Genmai雑記帳

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最高裁:遺留分減殺による移転登記請求訴訟における価額弁償意思表示

平成6(オ)1746 遺言無効確認等
平成9年02月25日 最三小判
裁判要旨抜き書き

 〜遺留分権利者が〜不動産の持分移転登記〜を求める訴訟において、受遺者が〜裁判所が定めた価額により1041条〜による価額〜弁償〜の意思表示をした場合〜裁判所は〜事実審口頭弁論終結時を算定の基準時として〜額を定めた上、受遺者が右の額を支払わなかったことを条件として、遺留分権利者の請求を認容すべき〜。

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(抽出・加工あり。原文参照)

上告人の求め〜単なる現物返還のみ〜
被上告人は〜単に価額弁償の意思表示をしたにとどまらず、裁判所が定めた価額により1041条〜に基づく価額弁償〜意思〜を表明〜、裁判所に〜弁償すべき価額の確定を求める旨の申立て〜、

〜原審〜これに応えて上告人の持分の移転登記請求を認めるに当たり、弁償すべき価額を定め、その支払を解除条件として判示〜むしろ当然〜
〜民訴法186条〈現246条?〉に違反〜〜ということはできない。
また、目的物の価額算定の基準時を事実審口頭弁論終結時より後にすることができないのは事理の当然〜。

〜減殺請求権を行使〜遺贈は遺留分を侵害する限度で失効〜受遺者が取得した権利は右の限度で当然に〜遺留分権利者に帰属〜
〜受遺者は〜目的物を返還すべき義務を負うものの〜1041条〜により減殺を受けるべき限度において遺贈の目的物の価額を弁償して返還の義務を免れることができる。

もっとも、受遺者は〜意思表示〜だけでは足りず、価額の弁償を現実に履行〜か、少なくとも〜履行の提供をしなければならない〜
弁償すべき価額の算定の基準時は原則として弁償がされる時と解すべき〜

〜受遺者が〜履行の提供をした場合〜いったん遺留分権利者に帰属した権利が再び受遺者に移転〜、遺留分権利者は〜弁償すべき価額〜の支払を求める権利を取得〜(昭和50年(オ)920同51年08月30日二小判〜、〜昭和53年財907同54年07月10日三小判〜)。

遺留分権利者が〜目的物の返還を求める訴訟において、受遺者が事実審口頭弁論終結前に弁償すべき価額による現実の履行or履行の提供をしなかったときは、受遺者は〜返還義務を免れることはできない

受遺者が、当該訴訟手続において、事実審口頭弁論終結前に、裁判所が定めた価額により1041条の〜価額の弁償をなすべき旨の意思表示をした場合〜、裁判所は〜事実審口頭弁論終結時を算定の基準時として弁償すべき額を定めた上、受遺者が右の額を支払わなかったことを条件として、遺留分権利者の目的物返還請求を認容すべき〜。

 けだし、受遺者が真に1041条所定の価額を現実に提供して遺留分権利者に帰属した目的物の返還を拒みたいと考えたとしても〜遺留分算定の基礎となる遺産の範囲、遺留分権利者に帰属した持分割合〜その価額の算定について〜確定するためには、裁判等の手続において厳密な検討を加えなくてはならないのが通常〜、価額弁償の意思を有する受遺者にとっては民法の定める権利を実現することは至難なこと〜、すべての場合に弁償すべき価額の履行の提供のない限り価額弁償の抗弁は成立しないとすることは、同法条の趣旨を没却〜〜

〜したがって〜受遺者が、単に価額弁償の意思表示〜にとどまらず、進んで、裁判所に対し〜弁償をなすべき額が判決によって確定されたときはこれを速やかに支払う意思がある旨を表明して〜額の確定を求める旨を申し立てたという本件のような場合〜、裁判所〜は、これを適式の抗弁として取り扱い、判決において〜弁償すべき額を定めた上、その支払と遺留分権利者の請求とを合理的に関連させ、当事者双方の利害の均衡を図るのが相当〜法の趣旨にも合致〜〜。

〜価額確定の申立ては〜確定額を支払うが、もし支払わなかったときは現物返還に応ずる趣旨〜と解され〜裁判所〜は、その趣旨に副った条件付判決をすべきもの〜