Genmai雑記帳

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法定地上権・判例1-4:先順位解除後の後順位による実行

法定地上権・判例1:土地と建物が同一の所有に属すること - g-note(Genmai雑記帳)
平成18(受)1398 建物収去土地明渡請求事件
平成19年07月06日 最二小 判決
裁判要旨の要旨

 土地〜先順位の甲抵当権と後順位の乙抵当権が設定された後,甲抵当権が〜解除〜消滅し,その後,乙抵当権の実行により土地と地上建物の所有者を異にするに至った場合〜,土地と建物が,甲抵当権の設定時には同一の所有者に属していなかったとしても,乙抵当権の設定時に同一の所有者に属していたときは,法定地上権が成立する。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・判決原文
原審は、次のように判示した。

 土地に〜二つの抵当権が設定され,先順位〜設定当時は〜所有者が異なっていたが,後順位〜設定当時は同一人の所有に帰していた場合,抵当権の実行により先順位抵当権が消滅するときには,法定地上権の成立は認められないとするのが判例最高裁〜平成2年1月22日〜)であるところ,
 このことは,後順位〜設定後に先順位〜が解除された場合においても同様〜と解すべき〜。
 なぜなら,この場合に法定地上権の成立を認めると,法定地上権の負担のない土地としての担保余力を把握していた後順位抵当権者の利益を不当に害する結果となるからであり〜。
 〜建物所有者としても,もともと先順位〜を基準にすれば法定地上権の成立は認められなかったのであり,たまたま先順位〜が後に解除されたからといって,法定地上権成立の利益を認める必要性はない。

 しかし、最高裁は、この場合は、法定地上権が成立するとし、

 〜乙抵当権者の〜設定時における認識としては,仮に,甲抵当権が存続したままの状態で目的土地が競売されたとすれば,法定地上権は成立しない結果となる(前掲〜判決〜)ものと予測していたということはできる。

 しかし,抵当権は〜債権の弁済,〜解除等により消滅することもあることは抵当権の性質上当然のことであるから,乙抵当権者としては,そのことを予測した上,その場合における順位上昇の利益と法定地上権成立の不利益とを考慮して担保余力を把握すべきものであったというべきである。

 したがって,甲抵当権が消滅した後に行われる競売によって,法定地上権が成立することを認めても,乙抵当権者に不測の損害を与えるものとはいえない。

 〜そうすると〜「〜同一の所有者に属する」旨の要件〜の充足性を,甲抵当権の設定時にさかのぼって判断すべき理由はない
 〜競売前に消滅していた甲抵当権ではなく,競売により消滅する最先順位の抵当権である乙抵当権の設定時において同一所有者要件が充足していることを法定地上権の成立要件としている〜。

 原判決が引用する前掲〜判決は,競売により消滅する抵当権が複数存在する場合に,その中の最先順位の抵当権の設定時を基準として同一所有者要件の充足性を判断すべきことをいうものであり,競売前に消滅した抵当権〜同列に考えることはできない。

と判断しました。