キリスト教文化の常識

 石黒マリーローズ『キリスト教文化の常識』(ISBN:4061492225)読了。
 著者はレバノン生まれで、日本の大学の教壇に立っている。キリスト教徒にとっては「当たり前」のことを、異文化に暮らす日本人向けに解説している。具体的には、名前の付け方、祝祭日の由来、教会の建て方、神父と牧師の違い等々。
 異文化理解のために有用な書であるが、いまひとつ明快さに欠ける。例えば「ここは××記の△△を参照してください」と言われても、参照すべき新約・旧約聖書が手元に無いので、いったい何を解き明かそうとしているのかすら掴めない。ことわざ&成句紹介にしても、英文和訳の羅列にとどまっている。言葉が生まれた背景が理解できないので、その価値を測ることができない(というか、本書の元々のの出発点は背景の説明じゃなかったっけ?)。
 テーマの選定は面白いのだけれど詰めが甘い――という、いかにも講談社現代新書らしい、物足りなさいっぱいな作り。