森助教授vs理系大学生

 森博嗣「臨機応答・変問自在」(ISBN:4087200884)読了。
 作家としてではなく、大学の教員としての著作。「試験は行わない、質問で評価する」とはどういうことなのかを実例で示したもの。著者は、毎回の授業で生徒から質問を集め、それに対する返答を印刷物として配布するということをしている。そのうち専門(建築材料)に関わる部分を除き、「一般の読者が読んでもそこそこ面白い、あるいは、面白いかもしれないもの」を集めたもの。
 著作物として見た場合、そんなに面白いわけではない。何故なら、どのような質問をするのか(問題を設定するか)が面白さの決め手であり、そこを作者が操作していないのだから。もっとも、コンクリートの授業に対する質問で、そんな《面白い》ものが飛び出してくるようでは、何か間違っているという気がする。アホらしい質問を、のらりくらりと受け流す様は見事。
 教育方法論としては興味深かった(私も、一応非常勤講師だしね)。ただ、これを私が応用するのは無理。森氏は随所で《思考》ということを強調し、情報そのものではなく「情報の所在」を知ることの重要性を説く。いや、学問としてはおっしゃる通りなんですけれど、公務員試験対策講座(しかも地理歴史)では、ねぇ……