Hatena::ブログ(Diary)

博物士

 | 

Thursday, 2005/06/30

リセルシア

[] symphonic rain, 2nd movement  symphonic rain, 2nd movementを含むブックマーク

 工画堂スタジオくろねこさんちーむ)『シンフォニック=レイン*1の進行状況報告(第2楽章)。

 リセルシア・チェザリーニ(Liselsia Cesarini)シナリオ。人目を避けるように旧校舎でひとり,を唄う下級生。無口で,他人との接触を極端に拒む。しかし,主人公にだけは心を開くようになり――

 物語を駆動させる構造は,『ONE〜輝く季節へ〜*2に類似。「両手で△△を抱え,口元に運ぶ小動物のような仕草」の空欄を,「パニーニ」にすればリセ,ハンバーガーにすれば椎名繭になります。

 こう整理すると悪口に見えるかも知れませんけれど,批判しているわけではないです。ドラマツルギー(dramaturgy)のステレオタイプ(stereotype)を類型化していけば,多くはシェイクスピアに吸収されてしまうわけだし。ポストモダン(シミュラークル)においては,どの場面で類型を適用するかが価値につながるのだから。本作においては,ヒロインの均衡を考えると的確な配置でしょう。

 ただ,性的弱者としてのオタクを考察する場合,リセルシアのような《設定》の恋愛に弱いということは自覚しておいた方がいいと思う。私の“BITTERSWEET FOOLS”に対する申し立て(id:genesis:20050319:p1)も,問題認識は同じです。

 私見としては,状況を描くだけではなく,内面を掘り下げていって欲しかったところ。重苦しさに耐えきれない人が出てくるかもしれませんが……。『ひぐらしのなく頃に』の祟殺し編北条沙都子シナリオ)までやれとは言いませんから。


▼ 追記

 この先のコメント欄では,ネタバレがあります。ご注意ください。

*1:初回限定版:ASIN:B0001FG72E,DVD通常版:ASIN:B0001FG72O,CD通常版:ASIN:B0001FG724,愛蔵版:ASIN:B0009RNAT2

*2Tactics,1998年。ASIN:B00009ELRU

黒胡椒黒胡椒 2005/06/30 21:47 でも、リセってはっきり言って人気ないんですよ……
トルタ>=フォーニ>ファル>>>>アル>リセ
っていう感じだと思う。

genesisgenesis 2005/06/30 23:10 黒胡椒さん,ようこそ。はじめまして,ではないですけれど。▼ 人気が出ない,というのはわかりますね。捨て猫と同じで,「通りすがりに可愛がる喜び」と「ずっと面倒を見続ける苦労」の差でしょう。与え続けるのが《愛》だ,と綺麗事を言うことはできても,それが我が事となったら躊躇するのは無理からぬことではないでしょうか。▼ 本文でも指摘しましたけれど,リセルシアはシナリオの厚みに欠けます。表面的なところに留まってしまった感がある。これも本文で触れていますけれど,北条沙都子シナリオと状況配置が似通っています。比較してみるとわかるのですが,『ひぐらし』では先に個性を与えてからドラマを進めています。▼ これは,登場人物すべてが出てくるパロディ同人誌で出番が回ってくるかどうか――を想像してみるとわかりやすいでしょう。残念ながら,「リセにしか出来ないこと」というのは見当たらないように思えます。▼ 本文中でオタク論を展開したこととの関係ですが,ちょっと伝わりにくかったかな。リセは本作の中では冴えない存在だけれど,他の凡庸な作品でなら――ということを考えていました。

genesisgenesis 2005/06/30 23:10 あと,ファルシータの位置づけについて。“Fate/stay night”でいうと,間桐桜と同じ役回りですからね〜。「万人の万人に対する闘争」を直視できる人は,そう多くはないですもの。▼ この話題については,ジュブナイル小説との関係から,総括において改めて述べるつもりです。ちなみに私は,黒い桜たんを心から応援してます。

hajichajic 2005/07/01 00:59 うーむ、追加のラストCGが恐ろしく強力ですね。何もかも忘れてしまいたくなる。トルタのセリフさえも。

黒胡椒黒胡椒 2005/07/01 02:17 >表面的なところに留まってしまった感がある
そうですね、もっとクラーヴェとリセの心のすれ違いと想いの持つ残酷さを描いたほうが良かったですね。例え喉をつぶされようとも……。クラーヴェはそれだけの感情をリセに対して抱いていたわけですから。
>「リセにしか出来ないこと」というのは見当たらない
確かにその通りですね。同人誌だと、ファルに怯えたり。包丁を持ったアルを見てふるえたりそんな役回りになるのかな? S=Rの同人誌って見たことないから何とも言えないけど。

>追加のラストCG
まぁ、でも通常版には通常版の良さもあるし、愛蔵版には愛蔵版のリセの良さがある。通常版のリセは愛玩動物系薄幸少女で救いがない。でもそれがキャラの魅力。人気が無いのも薄幸度を高めている。

genesisgenesis 2005/07/01 02:21 にゃあ! ネタバレにならないように気をつけて書いていたんですけれど〜 あと,私が持っているのは通常版なんですけれど〜 
――後でひどいよ?

黒胡椒黒胡椒 2005/07/01 02:34 ぐは……そうでしたか、ごめんなさい。or2

hajichajic 2005/07/01 10:45 にゃあ! そういえば。すみません

genesisgenesis 2005/07/01 21:17 洒落で言っているので,気にしないでください。しかし,愛蔵版でシナリオに修正が加わっているとなると,レビューを書くときには気をつけないといけないなぁ。▼ こうなったら,本文の追記でネタバレ宣言して話を続けます(検索で当所に流れ着いた方を不幸な目にあわせるのは本望ではないので)。

genesisgenesis 2005/07/01 21:24 では,トルティニタ・シナリオはBADルートを辿ったのみという現時点における私の推理(?)を述べておきます。お願いだから,以下の記述については合ってるとか間違ってるとか言わないでくださいね。▼ 解決されるべき課題は(1)降り続く雨,(2)音の妖精フォーニの存在,(3)双子の姉妹――だと思われます。▼ 最初に浮かんだ疑問は,手紙の配達日でした。アリエッタからの手紙は「毎週日曜日の18時」に届きますよね? ヨーロッパに住んだことがある経験からすると,休みの日の,しかも夕方に通常郵便が届くなんておかしいです。それも,制作者の情報収集不足というのなら分かるのですが,祝日である12月25日(ナターレ)や1月1日にも郵便が来るのは,ちょっと疑ってかからなくてはいけない。▼ そういう疑問の目で眺めると,「雨が降り続く街」「妖精と暮らしている」という空間そのものの存在が疑わしくなってきます。これがファンタジーの世界で,ごく当たり前に《妖精》が存在しているのだ,ということなら納得したのですけれど。▼ そこそこミステリー(特に綾辻行人)を読んできた経験からすると,こういう場合には《1人称の部分を疑え》というのがセオリーなんですよね。「フォーニはクリスにしか見えない」というあたりから推測すると,幻想世界と現実世界が混濁している可能性がある。▼ 確か,最初の方で「主人公は人々に避けられている」「友達が極端に少ない」ことをにおわせる伏線があったと思うのだけれど,これが未だ使われていないのも気に掛かる。出自(家柄)が嫌われている原因かとも思ったのですが,それはリセ・シナリオで使われているので違うみたいだし。これは,提示されている情報が少なすぎてわかりません。▼ 他にも,ミステリィでは《双子が出てきたら入れ替わりを疑え》というのもあります。これを適用すれば手紙の件についてはかなり解決するのですが……。▼ 本文で“ONE”と“ひぐらし”に言及しましたけれど,単独のシナリオだけではなく,枠組み構造についてもシミュラークルなのかも,というのは深読みのしすぎかなぁ。この先の展開が楽しみなのですけれど,原稿の締切が迫っているので,10日ほど仕事に専念します。

falsitafalsita 2005/07/01 21:39 お知らせ。こんなサブアカウントを取得しました(笑)

hajichajic 2005/07/01 23:09 うわっ 超羨ましい。ずるい。下さい

一人称というと、実はほとんど全てが一人称ですよ!

genesisgenesis 2005/07/02 01:02 正確には「主観が真実の認識であるとは限らない」のことですけれど。綾辻行人『人形館の殺人』,京極夏彦『姑獲鳥の夏』,森博嗣『夏のレプリカ』――

hajichajic 2005/07/02 23:11 シンフォニック=レイングループへのご参加ありがとうございます。”ゲームクリア?”されたら、ウェブリングにもぜひ。トルタ編はぞくぞく来ませんか。そしてその後…

ELEMENTCROWELEMENTCROW 2005/07/03 05:07 はじめまして、こんにちわ。凄く的確なキャラ解析をありがとうございます。確かに、リセシナリオにおいては厚みがありませんね。上で紹介されてるゲームは一応全てこなしていますが、確かに言われてみるとそう感じます。S=Rの同人誌自体数が鬼のように少ないので探すのに苦労しますが、一応一例として自分のブログにリンク張ってるナベ氏の同人誌を持っていますが、イラストのみで漫画は描かれていませんでした。
ヨーロッパ側の現地情報はとても興味ありました、確かにそう言われればそうかもしれません、製作者側での知識不足という点での解決は納得がいきます。
「雨が降り続く」とかまずおかしいですね、当時の時代年数がハッキリとしないので何ともいえませんが、もし産業革命付近なら酸性雨は避けれません、その場合約1年くらいで建物の外装はボロボロになります。そうでは無くても3年間続けば十分腐食します。ゲームの世界観を考えると明らかにファンタジーな世界であることは否定できませんね。もし、リアリティを追求するならクリスは十度の精神病患者ってことになりますから…。製作者側は実はそんなに考えてないとか思うのは私だけでしょうか? 長々とスミマセン。

genesisgenesis 2005/07/04 09:05 ELEMENTCROWさん,はじめまして。▼ 空間の「リアリティ」をどこで獲得するか,という話なのですが。大抵は《要所》だけ抑えておけば足りますけれど,その《要所》の本来的意味を知ってから眺めると「あれ?」ということがあります。特に私は「どことなくヨーロッパ」な雰囲気のするものに対して,過剰反応しますので(笑)▼ 例えば本作の音楽ホール。オーバル(楕円形)のホールで3階席まであるので,典型的なオペラ座の構造です。ピオーヴァ音楽学院は声楽だけではなく器楽もあるので,それに合わせて作られた施設としてはちょっと変なのです。建物の外観(の古さ)からすると,伝統的なシューボックス型の方が自然だったりする。▼ 本作は何となくイタリアを感じさせてはいるものの,実際の空間に当てはめると難しいですね。歴史面に限って考えるにしても,郵便制度の始まる1840年より遡ることはありません。同国の貴族制度は1946年の王政廃止とともに廃止されているので,それより後ということもないです。▼ 結論としては,深く考えるな――でしょうか。

Monday, 2005/06/27

ファルシータ

[] symphonic rain, 1st movement  symphonic rain, 1st movementを含むブックマーク

 工画堂スタジオくろねこさんちーむ)『シンフォニック=レイン*1の進行状況報告(第1楽章)。

 気の赴くままに振る舞っていたら,アリエッタが迎えにやってきました*2。煙に巻かれながら,最初の分岐を終える。

 大まかな流れがつかめたところで,分岐チャートを入手。ファルシータ・フォーセット(Falsita Fowcett)シナリオへ進む。

 「綺麗」と「美しい」は,似て異なるものである――とは,誰の言葉だったろうか。醜悪なものを目にしても「美しい」と思う感情は湧き起こることがある,と論者は述べていたように記憶している。ふと,そんなことを思い出しながら,ファルの言葉を聞く。

 きっと彼女は,ウツクシイ。

*1:初回限定版:ASIN:B0001FG72E,DVD通常版:ASIN:B0001FG72O,CD通常版:ASIN:B0001FG724,愛蔵版:ASIN:B0009RNAT2

*2:おそらく,トルティニタ篇のBADルート。id:hajic:20050626:p1曰く,「A I Rで言うならバスエンドみたいなもの」。

hajichajic 2005/06/28 12:41 私たちは彼女の言葉が完全な偽であることを確信できる。彼女の言葉、あの反論不能な(少なくとも私には)、しかし完全に間違った理論は、逆説に、真の確実な存在を語っている。言い換えるなら、Falsitaとは真実の裏声に他なりません。だから、それはあんなに醜くて、あんなに美しいのではないのでしょうか。

黒胡椒黒胡椒 2005/07/01 02:28 ファル様の魅力は言葉では語り尽くせない。ちなみに私の中ではファル様、フォーニ、トルタは同着首位。

Sunday, 2005/06/26

少女まんがの系譜

[] 少女まんがの系譜  少女まんがの系譜を含むブックマーク

 二上洋一(ふたがみ・ひろかず)『少女まんがの系譜』(ISBN:4901978578*1読了。

 著者は1937年生まれ。集英社で少女まんが誌の編集に携わってきた人物。本書では、昭和7年に田河水泡によって少女まんがが誕生したと捉え、その後の60年間に渡る系譜を辿る。基本は編年体。○○年に××が△△を描いた――という平板な記述が連なる。時代を約10年単位で区切って章立てし、各章の冒頭で2〜3頁ほどの叙述を挟んでいるが、大したことは言っていない。

 失礼を承知で申し上げる。あまり出来の良くない本だと思う。

 少なくとも私は、途中に織り込まれた作家論に価値を感じない*2。評論としての質は劣る。編年体の部分についても、著者本人の言葉で語られているのは、著者と関わりのあった作家にまつわる「こぼれ話」の域を出ないものが多い。

 要は、お歳を召された方の追憶なのだ。「あの頃には、こんなことがあってねぇ」という。系譜を辿るということなら、巻末に掲げられたヤマダトモコ氏による『少女まんが作品年表』の方に価値がある。

 ただ、本書に価値を見いだせないというのは、現時点における私の評価でしかないのかもしれない(これが最大限の譲歩)。本書を出版した意図を、著者自身は次のように述べている。

 本来、この稿の目的は、手許に集まっている資料が散逸する前に、一冊にまとめておいたら、後代の研究者の小さな一助になるのではないかと考えたのと、ああ、あの時代にはこんな作品があったのかと思い出す縁(よすが)になれば幸いという軽い気分で始めたことに過ぎなかったのです。

(“おわりに”より引用)

つまり、少女まんがの『ユーカラ』を目指したのでしょう。古老が自ら筆を取り、記録として書き留めたもの。本書に価値が出てくるとすれば、口承できる語り部が死に絶えた後になってからだと思う。

 本書は「昭和の後半に活動した漫画編集者が同時代的に少女まんがをどう見ていたのか」を推測するための一次資料。将来、少女まんが評論を志そうと思っているものが手許に置いておき、必要に応じて必要な箇所を参照するのが精々だろう。逆に言えば、そうした研究欲に欠ける読者は、いつまで経っても本書に価値を見いだせそうにない。

 興味深いことに、本書には図版が1枚もない。作品論ないし作家論として記したのであれば、引用するのが自然なところなのに……。きっと著者は、二上洋一についての回想録を書いたのだ。そう思えば、合点がいく。


▼ おとなり書評

著者はもうすぐ70歳になろうとする、元・集英社編集者のかたですが、何のための本なのか、よくわからん。結局、ヤマダトモコ作成の労作(中略)、少女マンガ作品年表だけが役に立つという、困った本です。

http://mandanatsusin.cocolog-nifty.com/blog/2005/06/post_7b43.html(漫棚通信)

*1ぺんぎん書房、2005年6月

*2:第5章「王道を奔る二人」で里中満智子一条ゆかり、第8章「感性の結晶」で内田善美くらもちふさこを取り上げている。

Saturday, 2005/06/25

[] 大学院はてな :: 整理解雇  大学院はてな :: 整理解雇を含むブックマーク

 研究会にて、ジ・アソシエーテッド・プレス事件(東京地裁判決 平成16年4月21日 労働判例880号139頁)の検討。

 世界最大の報道機関であるAP通信(のNY本社)が、東京支局の写真部門を縮小しバンコクへ移転させることを計画した。これを食い止めるため、支局が人員の削減を試みたが、裁判所は認めなかったという事件。

 結論としては妥当。利益が出ているし、役職者の給与を引き上げているし、定年を迎えた者の再雇用をしていたりもしているので、そもそも整理解雇の必要性に疑いがあるのは当然であろう。

 問題は、東京地裁の判決文。昭和40年代の後半、オイルショック&ドルショックの時期に、裁判所は「整理解雇の4要件」と呼ばれる判例法理をうちたてた。すなわち、整理解雇が有効と認められるためには(1)人員整理の必要性があること、(2)解雇回避努力義務を尽くしていること、(3)被解雇者の選定に合理性があること、(4)手続が妥当であること――を必要とするというものである。

 このルールは、六法をくまなく探しても、どこにも載っていない。労働法の難しさは、国会が定めた法律(=実定法)よりも、裁判所が実状に合わせて判断を積み重ねることにより打ち立てられたルール(=判例法理)に重きが置かれていることにある。端的に言って、わかりにくい。これは、労働者団体と使用者団体の利害が一致しないので、実際に運用されているルールを法律の文言に吸収しにくいという政治的な理由が背景にある。

 それはさておき。「整理解雇の4要件」は、色々な批判を浴びながらも30年以上に渡って使われ、認知されてきたルールである。それが本件では準用されていない。これまでにも、裁判所が独自の見解を打ち出すことはあった。しかし本件のように、整理解雇は妥当性を欠くという結論にありながら、4要件を使っていないというのは珍しい。

 裁判所は、次のように判示した。

人員削減の必要性があったか、人員削減の手段として指名解雇を選択する必要性があったか(解雇回避努力義務の履践)、被解雇者選定が妥当であったかという観点から総合的に検討するのが相当である。

 つまり3要件になっていて、手続要件が意図的に排除されている。その意図を測りかねる、というような議論を交わしてきた。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/genesis/20050625

Thursday, 2005/06/23

シンフォニック・レイン

[] symphonic rain, prelude  symphonic rain, preludeを含むブックマーク

 工画堂スタジオシンフォニック=レイン』の序盤、ファルシータ(添付画像)との最初の音合わせまで。明日、愛蔵版(ASIN:B0009RNAT2)が発売されます。その前に触れておかないと、せっかく買ってきた通常版(ASIN:B0001FG72O)に申し訳ないような気がして。

 内容については改めて述べることにして、第一印象を。「ミュージック・アドベンチャー・ゲーム」というだけあって、音響が美しい。

 ただ―― いま、目眩いがしてます。吐きそう。

 このゲームには「ミュージック・アクション・パート」というものがあります。画面上を流れる音符に合わせてキーボートを叩き、音を重ねていくというものなのですが…… そこで酔いました。私は流れる画面を見つめていると気持ちが悪くなることがありまして。映画を観ていても良く起こるのですが。

 この部分は飛ばしても差し支えないように設計されているのは助かりました。そうでなければ、健康上の理由でゲームが進められない、という情けないことになっていたかも。

hajichajic 2005/06/24 01:17 ファルさんはこの物語の中で、とても重要な存在です。何もかもが極めて曖昧な物語の中で、ただ一人彼女のみが提起した明確な問いは、しかし、それがあまりにも核心を突き過ぎているがゆえに、誰からも忘れ去られてしまう。けれど彼女のモチーフは、まさにこの物語そのものです。薄汚れた二枚の銀の羽、いつか誰かと分け合うべき喜びの歌の翼。その名はFarsita=”Falsetto”。

genesisgenesis 2005/06/25 00:09 うわ〜 うわ〜 先入観を与える発言はダメーっ!! 私は、ネタバレを聞かされた後でもミステリーを読むので、一般的には問題ないのだけれど。でも、いまこの時機に言われると、殺意が湧くかも(笑) hajicさんは“BITTERSWETT FOOLS”を終わらせておくよーにっ。

hajichajic 2005/06/25 00:38 ごめんなさい ・゜・(ノД`)・゜・ 万難を排してBSFを入手します。

genesisgenesis 2005/06/28 01:30 ファル・シナリオを終わったので,当所における制限を解除します。▼ まず,ファルシータ(Falsita)の綴り間違えてますよ。Lに修正して,意味が通じました。というか,「製作者の意図を超えて理解してしまった」というか。スペイン語だと“falta”のことですね。

hajichajic 2005/06/28 01:59 あ、本当だ…(つД`) まさにfalta。でも彼女の言っていることは、たぶんveritaです…

Wednesday, 2005/06/22

Google Maps

[] Comic Baton  Comic Batonを含むブックマーク

 2度目は断ろうと思っていたのですが、他ならぬ id:tanizakura:20050622 さんからの頼みを断るのは、人の道に反しますので。ただ、項目列挙に留めます。

Total volume of comic on my Bookshelf

 1,515冊です。

f:id:genesis:20050623093731:image

Comics thought to be interesting now

The last comics I bought

Five comics I read to a lot, or that mean a lot to me

Five people to whom I'm passing the baton

 前回と同じお三方に、手を差し出しておきます。お気に召さなければ、掴まないでくださいませ。

id:KusanagiMikan id:lapis id:yamazakura

Tuesday, 2005/06/21

武田「成果主義」の成功法則

[] 武田「成果主義」の成功法則  武田「成果主義」の成功法則を含むブックマーク

 柳下公一(やなした・こういち)『武田「成果主義」の成功法則――わかりやすい人事が会社をかえる』(ISBN:4532192749)読了。

 書名からもわかるように、成果主義の推進論者による成果主義の礼賛。必要に迫られて読んではみたものの、終始「ムナクソガワルイ」という意識が抜けませんでした。まるで、彼氏彼女が出来てラブラブな人に延々惚気話を聞かされているような気分。成功者が自己の成功体験を述べている書なので、これはどうしようもない。

 武田の場合、MR(医療情報担当者)や研究職を厚く遇し、他社からの引き抜きにあわないような報酬を支払う体制とすること――が出発点になっている。そのために賃金原資を増やすということを行ったようです。そうすると、柳下氏が自慢しているのは本当に成果主義による成果なのかどうか疑わしい。武田薬品の好調な業績に支えられて、不満が表面化していないだけのことなのかもしれないからです。また、スモン訴訟の影響で40歳代の従業員が極端に少ない、という歪な年齢構成を逆手に取っていることも見て取れます。

 労働問題を分析していると、人事処遇の改変でトラブルが起こるのは、大体において賃金原資が減らされている場合。これから先、武田薬品の業績が鈍化した局面で、この人事制度の真の強度が試されることでしょう*1。今は未だ、「成功」したかどうかを判断できる局面ではないように思います。

 柳下氏が「成果主義」と呼んで導入したものの骨格は、ヘイシステムそのもの。柳下氏が「成功」と言っているのは、人事評価制度をそっくりヘイシステムに置き換えてしまったということ。ヘイシステムは経営学をちょっとかじると登場してくるので珍しくもないのだけれど、ここまで徹底的に導入したのは珍しい。でも、それって日本的経営とは相容れないものなのだろうかという疑念がふつふつと。

http://www.haygroup.co.jp/system/index.shtml

 柳下氏が何に取り組んできたかはわかりました。それを自ら積極的にアピールすることも必要。しかし、それを自分自身で肯定するのは如何なものでしょうか。評価は、従業員に聞かなくてはわかりません。

 最終章に掲載されているアンケートからすると、この制度を好意的にみているのは裁量労働に就いている者(営業職944名と研究職213名)が多い。定型的業務に就いている者(事務職1186名と技能職1530名)からは支持を受けてはいないように見える。

 加えて、本書でも明かされているのですが、やりがいのある仕事(ポスト)が足りないという状況は既に発生しているようです。パイの奪い合いという事態が顕在化したとき、それでも柳下氏は同じように言い続けるのでしょうか。槍玉に挙げられている「日本型経営」だって、経済成長を遂げていた時期には持てはやされていたのです。

 成果主義によってタレントをスターにすることは出来ることはわかりました。でも「その他大勢」は?

 もうひとつ、労働組合法の研究者として気になったことを。本書では随所に「組合員」という表現が出てきます。何のことかと思ったら、幹部職員=非組合員であることの裏返しとして、役職に就いていない非幹部職員のことを「組合員」と言っているのです。

 う〜ん……

 私は、企業別組合やユニオンショップといった日本特有のシステムが悪いとは思っていません。しかし、こうもあからさまに家族主義的な労働組合の姿を見せつけられると、さすがに心配になってしまいます。地域組合や管理職組合などが組織化して第二組合を作ったとき、果たして冷静に対応できるのでしょうか。

▼ 参考

*1:2005年6月10日付け朝日新聞の報じるところによれば、米国での特許が2012年までに切れる主力3品目が、連結決算の売上高の45%を占めているとのこと。

o-tsukao-tsuka 2005/06/22 17:41 武田薬品の組合は御用組合の走りだったらしいですよ。元々、なぁなぁな社風だった模様。だから改革が必要になったんでしょうけど。
 社会の階層化については、「必然」とクールに書かれてましたね。まぁ、実際そうなんでしょう

genesisgenesis 2005/06/22 22:11 本書のご紹介およびコメントどうもありがとうございます。▼ 階層化という部分ですが、日経連が1995年5月に発表した『新時代の「日本的経営」』で、「コア人材」という概念が打ち出されておりました。武田薬品(というか柳下氏)が取り組んだのは、その先取りですね。企業の競争力を高めるために、ごく少数のコア人材を峻別し優遇する施策が採られるのは致し方ないことなのかもしれません。しかし、パイそのものが大きくならない状況下では、1人のコア人材を優遇するために19人の周辺的労働者が冷遇されます。こうした社会的格差の拡大について、私は釈然としないのです。ここで納得してしまったら、労働法学のアイデンティティに関わりますし(^^;)

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/genesis/20050621

Sunday, 2005/06/19

私の好きな日本

[] 私の好きな日本  私の好きな日本を含むブックマーク

 リンボウ先生、今日も行く。北は知床、トロロコンブの丼飯を食らう。南は薩摩、遠き昔の鑑真和上を思う。房総に桃源郷を見て、飛騨に匠を訪ねる。

 林望(はやし・のぞむ)『私の好きな日本』*1は、17の旅を収めたもの。小泉佳春氏の手になる写真が素晴らしい。日本人の原風景が此処にある。名随筆家と謳われるリンボウ先生の文章すら霞んでしまう。

*1JAF MATE社より、2001年7月刊行。ISBNなし。

Saturday, 2005/06/18

ローマの休日ひとり歩き

[] ローマの休日ひとり歩き  ローマの休日ひとり歩きを含むブックマーク

 佐藤幸三(さとう・こうぞう)『ローマの休日ひとり歩き』(ISBN:4582633617)を眺めて楽しむ。

 表紙にオードリー・ヘップバーンの写真が埋め込まれていることからわかるように、映画『ローマの休日』の便乗もの。本書が決定的にまずいのは、映画との連動が弱いところ。映画で登場したロケ地がどこであるのかは、本書を見ればわかるようになっている。しかし、映画から引用した画像はたったの4コマ。しかも、掲載されている実在する場所の写真とは咬み合っていない。本書の過半は、映画とは関係ないのだ。これでは、看板に偽りあり、と非難されても致し方あるまい。舞台探訪のプロ(?)である私から言わせてもらえば、これで商品にするなど意気込みが足りない。

 観光ガイドブックとして読むなら悪くない作りなのだが、これといった特色もない。観光名所は偏りなく取り上げられているが、文章が徹底して主観を排除しているため、平板な構成。写真に添えられたキャプションの域を出ておらず、読み物としては面白くない。著者は1935年生まれで、東宝の宣伝部にいたことのあるカメラマンとのこと。それにしては、撮影条件の悪いものも何枚か混じっている。

 個人旅行でローマをじっくり歩き回りたいという人にとっては、訪問地選びの資料として本書は有用だろう。

――って他人事のように言ってますが、秋休みの旅行で悩んでいるのです。日本からスペインへの直行便はないので、必ずどこかで乗り継ぎが必要になります。経由地をパリ(ルーヴルで絵画鑑賞)にするか、それともローマ(ガンスリ徹底取材)にするか……。

Ciao Frtatello!

 さて、本書には国立絵画館(バルベリーニ宮)が紹介されています。ここが『GUNSLINGER GIRL』の第17話*1で登場していることは既に指摘していたところですが、相田裕が参考資料として使用したのは本書のようです。左がガンスリンガー・ガール、右が本書からの引用。

f:id:genesis:20050618233949:image

*1:単行本第3巻(ISBN:4840226229)所収

hajichajic 2005/06/19 22:58 個人的にはノートルダムの裏側のロケットみたいな飛び控え壁を見に行きたい今日この頃です。

Friday, 2005/06/17

[] Musical Baton  Musical Batonを含むブックマーク

 id:hajic:20050617#p1 さんから押しつけられました。あぅあぅ。

今パソコンに入っている音楽ファイルの容量

 5,728,319,339 bytes (1,552 曲)

(1)クラシック、(2)アニメもの、(3)ゲームもの、(4)声優ものが同割合

最後に買ったCD

f:id:genesis:20050617193429:image

 “BITTERSWEET FOOLS Dolce” (ASIN:B00007M8XE

 今年に入ってから購入したのは2枚だけです。気に入ったものを、じっくり聴き続けるので。

今聴いている曲

 φ

よく聞く、または特別な思い入れのある5曲

 大バッハは、深夜作業のお供。

 下3曲は、仕事の行き帰りに繰り返し聞いていることが多い。なんとなく安全運転ができるような気がする。

次の犠牲者

 fumica.comメンバーから、はてな系の3人に渡します。

id:KusanagiMikan id:lapis id:yamazakura

Thursday, 2005/06/16

もとちゃんの夢日記

[] もとちゃんの夢日記  もとちゃんの夢日記を含むブックマーク

 新井素子(あらい・もとこ)『もとちゃんの夢日記』(ISBN:4041600081)読了。

 1995に刊行されたエッセイ集。パソコン通信時代、高千穂遙氏が運営するボード「茶房てくにか」に著者が書き込んだログを内容別に整理したもの。

 第一章『夢日記』は、夢で見たけれど小説のネタにはならないものの披露が続く。夢が物語になるように習練を積んだ、というだけあって、荒唐無稽ながら整合性のある「お話」になっている。その訓練の内容についても紹介されているのだが……夢の辻褄が合わなかったら、もういちど夢を見直すって(汗)

 第二章『旅日記』。え〜、どうやったら、こんな予定外のことが続々起こる旅が出来るのか、私にはわかりかねます……。

 今から考えれば、1970年代の終わりにアライモトコが出現したことの衝撃は、同時代的にはものすごく大きなことだったのだなぁ。作品ではなく、作者が興味対象となる作者萌え。あるいは、作者が「作者」というキャラクターになることへの自覚的な態度。時代の先を行っていた存在であることに改めて気づかされる。

 私は、最初に買ったエッセイが『ひでおと素子の愛の交換日記』だったという読書遍歴を持っているので、アライモトコが基準だったのです。それが特異な存在であることに気づいたのは、だいぶ後になってからでした。

Tuesday, 2005/06/14

[] 森博嗣 Φ+θ  森博嗣 Φ+θを含むブックマーク

 森博嗣(もり・ひろし)の新シリーズ『Φは壊れたね』(ISBN:4061823922)と『θは遊んでくれたよ』(ISBN:4061824317)を読む。

Φは壊れたね (講談社ノベルス) Θ(シータ)は遊んでくれたよ (講談社ノベルス)

 新ヒロインは、『幻惑の死と使途』でゲストをつとめた加部谷恵美(かべや・めぐみ)。初登場時には「大人びた印象を受ける利発な中学生」だったのが、「精神的な成長の度合いが通常よりもゆったりしていて、家事技能には発展の余地が多分に残されている」大学2年生に。なんか、女性に恨みでもあるのでしょうか、この作者は(笑)

 探偵役に起用されたのは、加部谷と同学年の海月及介(くらげ・きゅうすけ)。犀川創平と類似した思考ロジックの持ち主として描かれる。講座の先輩として西之園萌絵を登場させることで旧シリーズとの関連性を保ちつつ、適度な距離感を持たせている。犀川助教授が登場するだけでミステリィが解決する状況になっていましたからね(まるで取調室におけるカツドンのようだ)。

 『Φ』『θ』のいずれとも奇抜さで楽しませてくれる。けれど、読んでいる最中は、何が謎なのかがわからなくて腹立たしくなってくる。実際の事件処理の状況に近い問題状況とも言えるのだけれど……

 さて、この“Gシリーズ”10作(?)を通しての大きな謎は、どこに仕掛けられていくのか。あからさまに怪しいのは海月及介の過去ですが(Φの23頁)、これがどう利用されていくのでしょうか。

Sunday, 2005/06/12

愛の年代記

[] 愛の年代記  愛の年代記を含むブックマーク

 塩野七生(しおの・ななみ)『愛の年代記』(ISBN:4101181012)読了。

 中世からルネサンス期にかけてのイタリアを舞台とする愛欲の姿を綴った9編が収められている。

 単行本(ISBN:4103096292)が出たのは、1975(昭和50)年と古い。著者の若かりし頃の作品だけあって、随所に「危うさ」を含んでいる。身を滅ぼすような恋に対する賛辞が隠れ見えるのだ。

 断片的な史実を、著者の空想力で結びつけ、物語とする手法は塩野ならではの味わい。いずれも面白い。

Thursday, 2005/06/09

[] 大学院はてな :: 科学技術ナビゲーター  大学院はてな :: 科学技術ナビゲーターを含むブックマーク

 来る10月から、北海道大学で「科学技術コミュニケーター養成ユニット」が始動します*1。そこでスタッフを公募しているのですが、私も応募してみることにしました。今日、ユニットの主任教授を訪問し、詳しい話を聞いてきたところ。

http://fox44.hucc.hokudai.ac.jp/~scicom/

 私は労働法が専攻です。でも、法律学のスペシャリストというには能力が足りないことを自覚している。大学院に10年間も留まっているなんて、二流もいいところです。まぁ、その分いろんなことに足を突っ込み、ゼネラリストになることで補おうとはしてきました。最近ではマンガ評論に精を出していたわけですが、さすがに職業として評論家をやっていくのは無理であることを確認(笑)

 今回、学際分野での人材募集をみているうちに、「私に演習を担当させてくれたら、少しは面白いことができるんじゃないだろうか」と考えた次第。思いついたアイデアは、書評を使ったコミュニケーションの演習。元ネタは、5月12日付けで表明しています*2。これを科学技術向けにアレンジして、企画書を書いてみました。具体的には、

  • (1) 受講生は、最近刊行された新書(講談社ブルーバックスなど)を読み、800字程度の書評を書く。
  • (2) それを他の受講生が読み、内容の妥当性(真偽)を検討し、コメントを寄せる。
  • (3) ゼミの場では、執筆者がオーラル・プレゼンテーションを行う
  • (4) そのうえでコーディネーター(=私)が、面白さ&わかりやすさという観点から助言する

というもの。

 なぜ新書を使うかというと、今日において《知》の広報担当官を務めているのは新書だ、という認識があるからです。しかし、自然科学系の新書について関心が向けられることは驚くほど少ない。身近な例で言うと、「はてな年間100冊読書クラブ」の読書記録に理科系の書物が登場することは珍しい。ましてや、元の本を読んでみたいと思わせてくれるような書評に出会うことなど滅多にない。

http://book100.g.hatena.ne.jp/calendar

 どんなに素晴らしい知識を得たとしても、発見した《知》の面白さを次の人に伝える努力を怠ってはならない。発見者が自分自身で伝えられないというなら、代わって伝達する役目を担う人が必要だ――私は、「科学技術コミュニケーター」の存在意義を、このように把握しました。社会科学を出自に持つ私は、専門的な間違いを正すことはできません。でも、畑違いであることを逆に利用すれば、どこに発見者と受益者を隔てるギャップがあるのかを指摘することはできるのではないか。

 自然科学は面白いです。でも、どこにどのような《知》があるのか、良く見えない。そこで、受講生に《知》の見取り図を作ってもらってはどうか、と思ったわけです。私のイメージするところは、科学技術の案内人(ナビゲーター)育成。どっちにしても Netscape だ。いっそのこと、研究者のことを科学技術コンポーザーと呼んでみましょうか(笑)

 受講生同士が連携して互いに高めあうのがゼミナールの醍醐味ですが、本気で取り掛かると時間がかかってしまう。そこで、準備作業の部分にグループウェアを導入することにより、時間的・場所的制約を軽減するというアイデアも織り込んでみました。ヴァーチャル授業は授業の進行状況(ちゃんと資料に目を通しているのか)を把握しづらいという難点があるのですが、そこはオーラル・プレゼンテーションの場で確かめつつ進めてみようと思う。

 また、成果を広く社会に還元するということも忘れてはならない。課題として提出された書評を読んだ人が、面白そうな学問領域があると気づいてくれれば、科学技術ナビゲーターの役割を果たしたことにもなる。

 応募前から手の内をさらけ出していますけれど、もし他の誰かがもっと上手くやってくれるなら、私が無理してやることはないのです。このアイデアを面白いと思ってくださるならば、役立てて欲しい。


 追記。

 書き忘れていたのですけれど、面白いエピソードがありました。

 もし採用された場合、現在の身分(学籍)をどうするのか、という話をしていたのです。そこで私が「博士課程を単位取得退学することになりますね」と(当然のことの確認のつもりで)答えたら――いろいろ聞かれました。法学部だったら、言わずもがなのことなのに(汗)。やっぱり文系と理系って、ぜんぜん世界観が違うよ……。

*1:同種のものが、東京大学では「科学技術インタープリター養成プログラム」、早稲田大学では「科学技術ジャーナリスト養成プログラム」として開かれる模様。

*2http://d.hatena.ne.jp/genesis/20050512/p1

けけみけけみ 2005/06/11 08:06 はじめまして。
科学コミュニケーションに興味を持っている理系大学院生の、けけみ と申します。
書評を書くという演習も面白そうですね。せっかくなら、新聞向け、科学雑誌向け、一般週刊誌向けなど、対象をさまざまに変えて、書評を書いてみたら面白いと思います。読み手を意識して書き分ける良いトレーニングにもなると思います。やはりコミュニケーションは相手を想定するところから始まると思いますので。
採用されると良いですね。
http://blog.so-net.ne.jp/kekemir/2005-06-02-1
http://blog.so-net.ne.jp/kekemir/2005-06-05

genesisgenesis 2005/06/11 12:57 けけみさん、コメントありがとうございます。付記していただいたエントリーは拝読いたしておりました。▼ ご指摘にもあるように「誰に向けて伝えるのか」という意識が、科学技術の発信者には脱落していたのかな、と思います。私の場合には、塾で教えていた中学生だとか、専門学校で受け持っている学生といった人達を《客層》と想定して振る舞いますけれど。▼ タヌキの売り上げ予測になってもいけませんから、ここで留めておきます。結果はともあれ、こういった分野に感心を持っていることに変わりはありませんので、お気づきのことをお聞かせいただければ嬉しく思います。

genesisgenesis 2005/07/17 16:27 後日談。不採用になりました。通知によると,63人の応募があったそうです。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/genesis/20050609

Wednesday, 2005/06/08

BLOOD ALONE vol.1

[] BLOOD ALONE  BLOOD ALONEを含むブックマーク

 高野真之(たかの・まさゆき)『BLOOD ALONE』〔1〕(メディアワークスISBN:484022921X)。

 売れない小説家クロエと、その庇護を受けて暮らす吸血鬼ミサキのお話。とはいえ、そうした設定については輪郭が垣間見られるのみ。まずは物語を示す、という作品づくりの態度には好感が持てる。

 この作品は、重厚で瀟洒(しょうしゃ)な雰囲気を備えている。物語進行で夜間になる場面では、コマの間隙を黒ベタにしている。これにより、本作が黄昏を生きる者の物語であることが意識づけられる。作品の位置づけを「ヴァンパイアもの」という観点からみると、意外なまでに正統派*1

 ミサキはかわいらしい。その身に高貴さを漂わせていながら、ちょっとしたことで崩れおれてしまう未熟さがいい。どことなく、遠坂凛Fate/stay night)に通ずるものがある。

 もともとは「クロエとミサキシリーズ」として同人誌に発表されていたものだそうだが、このような作品が商業化されることは喜ばしい。私は、もう5年近く同人誌から離れていたのだが、その間に本作のような作品に接する機会を失っていたことは悔やまれる。

 もっとも、“BLOOD ALONE”が名作になれるのだろうかというと、現時点では判断がつきかねる。見ていて微笑ましい、のだけれど、心に残るというのとは違う。まぁ、第1巻は長大な序章であるから、ここで判断を急ぐのは野暮というものだろう。ともあれ、本作に包み込まれた甘く優しい空気はなかなかのもの。表紙を眺めて気に入ったのならば、是非とも買い求めてみることを薦める。

▼ おとなり書評

絵柄だけでも見る価値は充分あります

http://d.hatena.ne.jp/./izumino/20050312#p1

おそらくこれから先しばらく、電撃の新たな顔となる作品だろうと思います。

http://b-chief.org/archives/2005/03/publood_alonev.html

*1:吸血鬼ものの比較対象として『月詠「かりん」献血ラッシュ』が手近にあると、『ブラッド・アローン』が王道を歩んでいるように思える不思議。

Monday, 2005/06/06

[] かりん  かりんを含むブックマーク

 影崎由那(かげさき・ゆな)「かりん」の第1巻から第5巻までを読む。

かりん (1) (角川コミックスドラゴンJr.) かりん (2) かりん (3) (角川コミックスドラゴンJr.) かりん (4) (角川コミックスドラゴンJr.) かりん (5) (角川コミックスドラゴンJr)

 吸血鬼もの――なのですが、ちょっと“ひねり”が効いています。ヒロイン真紅果林(まあか・かりん)は在日三世のヴァンパイア。なのに、血が増えてしまう増血鬼。月に一度のアノ日には、噛み付いて献血しないと鼻血が吹き出してしまう特異体質。しかも不健康な(?)昼型生活。

 もう1つの特徴は、血の嗜好という要素を組み入れているところ。母は「嘘つき」の血を好む(苦み走った辛口であれば尚良し)。兄は「ストレス」を含んだ血(の持ち主である10〜50歳の女性^^;)が好み。では、かりんはというと……

 こうした舞台設定のもと、同級生・雨水健太とのラブコメが展開される。小気味よく話が進んでいき、飽きさせない。各巻ごとに少しずつ外伝を折り込み、周辺の人物について掘り下げていくというのも好感が持てる作り。

[] あゆ  あゆを含むブックマーク

 マンガは初めて読んでみたわけですが、好印象を与える作家です。十年以上前から存在は知っていたのですが、これまで避けていたんですよね。どうしても影崎由那の絵を見ると、おぞましい感覚が本能的に呼び起こされて。

 自分でも理由を忘れていたのですが、先日、倉庫を眺めていて思い出しました。

 『あゆ』のせいだ。

 影崎由那というゲームクリエイターの存在は、かなり古くから知っていたのです。“A I R”で霧島聖の医院が出てきたとき、『霧島診療室の午後』を思い出したくらいなので*1

 問題は『あゆ』です。

 これは1996年9月に、BELL-DA(ベルーダ)というソフトハウスが発表。PC-9801からWindowsへのパラダイムシフトが起こったことを象徴する作品でした。ポイントは3つ。(1)FDからCD-ROMへと媒体の大容量化、(2)98VM仕様(4096色中16色)から256色へ、(3)音楽・音声の収録。

 もっとも、これらの技術はFM-Townsであれば登場時から実現していました。PC-98でも、既にSUCCUBUS『禁忌 -TABOO-』が貧弱な環境でありながら声を再生するという偉業を達成しております。それがマルチメディア時代になると、特段の労苦を必要とせずに実現できるようになったわけです。そうした時代の転換点を象徴し、体感させたのが『あゆ』。

f:id:genesis:20050607004654:image

 そこまで重要な位置づけにあるのに、どうして忘れていたのかというと、記憶を閉じこめていたようです。うっかりリプレイしてしまい、悶絶。封印解除レリーズしなきゃ良かった……。とにかく「電波」な声で充ち満ちているのです(展開も)。一言で表現すると白痴。ちなみに、『あゆ』のゲームシステムはアリスソフト『あゆみちゃん物語』(1993年)の応用で、新規性は皆無でした。

http://erogamescape.ddo.jp/~ap2/ero/toukei_kaiseki/game.php?game=30

*1:May-Be SOFT の作品。1995年8月発表。影崎由那が原画を担当。

Friday, 2005/06/03

GUNSLINGER GIRL 5

[] ガンスリンガー・ガール〔5〕  ガンスリンガー・ガール〔5〕を含むブックマーク

 相田裕GUNSLINGER GIRL”第5巻(ISBN:4840230722)読了。

 言いたいことはあるのに、言葉にならない。

 先日、第4巻までの状況をもとに「ポスト・セカイ系」としての評論を試みたところであるが、今のところこの枠組み認識を変更する必要は感じていない。むしろ、第5巻を経て【関係性】は複雑さを増している。第24ないし25話における五共和国派サイドの視点が加わることにより【中状況】が複眼化され、パラレルな構造になっている。正義が相対化された物語空間では、従前のセカイ系の枠組みは成立しえない。むしろ、ポストモダンで失われたはずの「大きな物語」が浮上してきている。

http://d.hatena.ne.jp/genesis/20050426/p1

 もはや此処に至っては、本作の評価は「誰の死をもってあがなうのか」によって決するほかない。もし、登場キャラクターすべてが戦いをやめたならば……。そのような仮定は、甘ったるい妄想の域を出ない。

 読者にとっての正義を実現するためならば、次のような解決が大団円かもしれない。五共和国派を追われたフランカらとヘンリエッタ達が手を携え、悪しき政治家に立ち向かいマキャベリストを駆逐する……。だが、それもまた虚しい。いかに読者が革命分子に正義を見出したとしても、国家=一般市民から見れば、彼女らは社会に害を為すテロリストなのだ。“GUNSLINGER GIRL”がプロレタリア文学として結末に至ったならば、それはきっと滑稽なものに違いない。

 本作のドラマツルギーは、キャラクターの死を要求する。哀しむなかれ、最も愛すべき者が捧げものになろうとも。知れ、これはガンスリンガー達の受難劇*1であることを。

http://d.hatena.ne.jp/genesis/20050324/p1

バッハ:マタイ受難曲 抜粋

Wir setzen uns mit Tränen nieder(私たちは涙を流し、ひざまずき)

Und rufen dir im Grabe zu:(あなたの墓に呼びかける)

Ruhe sanfte ruh'!(眠りたまえ安らかに、安らかに眠りたまえ!)

Ruht, ihr ausgesognen Glieder!(眠りたまえ、神に選ばれし御身体よ!)

J.S.バッハ『BWV244 マタイ受難曲』第78曲より*2


▼ おとなりコメント

*1:〔伊〕La Passione 〔英〕Passion play

*2:岡本和子訳

hajichajic 2005/06/04 19:56 GSGを”受難劇”とするならば――つまり苦しみを受けて葬られ、死者の内から復活した彼(女ら)による、救いの物語だとするならば――人の罪を贖い、奇跡を実現した後、必然的に彼(女ら)は、また天に帰らないといけない。ああ、確かに全滅コースです。悲しい。福音の物語はこの先どこへ行くのでしょうねえ。

genesisgenesis 2005/06/05 01:51 彼女たちのセカイに救いはもたらされるのか――というように考えていたら、キリスト教との関連性が浮かんできたのです。あぁ、これは「受難劇」であって、もしかするとガンスリンガー達の《死》こそが福音をもたらすのではないか、と。▼ イエスはゴルゴダの丘でロンギヌスの槍に突かれた後に蘇る。《死》からの復活を経てイエスはメシア(救世主)となった。そして、弟子の前に現れて神の国について説き、やがて神の御許へと赴きます。『ガンスリンガー・ガール』が描く今は、メシアが地上に留まっていた40日間なのだろうか。▼ 肉体から義体への移行は、明確には述べられていませんが、それはまさしく《死》そのもの。ヘンリエッタやトリエラは《死》からの復活を遂げた超越的存在なのです。肉体を捨て去ったことにより、彼女たちは原罪(original sin)から解き放たれています。▼ そう考えると、この物語の終末、彼女たちが姿を消していくのは、むしろ自然なことのように思えてきます。その時、私たちは地上に取り残されるのでしょう。

hajichajic 2005/06/06 01:27 なるほど、”義体”とはつまり”義である体”であるということになりますね。さて、取り残されるべき私たちに、聖霊がくだって、福音をべらべらと語ることができると良いのですが。

genesisgenesis 2005/06/08 19:11 ほえぇ、儒教の徳目(仁・義・礼・智・信)までは考え至りませんでした(^^;

hajichajic 2005/06/08 22:16 いやあ、屁理屈はどこまでもというか、意味の無限に乾杯というか。(´・∀・`) 

ちなみに義という言葉はキリスト教の文脈では「罪のない」くらいの意味で使われているようです。塩狩峠の「義人なし、一人だになし」というあれですね。

Thursday, 2005/06/02

[] アートアニメーション  アートアニメーションを含むブックマーク

 日本の古いアニメーションを上映するというので、映像・表現文化論講座(文学研究科)へとお邪魔する。鑑賞したのは、紀伊國屋書店『日本アートアニメーション映画選集』。DVD12巻組で定価378,000円という、個人ではまず入手困難なもの。

http://www.kinokuniya.co.jp/02f/d12/2_12000n_9.htm

  • 瀬尾光世『桃太郎の海鷲』(1942年、37分)
  • 大藤信郎?『西遊記 孫悟空物語』(1926年、8分)
  • 岡本忠成『チコたん ぼくのおよめさん』(1971年、12分)
  • 山本早苗?『日本一 桃太郎』(1928年、12分)
  • 瀬尾光世『一寸法師 ちびすけ物語』(1935年、10分)

あと、別な作品集から

も。

 昭和初期の段階でのアニメーション技術を侮っていました。ものすごくレヴェルが高い。《物語》については考えてしまうか、そもそも語るべきものがないのですが。

hissahissa 2005/06/04 08:03 このDVD、発売記念上映会なぞ見てきた経験があります。絵のクオリティが凄く高いんですよね。戦前のアニメは。そうか北大に所蔵されてるんだ……。

genesisgenesis 2005/06/05 00:26 もったいないですよね、これだけ質の高いものが広く出回っていないなんて。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/genesis/20050602

Wednesday, 2005/06/01

BITTERSWEET FOOLS

[][][] Ciao Fratello!  Ciao Fratello!を含むブックマーク

 相田裕GUNSLINGER GIRL” & minoriBITTERSWEET FOOLS”の舞台探訪《チャオ フラテッロ!》に増補加筆を行いました。

http://sowhat.magical.gr.jp/ciao/fratello.html

 他にも幾つかポイントの判明しているところはあるのですけれど、手元に写真素材が無いのでお目にかけられずにいます。う〜、イタリア取材に行きたいよぉ。

hajichajic 2005/06/03 09:53 今気付いたのですが、GUNSLINGER GIRL漫画の弱点というかなんというか、あまり石造りの重みというか、あちらの建築物の巨大さが伝わってきませんね。まだBitterSweetFoolsの絵の方が、(歪んでいたりするおかげで)まだリアルサイズに近い。線が細すぎるからなのでしょうかしら。

genesisgenesis 2005/06/03 10:08 GSGが写実的なリアルさを追求しているわけではない、ことの表れではないでしょうか。つまり「劇画」ではないのです。背景を描き込んでしまうと、たぶん人物が物語世界と調和しなくなってしまうでしょう。いかにも実在していそうだけれど、でも現実ではない――という程度の抑えたリアリティがGSGにはあるのだと思います。▼ それに対してBSFは、フィレンツェという街そのものに意味を持たせています。私が《観光促進ソフト》というのも、ここから。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/genesis/20050601
 | 
RSSフィード
2003 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2004 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2005 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2006 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2007 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2008 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2009 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2010 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2011 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2012 | 01 | 02 | 03 | 04 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2013 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 |
2014 | 01 | 02 | 04 |
2015 | 01 | 03 |
2016 | 01 | 03 | 10 |
2017 | 12 |
2018 | 01 | 04 | 07 | 12 |
(C) 2003- GenOishi
access: 2072595

HonyaClub.com