Genmai雑記帳

・・・人にやさしく

最高裁:遺産分割と第二次納税義務

(2009-12-11分の改記分)
平成20(行ヒ)177 第二次納税義務告知処分取消請求事件
平成21年12月10日 最一小判
裁判要旨の抜き書き

1〜滞納者を含む共同相続人の間で成立した遺産分割協議は,滞納者〜に〜相続分に満たない財産を取得させ,他の相続人に〜超える財産を取得させるものであるときは,国税徴収法39条にいう第三者に利益を与える処分に当たり得る。
2〜詐害の意思のあることは〜39条所定の第二次納税義務の成立要件ではない。

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(抽出・加工あり。原文参照)

(1) Aは〜国税を滞納〜
(3) A,上告人〜亡Bの〜遺産〜分割〜
Aがその相続分〜を下回る〜取得〜上告人がその相続分〜を上回る〜取得〜。
(4) Aは〜滞納〜徴収を免れるとともに〜上告人に多くの財産を取得させることを意図〜。
(5)〜遺産分割協議は国税徴収法39条にいう第三者に利益を与える処分に当たり,上告人は〜利益を受けたとして〜第二次納税義務の納付告知〜。

〜遺産分割協議が,滞納者〜にその相続分に満たない財産を取得させ,他の相続人にその相続分を超える財産を取得させるものであるときは,国税徴収法39条にいう第三者に利益を与える処分に当たり得る〜。

〜詐害の意思のあることは同条所定の第二次納税義務の成立要件ではない〜。

国税徴収法

(無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務)
第三十九条 〜滞納処分を執行しても〜不足する〜場合に〜その不足すると認められることが〜法定納期限の一年前の日以後に、滞納者がその財産につき行つた政令で定める無償又は著しく低い額の対価による譲渡〜、債務の免除その他第三者に利益を与える処分に基因すると認められるときは、〜処分により権利を取得し、又は義務を免かれた者は〜処分により受けた利益が現に存する限度(〜親族その他の特殊関係者であるときは〜処分により受けた利益の限度)において〜第二次納税義務を負う。

税務判例ですが、短いのでupしました。

 遺産分割は身分法上の行為であるので、その結果、たとえ納税が不可能となっても、それが問題となるのは遺産分割自体が詐害的である場合・・・、などと言うのが一般的な理解ではないかと思ったのですが、そうではないようです。

 破産においては、遺産分割は、免責不許可の原因と成り得るようですが、相続放棄はokだったように思います。契約か、身分法上の行為かの違いでしょうが、このあたり、少しわかりにくい所です。
 また、相続分譲渡は、管財人が財団財産の処分として行うことがあり、登記においても、破産者の相続分がないことの証明は、管財人の証明で足りるとする先例があります。

 この判決によれば、少なくとも税務上は、滞納者に相続分ぐらいは取得させておかないといけません・・・、と言うことになるのでしょうか?
 滞納者が、相続放棄したら、どうなっていたのでしょうか?・・・