Genmai雑記帳

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最高裁:主債務の時効完成、主債務者破産後の保証人の弁済

平成7(オ)1056 貸金請求事件
平成7年09月04日 最判(平成07年09月08日とするものあり。)
判決要旨抜き書き

 主債務の時効完成後に保証人が債務を弁済〜主債務者が破産していて〜求償できないことを知っていても、それだけでは、主債務の時効消滅にかかわらず債務を弁済する意思を表明したものとはいえず、保証人は、主債務の時効援用権を失わない。

id:gen-mai の H070908最高裁・H7(オ)1056.pdf
(抽出・加工あり。原文参照)

原判決には〜違法がある。即ち、
一 時効完成後の被上告人の債務弁済によっては主債務の時効利益の放棄にはならないと認定〜。
二 〜一方では、主債務の時効完成後に保証人が保証債務を履行した場合でも、主債務が時効により消滅するか否かにかかわりなく保証債務を履行するという趣旨に出たものであるときは〜主債務の時効利益の放棄に当たると解している。

〜この解釈は当然且つ妥当〜
原審は主債務者たる訴外K社〜が破産廃止後も営業をしておらず、資産はなく且つ無資力であり、この事実をK社の代表取締役の長男であり且つ同社の取締役である被上告人は充分知悉していたこと、従って、被上告人はK社が将来に亘って債務の弁済は不可能であり且つ被上告人が保証債務の弁済を継続してもK社に求償権を行使出来ないことを承知で弁済している事実を認定しながら、

−それでも被上告人がK社の主債務の時効消滅の認識がないからとの被上告人の主観を重視して時効利益の放棄を否定したことには重大な事実誤認〜法律の適用の誤りである。

三 主債務者であるK社が正常な状態で活動(即ち、破産且つ破産廃止などなく活動している時)している時には、保証人が主債務の時効消滅を認識しないで弁済している場合には保証人の利益を保護する必要があるので、時効利益の有無につき保証人の主観を重視すべきであることは納得できるが、
−K社が、破産、その後破産廃止をして何等活動をせず、無資力であり、且つこの事実を充分知悉してなお自らの求償権の行使が出来ないことを承知の上で主債務の時効完成後(昭和六二年七月五日の経過)平成元年一一月七日まで約二年強に亘って弁済してきた被上告人の場合には、自らの犠牲を覚悟で債権者に支払をしようとする意思の確たる表示〜主債務の時効消滅の認識と云う主観を重視して特に保護する必要がない。

 何故ならば、上告人に対し多大な費用の負担の上、破産廃止後何等活動していないK社に対する無効果な訴訟を強いることになり、又K社が無活動且つ無資力であり、同社より永久に債権の回収が出来ないため保証人たる被上告人の弁済に唯一期待している債権者の利益を不当に犠牲にすることになるからである。

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