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博物士

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Monday, 2005/01/31

フォロ・ロマーノ

[] Res gastae populi romani  Res gastae populi romaniを含むブックマーク

 塩野七生ローマ人の物語』に着手。

 私、社会科の中では歴史が苦手で、特に西洋古代史あたりはまったくダメ―― だったのですが、昨夏にイタリアを旅してから俄然興味が湧いてきました。パラティーノの丘*1 に立ってフォロ・ロマーノ*2を眺めたとき、この国の歴史を知りたいという思いに駆られました。

 第1部「ローマは一日にして成らず」では、成り立ちを負う。ローマに降りたって最初に感じた(地図を眺めていた時には気づかなかった)のは、起伏の多い町だということ。それこそが、この地に町が出来た理由だったという。7つの丘に秘められたエピソードが興味深かった。

 第2部「ハンニバル戦記」。サグント(Sagunto)は、私が暮らしていた街バレンシアから少し北にありました。崩れかけた城壁があるだけの大して見どころのない町でしたから、第二次ポエニ戦役が起こった場所だということが今でも信じられません。スペイン史を単独で追っていた時には掴めなかったローマとの関わりが、これで立体的に構成出来るようになりました。

 経過(プロセス)を丹念に追うと、《歴史》はこんなにも露わに姿をさらけ出してくれるものなのか。

ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) (新潮文庫) ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) (新潮文庫) ローマ人の物語 (3) ― ハンニバル戦記(上) (新潮文庫) ローマ人の物語 (4) ― ハンニバル戦記(中) (新潮文庫) ローマ人の物語 (5) ― ハンニバル戦記(下) (新潮文庫)

*1:Colle Palatino:ローマの聖地。歴代皇帝の宮殿があった。

*2:Foro Romano:窪地にある公共広場。古代ローマにおける政治・経済の中心地。

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Friday, 2005/01/28

スケッチブック

[] Sketchbook  Sketchbookを含むブックマーク

 小箱とたん『スケッチブック』。スペインのマンガ雑誌で紹介されていたのが意識の隅っこに引っかかっていた。店頭で見かけたので買ってみたのだけれど―― これいい。力の抜け具合が。

 美術部を舞台にしている(ような気がする)4コマ漫画。思いっきりなごむ。

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Wednesday, 2005/01/26

[] ヴィクトル・ユゴーとロマン派展  ヴィクトル・ユゴーとロマン派展 を含むブックマーク

 道立近代美術館の特別展『ヴィクトル・ユゴーとロマン派展』へ。

 う〜ん、文豪を主に据えた美術展は無理があるなぁ。ユゴーに関しては、作家という側面を強調すると自筆原稿や書簡の展示にならざるを得ない。それは理解できるのだけれど…… どうも、迫力に乏しい。ユゴーを個人崇拝している人なら有り難いものだろうけれど、作品の価値は活字で測るものだという立場からすると、さして意味を感じない。『レ・ミゼラブル』などの作品が生まれた社会背景をルイ・ナポレオンとの関わりで解説する展示は興味深かった。

 絵画は、何と言ってもドラクロワ『収穫の聖母』が際だって素晴らしい。セーブル国立陶磁博物館からの出品が、それぞれは小粒でありながら、焼き物ならではの味わいを含んでいて良かった。

http://www.aurora-net.or.jp/art/dokinbi/

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Saturday, 2005/01/22

[] 大学院はてな :: 精神性疾患罹患者の復職  大学院はてな :: 精神性疾患罹患者の復職を含むブックマーク

 今日の研究会で議論の対象となった判例について。傷病を理由とする休職についてが私のデビュー論文でした*1。この論考を書いた2000年の時点では、裁判で争われていたのは身体障害についての事例しか見当たりませんでした。最高裁の打ち立てている枠組みを確認しておくと、「復職判定時に100%治癒していない場合、ただちに雇用契約を解約することは許されない。軽作業が出来る程度に快復しているのならば、その労働者にあった仕事がないかを探す努力をしなさい」というもの*2

 それが、精神性疾患にも話に広がってきたというのが今日の考察対象。独立行政法人N事件(東京地裁判決・平成16年3月26日・労働判例876号56頁)での労働者は、パーソナリティ症候群で継続的に精神科医の診察を受けていた。休職前の就労状況をみると、単純軽作業しか担当できないうえに間違いが多く、職務遂行中に居眠りをしたり、起きていても着席していられないといったものであった。2年6か月ほど休職した後に復職が申し出られたが、使用者はこれを認めずに解雇。

 裁判所は、会社の判断を支持し、復職の請求を認めなかった。復職時に提出された医師の診断書によると、同僚と同程度の業務はこなせないばかりか、休職前に原告が行っていた軽作業をこなせるようになるまでにもリハビリが必要というものであった。私見も、裁判所の判断を支持。病気休職に入る前の時点でも軽減した作業を満足にこなせず、復職を希望した時点では原告労働者が従前行っていた能力も喪失していた。同一職種の労働者との比較に加え、当人の能力との比較においても二重に職務遂行能力を喪失していた状況に照らすと、普通解雇もやむなしと思われる。

*1http://sowhat.magical.gr.jp/thesis/g_ronbun_01.html

*2:片山組事件・最一小判平成10年4月9日・労働判例736号15頁

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Friday, 2005/01/21

[] YAMANA, Sawako  YAMANA, Sawakoを含むブックマーク

 山名沢湖さんの既刊を、まとめて読了。

 初期作品集『いちご実験室』は表紙買いして放ってありました。いかにも講談社の「なかよし」らしい流れの作品群でしたが、それほど上手いとも思わなかった。

 それが、『委員長お手をどうぞ』〔1〕は、目を見張る出来映え。第1話(学級委員長)でぐらぐらっときて、第2話(保健委員長)でよろっときた。第4話の冒頭で、きゅー。図書委員長の恥じらいあふれる表情と、リボン付きポニーテールに陥落。

 しかし、【少女漫画】の定義について語りたくなりますねぇ。『Amie』でデビューしているので系譜上の分類でいうと少女漫画家になるわけですけれど、掲載誌でみると少年寄り…… 投影対象たる主人公の設定に従って考えてみても*1、83.3%が少女漫画成分によって構成されているわけで。21世紀、少女漫画は【男少女まんが】*2 として生き延びていくことになるのでしょうか。ちょっと心配(と言いつつ、ちょっと嬉しい)。

 物語づくりがしっかりしている。委員長ものというジャンル自体は古来より脈々と続いておりましたが、そこからオムニバスへとストーリーを広げていく独創性は賞賛に値します。

 続いて『スミレステッチ』。全編に漂う浮遊感。この不条理というか非常識度は、竹本泉谷山浩子に通ずるものがあります(先達2人は遙か先を行っているので追いつかない方がいいと思うですけれど)。読者層を調査したら、共通してそうな気がするん(マイナー・メジャー同好会になったりして)。帯に銘打たれた「俊英・山名沢湖」に、偽りはないでしょう。

 『白のふわふわ』は、昨年11月に同時刊行された3冊の中では少々古め(と言っても2001年頃)のものが多い。『いちご実験室』で見られる“もたつき”を引きずっている感じがします。ま、あまりハジけてないというだけで、決して悪くはないのですけれど。

 短期間のうちに、これほど上達がはっきりわかる作家も珍しい。この先、山名沢湖の新刊が出たら必ず買うことを決意。

いちご実験室―ふわふわショートストーリーズ (講談社コミックスデラックス) 委員長お手をどうぞ 1 (アクションコミックス) スミレステッチ―7 stitchers of Yamana world (Beam comix) 白のふわふわ―9 clouds of Yamana world (Beam comix) 

http://utata.s18.xrea.com/(書評:うたたねこや)


【追補】 新井葉月『少女生理学』のあとがきに山名沢湖の名前が挙がっていて、おや?と思ったのですが、古くは『いちばんいい笑顔あげる』に「山名佐和子」名義で登場していたとは気づきませんでした……(情報出所:http://www.moemoe.gr.jp/~nakayosi/

*1:主人公が少女ならば少女漫画に属するとする分類法。

*2:女のコが読んで「きゅん☆」とするより、兄貴な方々が読んで「うをを☆」とくるタイプの少女まんがのこと。流星ひかる正義の味方も楽じゃない』163頁を参照。

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Monday, 2005/01/17

イン ライブラリー

[] in librry  in librryを含むブックマーク

 今野緒雪マリア様がみてる』第19巻《イン ライブラリー》(ISBN:4086005271)読了。

 心構えが出来ていないところで、叙述トリックなんか仕掛けないでください。引っかかるじゃないですか(笑)

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Friday, 2005/01/14

東大生はバカになったか

[] 東大生はバカになったか  東大生はバカになったかを含むブックマーク

 立花隆東大生はバカになったか 知的亡国論+現代教養論』(ISBN:4167330164)読了。

 著者が東京大学で3年間に渡り講師をしていた時期の前後に、同大学に近い場で発言したもの。挑発的な題名であるが、東大生をこきおろすのが目的ではない(機能としてはそうであるにせよ)。というのも、立花氏の理想に照らせば、【1】日本の大学(生)は、明治時代における出発の時点からすでにバカであった、となるからである。

 曰く、そもそも大学というものはリベラル・アーツ*1 を修養するためのものであるべきで、アメリカ合衆国のように4年間すべてを《教養》に充当すべきだ、という。それに対して日本の大学は、明治時代に国家が主導して専門的職業教育*2 を担うことを目的として設置されたこと*3 を否定的に捉える。

 さらに、【2】文部省(当時)が推し進めてきた「ゆとり教育」による学習内容の減少、【3】18歳人口が減少したことによる入試科目の削減*4 なども、当然に批判の対象である。その意味では、ここ十年ほどで大学生は相対的にバカになったということになり、その具体例として東京大学を挙げているに過ぎない。

 立花が理想とするのは、中等教育に能力の高い教師を送りこむフランスのリセ(lycée)に、専門職業教育は学部卒業後に(大学院レヴェルで)展開する米国。つまるところ、現在の日本の方向性を反転させることを提案する。

 とはいえ、『東京大学』は、日本という国家システムそのものである。東大を変えることは、日本を作り替えることに相当する大事業だろう(言い換えれば、東大が変わらない限り日本は変わらないと思う)。私は本書の理念には大いに共感するけれども、実現可能性には懐疑的である。著者には、実験として『タチバナ大学』を立ち上げてみてはもらえないものだろうか。


▼ 知的亡国論(第吃瑤箸靴橡椽颪房載)

http://www.ttbooks.com/boukoku/chapter1/boukoku.html

*1:自由学芸。中世においては、文法、修辞学、論理学、算術、幾何、天文学、音楽。

*2:法学や医学など、実利を目的とするもの。例えば欧米諸国では、応用を旨とする工学は「学問」であるとは認められていなかったため、大学の中の工学部としてではなく、工科大学として存在しているところが多い。

*3:これについては、以前、東京大学の成り立ちについてふれた拙稿がある。
http://d.hatena.ne.jp/./genesis/20040214

*4:例として、高校で生物を習っていない医学部生の登場。

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Wednesday, 2005/01/12

God Save The Queen

[] God Save The Queen  God Save The Queenを含むブックマーク

 森博嗣女王の百年密室』(ISBN:4344000099)を読み流す。

 殺人事件は起こるが、ミステリィとしての側面は強調されていない(共通理解としての科学レヴェルが異なるので推理小説が成立しない)。森は、これまでにもVR(ヴァーチャル・リアリティ)が実用化された社会を登場人物に予測させているが、それをSF仕立ての小説にしてみたものとでも言えようか。

 哲学的に思考をめぐらす人にとっては素材たりうるのだろうが、私には面白さがわからなかった。

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Monday, 2005/01/10

イタリア遺聞

[] イタリア遺聞  イタリア遺聞を含むブックマーク

 塩野七生イタリア遺聞』(ISBN:410118108X)読了。

 著者が歴史小説を書くために調べ上げた事柄のうち、小説には取り入れられなかった《こぼれ話》を集めたもの。例えば、『オデュッセイア』。トロイ攻略の後、神々の怒りに触れたオデュッセウスは、故郷に帰るまで10年の放浪を余儀なくされた――ことになっているが、実は荒唐無稽な物語は「朝帰りした夫の言い訳」だったという新説を披露する。まとも(?)なところでは、ヴェネツィアの外交官の情報収集力の高さがわかる逸話も多数。とても面白い。

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Friday, 2005/01/07

[] 暗黒館の殺人  暗黒館の殺人を含むブックマーク

 綾辻行人暗黒館の殺人』読了。

 私が最初に読んだ推理小説は、館シリーズでした。高校生の時に、谷山浩子さんの紹介で。思い入れのある作家なわけで、新作を楽しみに待っておりました。

 とにかく分厚い。凶器に使えるんじゃないかと思うくらい重い(笑) 冒頭から漂う浮遊感。状況設定に仕掛けられたトリックは容易に看破できるのに、どうしてここにトリックが必要なのかがわからない。結末を読んでも、『偶然』の用い方に釈然としないでいる。

 本作は、これまで読み続けてきた読者に対して贈られた(逆に、読んでいない人には何が起こったのか分からない)、館シリーズ幕引きの先渡しだったように思う。

暗黒館の殺人 (上) (講談社ノベルス) 暗黒館の殺人 (下) (講談社ノベルス)

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Wednesday, 2005/01/05

小谷野敦『評論家入門』

[] 評論家入門  評論家入門を含むブックマーク

 小谷野敦『評論家入門――清貧でもいいから物書きになりたい人に』(ISBN:4582852475)読了。

 ネットワーク社会では、人々がめいめいに持論をぶつけ合う喧噪状態が常態である、とは誰の弁であったか。とかく批評がもてはやされる時代である。ならば職業的にやりたいという人が出てきて当然であり、需要があれば供給が発生する。

 本書は、あまりにズバリな書名。しかも、ご丁寧に副題までついている。内容を強引にまとめると、(1)評論家は世間並み以下の収入しか得られない職業である、(2)十年くらい修行すれば評論家にはなれるかもしれない、というもの。あと、(3)俺はこうして文藝評論家になったという自伝を披露。

 要は「本を出版したところで何も起こらない」「評論家になっても恵まれた生活が待っているわけではない」「それでもやりたきゃ、まずはエッセイストから始めてみれば?」という。なんか、大学院に入院して9年目になる我が身の行く末を説いているようで、嫌だ。本書は、精神的重圧を加えて同業者の産児制限を試みているのだろうか(笑)

 やたらと挑発的なのも本書の特徴。既存の《権威》を揺さぶることで自我を確立しようとしているあたりに、著者の若さが垣間見られる。自覚的にやっているとはいえ、人格攻撃も褒められたものではない。小谷野は、本書を

物したことで、自らが嫌悪する対象へと自己を追いやってしまったのではないか。ふと心配に思う。

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