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博物士

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Thursday, 2005/07/07

フォーニ

[] symphonic rain, 5th movement  symphonic rain, 5th movementを含むブックマーク

 工画堂スタジオくろねこさんちーむ)『シンフォニック=レイン*1の進行状況報告(第5楽章)。

 アリエッタ・フィーネ(Arietta Fine)シナリオ。

(この先には,ネタバレがあります)

 結末は,見えていました。トルタ・シナリオ“al fine”の末尾,「午前9時」という妙に具体的な時刻の表示があったので。

 これまでに仕掛けられていた伏線を回収し,物語は予定調和へ。ただ,そのために《奇跡》を濫用しすぎているように思える。「音の妖精フォーニ」は,物理法則を無視した超越的存在。かかる者に物語の解決を委ねたことで無理が生じるのは避けようがない。あたかも映画版『風の谷のナウシカ』のように,大団円を迎えての爽快感はあるのだけれど,よくよく考えてみたら大事な問題が解決していないよね――みたいな*2

 端的に言うと,これではトルティニタが報われない。シナリオの中盤で姿を消していくため,プレイヤーの意識には残らないよう工夫されている。演出としては評価できましょう。しかし私は,これをグラン・フィナーレとすることを躊躇します。「二人のフィーネ」に,共に等しく福音がもたらされてこそ交響曲(シンフォニー)は完成したと言えるのですから。

 これを,「午前9時」に《奇跡》は起きていなかった,と解釈することでトルタに報いるという道筋を考えてはみました。この悪趣味な思いつきを書き出そうとしたら,なんと id:hajic:20050322#p2 と同じアプローチでした(^^; しかし,これだとテクストをテクストとして受領することを拒絶しなければならなくなるので,あくまでも仮説に留まります。何より私は,この仮説が好きになれない。トルタBADルートの描かれなかったその後,としてならば十分に有効だと思いますけれど。

 音の妖精フォーニは,確かに存在する。そう信じることによって成り立つシナリオがあっても,悪くはないでしょう。

*1:初回限定版:ASIN:B0001FG72E,DVD通常版:ASIN:B0001FG72O,CD通常版:ASIN:B0001FG724,愛蔵版:ASIN:B0009RNAT2

*2ササキバラ・ゴウ『教養としての〈マンガ・アニメ〉』(ISBN:4061495534)156頁を参照

エレエレ 2005/07/08 02:22 幸せはその先に…。
フォーニは存在しますよ、そして彼女の行為は報われます。
続きをどうぞ…

genesisgenesis 2005/07/08 03:28 これが「フォーニ・シナリオ」とも呼ばれることのある最終シナリオに対する私の見解です。たぶん,一般的な受け止め方とは異なっていると思いますけれど。“al fine”が,字義通り「本来の結末」だと考えるわけです。

エレエレ 2005/07/08 11:20 al fineという意味を始め、アルの視点と思って受け止めました。トルティニタが報われないと言われますが、それはないでしょう。トルタはクリスとアルの両方を愛していた、そしてアルは目覚めトルタの苦労は報われた、しかし、クリスに対する思いは報われてはない。だが、クリス自身はトルタの思いに気づいてるでしょう。al fineとこのシナリオは本来の結末であると考えるが、どちらも同じ価値であって優劣はつけられません。

エレエレ 2005/07/08 11:44 書き忘れ、
奇跡が起きてないエンドについての見解は同じです。また、おきてない場合は「あなたの傍でフォルテールの…」を無視しますからね…。
物理学科の自分が言うのもなんですが、心理学の分野は物理的解釈が難しいです。

hajichajic 2005/07/08 21:21 二つのfineは同時に存在し得えない。にもかかわらずそれが存在するということは矛盾です。故に、グランフィナーレのみならず、alfineそれ自体もまた否定されるべきだと私は考えます。

”テクストとして描かれた”全てのfineが否定された時、本当のfineはどこにあるのか。私がシンフォニック=レインという作品を別格に扱う理由は、つまるところこの点に存在します。

hajichajic 2005/07/08 21:36 なお、alla fineではなくal fineと書かれていることは注目に値するでしょう。あの言葉が意味するところは「終わりまで」ではなく、「アルのfine」または「アル・フィーネ」です。それはトルタによって語られるアルの物語であり、同時にアルの――の物語でもある。彼女の――は避けられない。これは悲しいけれど、どうしても受け入れないといけない事実です。そして”グランフィナーレ”(と、それでも旅立つ彼女の姿)が示したとおり、何よりアル自身が、最もそれを望んでいる。

genesisgenesis 2005/07/08 23:01 それよりも,フォーニを観測する方法を考えてください。発見次第,お持ち帰りしたいので(笑)▼ テクストを信用しないとなると,いかようにも解釈しうるので議論のしようがないです。ただ,発音のことを問題にしますと,LとRの区別をしないというのは,ラテン系言語を学んだ者としては採用しがたいのですよ。おっしゃることは分かるのですが,ちょっとね。

エレエレ 2005/07/08 23:32 フォーニの観測方法は赤外線観測しかないでしょう…。クリス曰く暖かいらしいので。二つのfineとはどういう意味でしょうか?テクストを信用して一応立てた意見ですが、イマイチどこに齟齬があるかわかりません…

hajichajic 2005/07/08 23:54
>genesisさん
LとRではなく、maschileとfemminileの違いです。fの(つまりAllaの)Fineは”終わり”を意味しますが、mの(alの)fineは通常”目的”や”意図”を指します。

>エレさん
駄目です。クリスは存在しない雨に濡れて冷たくなる男です。彼の五感は一切信用なりません。(`・´ω`・´)

hajichajic 2005/07/08 23:58 もしテクスト(=あのあまりにもあまりな虚偽に満ちていた、クリスの主観をですよ?)を信用するとすれば、グランドフィナーレにおいても空を飛ぶ光をどう説明するか、が問題となります。「あんなのただの使い回しの演出です」と断言されてしまえばそれまでなのですが。

エレエレ 2005/07/09 00:03 (´・ω・`)ではトルタが虫と勘違いした現象を利用して、空気の動きを観察する。虚偽に満ちていたか…やりすぎるとマトリックスになりますよw使いまわしって考えもありますが。
一応ブログでは殻とか存在変換時の垢見たいな物って解釈してるんですが・・・。

mkzmkz 2005/07/09 02:25 虚偽に満ちていたというのは、言いすぎな気が。クリスの認識で、誤っていたのは、雨に関することと、事故の記憶の2つだけなわけですし。彼の五感がそれほどまでにおかしかったのなら、それ以外の幻覚症状などの描写が伏線として無いと、おかしいと思います。

あと、al fineですが、ライターはalla fineかal fineか
は特に考えていたようには思えないです。DPC収録
のクリエーターズトークでも、音楽用語のアルフィーネ
(意味:終わりまで)が語源と書いてあります。

genesisgenesis 2005/07/09 06:17 私も“al fine”は音楽用語としてのものだと理解しています。ですから,hajicさんの言われるような「前置詞+定冠詞」の語形選択(m/f)に意味があるという主張は前提を欠きます。▼ 仮に,イタリア語文法に意味があるというならば,RとLの相違を無視するわけにはいかなくなります。“Arietta”からくる「アル」と“al fine”の「アル」は別なものです。

genesisgenesis 2005/07/09 06:33 hajicさんの説は《空を飛ぶ光》を最大の論拠としていますが,私はこれに同調しません。エンドロールがテクストの一部だとするのは構いませんが,それならば本文中で《光》についての叙述があってしかるべきです。

hajichajic 2005/07/09 09:53 光は最大の根拠ではありません。それは単なる状況証拠の一つです。言ってしまえば、そもそもの話、アリエッタは何を望んでいたのでしょう? そして、クリスの思いはどちらを向いているのでしょう? つまり、誰が本当のヒロインなのですか? それに対する認識が、根本的な差異を生み出している気がします。

genesisgenesis 2005/07/10 15:04 その問いかけは,不適切です(私に対するものとしては,ですが)。▼ 私は,リセルシア,ファルシータ,トルタ,アリエッタを平等に《ヒロイン》として扱っています。それらを統合し,唯一の真実を探り当てることは考えていません。ですから私は「トゥルー・エンド」といった表現を用いてはいないのです。

genesisgenesis 2005/07/10 15:20 では,私が「グラン・フィナーレ」あるいは「本来の結末」という表現で述べていることの意味は何なのか。▼ それは,『シンフォニック=レイン』という物語の主題(テーマ)は,《トルタ=クリス=アリエッタの関係性》であると理解したからに他なりません。▼ この三者の関係性について明示的に言及しているものは,唯一,トルティニタ・シナリオの“al fine”ルートだけです。ですから私は,これを他とは違うものとして重要視しているわけです。

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