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最高裁:相続財産管理人選任と時効取得・無過失事例

昭和35(オ)348 土地所有権確認、土地所有権移転登記手続請求
昭和35年09月02日 最二小判
裁判要旨抜き書き

1 空襲により一家全滅した本家の再興のため、親族の協議により相続人に選ばれて本家の家業を継ぎ、相続財産〜土地を占有している22歳の女子につき、〜認定のような事実関係(原判決理由参照)があるときは〜所有権を取得した〜と信ずるにつき過失はない〜
2 民法第160条は、相続財産の管理人の選任前〜所有の意思をもつて、平穏、公然、善意無過失で10年間占有した場合にも〜適用がある〜

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面・・・・原文
(抽出・加工あり。原文参照)
原判決

〜160条は時効期間経過前6ヶ月前に相続財産管理人の選任された場合の規定であつて〜時効完成後管理人が選任された場合〜適用〜ない〜、右時効完成の時期は〜管理人の選任により異同を生じない〜

 しかし相続財産に関しては相続人が確定し又は管理人の選任せられた時より6ヶ月以内は時効の完成しない〜160条の明定するところ〜
〜相続人確定又は管理人選任なき限り相続財産に属する権利及び相続財産に対する権利については時効完成はあり得ない〜

〜それ故相続人確定又は管理人選任前たとえ〜10年間所有の意思を以つて〜占有したとしても〜取得時効が完成することはない〜
〜この点に関する原判決の解釈は誤り〜

〜けれども原判決は本件相続財産につき昭和31年12月〜相続財産管理人が選任されたことを認定〜、その後6ケ月内に時効中断の事由のあつたことは〜何ら主張立証していない〜

〜6ヶ月を経過した昭和32年6月〜取得時効完成したものと認むべき〜
原判決のこの点に関する違法は結局判決に影響を及ぼさない〜

民法
(相続財産に関する時効の停止)

第160条  相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

 無過失認定の部分については、「原審認定のような事実関係」においては無過失認定は相当、とだけあり、原審判決が見つかりませんので、詳しくはわかりませんが、「自己が相続人であると信じた」と言うことのようです。

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