森博嗣
ISBN:4061820168:image
『今はもうない』
S&Mシリーズの8作目。ストーリー展開に仕掛けられたトリックは、わざと隙だらけにしてある。流れを無視して最初に本書を読んだ人にとっては、まったく面白くない(そもそもトリックが成立しない)。物語として楽しみなさい、ということだろう。西之園萌絵というキャラクターが「立って」いるからこそ成り立つ作品。
『数奇にして模型』
S&Mシリーズの9作目。ほぼ同時刻に起こった2つの密室殺人。しかし、一方の容疑者は、もう一方の密室の中から発見された――。
いかにも森博嗣らしい要素が効いた作品。《動機》という主観を排除することによって解答が得られる。このエッセンス、『夏のレプリカ』では、ほろ苦い味わいを楽しませてくれた。本作は、胡椒をまぶしたようにガツンと攻撃的。