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博物士

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Friday, 2004/11/26

少女生理学

[] 少女生理学  少女生理学を含むブックマーク

 かつて、少女漫画の御三家たる白泉社講談社集英社には、それぞれの持ち味がありました。それを、CLAMPカードキャプターさくら』(1996〜2000年)が、良くも悪くも流れを変えたのだと思います。講談社は、その次に脳天直撃型《萌え》以外の何者でもない『東京ミュウミュウ』(2000年〜)を投入するという見事な戦術を見せましたが、それが戦略的に好ましかったのかというと疑問が……

 少なくとも私は、古き良き『なかよし』は、ミュウファイブによって息の根を絶たれたと信じております。野村あきこさんほどの人材に筆を折らせてしまったのは、罪深いことでありましょう。

http://www.angelicvox.com/nadeshiko/amessage.txt

 で、ほぼ同時期に『なかよし』から去っていたのが、新井葉月さん――なんですが、この方、単行本が出るのは平均して2年おきなので、つい先日まで何も不思議に思っていませんでした(笑)

 そんな葉月さんが、4年振りに出したのが『少女生理学』(ISBN:4575830275)。嬉しくなっちゃって、雪が降りしきる中、買いに出かけましたよ。

 もともと、少女漫画らしい純粋な乙女心を表現するのが上手かったのですが、そこに艶(つや)っぽさを加えられるようになりました。読んでいて、ドキドキするの。

 胸のときめきを感じたい人に、この1冊を。

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Wednesday, 2004/11/24

臨機応答・変問自在

[] 森助教授vs理系大学生  森助教授vs理系大学生を含むブックマーク

 森博嗣「臨機応答・変問自在」(ISBN:4087200884)読了。

 作家としてではなく、大学の教員としての著作。「試験は行わない、質問で評価する」とはどういうことなのかを実例で示したもの。著者は、毎回の授業で生徒から質問を集め、それに対する返答を印刷物として配布するということをしている。そのうち専門(建築材料)に関わる部分を除き、「一般の読者が読んでもそこそこ面白い、あるいは、面白いかもしれないもの」を集めたもの。

 著作物として見た場合、そんなに面白いわけではない。何故なら、どのような質問をするのか(問題を設定するか)が面白さの決め手であり、そこを作者が操作していないのだから。もっとも、コンクリートの授業に対する質問で、そんな《面白い》ものが飛び出してくるようでは、何か間違っているという気がする。アホらしい質問を、のらりくらりと受け流す様は見事。

 教育方法論としては興味深かった(私も、一応非常勤講師だしね)。ただ、これを私が応用するのは無理。森氏は随所で《思考》ということを強調し、情報そのものではなく「情報の所在」を知ることの重要性を説く。いや、学問としてはおっしゃる通りなんですけれど、公務員試験対策講座(しかも地理歴史)では、ねぇ……

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Monday, 2004/11/22

[] The Booking Life  The Booking Lifeを含むブックマーク

 高田裕三ブッキングライフ』(全2巻)読了。

 移植医療が主題。スーパーマーケットの外商をしていた葛見健太郎は、強盗に襲われて病院へ搬入された。そこで出会った少女・長谷川貴鈴(キリン)。彼女は心臓に障害があり、臓器提供者が現れるのを待つ身であった――という、社会性の強い作品。

 題名の“booking”は、名詞の書籍(book)じゃなくて、動詞「予約する」の方。葛見とキリンは、リンパ球と血清が完全適合。つまり、キリンにとって葛見は格好の獲物(はぁと)であり、臓器の分与を予約しちゃいたい。彼(の心臓)を追いかけているうち、次第に恋心が芽生える、と。テーマの取り方、物語の組み方、人物配置、いずれをとっても高田氏らしい。

 最後は、かなり無理をした終わり方をしている。キリンの病気は移植手術を受けなければ治らない、という設定で始めた以上、結末は限られますからね。(1)キリンが天に召される、(2)葛見が死んで心臓が譲り渡される、(3)キリンが海外へ行って移植を受けてくる、というのが可能性の高い選択肢。そこを無理して(4)奇跡が起こった、なんてことにすると『トリツキくん』の再来だもんね*1

 この物語で選ばれた結末は「仕方ない」とは思うのですけれど、意外性もない。結末を迎えさせないという方法もあったのでしょうが、この作者は《幸せ》に締めくくることを信条としているから…… それが良いところでもあり、物足りないところでもあり。

ブッキングライフ 1 (ヤングマガジンコミックス) ブッキングライフ 2 (ヤングマガジンコミックス) トリツキくん バンブー・コミックス

*1:1989-91年に描かれた作品で、ヒロイン・しのぶは漂泊の幽霊。彼女が転生してくるのを、主人公は16年ほど生き霊として時間待ちをする。

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Saturday, 2004/11/20

[] 森博嗣  森博嗣を含むブックマーク

有限と微小のパン (講談社ノベルス) 有限と微小のパン (講談社文庫)

有限と微小のパン

 S&Mシリーズの終幕(第10作)。東京に出張した犀川創平は、儀堂世津子の家に立ち寄り、とあるゲームの最後に仕掛けられた謎を耳にする。同じ頃、西之園萌絵は長崎のテーマパークを訪れていた。そこで、例の如く発生する「殺人事件」。

 ゲームとテーマパークを結びつけるものは、四季――

 これを本格推理小説として読むのは無理でしょう(^^;) というか、三次元空間に生息する者に対して、四次元で生じた事象を把握し認識しろというのは無理じゃないかな? かな? 

 何はともあれ、真賀田四季の存在があってこその本作。『すべてがFになる』が登場した衝撃には及ばない。

地球儀のスライス (講談社ノベルス) 地球儀のスライス A SLICE OF TERRESTRIAL GLOBE (講談社文庫)

地球儀のスライス

 短編集。ミステリィには仕上がらないような読み物を集めた作品。

 収録された10作は、散漫な印象を与えるものが多く、少々物足りなさを覚える。「小鳥の恩返し」が、物語性の強さで相対的に好評価。

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Monday, 2004/11/15

キリスト教文化の常識

[] キリスト教文化の常識  キリスト教文化の常識を含むブックマーク

 石黒マリーローズ『キリスト教文化の常識』(ISBN:4061492225)読了。

 著者はレバノン生まれで、日本の大学の教壇に立っている。キリスト教徒にとっては「当たり前」のことを、異文化に暮らす日本人向けに解説している。具体的には、名前の付け方、祝祭日の由来、教会の建て方、神父と牧師の違い等々。

 異文化理解のために有用な書であるが、いまひとつ明快さに欠ける。例えば「ここは××記の△△を参照してください」と言われても、参照すべき新約・旧約聖書が手元に無いので、いったい何を解き明かそうとしているのかすら掴めない。ことわざ&成句紹介にしても、英文和訳の羅列にとどまっている。言葉が生まれた背景が理解できないので、その価値を測ることができない(というか、本書の元々のの出発点は背景の説明じゃなかったっけ?)。

 テーマの選定は面白いのだけれど詰めが甘い――という、いかにも講談社現代新書らしい、物足りなさいっぱいな作り。

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Saturday, 2004/11/13

[] 大学院はてな :: 中間団体論  大学院はてな :: 中間団体論を含むブックマーク

 社会保障法研究会。ふと「社会保険の費用が労使折半であることを、どう説明するのか?」という話題が出てきた。この質問を論じているうちに、どうやらアメリカ型の価値観による疑問攻撃にヨーロッパ型の価値観がさらされているのではないか、ということに。欧州では、企業は社会に関わる存在であるということを所与の前提とするが、これは歴史的な「伝統」に基づくもの。それを、アメリカのように原理的な資本主義の思考から捉えられると、企業に負担を求めている健康保険組合(医療保険)や厚生年金(老齢年金)の旗色が悪くなる。

 日本は、長らくヨーロッパ的価値観を受け入れてきた。国家と国民の間に位置するものとして「社会」あるいは「企業」という中間団体が存在していたのである。昨今は、それがアメリカへとなびく(国家と国民が直接に対峙する)方向へ動いている。

 で、研究会での論議はどうなったか。「我々くらいは中間団体を守る理論を立てていかないとねぇ」ということで締めくくられました。

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Monday, 2004/11/08

[] 森博嗣  森博嗣を含むブックマーク

今はもうない (講談社ノベルス) 今はもうない (講談社文庫)

『今はもうない』

S&Mシリーズの8作目。ストーリー展開に仕掛けられたトリックは、わざと隙だらけにしてある。流れを無視して最初に本書を読んだ人にとっては、まったく面白くない(そもそもトリックが成立しない)。物語として楽しみなさい、ということだろう。西之園萌絵というキャラクターが「立って」いるからこそ成り立つ作品。

数奇にして模型 (講談社ノベルス) 数奇にして模型 (講談社文庫)

数奇にして模型

S&Mシリーズの9作目。ほぼ同時刻に起こった2つの密室殺人。しかし、一方の容疑者は、もう一方の密室の中から発見された――。

 いかにも森博嗣らしい要素が効いた作品。《動機》という主観を排除することによって解答が得られる。このエッセンス、『夏のレプリカ』では、ほろ苦い味わいを楽しませてくれた。本作は、胡椒をまぶしたようにガツンと攻撃的。

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Saturday, 2004/11/06

[] 札幌シンフォニエッタ  札幌シンフォニエッタを含むブックマーク

 札幌シンフォニエッタ*1 演奏会@Kitara*2

 知人が出演するので出かけてきました。ちらちらと見え隠れするコンサートマスターの髪型に見覚えがあるので目を凝らしてみたら、相内俊一教授(小樽商科大学)でびっくり(^^; いや、音楽をなさっているのは以前から聞いていたのですけれど、この場で会うとは思わなくて……

  • L.バーンスタイン『ウェストサイド・ストーリー』
  • B.スターク『ピアノとオーケストラのための協奏曲』(世界初演)
  • G.ガーシュウィン『パリのアメリカ人』
  • G.ガーシュウィン『ピアノ協奏曲 ヘ調』

 ピアノは、三舩優子。上手い。それだけに、スタークの作曲の方に問題関心が向かう。どうにもちぐはぐで、オーケストラと協奏しているように聞こえなかったんですよ。ガーシュウィンの方ではピッタリと合わさっていたので、楽団との相性が悪いわけでもないし。

 指揮はグレブ・ニキティン。アンコールでは自ら楽器を持って登場し、独奏をこなしながら指揮もするという茶目っ気を見せてくれました。楽団の質は決して悪くなかったのですが、ニキティン氏の腕前が段違いだったもので、デザートが主菜を「食っちゃった」かも(笑)

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Friday, 2004/11/05

面白南極料理人

[] 面白南極料理人  面白南極料理人を含むブックマーク

 先日、東京へ出張した際、帰りの機内で読もうと浜松町の書店で購入したのが、西村淳『面白南極料理人』。もともとはウェブ上で連載されていたものを本にまとめたものだとか。

http://www.webnews.gr.jp/nishimuraj/nsmj_2000index.html

http://www.webnews.gr.jp/nishimuraj/nsmj_index.html

 著者は海上保安庁の巡視船乗りで、第38次南極越冬隊の一員として遠征。研究要員ではなく、サポート要員(調理担当)というのがミソ。さらに、赴任したのは設備の整った昭和基地ではなく、氷点下70℃まで下がるという「ドームふじ観測拠点」。閉ざされた空間で、男9人が一冬を過ごす。むさ苦しさこの上もない所帯の一年を、食卓を通じて綴ったエッセイ。

 久しぶりの大当たり。人に薦めたくなる1冊。

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Wednesday, 2004/11/03

[] Pendletones  Pendletonesを含むブックマーク

 宇佐美渉ゆずはらとしゆき『ペンデルトーンズ』を読む。かなこ(発育不全ひねくれ眼鏡っ娘)のもとに、ハヤタ(犬耳メイド青年)がやってくる。ハヤタは犯罪組織の首領によって育てられたため、大量殺戮を繰り広げたにも関わらず罪の意識というものが欠落していたのだった。そこで、情緒回復プログラムの一環として地球に送り込まれた――

 この筋立てで展開するのが上巻。ここに、処刑人ベルフィスと従者アルフォートを加わる下巻で大混乱が生じている。用意しておいた「設定」に作者が押しつぶされてしまった、という感が否めない。消化しきれなかった設定を長大な地の文として読ませていることは、ストーリーを収束させるためにやむを得ないものだとしても褒められたものではない。このページ数で主要登場人物が6人では、動かしきれなくなって当然とも言える。加えて、うち5人が地球外生物となると、人間界の常識が通用しない。しかも、その中には宇宙人の世界観でも奇怪な「魔女」やら「魔法」やらが登場すると来ている。二段階に用意された隔絶を埋めるための「設定」を披露することに中盤が費やされ、ストーリー展開を圧迫してしまっている。

 つまるところ、太郎字(首領)の持つ能力を出してしまうと何でもアリ*1 なので、どんな展開でも自由自在。逆にいえば、不可解な話になる根本的な原因でもある。いろいろなエッセンスを放り込んでいるうちに、土台になるスポンジ(かなこ×ハヤタ)の味がしなくなっちゃったような。

 結末に持ち込んだという力量は認める*2。けれど、展開の上手さという点では残念ながら評価できない。

*1:生体組織から銃を生成してみたり、魂を情報として保存・移転したり……

*2:ちなみに、宇佐美渉の著作は1冊目の『少女通信』(ISBN:4877341943)からすべて買い揃えてある。かなり嫌いじゃない。

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Monday, 2004/11/01

モーターサイクル・ダイアリーズ

[] Diarios de Motocicleto  Diarios de Motocicletoを含むブックマーク

 師事している道幸哲也教授は、大の映画好き。先生の発案で、映画鑑賞会と相成りました。何を観るのかも聞きそびれていていたので、席についても何が上映されるのか知らなかったのですが……

 なんか、いきなりスペイン語が出てきてびっくり。もちろん日本語字幕もありましたが、聞き取りやすい発音だったのでスペイン語音声で鑑賞。なんか、日本に帰ってきたという気がしないんですけれど(笑) 

 というわけで『モーターサイクル・ダイアリーズ』を観てきました。チェ・ゲバラの手記を元にした作品だということには、5分ほど経ってから気がつきました。

 悪くはないんですけれど、盛り上がりには欠けますねぇ。あえて躍動感を「削ぎ落としている」というように感じました。思想的な部分は、ほとんど無いに等しい。表面に出てきたのは、銅山で働く労働者のくだりで少しだけ。療養所で読んでいた本が共産主義についてのものだったけれど、ここはスペイン語のわかる人が注意深く見れば気がつく程度の扱いだったし。ゲバラのことをキューバ革命の偉大な指導者であると認識している人に向け、彼の意外な(穏やかな)一面を強く印象づけるための作りをしたのでしょうか。

ISBN:4043170025(原作)

http://www.herald.co.jp/official/m_cycle_diaries/

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