悪意

 東野圭吾『悪意』(ISBN:4061821148*1id:ton-boo さんが東野作品を立て続けに読んでいたことがあって,その時期に気になって買っておいたもの。長らく放ったらかしにしていたものを旅行に持って行き,パリへ向かう機内で読んだ。

 人気作家・日高邦彦が仕事場で殺された。第一発見者は、妻の理恵と被害者の幼なじみである野々口修。犯行現場に赴いた刑事・加賀恭一郎の推理、逮捕された犯人が決して語らない動機とは。人はなぜ、人を殺すのか。超一流のフー&ホワイダニットによってミステリの本質を深く掘り下げた東野文学の最高峰。
出版社の紹介文より引用

 被害者とは高校時代からの友人であり,これまた作家である野々口。そして,野々口とはかつて同じ学校で共に教師をしていたことのある加賀刑事。犯人が綴った「手記」と捜査記録とが交錯し,視点が行き交う。
 Why done it? ――何故,人は人を殺すのか。
 この作品で掘り下げられていくものは,ただひたすらに「動機」。雲母を剥離させていくかのような丹念な捜査を経て,秘匿されていた犯人の心裡(しんり)が少しずつ描写されていく。面白い小説でした。

*1:文庫版は,ISBN:4062730170