Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

事業承継パンフレットを読む−Q2

Q2 会社の規模にかかわらず株式は相続財産です。
〜しかし、遺言書もなく遺産分割協議も成立しない場合には、株式の1株1株を相続人全員が共有することになります。
〜このため、相続人間で意見が対立すると、最悪の場合には株主総会を開催することすらできず、会社の運営どころではなくなってしまいます。

 
⇒会社代表者死亡による登記申請の際、こう言う問題にぶつかります。
銀行も言って来るし、会社としては、早く代表者を変更したい。
しかし、保証債務のこともあり、株式を含めて、相続するかどうかについては検討中。
相続放棄の熟慮期間中のため、株式について承継手続はできないし、株式共有者としての権利行使もできない。
(まさにこう言う時こそ、「熟慮期間」の意味があります。)
この場合、この株式は定足数に算入されます。(葉玉匡美先生に、メールで質問したことがあります。)
 
従って、場合によっては、株主総会が開催できず、代表者の選定ができない場合が出てきます。
代表取締役を総会で選任することになっている場合や取締役の員数が不足してしまっている場合などです。
間違っても全株主出席の議事録を作って印鑑をもらったりしてはいけないと思っております。単純承認と見られる可能性があります。)
 
相続放棄の問題は別としても、相続手続未了の株式がある場合の総会の処理については、何度も苦しんだことがあります。
・共有株式の権利行使者の指定の問題(会社法106条)
  ⇒これも単純承認の可能性・・・。判例上、全員一致での議決権行使はokですが、それも単純承認の可能性ありと思われます。
・法定相続人の確定の問題(会社法133条、規則22条1項4号)
  ⇒株主側に抵抗がある場合があります。また、税理士さんが非常に簡便にやってしまっていることとのギャップがあります。(かつて、税理士さんを信用して処理した結果、前婚の子供を落として株式ほかの処理をして、大変な思いをしたことがあります。)
・株券がある場合の問題(会社法133条、規則22条2項1号)
 ⇒株券を有しておられる時は、法律上も相続証明を要求する根拠が弱いため、なかなか説得しにくい状況があります。
 
これらなどは、会社法民法の両方からの検討をすべき問題です。
「商業登記は不動産登記のような意味での「危険」は少ない」、と言うのは、むしろ「危険」な考え方だと思われます。
商業登記についても「前段業務」が非常に重要です。

 それも、「現在の株主構成が家族だけだから」とか「利害関係ある人が少ないから」、と言った、目の前の状況にとらわれすぎず、
多少の迎合はやむを得ないにしても、常に、この決議なり、手続なりが、有効に生ずるように、後日、決議取消などの原因が生じないようにするため、
必要と思われる書類は、登記と無関係にどんどん起案していくような姿勢が、今後、企業法務に関与していく司法書士には必要かと考えております。
(場合によっては、招集通知、総会委任状、総会や取締役会の招集期間短縮同意、名義書換請求書、株主名簿その他などなど・・)
 その辺が、(認定)行政書士との大きな差だと考えております。(結局は、実体法ですねえ・・)