。


GBAのROMデータについて

ROMデータの吸い出しの機器については調書には記載なし。
マニュアル等についても記載なし。
エミュレータ保有しているかは検証では確認していない。
エミュレータのマニュアルの保有については分からない。


Winnyの接続開始時刻の確認はした。
甲33号証のどこに書いてあるのか と甲33号証を見せられると、書いていないとした。
接続実験前にHDDのバックアップはしていない。
対象PCのウィルスチェックはしていない。


(?月?日と?日の間に)PCがどう変わったかわからない。
HDD内のデータがフォーマットされていたかどうかはわからない。
写真番号42 を見せられて、OSが再インストールされていると聞いていた。


京都府警側はルータが有り、回線は光である。
ルータは他PCとも繋がっている。
ファイヤーウォールの設定はしていない。
PCの設定は分からない。
ファイヤーウォールにもいろいろある。
ルータはポートを閉じていた。


送信実験時にcacheフォルダ名を変更した。
フォルダ名を変更したときに正常に動くかどうかの確認は自分はしていない。
正常に動くことを誰が確認したのか分からない。
捜査手法は誰が考えたのか分からない。
打ち合わせをしたが、誰が発案したのか分からない。
群馬ではcacheフォルダ名を変更していなかったが、愛媛ではcacheフォルダ名を変更した理由は分からない。
cacheフォルダ内のファイルが送信されるといけないと思ったので変更した。
キーロストとは回線が切断されることである。
キーロストはWinny内の用語である。
弁護側に回線が切断された理由ではないのかと言われると、回線が切断されることだと認識していたが理由かもしれない と言い改めた。
写真番号58 2MBのファイル
写真番号59 2MBのファイル送信中に切断された様子
写真番号60 500KBのファイル
500KBのファイルは送信できた。
GBAのデータ量は分からない。
捜査資料によると解凍前で800MBを超えていた。
時間的な問題で大きなファイルは送信しなかった。
キーロストの理由は分からない。
1回だけでなく2回やってどちらもキーロストとなった。
京都府警から愛媛への送信はしていない。
途中、話の流れの繋がりが分からないところがありますが、間に聞き漏らしがあったのでしょうか。
それとも単にわたしのメモの仕方が悪いだけでしょうか。

甲148号証について(Winny Tips管理人宅での検証調書)

3人の中で誰がPCの知識を一番持っているかについては、分野がいろいろあるので分からない。
インターネットの接続についてと言われても、いろいろあるので分からない。
著作権法違反幇助で捜査を行ったが誰の幇助かは分からない。
令状を見たが誰の幇助か分からない。
管理人が正犯か、やっぱり幇助かもしれない。
幇助だとしても正犯は分からない。
検証しろとの指示を受けただけであり、自分には正犯等は分からない。
目的は被疑事実の検証のためであった。
被告人との関係については被疑事実は分からない。
幇助行為の内容も全く分からない。
何を検証しに行ったかは、Tipsページの開設者のPCの検証を行いに行った。
HPの公開が幇助としているが、このHPからWinnyがダウンロードできたかどうかは分からない。
管理人は逮捕していない。
逮捕状の持参は覚えていないし、逮捕状が出ていたかどうかも分からない。
管理人はこの日には逮捕していないのは間違いない。
被告人との関係は私には分からない。
このとき被告人の身柄が確保されていたかどうかは、現場にいたので分からない。
被告人とTipsページとの関係については私は調べていない。
写真番号20

Winny Tipsへアクセスした人の記録が残っている。
アクセス記録の証拠化のために残したのか分からない。
メールの送受信の記録の検証は(証人がゴニョゴニョと発言したため聞き取れない)。
メールの送受信の記録はあった。
メールの送受信のバックアップがあるかどうかは分からない。
メールのバックアップは自分では取っていない。
バックアップがあるか分からないというのは、警察の方にメールの送受信データがあるかもしれないためである。


Winnyの送受信実験はそのPCのWinnyが送信可能状態であるか確認するためのものであった。
フォルダ名変更の理由は、事前に打ち合わせをしたが覚えていない。
Winnyでの送信実験で、キーロストは無かったと思う。
送信したファイルの大きさは覚えていない。
写真番号(15x?)

(写真を見せられて、)送信したファイルは約1MBのファイルの大きさである。
3MBのファイルの送信ができるかどうかは、検証では分からない。
ファイルの大きさを変えて実験しなかった理由は分からない。
群馬でキーロストが問題となったのは聞いていたかどうかは分からない。
キーロストの理由は分からないし、検討もしていない
キーロストというエラーは捜査会議などで取り上げられないものなのでしょうか。
送受信実験において頻繁に出るようならば理由を究明しようとするのが普通だと思うのですが。
ググってみてもそれらしい理由がすぐに見つかりませんね。
単一ノード相手にキーロストとなる理由は、タイムアウトのエラーが別にあるようなので、わたしにも推測できません。
誰かここのあたりを詳しく解説してくれないでしょうか。

甲34号証について(後に出てくる京都府警での受信の見分調書)

平成15年11月27日の送受信実験について、府警側のPCの設定は自分はしていない。
府警側のルータの設定はした。
(図を見ながら)甲34号証のネットワーク構成図は自分が作成した。
2台のPCが繋がったままの図である。
(図をよく見てみると)検証の時の図かどうかは分からない。
似たような図を作ったことがあり、(似た図と混同していたため)この図は自分が作成したものではない。
ルータのファイヤーウォールの設定は、常時はステートフルインスペクションとなっていて、この時だけポートを開放した。
同日に被告人宅に捜査班が行ったのは知っている。
(愛媛、群馬用のPCの他に被告人宅用にもう1台の)計3台のPC用意していたかどうかは分からない。


Winnyの使用法は動かし出してからWinnyを捜査する人から教わった。
それは自分からは上司にあたる人であり、Winnyについての知識がある人である。
その人がWinnyをどのくらいの期間使用していたのかは分からない。
その人はマニュアル等を見ずに、口頭で私に教えた。


京都府警側のルータの設定について

設定画面を開いてから、マニュアルを見ながら設定をした。
ステートフルインスペクションとはパケットフィルタリングの上位的なものである。
グローバルIPアドレス−ローカルIPアドレスの変換設定をした。
どのような手順で設定したかについては覚えていない。


自分はハイテク犯罪対策室の特定の班には属していないため、検証の度に指示する人が変わる。
愛媛の正犯宅での検証時は室長から指示を受けていた。
実験時に室長が京都府警にいたかどうかは分からない。
ハイテク犯罪対策室にいた本日2人目の証人と連絡を取っていた。
少なくとも現場には室長はいなかった。
現場ではハイテク犯罪対策室の人の指示に従った。
打ち合わせは複数人で行い、参加したのは室長、本日2人目の証人、自分、本日3人目の証人、(新しく名前が出てきた方)と他は分からない。
打ち合わせで積極的に発言していたのは誰であるか分からない。
室長やその上司の警部補の具体的な指示に従った。
キーロストとなったとき、時間的な余裕がないので(そのままの手法で続けずに)やめるように指示した人は分からない。
自分はハイテク犯罪対策室と連絡を取っていた。
最終的な判断は室長だと思うが、連絡を取っていた警部補から小さなファイルにしろという指示を聞いた。
放置していれば最終的にはダウンロードできると考えている。
ハイテク犯罪対策室の実験においてそのようになったことがあるためである。
(弁護側に説明されて)複数のノードからであればキーロストになっても放置しておけばダウンロードされるが、1つのノードからの場合は知らない。
送信可能かどうかを確認するための実験であった。
京都府警からの受信はしていないと思う。
京都府警から送信をしていない理由は分からない。
捜査会議では決まっていたことの指示を受けただけである。


京都府警のルータの設定について

平成15年の夏くらいに設定を変更し、実験の直前にも設定を変えた。
平成15年11月27日の直前、数日前にルータの設定を弄った。
変更したことを京都府警側に伝えたが、書面としては伝えていたかどうかは分からない。
京都府警側のルータの設定は自分の中では重要な問題だと考えている。
その時かどうかは分からないが、(設定の変更内容の)報告書があるかもしれない。
Winnyのダウンロードはインターネット上でWinnyを検索してダウンロードした。


群馬、愛媛の正犯宅でWinnyを起動させて午前7時から送信実験が始まった。
捜査会議は事前に行っていた。
11/25に検証許可状が出ているが、11/25より前に会議があったかどうかは分からない。
会議にはハイテク犯罪対策室のほぼ全員が出席していた。
その中で階級が一番高かったのは五条警察署長か記憶にない。
捜査員全員が全体像を分かるようになっていたと思うが、自分のことで精一杯だったので分からない。
ルータの設定の回数は覚えていないが、1、2回ではなく、複数回である。
ルータは基本的には自分が設定している。
弁護側から 従前の(ステートフルインスペクションなる)設定から変更したか と尋ねられると、(質問が)よく分からない と答えた。
弁護側から 初期設定から変更をしていったのか と尋ねられると、いつ何をしたか覚えていない と答えた。
複数人の弁護人からの尋問が続いたので、話がバラバラで分かりにくくなっています。
まとめ方も大雑把になってきているので、さらに分かりにくくなっているような気が。


長くなってきたので、続きは明日の欄に。