Hatena::ブログ(Diary)

博物士

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Wednesday, 2004/06/30

食後酒

Comida Brasilena  Comida Brasilenaを含むブックマーク

 海外在住日記

 スペインの大学は10月に始まります。12月下旬から1月上旬にかけてクリスマス休暇があり、1月で前期が終了。2月には前期試験があり、図書館が学生であふれます。3月に後期がはじまり、途中に1週間ずつ、ファジャス*1 と復活祭*2 とで休みがあり、6月に終了。そんなわけで、最近は大変です。試験に落ちた学生が、間断なく教官室を訪ねてきます。私が借りている研究室は、アンパロ助教授とヘマ助教授の部屋の片隅。最近は、周囲が騒がしくても自分の世界に入り込む術を身につけました(苦笑)。

 とにかく節目を迎えたのはめでたいということで、慰労会が開催されました。教職員ではないけれど学生でもないというコウモリみたいな立場の私ですが、声をかけていただいたので参加してきました。

 会場は、メスタージャ*3 近くのブラジル料理店。集合時刻は14時30分ですが、三々五々と集まってきます。乾杯の唱和という習慣はないので、先に席に着いた人からピーナッツをつまみに勝手に飲み始めます。およそ30分かけて全員が揃ったところを見計らって食事が出てくる。もちろん、学部長の挨拶などといった形式的なものも無し。これが西洋合理主義というものなのでしょうか。

 ちなみに、開始時刻が遅いのでは?と思われるかもしれませんが、これがスペインの標準的な昼食時間。勤務時間は、午前が09時から13時まで、午後は16時から20時まで。銀行や役所は午前中しか開いていないといった違いがありますが、それでも15時頃にたっぷりゆっくり昼食を摂ることに変わりはありません。

 さて、メニューです。野菜サラダ、ポン・デ・ケージョ*4、普通のソーセージ、血のソーセージ、炒めたタマネギを混ぜ込んだ白ご飯、牛肉さん、羊肉さん、鶏肉さん。そして焼パイン。

 なんかいつもの2箇月分に相当する肉を食べちゃいました。お肉は健康のために避けているだけで、嫌いなわけではないから、出されると食べてしまうのです……

 ――と思ったら、またお肉が出てきました。ドネルケバブが2種。先ほど果物が出てきたのでデザートだと思っていたのですが、あれはどうやら消化薬代わりにパインを食べて*5 もっとお肉を食べよう!という意図であったらしい。さすがに辛くなってきて減らしてもらいましたが、それでも通常比3箇月分のお肉さんを食べちゃったよ〜

 ようやく本当のデザートとしてケーキが登場し、エスプレッソ・コーヒーで口の中をさっぱりさせます。

 でも宴会は終わらない。かといって二次会という習慣は無いので、会場はそのままに、食後酒のグラスを手にして座席を移り、話し相手を変えます。飲み物はブラジルのカクテル、カイ・ピリーニャ。ビンガというサトウキビで造ったお酒がベース。グラスの底は砂糖を敷いてあり、刻んだライムも加えてあるので口当たりが良い。たっぷりと氷を入れた、夏の飲み物です。

http://www.kanshin.com/index.php3?mode=keyword&id=248451

http://www.president.co.jp/dan/20020800/04.html

 店を出たのは17時40分。5時間をかける昼食会というのは、日本ではまず無いでしょうねぇ(^^;)

 ちなみに私、ヘスス教授に 捕まり お招きいただき、お宅を訪問して 娘のアルバムを4冊見せられる ご令嬢の写真を拝謁するという光栄にあずかりました。

 スペイン人に限らず、ヨーロッパの人に食事へと誘われた時は覚悟していきましょう。飲み始めると、ものすご〜く長いです。白色人種はアルコールに強い、ということを実感すること間違いなし。夕食に招かれた時は、歯ブラシと着替えを持っていくくらいの覚悟をしておくのが賢明でしょう(事実、必要になったことがあります)。

 ちなみに、分かっていたのにうっかりしてしまった私、学校に鞄を置いてきちゃいました。家に戻ってくるのが22時を過ぎるとは思わなかったから……

*1:Fallas : サン・ホセの火祭り。3月19日の前5日間

*2:Pascua : パスクア。移動祝祭日。春分の最初の満月の後の日曜日の前1週間。

*3:Mestalla : バレンシアのサッカー競技場

*4:Pao de Queijo : チーズを練り込み、もちもちした食感に仕上げるパン

*5:パイナップルやパパイアには、タンパク質の消化を助ける植物性の酵素(プロメライン、パパイン)が含まれているのです。

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Tuesday, 2004/06/29

萌える法律読本

[] 萌える法律読本  萌える法律読本を含むブックマーク

 京都の某大学で図書館司書をしている知人からメールが届いた。用件は、次のURLを開けという簡潔なもの。

http://book.mycom.co.jp/user/moeru/

 で、この文書を開封して、5分後に届いたメール。

ご注文ありがとうございます、下記のご注文を承りました。

【予約】 萌える法律読本シリーズ 2点 + 予約特典・特製マグカップ

合計額:\4,200

 買っちゃった。あはは。

  1. ISBN:4839915563 「萌える法律読本 日々の生活篇」
  2. ISBN:4839915555 「萌える法律読本 ディジタル時代の法律篇」

 出版元は、「CPUの創りかた」ですっかりお馴染み、毎日コミュニケーションズ。著者は「萌え萌えうにっくす」で実績のある、プロジェクトタイムマシン。

CPUの創りかた  萌えるシリーズ 萌え萌えうにっくす! UNIXネットワーク管理ガイド ? PC UNIXネットワーク管理日々の疑問に萌えの一手 萌えるシリーズ コンピュータユーザのための著作権&法律ガイド

――などということは、判断に影響していない。ずばり《ディジタル時代の法律篇》の表紙買い。制服姿の少女が、膝(ひざ)に手を当てて軽く前傾姿。こ、これは入手しておかねばっ!(笑) 「コンピュータユーザのための著作権&法律ガイド」をリニューアルしたものらしいですが、実用性もありそうだし……

http://www.cbook24.com/pubinclude/mycom/mycom.asp

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Monday, 2004/06/28

[] 細雪 (1)  細雪 (1)を含むブックマーク

 「細雪(ささめゆき)」《上巻》読了(新潮文庫、全3巻、ISBN:4101005125)。

 知人に、是非読んでみるといいと勧められて借りてきたもの。気分がゆったりしている時に読んだ方がいいと助言されたことに甘え、もう二箇月近く放ったらかしにしてありました。週末、ピピッとくるものがあって、読み始めました。

 作者は谷崎潤一郎――名前は知っているけれど、何処でだったのか思い出せない〜。すると《下巻》の解説(著:磯田光一)に、説明がありました。「将来の妻をガキのうちから手塩にかける究極のたらしヤローの話」*1 こと『源氏物語』の現代訳を手がけた方でしたね。私は円地文子の訳を好んで読んでいたので、忘れておりました(^^;)

 本作を粗っぽくまとめると「群像絵巻」とでもいうべき体裁を取っています。この表現は読んでいるうちに頭の中に浮かんできたものなのですが、図らずも『源氏物語』を評して良く用いられる言葉です。《上巻》を読み終えてから解説を見たのですが、「この古典的な物語文学の世界(筆者注:源氏物語を指す)の世界を、雄大なスケールをもって現代に蘇生させようとしたのが『細雪』である」と書かれていて、なるほどと思いました。

 物語は、かつては大阪で知らぬ者のいない大店であった有産階級・蒔岡(まきおか)家の四姉妹をめぐって展開されます。

長女:鶴子 
37歳。本家の嫁。三男一女をもうけている。のんびり性。
次女:幸子 
分家の嫁。葦屋(芦屋)在住。だだっ児じみたところがあり、妹たちにたしなめられることもしばしば。
三女:雪子 
30歳。未婚。体つきが華奢で、肺病を患っているかのようにに見える。言葉数が少なく、なかなか気心が知れない。日本趣味。
四女:妙子 
25歳。陽気で朗らか。西洋趣味。器用で、人形製作に精を出している。思い人がいるが、雪子の縁談がまとまらないために、順番待ち。

――女ばかり四人の姉妹だと、役割分担は似てくるのでしょうか。御存知『若草物語』はもとより、Leaf痕−きずあと−』にも構成がそっくりなところがあります。そんなわけで私の脳内における蒔岡姉妹は、「柏木千鶴柏木梓柏木楓柏木初音」によって代替されております(笑)

 《上巻》では、なかなか良い相手が見つからない三女・雪子を中心に進んでいきます。大正時代に全盛を極めたものの、父の死の前後で家業は傾きはじめ、今ではすっかり昔日の面影を失っていながらも、格式や体裁にこだわる旧家の暮らしが描かれています。年譜を見ると、『源氏物語』の訳出を終えたのが昭和13年(1938年)で、本作『細雪』の執筆に取り掛かったのが昭和17年(1942年)。戦時中の言論統制によって連載の中断を余儀なくされ、世に出たのは昭和21年(1946年)から翌22年にかけてのことだそうです。

 舞台は、昭和10年代前半。執筆時には、当時の上流階級の生活を克明に記したものであったのでしょうが、半世紀を経た今日、なかなか想像するに難いところが多くあります。時代背景については、細江光氏による注解が充実しており、大変に参考になります。この脚注を見ているだけでも面白い。文化住宅*2、職業婦人*3、ラジオ蓄音機*4、円タク*5、白系露人*6、御真影*7ユーハイム*8、ライカ*9――などなど。自分が生まれ育った国でありながら、二ないし三世代も前のことは、下手をすると外国のことよりも分からないもの。

 風雅で、たおやかで、繊細な筆致で綴られた物語です。

http://kamakura.cool.ne.jp/chaccu/(イメージ画像の出典)

*1岡野史佳君の海へ行こう』108頁

*2:大正11年の平和記念東京博覧会の文化村に出品されてから流行し始めた、外観と応接間だけ洋風にした和洋折衷の住宅。以下、いずれも注解より引用。

*3:当時、良家の女性は家事・育児に専念するのが当然とされ、職業を持つのは、貧乏なためにやむを得ずする恥ずかしい事と考えられていた。

*4:ラジオ受信機と電気蓄音機を合体させたもの。

*5:市内均一、一円で走るタクシー。

*6:1917年のロシア革命後、ソビエト政権に抵抗した白衛軍を支持し、その敗北後、国外に亡命したロシア人のこと。

*7天皇皇后の公式肖像写真。

*8:第一次世界大戦の際、中国・青島で捕虜になったドイツ人カール・ユーハイムが、大正12年、神戸市三宮に開いたドイツ菓子店。日本で初めてバウムクーヘンを作り、人気を博した。

*9:携帯用小型カメラの商品名。この頃は、一台五百円(現在の通貨価値で100万円)もする非常な贅沢品だった。

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Saturday, 2004/06/26

はねむすやってます。

[] はねむす  はねむすを含むブックマーク

 ざちお「はねむす」読了――で、いいのかな? 正しくは、閲覧完了だけど。

 『まんが王倶楽部』の新刊案内で紹介されていたのをブックマークしておいたのですが、ようやく原典のウェブコミックの方を読む時間がとれました。

http://homepage2.nifty.com/kaeruz/

http://www.mangaoh.co.jp/topic/hanemusu.phpまんが王倶楽部

 羽根のはえた娘さん「るり」と、その周囲の人々のお話です。ふんわか、ほんわかした絵柄が秀逸。そのくせ、妙に生々しい男女の機微なんてものもあって、お子さま向けではない場面もちらほら(*^^*) まさに、大きなお友達のために描かれた物語(笑) 私見ですが、「るりちゃん14歳」を強く推奨。

 よし、単行本も買っちゃおう。

はねむす (ダイトコミックス)

書評:id:kaien:20040403#p1

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Thursday, 2004/06/24

Hatena::keyword  Hatena::keywordを含むブックマーク

 キーワード作成ガイドラインの改訂に向けた動きが見られるようになってきました。そこで、新ガイドラインに組み込んでいただきたい文面(の私案)を当所にしたためておきます。


 まず私の立ち位置を表明しておきますと、以前の区分でいう一般普通名詞の存在を快くは思っていません。理由は、後述する《有用性》という観点に合致しないからです。かといって、削除することもないと考えています。意味があるかどうかは知りませんが、価値がないわけではありませんので。

 そこで従来は普通名詞の自動リンクを解除し、必要に応じ手動でリンクを生じさせていました。ところがキーワードモデレーションシステムの稼働にあわせて区分が撤廃されたことにより、それまでは目にすることのなかったキーワードが引っかかってくるようになったのです。

 「使いたくない語句に対しては手動で[]を入れてリンクを制御すればいいだろうに」あるいは「投票してスコアを下げればいいことだろう」と思われるかもしれません。実際、それらの作業は行っているのですが、最近、登録キーワード数の増大は必ずしも好ましい結果をもたらすばかりではないと思うようになってきました。

 私の場合、モデレーションが行われるようになったことで、かえって「ノイズ」となるキーワードの存在が気にかかるようになったのです。モデレーション値は変動するものですから、閾値を0か100に設定していない限り、執筆時にはリンクされていたのに後で見たら消えていたということ(あるいはその逆)が起こりえます。私は閾値を40に設定しているものですから、この付近にあるものを点検して、数人の投票で変動が起こりそうな語句に対しては手動で調節する(リンクを保持する)という作業をしなくてはなりません。

 普通名詞だけの現状ですらこの有り様なので、その他の品詞についてまで現在の調子で登録されていくことを憂慮します。

 より広汎で具体的な弊害は『おとなり日記』で生じます。どうも有効に働いていないように感じられるのです。その理由は「執筆者の意識ではキーワードと捉えていない言葉」が大量に登録されているため、本当にキーワードとして機能して欲しい語句がまぎれてしまっているのでありましょう。

 確認しておくと、既に登録されたものを削除するのは得策ではありません。生まれ出でたものが何であれ、愛でる人がいるのなら、とやかく言うべきではない。となると、コントロールするなら誕生する前(=作成ガイドラインのレヴェル)であるべきです。

を含むブックマーク

 前置きが長くなりました。以上の問題意識に立って起草したのが、以下の私案です。

 新規にキーワードを作成するに当たっては、当該語句の有用性について考慮することが望まれます。ここでいう《有用性》とは、同種の話題について言及しているダイアリーを連結させる、ないし、趣味性向の近しいユーザー同士の連繋を生じせしめる役割を果たすかどうか――を意味します。

 例えば、一部の国名(日本/アメリカ)や日本人の姓(佐藤/鈴木/高橋)のような固有名詞は、あまりに頻繁に登場するため《有用性》は弱いものとなっています。このような場合については、他の語句への誘導役をするインデックスとして整備するとか、百科事典並みに解説を充実させるといった作業をしたうえでの登録が期待されます。

 固有名詞ではないもの(特に動詞や形容詞など)については、《有用性》が疑われる傾向が強くなります。登録はされたもののモデレーション値が引き下げられ、結果として活用されない場合が多いことには留意しておいてください。

 対して、特定の事物を限定的に指し示す語句であれば、品詞に関係なく《有用性》が期待されます。話題になったセリフ「オンドゥルルラギッタンディスカー」や、魔法少女の呪文「ピリカピリララ」、ある程度の字数を備えた特殊な口癖「はにゃ〜ん」などが、これに該当します。

を含むブックマーク

 それから、著作権侵害を抑制するため、次のような注意をガイドラインに含めておくべきではないでしょうか。

 キーワードの解説文は、執筆者が独自にしたためた文章によって構成されている必要があります。他人の著作物を 無断で使用 正当とみなされる限度を超えて転用 してはなりません。事典・辞書の内容を書き写してキーワードを作成することは、正当な範囲を超えると 著作権の侵害になります(キーボードから手入力しても、コピー&ペーストしても、違反であることには変わりありません)。無料で閲覧できるオンライン辞書や個人のウェブサイトからであっても、キーワードへの 無断転用 不適切な転載 は同じく権利侵害になります。自由利用が認められているものは、Wikipediaなど明示的に許諾を与えているものに限られます。

 なお、出典を明示せずに著作物を引用する行為は、より悪質なものとみなされます(いわゆる盗作)。厳に慎んでください。

 引用は、本文を補強するための従物として、ルールに則って行われる場合に限り認められるものです。原則として、キーワード作成者が独自に書いた文章や表現上の工夫が、解説文の主たる部分を占めていなくてはなりません。詳しくは、著作権法の第32条を参照してください。

 既に作成されているものであっても、著作権に抵触しているものが時折見受けられます。今までは固有名詞だけをリンク対象にしていましたから、違反事例を見かける割合も少なく、発見した場合でも私の処理能力で修正できました。これが一般普通名詞についてまで広がるとなると、余裕も意欲も持ち合わせていません。

 問題を内包するキーワードの対策は、削除ではなく加筆修正で――というのが基本原則でありましょう。削除は極力避けるべきだという理念には賛同するのですが、こと著作権への配慮という観点は手薄だったように見受けられます。

 当面の(私個人の)対応ですが、著作権侵害については現行ガイドラインでも規制されていますので、作成者自身に書き改めを求めるメッセージを添えた上で削除勧奨をしていく所存です。権利侵害を起こしているものについてまで、作成者ではない人物が労力を払って修正し、存続に努める必要はないでしょう。


 なお、後者の著作権問題について。本稿の発表に先だって、昨日分の文章について上記の対応を行いました。既に何人かの方からこの件について心配する声を頂戴しております。念のため申し添えておきますと、サルベージされたものを再削除するといった大人気ない応酬などするつもりはございません。対象も、私の視界に入ってきたもの(自分の書いた文章との間でリンクが生じたもの)に対してだけです。多くの方にご心労をおかけすることかと思いますが、あまりに法的秩序感覚を欠く現状に対する問題意識の提示として受け止めていただければ幸いです。

cf. id:mitty:20040618 / id:mitty:20040622#p2

cf. id:hmori:20040624#p6 / id:hmori:20040625#p1

cf. id:n_kakka:20040624#1088004655

cf. id:intheair:20040623#jidai


追記) id:wata300:20040623#1088011409 にて、「無断引用」という用語は不適切であるとのご指摘を頂戴しました。まったくその通りで、お恥ずかしい…… 応急処置をしておきましたが、もっと文面を練り上げなければなりませんね。

hmorihmori 2004/06/24 02:10 私は、よく使われる単語が登録される事に関しては嫌ですが、これを消してしまうのは問題があると思います。消した単語はいつか誰かによって作られるし、ルールで規制したら書きたい物が書けないという問題もあります。もっとも「当然というキーワードにこの言葉を使う時には論理的な矛盾がある事が多い」という説明だけではまずいので普通の説明を入れようとするが、辞書を参考にせずに書くのは非常に困難です。ま、それはともかくとして。キーワード消したら歴史も消えるという点で消すのには賛成しません

genesisgenesis 2004/06/24 03:55 hmoriさん、こんにちは。まず誤解のないように申し上げておきますと、「当然」等の項目が抹消されるべきことを求めているわけではありません。希望しているのは、適切に修正が行われることです。▼ また、既存の辞書を参照してはならないということを申しているわけでもありません。私が提起したのは、無断転用(盗用)がまかり通っていることへの警鐘です。▼ 引用とは、他者の著作物を土台として創意工夫を加え、より高度な次元に辿り着くために用意されているものだと理解しております。「ルールで規制したら書きたい物が書けない」ということですが、それが著作権を侵害するものであるなら、保護すべき利益には当たらないでしょう。▼ 以上、よろしくご検討くださいませ。

hmorihmori 2004/06/24 13:13 引用の中で主張の為の引用というのはあるべきだと思います。誤用の説明をするために引用というのもあると思います。問題は誤用の箇所は結局消されて引用だけになってしまうという。。まあ、それは枝の話なのでどうでもいいのですが。削除よりも内容を消すべきだ私は感じます。

genesisgenesis 2004/06/24 23:39 5文目については、本文中で既に私見を展開しております。ご確認くださいませ。▼ 1文目と2文目の点についてですが、「引用」そのものをすべきではないとの主張はしておりません。私も文章を書いて身を立てている人間の端くれなので、その辺りは気をつけて立論しております。▼ 例を挙げると、キーワード【意味】などは多くの引用を含んでおりますが、新たな著作行為の成果物とみてよいでしょう。このようなものに対してまで著作権侵害を疑う必要はないと考えます。

Wednesday, 2004/06/23

[] 絵のある人生  絵のある人生を含むブックマーク

 安野光雅(あんのみつまさ)『絵のある人生 ―見る楽しみ、描く喜び―』(岩波新書、2003年)読了。

 日曜日に美術館に行った後、書庫から絵画についての本を探してきて読み始めたもの。著者の安野氏は著名な画家。昨年、文字を添えずに絵だけで物語が進んでいく『旅の絵本』の第5作目としてスペイン篇を上梓されております。とにかく「スペイン」という単語が書名に入っていると買い求めておくのが私の仕事なので(^^)当然の如く絵本を入手したのですが、同時期に出版されていた本書も購入したのでした。

 さて、書名から絵についての本ということは分かりますが、どんな内容を想像しますか? 私は「クラシック音楽の名盤はこれだ!!」のようなものか、あるいは著者の自叙伝かと思って読み始めたのですが、そこには老成した画家の成せる技がありました。

 本書の面白みは、章立てを見てもらうと感じ取れるのではないでしょうか。

第1章 絵を見る……心を動かされる満ち足りた時間

第2章 絵を描く……ブリューゲルの作品を手がかりに

第3章 絵に生きる……ゴッホの場合、印象派の時代

第4章 絵を素直に……ナイーヴ派、アマチュアリズムの誇り

第5章 絵が分からない……抽象絵画を見る眼

第6章 絵を始める人のために

第7章 絵のある人生

絵についての話題をギュッと圧縮すると、こうなるというものが詰まっています。それでいて、話の運びに堅苦しさが無い。例えば第2章では「雪中の東方三賢者の礼拝」という作品を素材にし、キャンバスに向かったブリューゲルの姿を追いかけていくのですが、あちこちに話が飛びます。それが実に楽しい。ブリューゲルはフランドル地方(現在のベルギー)の出身だという話題ではじまり、低地は山が無くて風景画の背景に困るということを述べ、日本人の原風景は野山であるという指摘をし、そういえば星空を美しいと思うのは遺伝子に組み込まれた感性のせいだとプラネタリウム「メガスター」を手作りした大平貴之は答えていたなぁと述懐し、そのうえで長崎ハウステンボスにやってきたオランダ人は山が背後にあることに驚くのだ――とまぁ、こんな具合(27頁)。思わず身を乗り出して、聞き入ってしまいます。

 私が最も面白く感じたのは、第3章。ヴァン・ゴッホの生き様を追いかけながら、安野氏が画家として成長していく時期のことを振り返っています。今でこそゴッホは有名人ですが、存命中には一枚しか絵が売れなかった人。正直なところ、私はゴッホの絵を上手だと思いません。ただ、ある日を境にゴッホという人物に対しては畏敬の念を持つようになりました。もう5年前になるのかな。KLMに乗って旅した時、乗り継ぎのためにアムステルダムで一晩を過ごしたのです。それで国立ゴッホ美術館(Rijksmuseum Vincent Van Gogh)を訪ねたのですが、それはもうおびただしい量の書簡が残されていたのですよ。画商をしていた弟テオに向け、この作品はどういった意図で描いたのかとか、どんな新しい試みをしてみたのかとかを、それはもう事細かに。手紙には絵画に対する情念がこもっていました。絵ではなく文章によって画家の認識を改めたのは、後にも先にもこれきりです。

 そんなゴッホを《絵に生きる》という小題で取り上げた安野光雅氏もなかなかのもの。『街道をゆく』で司馬遼太郎と同行した際、司馬は安野を評して「絵にしてしまう」と語ったそうですが、その安野は「ゴッホが描くと絵になってしまう」と讃えています(90頁)。

 それらをまとめた本書の題が『絵のある人生』であるというのが何よりいい。肩の力を抜いて絵と付き合っていこうという姿勢に好感を持ちました。

絵のある人生―見る楽しみ、描く喜び― (岩波新書)

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Sunday, 2004/06/20

Museu de Bellas Arts de Valencia  Museu de Bellas Arts de Valenciaを含むブックマーク

 海外在住日記

 論文の資料を作りはじめたのだけれど、どうにも調子が出ない。そのうち日が高くなってきて室温も上がってきたので、散歩に出かけることにする。

 日曜日の昼下がり、文化的なことでもしようかとバレンシア美術館に足を運ぶ。ちなみに、我が棲処から徒歩15分。

 これまで三度見ているから目新しいものはない――と思ったのが大間違い。改装が行われ、大きな新館が出来ていました。中世の宗教画が所蔵品の中心なのですが、祭壇画が充実し、空間も広々と取られています。以前は、いかにも地方都市の美術館といった趣で、あまり観光客には薦められない場所だったのですけれど。

 なにより! 空調がきいているのが嬉しい。猛暑の時には、此処に逃げこめば生き延びられる。館内には休憩所も完備。しかも入場無料だし(笑) 去年、欧州を見舞った異常高温の際には、本当に生命の危機を感じたものな〜 

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Friday, 2004/06/18

[] HARRY POTTER y el prisonero de Azkaban  HARRY POTTER y el prisonero de Azkabanを含むブックマーク

 海外在住日記

 日本の皆さん、ひと足お先に失礼します。封切り初日に、映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(スペイン語吹替版)を観てきました。

 ま、あらすじの紹介は ISBN:4915512401 にあるし、当該キーワードに情報源を書き加えておいたので、そっちの方でも読んでください。

 感想。ううっ。ハーマイオニーたんが、ハーマイオニーたんが…… かわいくなくなっちゃったよぉ〜 うわ〜〜んっ(号泣)

 なんか、育ってます。第1作では、小憎らしい感じがたまらない10歳。第2作も、まだあどけなさが辛うじて残っていた。それがもう「かわいい女の子」じゃなくて、「綺麗な女優」へと成長を遂げています。ここは広い心で言祝ぐべきなのでしょうけれど…… さらば、愛しの(我が心の中の)ハーマイオニーたん。僕は、あの日の君を忘れない。


 内容については…… あまり書くこと無いんですよね。ハリー・ポッター・シリーズに対して、わざわざ推薦文を書く必要はないし。心配されたダンブルドア校長の交代も、さほど違和感なかったし(ちょっと貫禄が減りましたが)。敢えて言うと、画面の派手さとか壮麗さというものが弱かったように思うのだけれど、これは監督が替わったためなのか、物語に合わせたせいなのか判断つきません。

 気になったところは服装。学年が上がり、だらしなくなってしまったのか、ネクタイの結び方が美しくない。特に山場に入ってしまうと制服を着てすらいないので、ホグワーツ魔法学校「らしさ」が形としても存在していない。まるで、エプロン姿のお姉さんがいない神戸屋キッチン、あるいは袴のお姉さんが見あたらない馬車道――そんなわびしさがありました。

http://www.harrypotter.es/

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Monday, 2004/06/14

日没

Zaragoza  Zaragozaを含むブックマーク

 海外在住日記。バスク/ナバーラ/アラゴン縦断旅行記(その4)。本日の行動は、家に帰り着くこと。パンプローナ(ナバーラ州)を出発し、サラゴサ(アラゴン州)で乗り換えて、バレンシアまで、ひたすら移動を続けます。

 10時15分、ターミナルからコンダ社(Conda)のバスに乗車。

http://www.movelia.es/(スペイン全土のバス時刻表検索)

 12時50分、サラゴサ(Zaragoza)着。

――あれ? ここ、どこ?? どうして目の前にレンフェ(Renfe、スペイン国鉄)の駅があるの???

 そういえば、2003年の10月にAVE(新幹線)の新線が、マドリッド‐サラゴサ‐レリダ間に開通したのでした。この真新しい駅は、それにあわせて出来たものみたい。うぐぅ。持っている『地球の歩き方』が役に立たないよぉ。とにかく駅の中に入ってみると観光案内所があったので、地図をもらい、交通機関について聞いてみる。で、サラゴサという町は、観光客にとって不親切なつくりということがわかりました。まず現在地、デリシアス駅は町の西の外れにある。中心部に行くには、駅前から出ている51番のバス“Paseo Constitucion”行きに乗ることになるらしい。ところが、長距離バスのターミナルというものは存在しておらず、各社別々。その数なんと15箇所。そのうち、先ほど乗ってきたパンプローナ線は偶然にも駅の前にあって、これから乗ろうとするバレンシア線はかなり離れている。

http://www.turismozaragoza.com/

 駅にいるなら鉄道に乗ればいいではないかと思われるかもしれませんが、問題があるのですよ。スペインの鉄道は、非電化区間だとやたら遅い。今回の場合だと、バスなら4時間30分で着くところを、5時間27分かけて進むのです。しかも、バスは5往復しているのに、鉄道は2本しか走っていないし。とにかく、鉄道の旅は不便なのです。

 ひとまず駅構内のカフェに入り、ハム&チーズサンド+フライドポテト+飲み物のセットで昼食(5.2ユーロ)。食べながら検討したのですが、移動が面倒だけど行き方がわからないわけではないので、バスで帰ることにする。教えてもらった停留所から市バスの24番線に乗り(0.7ユーロ)バス会社の窓口に行ってみると…… 「15時30分発の便は満席です」だって。うぐぅ〜 ひどいよぉ。その次は4時間後だし。

http://www.grupo-jimenez.com/

 それなら、速度はトロくても鉄道の方が到着時刻は早まるので、再び市バスに乗って駅に戻ってきました(泣) 余裕があれば市内観光でもしたかったのですが、それはまた今度。駅の構内にコインロッカーはあるのですが、中心部まで離れているので「ちょっと」出かけてみる距離ではないし。それに何より、これから乗ろうとする15時45分発の列車が鉄道での最終便(^^;) 片道16.45ユーロの切符を買って乗車。思った通り、こちらはガラ空き。みんな長距離バスを使うんだなぁ。

http://www.renfe.es/

 駅構内で買ったお菓子をヤケ食いしながら、5時間27分の長旅を過ごす。車窓の眺めは綺麗なんですけれどね。線路わきに連なって咲いている真っ赤な花、まるで《妹切草》みたいだなぁ――なんて思いながらお昼寝。

 21時12分、ようやくバレンシア帰還。

▼ 写真を加えた旅行記

http://barcelona.sociallaw.info/noreste/idx_ne.html

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Sunday, 2004/06/13

ウシ

Vitoria  Vitoriaを含むブックマーク

 海外在住日記バスク/ナバーラ/アラゴン縦断旅行記(その3)。本日の出発地は、ビトリア。

 07時30分に目が覚める。昨日までとうってかわって、青空が広がっています。嬉しくなって朝の散歩に。100年ほど前に建てられたお屋敷が並ぶパセオ・フライ・フランシスコ・デ・ビトリア通り、新カテドラル、ビルヘン・ブランカ広場、サン・ミゲル教会、エル・ポルタロン、エスパーニャ銀行、郵便局などを巡る。そうしたら、「メモリーカードの残量がありません」と警告を出してカメラが止まってしまいました。600枚は撮影できるはずなのに、実質2日で使い切ってしまったよぉ(^^;) 宿に戻りながら整理して、何とか今日の分の領域を確保。

 支払いを済ませて、バスターミナルへ。目の前に国鉄の駅があるのですが、次の目的地パンプローナへは1日3本しかなく、やる気まったくなし。対するブルンデサ社(La Burundesa)のバスは、平日10往復、日祝でも6本あります。11時00分発(だけど5分遅刻)の便に乗って移動開始。片道6.35ユーロ。

Pamplona  Pamplonaを含むブックマーク

 所要1時間20分で、ナバーラ州の州都パンプローナ(Pamplona、現地語でIrun~ea)着。アーネスト・ヘミングウェイが『日はまた昇る』でサン・フェルミンの牛追い祭りを紹介したことで有名になった町です。毎年7月上旬に行われるのですが、テレビでご覧になっかことありませんか? 白い服を着て腰に赤い布を巻き付けた人達が、牛の前を走るというの。で、転倒したところを追いつかれ、興奮した牛に角で刺されて死者が出るという、牛追いではなく「牛に追いかけられる祭り」。毎年数人は重傷を負い、時には死者もでます(ぉぃぉぃ) 地元民は逃げ方のコツを知っているので、犠牲者は物見遊山の旅行客から出るそうです。

 宿は、オスタル・ベアラン(Hostal Bearan)にしました。予約のために、電話をしたんですよ。そうしたら「空室あるよ。日本人でしょ?」と言うではありませんか。どうしてわかるのか聞いてみたら「うちに電話してくるのは、たいてい日本人だから」と朗らかに答えてくれました。実際に足を運んでみても、とても感じの良いところでした。TVあり/ドライヤーあり/セーフティボックスあり/ホース式シャワー/バスタブ付きのツインをシングル・ユースにして37ユーロ。宿の質はいいのですが、タクシーが入ってこられない歩行者専用通りにあり、受付がある1階(日本での2階)までは階段なので(客室まではエレベーターがある)スーツケースを引きずっての旅行では避けた方がいいかも。

 それでは市内に繰り出します。13時10分、閉館まであと30分少々のナバーラ美術館(Museo de navarra)へ駆け込む。日曜日のため入場無料。見かけより大きく5層になっていまして、ローマ時代のモザイクから近代絵画まで幅広く集めていました。

http://www.cfnavarra.es/cultura/museo

 この日は日曜日。観光案内所が閉まっているため、地図が入手できませんでした。でね、迷いました(汗) 方向感覚が私の自慢なのですが、さすがに地図が無いと何処に行ったらよいのかわからない。しかも、美術館を出たら、ちょうど太陽が南中している時刻だったのですよ。いつもは影の方向で東西を把握しているのですが、わからなくなって。北東へ行こうとしたのに、正反対の方角(城塞公園)へ行ってしまったのです。函館の五稜郭みたいな城壁にぶち当たり、ようやく間違いに気づきました。

 へとへとになって旧市街に戻ってきたのが、14時45分。ホテルの斜め向かいにあったレストラン・アサドール(Asador)に飛び込みました。あまり吟味せずに入ったのですが、おいしかったのですよ。前菜は、ジャガイモをくり抜いて惣菜を詰めクリームソースをかけたもの。主菜は、白身魚を焼いてオリーブオイルをたっぷりかけたもの。もう、冷たく冷やした赤ワインがくいくいっと進みます。デザートにアロッス・コン・レチェ*1、食後の珈琲まで頼んで13ユーロ。

 気づいたら、デカンタが空いてました。当然、飲み過ぎ。ふらふら〜とカスティーリョ広場のベンチに座り込み、はっと気づいたら1時間眠ってました。お日様がポカポカして気持ち良かったし。居眠りをしても何も起こらないほど、のんびりした町でした(でも、他の人には危なくて勧められません)。

 17時の鐘で起き出し、市役所とカテドラル(大聖堂)を見に行く。それから、今度は間違いなく北東の角へ。カバーリョ・ブランコという洒落た居酒屋があるのですが、その前の坂道を降りていくと、町を囲む城壁の外に出ます。そのまま進んでいくと、アルガ川にかかる美しいサン・ペドロ橋へ。川縁の光景を楽しんで町に戻る。それからエンシエロ(牛追い)の経路を歩いて、疑似体験。闘牛場までの800mを走り抜けるのだそうですが、私なら開始数秒後に天に召されるだろうなぁ。だって、100m走20秒超の校内(マイナス)記録保持者ですから。スキーだけは札幌の標準水準で出来るのですけれど。

 あとは気の赴くまま、新市街の方を歩いてみました。

 20時に、パンプローナ在住の友人と待ち合わせてバルを3件はしご。話していて、ナバーラ地方の人は気質がいいよねぇ〜となごみました。あとね、女の子がかわいいの。私はどうしても小学校低学年くらいの娘さんを観察対象にしてしまうのですが*2、髪の毛がふわふわで、顔つきがかわいらしいの。はにゃ〜ん。そう思うのは私だけかと思っていたら、話し相手(女性です)にも同じ事を言われて、間違いないと確信しました。少女はパンプローナに限ります。

▼ 写真を加えた旅行記

http://barcelona.sociallaw.info/noreste/idx_ne.html

*1:お米を牛乳で甘く煮込んだお菓子

*2:化粧をするようになると、素体の質がわかりませんからね

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Saturday, 2004/06/12

ゲルニカ

Gernika  Gernikaを含むブックマーク

 海外在住日記バスク/ナバーラ/アラゴン縦断旅行記(その2)。本日の出発地は、ゲルニカ(Gernika、現地語ではLumo)。人口1万6,000人の小さな町なので、夜に出歩いて騒ぐような不埒な輩もおらず、駅から5分のホテルだというのに静かな朝です。

 09時40分、チェックアウト。駅にコインロッカーは無かったので、観光する間、ホテルで荷物を預かってもらうことにしました。まず市場に寄って、朝市の活気を観察。それから市役所(Ayuntamiento)、サンタ・マリア教会(Iglesia juradera de Sta. Maria de la Antigua)、パシレクコ広場(Plaza Pasilekuko)など主だった建物を見て回る。

 10時13分、バスク議事堂(Casa de Juntas)。入場無料。ゲルニカが小村でありながらその名が知られている理由のひとつとして、ここが聖地であることが挙げられます。この建物の裏手には「ゲルニカの木」というのがありまして、この樫の木の下でバスク民族が結集したという故事があります。さすがに300年前の古木の方は枯れてしまっていて、現在は1860年に植えられたもの。いわば、バスク独立の象徴。建物の天井は、木下で団結を誓い合う様子を描いた巨大なステンドグラスになっています。

 隣接してバスク美術館(Euskal Herria Museoa)があり、こちにはビスカヤ(Bizkaia)地方に縁のある品々が納められています。入場無料。この地域出身の画家の作品など、結構見応えがありました。訪問者の記帳を眺めてみましたが、ここまで来る日本人は滅多にいないみたいですねぇ。なにせ『地球の歩き方』には、議事堂しか紹介されていないという惨状ですから。

 小一時間ほどで主だったところを巡り終えたのですが、何か足りない。そう、ピカソ分が足りない。ちなみに「ピカソぶん」はピカソの絵に含まれています。

 ゲルニカが世界に知られているのは、彼が描いた大作『ゲルニカ』によってでしょう。ここで世界史をおさらいしておくと…… 1936年7月、スペインに内戦が起こりました。共和国政府に対し、フランコ将軍率いる反乱軍が蜂起したのです。「内戦」と呼んでいますが、その実は第二次世界大戦前夜の世相を反映したものでした。人民戦線(=民主主義側)を英仏ソ連が、フランコ(=ファシズム)を独伊が支援するという、列強の代理戦争がスペインを舞台に展開されたのです。そして1937年4月26日、ナチスドイツの爆撃機がゲルニカを廃墟に変えたのです。1939年4月、フランコ側が勝利宣言をして内戦は終了。以後、1975年11月にフランコが死ぬまで、スペインには独裁体制が続きました。先頃、日本でも公開された映画『蝶の舌』は、内戦に巻き込まれた村での出来事を描いたもの。老先生が共和国を支援した政治犯として逮捕されフランコ派に連れ去られていく時に少年が「チョウの舌!」と叫ぶ場面は、こうした歴史的背景を知っていると心に染みます。

 フランコ体制を嫌う多くの知識人が亡命。その中には、J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲を《再発見》したことで知られるパブロ・カザルスや、画家ピカソがいたのです。特にピカソはゲルニカへの無差別攻撃を聞いて憤り、白と黒のモノトーンに戦争への怒りを込めて描き上げ、パリ万国博覧会に出品したのです。民主主義の象徴となった絵画『ゲルニカ*1 は、「スペインに民主主義が戻る日に」という遺言に従い、1981年にスペインへ。現在、マドリッドの「ソフィア王妃芸術センター」に納められています。

http://museoreinasofia.mcu.es/

http://www.ej-gv.es/

――と、「専攻:スペイン学」らしいところを少し誇示しておいて(笑) ゲルニカ(の町)に来たからにはゲルニカ(の絵)も見たいというのが心情というものでしょう。で、観光案内所に行ってみたら、ありました。

http://www.gernika-lumo.net/

 まず、市役所の向かいにあるゲルニカ平和祈念館(Gernikako Bakearen Museoa Fundazioa)。入場料4ユーロ。爆撃にさらされる前後の写真を見比べたり、記録映画を上映したりしています。教会や議事堂が残っていたのはどうしてなのかと思ったのですが、廃墟となったのは線路に沿った地域だったようです。そして教会の右手の方には、絵を陶器に焼き付けて制作した壁画(Zeramikako Murala)がありました。公道に面しているので観覧無料です。

 ピカソ分を供給したところで、ゲルニカを離脱。ホテルに寄って荷物を受け取り、チップを0.5ユーロほど渡して駅に……行くと、列車が去っていくところでした(泣) 駅の横からバスも頻繁に出ているのですが、切符を買って改札を通ってしまったし。意地で、次の便を1時間待ちました。13時15分の列車に乗り(2.1ユーロ)、14時04分、ビルバオのアチューリ駅(Atxuri)へ。

http://www.euskotren.es/

Bilbao  Bilbaoを含むブックマーク

 土曜日なので路面電車の1日乗車券を3ユーロで購入。

http://www.euskotran.es/

 アバンド駅で降り、昨日と同じくコインロッカーに荷物を収納。3ユーロ。もともとの予定では、そのまま次の訪問地へと移動する予定だったのですが、昨晩、現地のガイドブックを見ていて気がついたことがあったのです。ビルバオには、ロープウェイ(Funiclar)があり、山頂からの眺めが素晴らしいと書かれているではありませんか。どうして、そんな大切なことを『地球の歩き方』は載せていないかなぁ。再び路面電車に乗り、停留所ウルビタルテ(Urbitarte)で下車。目の前にかかっている斬新な橋(Zubizuri)を渡り、グッゲンハイム美術館側に1区画進んで山側に右折すると、正面に乗り場がありました。場所を確認したところで、14時48分、乗り場前にあったカフェテリア“Mandobide”で昼食。ずいぶん遅いと思われるかもしれませんが、一般にスペインでは14時から16時までが昼休みなのです。まさに食事時。

 黒板に書かれている「本日の定食アラカルト」から前菜に“Alubia blanca”、主菜に“Carrilleradas”を選定。理由は、何かわからなかったから。私、スペインに来て1年以上経ちますが、食品の名前については語彙数がやたら少ないのです。買い物するときは「これちょうだい」で済みますから。私が食べられないものは、ナマコ、軟骨、納豆の「3N」なのですが、当地で出てくることはないので安心。外食の時には、知らない名前のものを注文してみることにしているのです。出てきたのは(1)白インゲン豆とソーセージの煮込みと、(2)豚のホホ肉とろとろ煮。おいしぃ〜(>_<) これに、パン、ビール、食後に自家製プリンと珈琲までつけて、10.9ユーロでした。

 満足したところで、15時45分、アルトサンダ・ロープウェイ(Artixandako Funikularra)に乗る。15分ごとの運行だそうです。片道0.76ユーロ。山頂駅を出て左に進むと展望台がありました。うわぁ、来て良かった。ビルバオの街並みを、一望の下に見渡すことが出来ます。

 ここで新技術を投入。一時帰国したときに、新しい撮影機材として Nikon Coolpix 3700 を買ってきたのです。気軽にシャッターを切ると思った通りの写真が撮れているという、なかなか良い品。パノラマ機能を使って撮り、附属のツール“ArcSoft Panorama Maker”で処理すると、自動処理で一致点を探して画像結合してくれます。便利〜 ニコンは派手さに欠ける絵作りをしますが、光学メーカーだけあってカメラとしての性能はしっかりしているし。ただ、ドジなところがあって、充電器本体は240Vに対応しているのに、電源コードは110Vまでという仕様なのです。海外旅行のことも考えてほしいなぁ。

 景観を存分に楽しんだところで、16時15分に下山。荷物を回収して、路面電車の停留所サン・マメス(San Mames)にあるバスターミナル(Autobus geltokia)へ。17時30分、ラ・ウニオン社(La Union)のバスでビトリア(Vitoria、現地語ではGasteiz)へと向かう。4.8ユーロ。

Vitoria  Vitoriaを含むブックマーク

 所要50分で到着。予約をしておいたペンシオン・アラバ(Pension Araba)に行ったら、オーバー・ブッキングになってました。つまり、予約を入れていた部屋には先客が…… ま、小さくて安い宿泊施設では良くあることなので、個人旅行に馴れていない人は星が3つ以上ついている中級ホテルにしておいた方がいいですねぇ。交渉してみると別館なら空いているというので、そちらに泊まることに。共同シャワーなのですが、トリプルのシングルユースで20ユーロと、破格の安さに値引きしてもらいました。階段が無いのがつらかったのですが、窓からレンフェ(RENFE)の駅が見える眺望の良い部屋でした。

 それから日没までの1時間、旧市街を歩き回りました。まったく期待していなかったのですが、予想以上に見応えがあって嬉しい誤算。光量不足で撮影には苦しんだのですが、私の好きな夕暮れ時の光の移ろいを楽しめました。街角の光景を眺めて歩くのが好きな人なら、立ち寄ってみても悪くないところです。

http://www.vitoria-gasteiz.org/turismo/

 日祝を除いて22時まで営業しているデパート「エル・コルテ・イングレス」の地下食品売り場で、飲み物や朝食を購入。早めに就寝。

▼ 写真を加えた旅行記

http://barcelona.sociallaw.info/noreste/idx_ne.html

*1:絵の方のつづりは、Guernika

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Friday, 2004/06/11

グッゲンハイム美術館(ビルバオ)

Bilbao/Gernika  Bilbao/Gernikaを含むブックマーク

 海外在住日記。3泊4日で(スペインの)国内旅行をしてきました。バスク、ナバーラ、アラゴンの縦断です。

 まず、11時40分VLCバレンシア発のエアーエウロパUX9501便で、BIOビルバオへ空路で移動。早期割引を使って、片道46.56ユーロ。所要1時間15分。ビルバオ空港は、新しく快適な造りの空港でした。建物を出て右手にある乗り場からバスに乗り、中心部へ移動。1ユーロ。

 北部のビスケー湾沿いは雨が多いため、いわゆるスペインから連想される風景とは違っていると聞いていたのですが、緑が多くて別な国に見えます。しかも、バレンシアより気温が10度ほど低いんですけれど…… 雨まで降っているし(^^;) 気温30℃を想定して荷造りしてきたので、肌寒いくらい。

 ビルバオ(Bilbao)は、バスク州の中心都市。人口38万人。かつては鉄鉱石の産地として知られ、鉱工業を中心に発達を遂げました。そのため経済力が強く、スペイン最大手のBBVAビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行発祥の地でもあります。

 バスはフェデリコ・モユア広場(Plaza de Federico Moyua)に到着。まずは荷物を預けに、アバンド駅(Estacion de Abando)へ。大通りに沿って歩くと10分ほどの距離なのですが、沿道の建物がおしゃれ。家々に出窓が取り付けられているのです。通風を優先に考える他の地域では見かけないですね。おそらく冬の防寒ということで、窓を二重にしているのでしょう。どの建物も良く整備されていて、街作りにお金をかけているのだろうなぁと推測されます。

 アバンド駅の8番ホームにコインロッカーがあったので、荷物をしまい(3ユーロ)、市内観光に出発。っと、その前に昼食。駅構内のボカディージョ屋さん“Bocatta”で軽食をとる(4.70ユーロ)。先ほど来た道を引き返し、14時30分ビルバオ美術館(Museo de Bellas Artes Bilbao)へ(3ユーロ)。旧館には中世の宗教画や近代絵画を展示しており、なかなか質の高いものがそろっていました。新館の方は理解不能(というか、私が嫌い)な現代美術。よって、こちらは数分で退出。

http://www.museobilbao.com/

 それから川を渡り、対岸にあるデウスト大学(Universidad de Deusto)の建物などを見て歩く。どうも『地球の歩き方』は、地方都市の扱いが悪いですね〜 なんと、美術館を2つ載せているだけ。これは、あまりにひどい。交通機関の路線図も無いとは。現地で購入したガイドブックでは見どころとして紹介されているものが沢山あるのに。おかげで素晴らしい光景を見逃すところでした(これは明日のお話)。

 さて、ビルバオ川の左岸を歩いていくと、グッゲンハイム美術館を突き抜けるようにして橋がかかっている。で、橋脚を取り巻くように階段がある。階段があるってことは、昇れるっていうことだよね? グッゲンハイム美術館は、フランク・ゲーリー(Frank Gehry)の設計による前衛的な建物が有名なので、これを橋の上から眺めると楽しそう。よし! と近づいてみると、なんとエレベーターがある。有料で、0.24ユーロ。なんか、料金収納のために配置している人の人件費を回収できない金額のような気がしますが、雇用の創出という点では見習うべきかも。2台あるうち、右側が美術館方面。ものの数秒ですが、やはり高いところから見ると綺麗。

 下り坂を降りていき、美術館前の観光案内所で情報入手。街の地図と、明日乗る予定のバスの時刻表を調達。

http://www.bilbao.net/

 16時、グッゲンハイム美術館の中へ。9ユーロで音声ガイド(英語)付き。

 すぐに出てきました。つまらないんだもん。展示物は、20世紀中葉のポップアートが中心。うわ、私、ダメです。見るに耐えません。現代美術を嫌悪している者にとっては、苦痛でしかありませんでした。ま、建物を見に行く価値はあると思いますけれど。

http://www.guggenheim-bilbao.es/

 美術館を出ると、LRTが走っているのが見えました。そういえば、ビルバオではつい最近、路面電車が復活したのでした。先ほどもらった地図を見ると、バスターミナル(San Mames)を起点にして川沿いを走り、美術館の横を通ってアバンド駅を経由し、アチューリ駅(Atxuri)に至るというもの。観光なら路面電車に乗るだけで巡れるのではないかというほどに、利用価値の高い結び方をしています。では、さっそく乗車。1回券は1ユーロ。土日祝日なら、1日乗車券が便利(3ユーロ)。乗る前には、改札機に通して時刻の刻印をしておくのをお忘れ無く。

 終点のアチューリ駅まで行ってみました。1912年に建てられた駅舎が、なかなか古びていて良い。ここはゲルニカ行きの鉄道の始発駅。駅舎を見るためとか、路面電車に乗るためだけに来てみても面白いでしょう。ただの細い路地がホームにになっています。なお、鉄道も路面電車も同じバスク鉄道(Eusko Tren)が運営しています。

 ビルバオの街でわかりにくいのは、公共交通機関の運営主体が入り乱れていること。バスク鉄道による鉄道2本と路面電車の他、地下鉄(Metro)が2本、サンタンデール(Santander)へ向かうスペイン狭軌鉄道(FEVE)、それに国鉄(Renfe)があります。出発前に交通情報が手に入らなくて困ったのですが、道理で……

 アチューリ駅からは、そぞろ歩きをしながらアバンド駅へ戻ります。ちょっと戻ったところにスーパー“Champion”があったので、飲み物を購入。停留所リベラ(Ribera)の前には、風格のある建物、サン・アントン教会(Iglesia San Anton)とリベラ市場(Mercado Ribera)が並んでいます。後者は、遠目にも黄色い派手な塗装が目を引きます。近づいてみると、ステンドグラスや柱頭に装飾華美の傾向があり、近代建築のお手本のような代物。これは!と思って調べてみると、やはり現地のガイドブックでは見どころ扱いになっていました。1930年、Pedro Izpizuaの建築だそうです。

 そこから旧市街の中へと入って教会と郵便局を見たあと、停留所アリアーガ(Arriaga)のアリアーガ劇場(Teatro Arriaga)の荘厳なたたずまいを見る。パリのオペラ座を模したもので、1886年から90年にかけ、Joaquin Rucobaの設計で建てられたもの。その対岸にあるFEVEのコンコルディア駅(Concordia)は1902年の建造で、モデルニスモ建築の特徴を存分に備えています。そのまま川沿いに歩いていくと、市役所の姿を正面に捉えることになります。1892年、同じくJoaquin Rucobaの設計。

 とまぁ、ビルバオは近代建築の見どころ満載です。日本で紹介されていないのはまずいんじゃないか、と思うくらい。近代建築というとガウディしか紹介しない『地球の歩き方』の悪いクセが如実に出てしまってますね。

 日も暮れてきたので、荷物を回収して宿へ。ビルバオでは催し物が開催されていたとかで『歩き方』に載っていたところは満室(そもそも4箇所しか掲載していないことの方が手落ちなのですが)。そんなわけで、ゲルニカ泊まりなのです。地下鉄ボルエタ駅(Bolueta)で、19時52分バスク鉄道(Eusko Tren)に乗り換え、20時37分着。ホテル・ボリーニャ(Hotel Bolina)へ。ダブルのシングルユース/TV付き/シャワー付きの部屋で、35.37ユーロ。

 夕食は、駅前にあったレストラン“Hang Zhou”*1 にて、アロッス・コン・トレス・デリシオッソス*2 とベヘターレス・サルテアードス*3 を食べてきました。デザートもつけて13ユーロでお腹いっぱい食べようとすると、レスタウランテ・チーノ*4 が手頃ですよね。

――脚注を見なければ、すごいところで、豪華な食事をしてきたように見えるかも(笑)

▼ 写真を加えた旅行記

http://barcelona.sociallaw.info/noreste/idx_ne.html

*1:杭州飯店

*2:具三種入り炒飯

*3:野菜炒め

*4:中華料理店

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Thursday, 2004/06/10

Volare  Volareを含むブックマーク

 拙作『バルセロナFAQ』に新コンテンツを追加しました。ヴォラーレ航空の予約方法についてです。

http://barcelona.sociallaw.info/

 今回購入してみたのは、イタリア行きの航空券。ローマから北上して、フィレンツェ、ピサの3都市を訪問する予定。

  • 13/Jul/2004 VA8214便 VLCバレンシア‐FCOローマ(56.27ユーロ)
  • 18/Jul/2004 VA8219便 MXPミラノ‐VLCバレンシア(62.12ユーロ)

 というわけで、偶然ですが、今野緒雪マリア様がみてるチャオ ソレッラ!』の中盤と同じコースになります。あの、たまたまイタリア旅行を計画していたら、たまたま『チャオ ソレッラ!』が発売されていたので読んで、たまたま一時帰国したときにミラノ経由のアリタリア航空便に搭乗したのでマルペンサ空港での乗り継ぎ待ちの間に取材した(id:genesis:20040422#p2)というだけのことです。「ローマまんじゅう」とか「フィレンツェせんべい」とか「紅薔薇のつぼみ、一人で斜塔を支える」とか、そういう無茶は要求しないでくださいね。努力はするつもりですが。

マリア様がみてる 17 チャオ ソレッラ! (コバルト文庫)

 7月末に締め切りの原稿があるので、あまり出歩いてもいられないのですが。落とさないようにしないと。

――あ。なんかこう書くと、夏コミあわせのオフセ本を作っているみたい(笑) 書いているのは法律論文です。

tanizakuratanizakura 2004/06/12 15:08 ああ、夏コミには法律本を出すんですね。(違

genesisgenesis 2004/06/15 22:17 間違いなく、サークル入場券目当てのダミー・サークルだと思われそうな気がします(笑

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Tuesday, 2004/06/08

Azumanga Daioh

[] スペイン語版 『あずまんが大王 スペイン語版 『あずまんが大王』を含むブックマーク

〜 日本文化の国外における受容と変容に関する一考察 〜

 買ってきたあずまきよひこあずまんが大王』の西語版を読んでみたのですが、感心することしきり。困難な翻訳作業を、見事にこなしています。

 まず簡単なところでは、忠吉さんが「セニョール・タダキチ」に、ポスペiMacにひっかけた「iマスコット」になっています。ゆかり先生がサッカーに興じている場面で「あたし中田」と言うのが「あたしベッカム」になるのは、リーガ・エスパニョーラでも馴染みのある有名選手への置き換えということで妥当なところでしょうか。

 他にも色々と工夫された訳になっています。訳者の努力を讃えるため、ここで比較対称しながら紹介してみようと考えました。日本語版については、よつばスタジオのウェブサイトで試供版が公開されております。 西語版は、私の方で比較用図版を用意しました*1。見比べてみてください。


▼ 丁

春日歩「なー パンツ一丁の『丁』ってなに?」

春日歩「一『枚』とちゃうの?

水原暦「突然だな おまえ。なんだ パンツって……」

千尋「拳銃とか一丁って言うよね。たしか」

春日歩「拳銃…… パンツ……」

春日歩「武器と関係が?

水原暦「もういい だまってろ」

 さて、これは注釈を付けたとしても翻訳は不可能でしょう。丁ないし枚といった接尾語は、ヨーロッパ系言語には存在しませんから。そこで西語版では、かなり思い切った訳を試みています。

http://sowhat.magical.gr.jp/spain/manga/ad_bragas.jpg(西)

Osaka: Una cosa. Por que las BRAGAS son en plular?
(なぁ、どうしてパンティは1枚でも複数形なん?)

Osaka: Es una sola pieza, no?
(布切れ1枚だけやんか?)

Koyomi: Y eso a que viene? Sera porque metes las dos piernas.
(どうしてそんなことを…… そりゃぁ、脚は2本あるからだろう。)

Chihiro: Porque claro, una RECORTADA por ejempro, tiene dos canones y es singlar. Fijate.
(そういえば、ライフル銃なんかは2丁あっても単数形だよね、たしか。)

Osaka: Una RECORTADA... Unas BRAGAS...
(ライフル…… パンティ……)

Osaka: Tienen alogo que ver las armas y las bragas?
(武器とパンツに何か関連が?)

Koyomi: Uff, yo paso.
(うっ。あたしパス。)

 なんと、拳銃とパンツというモチーフはそのままに保ちながら、「複数あっても単数形」と「ひとつだけでも複数形」というスペイン語文法に即した話題に変更しているのです。お見事。


▼ ひっぱって大阪

周囲 「オーエス!」

春日歩 「オーエスってなんやろう?」

周囲 「オーエス!」

春日歩 「オーエス オーエス」

春日歩 「オーエスってなんやー!?」

滝野智 「うるせぇ ひっぱれ!!」

 つなひきのかけ声ですが、これも「オーエス」をそのまま訳したのでは通じません。で、西語版ではどうしたかというと、逆に日本語に戻せなくなっています(汗)

 先に文法解説しますね。扉に英語で“Pull”と書いてあったら「引く」ですが、スペイン語だと動詞の原形(不定詞)“Tirar”になります。それがラテン系言語には、命令形「引け」というのもありまして、2人称複数(vosotros)に対しては“tirad”という活用をします――というのを踏まえたうえで、西語版をご覧ください。

http://sowhat.magical.gr.jp/spain/manga/ad_tirar.jpg(西)

gente: Tirar!! (不定詞)

Osaka: No es "TIRAD"? (命令形じゃないん?)

gente: Tirar!! (不定詞)

Osaka: Tiiirar... (不定詞)

Osaka: Oye, no es "tirad"? (ねぇ、命令形の方がいいんとちゃう?)

Tomo: Calla y estira! (黙って引っ張れ!)

 つまりですね、大阪は不定詞“tirar”ではなく命令形“tirad”を使うべきなのではないかと主張しているわけですが…… こんな場面で命令形を用いるのは文法的に間違いではないけれども、実際に使われることは滅多にないので、国は変われど大阪さんはボケたことを言っているのです。


▼ 逃げろ

滝野智 「なにたのんだー? 私カツ丼ー」

水原暦 「あー 私は――」

滝野智 「あ!! カレーうどんだ!!」

 日本にしかない食品の場合です。まずカレーですが、これはスペインでも見かけます。といっても日本的なカレーライスとしてではなくて、調味料のひとつとして。カレーの風味がどのようなものかは知られています。カツレツは、牛肉を使ったものでしたらスペインでも馴染みのある料理です*2。お米は、パエージャがあるくらいですから、ふんだんに入手可。となると、問題はうどん。ではどう処理したか。

http://sowhat.magical.gr.jp/spain/manga/ad_curry.jpg(西)

Tomo: Que habeis pedido? Yo ESCALOPE CON ARROZ.
(何を注文した? あたしは牛カツレツとご飯の盛り合わせ〜)

Koyomi: Ah, pues yo...
(あ〜 私は……)

Tomo: No!! Son FIDEOS AL CURRY!!
(あ!! 細切りパスタのカレー風味だ!!)

Tomo: Todos a cubierto! Ese caldo mancha mucho!
(みんな隠れて! この煮汁は染みになるのよ!)

 こうなりました。本書の末尾に、4頁にわたる訳者あとがきが掲載されているのですが、それによると最初はカレーラーメン(Curry Ramen)にしようかと考えていたそうです。でも、それだと今度はラーメンの解説が必要になりますからね。スペイン語でラーメンは“Fideos chinos en sopa”なので、そのままでは通じませんし。フキダシの枠内に収めるという制約により単語数を減らさなければならないという条件下で考えると、“Fideos al curry”というのは良くできた訳です。


▼ 喫茶店

生徒A 「おばけ屋敷」

生徒B 「喫茶店」

http://sowhat.magical.gr.jp/spain/manga/ad_jockey.jpg(西)

alumno A: El tunel del terror.
(恐怖のトンネル)

alumno B: Cafeteria con DISC JOCKEY.
(ディスク・ジョッキー付きのカフェテリア)

alumno C: Eso lo hacen siempre.
(その辺が定番じゃない?)

Chiyo: Si, supongo...
(はぁー そうなんですか?)

Tomo: JOCKEY...(ジョッ)

Tomo: JOCKEY...(ジョッ)

Chiyo: Se os ocurre algo mas?
(えーと他に……)

Tomo: JOCKEY...(ジョッ)

Chiyo: Asi.(こうです)

 漢字を用いた話題の場合。日本語版では単に「喫茶店」であった場所が、変更になっています。この場面では滝野智が「喫」の字を書けずにいるというのが面白みになっていますから、スペイン語に置き換えることはできません。そこで、わざわざ外来語である“JOCKEY”を付け加え、Tomoは英語のつづりがわからないのだとしています。


▼ 不安

ト書き 豪邸

滝野智 「……メロンとか持ってきた方がよかったかな?」」

水原暦 「ふ 普通でいいと思うぞ」

http://sowhat.magical.gr.jp/spain/manga/ad_bonbon.jpg(西)

acotacion: Mansion

Tomo: Deberiamos haber traido bombones o alogo, no?
(……チョコレート・ボンボンとか持ってこなきゃいけなかったかな?)

Koyomi: Actuemos con naturalidad.
(し、自然に振る舞っていればいいだろう)

 メロンがボンボンに変更されています。メロンはスペインでも見かけるものですから、これは内容的な理由から差し替えたとみるべきでしょう。この例の場合、何故もともとメロンが登場していたかを考えなくてはなりません。言うまでもなくメロンは高級贈答品の代表です。ただしそれは内地での話*3。札幌には遠方に出荷できない規格外のメロンが出まわるので、安い果物だったりします。同じようなことが農業国スペインにもあって、スイカとメロンにさほど値段の差がないのです。そんなわけで、手みやげにメロンというのは相応しくない。そこで、ボンボンに書き換えたのでしょう。


▼ 楽しい職業

滝野智 「先生はどーして先生になったんですか?」

木村先生 「女子高生とか好きだから」

http://sowhat.magical.gr.jp/spain/manga/ad_quinceaneras.jpg(西)

Profesor Sr.Kimura: Porque me gusta estar rodeado quincean~eras!!
(何故なら15歳ぐらいの女の子が好きだから!!)

――わざわざ年齢指定しています(^^;) スペイン語にも「高校」に相当する単語“bachillerato superior”はあるのですが、制度が違うために大学予科の19歳あたりまで含んでしまうんですよね。欧米のハイティーンは胸郭部の発育が大変に優れていらっしゃるので、木村先生の射程範囲外でしょう。そこで「女子高生」が有する言外の意味を込めるために、15歳にしたものと思われます。


▼ 大阪人や

春日歩 「春日歩といいます。よろしくおねがい――」

ゆかり 「だめだめ」

ゆかり 「そんな気をつかって普通の言葉でしゃべらなくていいから! よろしゅーたのみまんがなーでいいよ」

春日歩 「そ、そんなの大阪でも……」

ゆかり 「はい!」

春日歩 「……よ、よろしゅーたのみまんがなー」

 最大の難関。関西弁*4 の登場する箇所です。難しいんですよね、方言の再現は。Amazon.comから米国版『カードキャプターさくら』を取り寄せてみたことがあるのですが、ケロちゃん(封印の獣ケルベロス)が大阪弁だということを特に考慮してはいませんでした。そそういえばUS版『CCさくら』では、最初の台詞「こにゃにゃちは〜」が「ヘイヘイホー!」になっていて、のけぞりました。

 閑話休題。方言については訳者も非常に苦労されたようで、あとがきに試行錯誤のあとが載っています。スペインも南部に行くと方言がありますから、アンダルシア弁をしゃべらせようともしてみたとか(^^;) で、結局どうしたかというと、スペインでもあまり使われない、もってまわった言い回しを使うことで、独特な言葉を話す人物という描き方をしています。これまた日本語に復元しにくいんですが、こんな感じです。

http://sowhat.magical.gr.jp/spain/manga/ad_osaka.jpg(西)

Osaka: Hola, soy Ayumu Kasuga. Encantada.
(こんにちは。アユム・カスガです。よろしく。)

Yukari: No, no, no!
(だめダメだめ)

Yukari: No te cortes, puedes decir eso que decis en Osaka... Lo de "A las muy buenas, nenas"
(そんな緊張しなくてもいいから。いつもみたく『ごきげんよう、学友の皆様方』でいいよ)

Ayumu: Pero si nadie dice eso en Osaka...
(でも、そんなの大阪でも言わない……)

Yukari: Venga.
(はい!)

Ayumu: A las muy buenas, nenas.
(ご、ごきげんよう、学友の皆様方)

 なんかこれだと大阪ではなくリリアン女学園からの転入生になっちゃうんですが、一般的ではない言葉遣いということで意訳してみました。


 以上、数箇所を取り上げて解説を試みましたが、驚くほどに良く出来ています。日本での入手は難しいでしょうが、書誌情報を書き添えておきますので、興味を持たれたら探してみてください。


cf. id:gentoo:20040118#p4 / id:gentoo:20040614#p3 / id:gentoo:20040616#p4(英語版での比較対象、ISBN:1413900003

*1:日本の著作権法第32条に則った引用にとどめています。

*2:拙稿「マジョルカ島旅行記」の中に登場する「エスカロペ」のこと。

*3:内地とは、本州以南を指す北海道方言。

*4:恩師、山下好孝助教授の『関西弁講義』(ISBN:4062582929)買ってあげてください〜

samalyotasamalyota 2004/06/15 20:34 かーずSPからきましたはじめまして。愛あふれる翻訳ですね。

genesisgenesis 2004/06/15 22:15 こんにちは、samalyotaさん。ご参照いただき、ありがとうございます。できましたら訳者の方に伝えてあげてください(^^)▼多くの方にご覧いただいたようで、嬉しく思います。先週末、小旅行に出かけていて留守にしていたのですが、カウンターが18,000ほどまわっていて驚愕しました〜 ニュース系サイトだけに限っても、「うたたねこや」さん→「モノグラフ」さん→「こんがり焼あじ」さん→「RinRin王国」さん→「かーずSP」「楽画喜堂」「カトゆー家断絶」さんという順で取り上げていただいたようで。リンク元を把握するだけでも日が暮れてしまいそうなので、3桁に乗っていたところだけお名前を挙げさせていただきました。▼いつもはご挨拶に伺うようにしているのですが、今回はちょっと無理です。この場を借りて皆様に御礼を申し上げます m(_ _)m

utatautata 2004/06/15 23:03 いつも読ませていただいております、「うたたねこや」のうたたねこと申します。この機会にご挨拶させていただきますね。今回の記事は大手ニュースサイトにまで紹介されるんじゃないかな、とぼんやり思いながら紹介させていただきましたが本当に面白かったです。あちらで翻訳した方の苦労も偲ばれますが、それをさらに和訳したおおいしさんの記事も良い仕事ですね。

genesisgenesis 2004/06/15 23:55 うたたねこさん、こんにちは。そう言っていただけると、逆翻訳した努力の甲斐があるというものです。▼ 谷山浩子さん方面の方が発信源でしたか。それなら懺悔しておかないといけないことが。先週の月曜日、キーワード【綾辻行人】を編集して『歪んだ王国』について書き加えたのですが「このアルバムは館シリーズをモチーフにしている」と嘘を書いてしまいました。間違いに気付いた方からのメール、はてなスタッフの reikon さんを経由して届けられまして…… 驚いたことに、半日もしないうちの出来事でした。この二人に項目に、生半可なことは書けないですね〜 ▼ では、今後とも御ひいきに。

gentoogentoo 2004/06/16 14:10 こんにちは。スペイン語版の訳はすばらしいですね。逆トラックバック(?)していただいたのですが、しょぼい記事で申し訳ありません。ところで、厚かましいお願いですがこちらの企画を英語版としてパクっても構わないでしょうか?

genesisgenesis 2004/06/16 20:05 gentooさん、こんにちは。アイデアは著作権の保護対象になっていないので、お気に為さらず、どんどん流用してください。むしろ、どんなものになるのか楽しみです。

gentoogentoo 2004/06/17 16:41 早速買ってきて比較してみました。英語版はあまりひねりが無いといった感想です。

Monday, 2004/06/07

ai yori aoshi

[] compre mucho  compre muchoを含むブックマーク

 海外在住日記。バレンシア駅近くの“Imagenes”に立ち寄ったら、新作が入荷していました。機会を逃すと手に入らなくなってしまうことがあるので、即座に確保。

http://sowhat.magical.gr.jp/spain/s_es_2004.html〔写真〕

 たまたま本を買いに行こうとしていたところだったので平時よりも多めの資金を持っていたので、予算の限界まで使ってきました。

 おかげで、そもそも予定していた書籍の探索は中止。ま、こちらにしても、「『明日のナージャ』第26話の舞台になったアルハンブラ宮殿は、ナージャが足を踏み入れた100年前にはどうなっていたのか?」を調べようとしていたので、あまりまともな理由じゃなかったのですが…… 取材に行った人から「作品の中に出てきた木が見あたらない」と言われたりすると、俄然気になってしまう性分なのです。

http://www.ad.il24.net/~dkymkkk/k/?Granada(逆ロケハン in グラナダ

あらすじ‐フランシスの向こう側

 『ナージャ』の第24話と第25話はバルセロナが舞台だったそうですが、どなたか資料を送ってください。取材に行ってきますので。本編を観たことがないので、私にとっての『明日のナージャ』は、次のようになってます(笑)

http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Pastel/3529/(どれみっちの穴)


 さて、思ったのですが。この『藍より青し』、あるまじきほどに着衣の量が少ない。というか、着てない(^^;) 見比べてみたところ、日本版の第3巻をトリミングしたみたいですね…… パッケージ裏面での桜庭葵ちゃんは、押し倒されて胸を揉みしだかれている(ように見える)は、ティナに抱きつかれてあえいでいる(ように見える)は、なんか散々な目にあっています。文月晃氏の作品は好きなので原作は読んでいましたが、表紙で入浴場面を披露するようなふしだらな娘さんじゃなかったはず〜

藍より青し 第三巻 [DVD]


 『藍青』『フルバ』を発売したのは「ホヌメディア」という会社*2。「バルセロナまんがフェスティバル」でも大きなブースを出して販促につとめていました。これまで付録には力が入っていなかったのですが、今回は封入ポスターをつけてきました。これを進歩とみるか、ダメダメ化しているとみるべきか。しかも、よりによってヒロイン(本田透)を押しのけて、草摩紫呉……

http://barcelona.sociallaw.info/manga/salon2003.html(拙稿:バルセロナにて)

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Saturday, 2004/06/05

路面電車

Tranvia  Tranviaを含むブックマーク

 海外在住日記。バレンシアの市電が開業10周年を記念して開催していた車両展示会に行ってきました。古くは1874年に馬車鉄道が走りはじめたそうですが、自動車に追われるようにして1967年に全線廃止。それが1994年5月21日、LRT*1 として再開業という経緯を辿っていたようです。

http://valencia.sociallaw.info/v_metro.html(青色の4号線が路面電車

 会場は、セレリーアの車両基地。1本ポール式の車両など、古い客車を6両ほど芝生の上に並べ、中に写真を展示するという嗜好。おみやげに、展示物を収録したCD-ROMをもらってきました。

*1:Light Rail Transitの略。
参考資料として、http://www.jtpa.or.jp/contents/lrt/

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Friday, 2004/06/04

[] くりやのくりごと  くりやのくりごとを含むブックマーク

 林望くりやのくりごとリンボウ先生家事を論ず』読了。

くりやのくりごと―リンボウ先生家事を論ず (集英社文庫)

 厨の繰り言、ですか。う〜ん、相変わらず鋭い指摘がなされているのですが、「そうは言ってもねぇ」というところもあって、手放しに誉められないのがつらいところ。幾つか検討してみましょうか。

  • 洗濯物を外に干すのはやめよう。取り込みの手間のかからない乾燥機を使うべし。
    • 乾燥機を買わなくちゃいけないですねぇ。
  • 押入は不要である。
    • これから家を建てるなら、そうします。
  • 毎日買い物に出かけるのはやめよう。
    • 週に一度のまとめ買いで済ませるためには、自動車を所有しなくてはならないです。
  • 掃除をさせて人を教育しようという考えは間違いである。
    • 理念には同調できますが、清掃に携わる人を雇うための費用をどう捻出すればいいのやら。慶応の高校では生徒に掃除をさせていないという例をあげられても、なにせ私立の雄ですから……
  • 甘塩ではなく辛塩で締めた鮭が美味い
    • 生のシャケの方がおいしいと道産子は主張します。回転寿司なら、100円で食べさせてくれるし。

 経済的負担を要求するものだったりすると、「御説ごもっともですが」なのです。どうして日本の鍋は花柄などという余分な装飾を付けるのか、どうしてヤカンは熱効率の良い平たいものを作らないのか!と言われても、職人じゃないしねぇ。

 これが、イギリスとの比較で日本の習慣を疑ってみようではないか、というところではリンボウ節が心地よいのですが。知性とか教養といったものなら、大脳の回路を組み替えるだけで対応できますしね。何事も根底から考え直してみないと。しずかちゃんは、古めかしい良妻賢母の思想を少年少女に植え付けているのだという主張は、大いに賛成したい。そう、日本のジェンダーは、未就学児童が視聴するテレビ番組で既に固定化されてしまっているのです。『おジャ魔女どれみ』を男の子が楽しんだっていいじゃないですか。


 一箇所、うなずいたところの抜き書き。

健康上の理由から、私はこのところ野菜を主とし肉食を極力避ける生活をしている。ところが、肉は旨い。これが問題だ。野菜というものは、それ自身には、肉や魚のような「旨味」を含んでいないので、そのまま食べても、なんだか味気ない。〔中略〕東洋で醤油やニョクマムといったような醸造調味料が発達して西洋ではこれが未発達に終わったのは、結局東洋は菜食を主とし、西洋は肉食を主とするからであるとさえ言われている。(51頁)

 私も、スペインに来てから肉を避けるようになりまして。肉を食べずにいると身体が軽いという事情もあるのですが、半ば宗教に近い理由。この国には闘牛というものがあって、どうしても考えてしまうんですよ。私は、闘牛を非難する気にはなれないのです。闘牛は、人間が自然を克服して文化を打ち立てたことの縮図だと考えていますから。遊びで殺戮をしているのではなく、野性に向かい合う儀式なんですよ。星野道夫イニュニック〔生命〕』を読むと、狩猟生活を営むアラスカの先住民族達が、クマ、シャケ、カリブー、クジラに祈りを捧げて自然からの恵みを受け取る場面が出てきます。その姿に触れた時、他にタンパク質の供給源を確保できる豊かな人とか、見知らぬ誰かが家畜の殺害を請け負ってくれるのでケガレを知らない人達の持つ思想が「動物愛護」ではないのかという気がしてきたのです。

イニュニック 生命―アラスカの原野を旅する (新潮文庫)

 そんなわけで、普段は菜食にして、特別な時にだけお肉をいただくことにしています。チーズとヨーグルトと豆腐と卵を頻繁に摂取しているので、まったく問題ないですよ。ということで、おいしく野菜炒めをいただくために醤油は欠かせないものである――というのが本日の結論です。

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Thursday, 2004/06/03

Palau de la Musica

Opera  Operaを含むブックマーク

 海外在住日記。オペラ――といっても、近時話題に上ることの多くなったノルウェー製ブラウザーではなくて、正統に音楽の方の話。たまには生のいい音が聞きたくなって、昨晩、パラウ・デ・ラ・ムシカ(バレンシア音楽堂)でのコンサートに出かけてきました。

 20時15分開演。会場に着いてびっくり。1階席の最前列だったのです。買いに行ったら残り4枚だったので、あまり考えずに選んでいたんですよね〜 左端の席だったので音像が狂っていたのは仕方ないですが。チェロは聞こえないけれどホルンが耳をつんざくという、力強さの際だつ位置(笑) それでも、総勢120名を越える奏者を連れてきて36ユーロ(約4,800円)というのは、お値打ちだったと思います。

 出演はノルウェー国立オペラ楽団(指揮 Olaf Henzold)で、曲目はワーグナーの「さまよえるオランダ人」。なんか、慌ただしいというか落ち着かない舞台でした。ソリストが歌い終わると即座に袖に引っ込んで、出番が来る都度、足音を響かせて登場するの。その中では、バリトンのおじさま(Terje Stensvold)の声が良かったなぁ(*^^*)

 やはり、声楽っていいよね。

http://www.geocities.co.jp/MusicHall/1548/hollander.htm(よもやま話‐BunIIIさん)

http://www.operaen.no/(Den Norske Opera)

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Wednesday, 2004/06/02

[] Quartett! - Trial Edition  Quartett! - Trial Editionを含むブックマーク

 LittlewitchQuartett!”の体験版に触れてみる。あ、そこ、今さらとか言うなっ! 私だって一時帰国の日程を発売日に合わせようと画策したのに*1 空席が無くて*2 店頭に並ぶ前日に*3 バレンシアへ戻ってきたんですから……

Quartett! 初回版

 さて、音楽に国境はないと申しますけれど、シャルロット(仏)、ユニ・アルジャーノ(伊)、リ・スウファ(中)、リーナ・ユンハース(独)と混在していると、安全保障理事会みたいですね〜 設定を見ると舞台となる場所は特定していないようですけれど、月名の表示が“Dezember”だったので、マグノリア音学院の所在地は独逸みたい。リーナが「教会の神父」って言っていたから、プロテスタント地域(=牧師)じゃなくて、カトリック地域でしょう。

 内容面。すでに評判も聞こえてきているのですが、それは見ていないということにして……

 私は、大槍葦人さんの絵だけでも胸キュン。相変わらず、美しい仕事をなさいます。美しいといえば、音楽も。弦楽四重奏(カルテット)を題名に取っているだけあって、心地よい。サウンド・トラックの発売も決まったようで楽しみです。そして、その両者を統合しているゲーム・システムが本作最大の特徴ですね。FFD(フローティング・フレーム・ディレクター)の威力は、なかなかのもの。台詞をフキダシにしたり画面効果を加えながら表示したりといったことは、各々単体では珍しくはないのですが、組み合わせると面白いですね。私、声が入っているゲームは、あまり好きではありません。表示される文章を自分の速度で読んでいきたいのに、邪魔になるんですよね。でも、この“Quartett!”については、音声も加えられたところを見てみたいところです。

 自動進行に設定しておけば、クリックをしなくてもいい(選択肢が出てきたときには停止する)。この「クリック不要」というのは、実は画期的なことではないでしょうか。これまでのAVGは、文章を読ませるうえで「頁をめくる」という概念から抜け出せませんでした。『雫−しずく−』『痕−きずあと−』は、絵の上に文章を重ねるという方式を『弟切草』から輸入してビジュアルノベルという分野を確立しました。このLeaf三部作を例に考えてもらうとわかりやすいですが、システムに自動改頁をさせるというのは実装されていませんし、思いつきもしなかったことだと思います。というのも、ビジュアルノベルは紙媒体の「本」を基本に据えていますから、読み進める速度は読者がコントロールするものだというのが当然の前提でしょう。そこで、クリック動作を要求するわけです。

 AVGが動的な表現力を身につけていくと、動きを楽しむ娯楽の王者たる映画の手法に近づいていくことと思います。でも、映画そのものになってしまったらゲームじゃないですよね。PC-98x1時代の末期、アニメーションを売りにしたものの中に物語が勝手に進行していくものが幾つかありましたが(宝魔ハンターライムやViperなど)、お気楽極楽なシナリオのものばかりでゲームとしての価値が低く不満に思ったものです。

 文章を主体としたゲームとしてありながら、音声と映像を有機的に結合させる――その新しい技術ステージをリトルウイッチが示してくれたようで、嬉しく思います。作るのが大変そうだけどね(^^;)

http://www.littlewitch.co.jp/

cf. id:ton-boo:20040604#p3

KusanagiMikanKusanagiMikan 2004/06/02 22:59 Autoって最近は当たり前の機能のような。それにFFDは前作(白詰草話)でも採用されていましたよ。

genesisgenesis 2004/06/02 23:42 ふっふっふっ。読み方が甘い。いずれも「本作が最初」とか「これまでに無かった」とは言ってませんよ。その辺は考慮に入れて書いているんだから(笑)

antecedentantecedent 2004/06/03 01:13 素敵なレビューだと思いました。Quartett! のオートは、私も使い勝手便利だと感じました。さすがに32倍速Autoはいらないですが。Fate/stay nightのそれは調節設定が難しい感じで、たまに巻き戻してセリフ読んでた気がします。 

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