Hatena::ブログ(Diary)

博物士

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Sunday, 2006/04/30

こはるびより

[] みづきたけひと 『こはるびより』  みづきたけひと 『こはるびより』を含むブックマーク

 ビジネス関係の書籍を見に出かける(今度,専門学校でビジネスマナー講座を開講するので)。いつもは大学近辺の書店を利用しているのだけれど,たまには別な店の陳列も見てみようと思い,サッポロビール園の隣まで出かける。

 用事を済ませたあとでコミックの棚を眺めていたら,みづきたけひと『こはるびより』の第1巻(ISBN:4840226261)を見つける。どうしてコミック専門店でも在庫を切らしていたものが,よりによって丸善に置いてあるのかな? かな?

――答。2年前に入荷した商品が売れずに滞留していたのだと思います。

 2001年から『電撃大王』に原型が掲載されはじめ,『電撃萌王』の創刊(2002年春)から仕切り直して連載されている作品。季刊誌掲載であるため第1巻の刊行(2004年3月)から時間が経っており,第2巻(ISBN:4840233675)は最近になって刊行されている。

こはるびより 2 (電撃コミックス)

 メイドロボットの「ゆい」が,一人暮らしの御主人様のところへやってくるという実にベタな萌えマンガ。変わっているのは,主人公が〈模範的なマニア〉であるところ。2次元の美少女の立体モノが好き(だけど3次元のお人形には興味ない)とか,メイドロボの着せ替えをするのが趣味(だけど生身の女の子には見向きもしない)とか,ロリ好きは許容できてもリアル幼女に目を向けるのは許せないとか。うん,正しいね。巨乳のウェイトレスさんが言い寄ってきても(3次元だから)無視*1

 メイドさんが脈絡もなく「えっち」なことをするのは許せないメイドさん原理主義者健全に歪んだ心意気を描いた秀作――のような気がします。

*1:サブヒロイン「みのりちゃん」は,胸元のカウベル,白いニーソックス,八重歯といった記号を装備する萌えキャラである。

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Saturday, 2006/04/29

「分かりやすい文章」の技術

[] 藤沢晃治 『「分かりやすい文章」の技術』  藤沢晃治 『「分かりやすい文章」の技術』を含むブックマーク

 専門学校で日本語表現法を講義するため資料づくりとして,藤沢晃治(ふじさわ・こうじ)『「分かりやすい文章」の技術』(ISBN:4062574438)に目を通す。すると,法律を取り上げている箇所で間違いを発見。

 裁判の判決で裁判長は,まず「被告人を死刑に処す」などと主文を読み上げ,それから判決理由を述べるのが普通です。先に判決理由を長々と述べて,「無罪だろうか? 有罪だろうか?」と気をもませるようなことはしません。

要点を先に,詳細は後に書く (52頁)

 ここが誤り。確かに,判決文では最初に主文があり,それから判決理由が記されています。しかし,死刑判決の場合だけは「主文の読み上げを後回しにする」ということが慣習として行われている。

 他,『「分かりやすい表現」の技術』(ISBN:4062572451)でも法律文書が違反例として挙げられていたのだが,マンション管理規約の〈改善例〉は指示語の使い方が不正確*1。税額控除年末調整申告書の〈改善例〉にしても,元の文と文意が変化しており,法律的な見地からすると不正確さを生じていた*2。法律文書が分かりにくいとの批難は甘んじて受けなければならないとは思う。かと言って,分かりやすさと引き替えに意味が変化してしまうのは困る(と考えてしまうのが専門家)。

 以上の点につき,筆者に配慮を求めるメールを送付した。

 誤解の無いように添えておくと,良く出来た本です。私自身は既に体得しているような事柄だったので得るものは少なかったのですが,どういう本にすれば売れるのかは学ばせてもらいました。

*1:著者は「××した場合には○○しなければならない」という文書を分かち書きにしたうえで,「1.××」に続く文章を「2. この場合...」としていたが,これでは指示語「この」が何を指しているのかで紛争になりかねない(と思うのが法律屋)。あいまいさを排除するためには「2. 前項の規定に該当する場合...」のように書く必要がある。

*2:著者は,ある長い文書を箇条書きに置き換えて「次の(1)〜(3)の場合」として項目(1)(2)(3)を並べていた。しかし元の文書では「(1)かつ{(2)あるいは(3)}」という構造だった。

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Friday, 2006/04/28

DANDY:LION

[] 皁鉄絢 『DANDY:LION』  皁鉄絢 『DANDY:LION』を含むブックマーク

 皁鉄絢(くろがね・けん)『DANDY:LION』(ISBN:477300603X)。玄鉄絢が改名する前に描いていた初単行本。『ZetsuMan』誌にて連載されていたもので,初出は1996年から2000年にかけてと古い。

 舞台は2012年。「国際福祉機構」という偽りの名で呼ばれる国家公安組織に所属する少女たちが殺人許可証を携えて暗躍する――って,要約すると『GUNSLINGER GIRL』と区別つかないぞ(笑)

 以前,『少女セクト』〔1〕(ISBN:4877348824)について触れた際(id:genesis:20050825:p1)には,かなり留保をつけたうえで好意的な評価をした。ところが本作『DANDY:LION』では,気になっていた点が明確な欠点として現れている。好意的に見れば向上の証と言えるわけだが,本質的なところで〈わかりにくさ〉を抱え込んだ作風だと評さざるを得ない。

 作品世界に過剰なまでの設定を盛り込むことで幻惑させ,シーンごとには何とか強引に組み立てているものの,総じて物語は破綻している(その後,端からストーリー性を放棄するという割り切りをすることで『少女セクト』になったのだろう)。連関性に乏しい途切れ途切れの場面をアクションシーンとサイバーパンクとヌードで何とか繋いでいる。各16頁程度の独立した短いエピソードを重ねていくという手法を用いており,あたかも同人誌に発表された実験的習作をまとめ読みしているような感じ。

 時間が巻戻っているぶんだけ技術も未発達で,『少女セクト』で魅せた構図と描線の美しさは片鱗が見られる程度。下手とまでは言わないが,イラストとしての魅力は無い。

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Thursday, 2006/04/27

hatena bookmark tags

[] はてぶタグを縦1列に並べるためのスタイルシート  はてぶタグを縦1列に並べるためのスタイルシートを含むブックマーク

 http://d.hatena.ne.jp/REV/20060427#p5 にて b:id:genesis をご紹介いただきました*1。せっかくの機会なので,少しばかり情報提供しておきます。

 秩序だっていない keywordcloud が好きになれない性格なもので,はてなブックマークのタグについても CSS を操作することで整列させています。次の文を [設定]‐[デザイン編集]‐[スタイルシート] に書き加えることで実現させました。なお,これは「基本テーマ」に合わせたもの。

div.taglist {
  width: 15%;
  margin-left: 48px;
  margin-bottom: 32px;
}
div.taglist ul li {
  display: block;
  background: #fafafa;
  border: 1px solid #eeeeee;
  padding-left: 1em;
}
ul.taglist a{
  font-size:85% !important;
}

ul.taglist a.tag-latest  { color: #9999ff }
ul.taglist a.tag-later   { color: #9999df }
ul.taglist a.tag-earlier { color: #9999cf }
ul.taglist a.tag-earliest{ color: #9999af }

ul#related-taglist {
  padding: 1px;
  font-size:85% !important;
}
ul#related-taglist li {
  padding-right: 0;
}

追伸)

 「お気に入り」機能を利用している方へ。idea:8607(未読/既読の表示を色分けしてほしい)へのご賛同をいただければ嬉しく思います。

*1http://grev.g.hatena.ne.jp/keyword/bookmark_Links にも関連記事がある。

Wednesday, 2006/04/26

ネクラ少女は黒魔法で恋をする

[] 熊谷雅人ネクラ少女は黒魔法で恋をする 熊谷雅人 『ネクラ少女は黒魔法で恋をする』を含むブックマーク

 熊谷雅人(くまがい・まさと)『ネクラ少女は黒魔法で恋をする』(ISBN:4840114897)読了。第1回MF文庫Jライトノベル新人賞〈佳作〉受賞作。

 ネクラ少女が黒魔法で悪魔を召喚して契約し,可愛くなって世界を見下そうとするお話。呪いの言葉を絶妙に畳み掛けるモノローグが面白くて見どころはあったのに,序盤から中盤へ移った段階で早くも失速。演劇部のメンバーが登場して以降は,ベタな――それも「海岸を夕陽します」級の青春モノになってしまった。魔法の件についても,こういうオチじゃないかなぁ……と予想した通りの結末で意外性は無し。

 良さを持っているのに,それを覆ってしまう難点の多さ。

Sunday, 2006/04/23

ライトノベル「超」入門

[] 新城カズマライトノベル「超」入門 新城カズマ 『ライトノベル「超」入門』を含むブックマーク

 読み始めて3頁目で確信した。これは面白い本に違いない。

 読みながら何度も笑った。軽妙な筆致で楽しませてくれる。

 読み終わったとき,興味深いところに貼り付けておいた付箋は40枚を超えていた。いつもは一桁なのに。

ライトノベル「超」入門 [ソフトバンク新書]

 新城カズマ(しんじょう・かずま)『ライトノベル「超」入門』(ISBN:4797333383)の意義は,次の3点に求めることができよう。

【1】 ライトノベルという存在の過去と現在について,アンケートやインタビューあるいは対談を交えず,単独の著者が書いたものであること。

 これだけで本書は十分な価値がある。これまでに刊行された解説書はカタログとしての要素が強かったように思うが,本書は分析として一本筋が通っている。

このライトノベルがすごい!2005 このライトノベル作家がすごい! ライトノベルキャラクターズ完全ファイル このライトノベルがすごい!2006 ライトノベル☆めった斬り!

【2】 現状をあるがままに記述するのではなく,現象に対して考察を巡らせたうえで,湧き上がる「なぜ?」にも著者なりの見解を打ち出していること。

 さすがに〈入門〉と断っているだけあって学術レヴェルでの引用には耐えられないかもしれないが,分析は実に鋭い。新城カズマは『ライトノベル完全読本』の編集に携わった人物である。ライトノベルの位置づけを,一般人――著者の表現では「ネクタイびと」が(たぶん)得心のいくように幅広い視座をもって述べる工夫がされている。ただ,定義については期待されているでろう回答を避け,巧妙にひねっているので,短気な人はイライラするかもね。

ライトノベル完全読本 (日経BPムック) ライトノベル完全読本 Vol.2 (日経BPムック) ライトノベル完全読本 vol.3 (日経BPムック)

【3】 それでいて文章が面白いこと。

 語り口の妙味。ライトノベルをモチーフにした娯楽小説と呼んでも差し支えない出来。カタログ的な解説書ではない。かつてはネットゲーム「蓬莱学園」のグランドマスターを務め,自らライトノベルを書く実作者でもある新城カズマが,読者を楽しませようとしているのが良くわかる。

 第2章では「キャラ類型」が紹介されている。さらっとキャラ名が挙げられているだけなのだが,その代表例にノミネートされている顔ぶれを見るに,ツッコミの余地をわざと残しているとしか思えない。新城は,読み手による〈邪推権〉について幾度となく触れているが,ここで行使してみせろということに違いない。

 巻末の「関連年表」にしてもそう。曰く,2003年は『モエかん』,2004年は『Fate/stay night』『Forest』,2005年は『人工少女2』によって代表されるのだそうだ。この選定,おたくトライブ(otaku tribe)への挑戦でなくて何であろう。


 内容についても簡単に触れておこう。

 「ライトノベルは“軽やか”でなければ生き残れなかった」という観点から,モチーフ/文体/刊行頻度について,進化論的に後付けの理由を述べている〔第1章〕。

 「ライトノベルは〈ジャンル〉ではなく〈手法〉である」というのも興味深い。イラストとの深い結びつきについて説明づけを行う。〈キャラ/キャラクター〉という伊藤剛の枠組みも,〈少女向けジャンルが先行する〉というササキバラ・ゴウの見解*1も貪欲に取り込まれて考察が展開される。ギャルゲー(の分岐世界)がライトノベルに与えた影響についても立ち入った検討を行っていることは特筆に値する〔第2章〕*2

 そして第3章から第5章にかけてはライトノベルのみならず,おたく文化全般にまで渡っての問題提起がなされる。


 入門書ほど書くのは難しい(前提知識を持たない人を読者として想定するわけだから)。本書は見事に目的を達成している。その労を讃えたい。

 『ライトノベル「超」入門』の登場により,「そもそもライトノベルとは……」といった議論は一つの到達点に達したと言えよう。なお,新城カズマはかなり独自の見解を打ち出しているから内容については異論を持つ向きはあると思うが,少なくともこれで共通の手がかり(足場)が得られた。

 価値中立的ではないので,ライトノベルについて一定の見解を持つ中級者からは反発も出てくるかと思う(ありがちなところでは,ボクのお気に入りの作品が取り上げられていない!等々)。文体(語り口調)も好みが分かれそう。でも,そんなところも承知の上で,優れた評論書であると褒めておきたい。

 変化の速度が激しい分野であるから,本書の有効期限がどれほどの長さになるのかは不明である。しかし後世に至ろうとも,ライトノベル評論を志すなら踏まえておくべき重要な先行業績として記憶に留められるであろうことは想像に難くない。

▼ おとなりレビュー

続きを読む

*1:1980年代後期少女まんがと葉鍵系の関係については,拙稿 id:genesis:20060217:p1 を参照のこと。

*2:本文中では明記されていないが,あとがきにおいて『動物化するポストモダン』『〈美少女〉の現代史』『テヅカ・イズ・デッド』が参照すべき文献として掲げられている。

Saturday, 2006/04/22

[] 大学院はてな :: 住所は公園  大学院はてな :: 住所は公園を含むブックマーク

 研究会にて,大阪市扇町公園住民票転居届不受理処分取消請求事件*1の検討。市町村の管理する公園(の南西隅)で5年余りに渡って生活していたホームレスが,公園を住所として転居届を提出したところ,大阪市北区長が不受理処分を行った。本件は,その取消請求。

 かなり大きく報道された事件で御存知の方も多いと思うけれど,裁判所は請求を認容。テントの所在地である「大阪市北区扇町1-1扇町公園23号」を住所とする転居届を受理すべきであるとした例。

 結論としては,この裁判所の判断は正しい。しかし,首肯しがたいというもどかしさがある。

 この事件は「住民基本台帳法」*2についての争いであると割り切ってしまえば,転居届を受理しなかった区役所の判断は誤りである。類似の事例として,オウム真理教の信者が出した転入届を受理しなかったことにつき,法定の届出事項に係る事由以外の事由を理由として受理しないことは許されないとした最高裁判決がある*3。住基台帳法は「住民の居住関係の事実」に着目し,「当該場所が客観的にみてその者の生活の本拠たる実体を具備しているか否か」をメルクマールとして行政事務のための資料を作ることにある。従って,事実として公園に居住しているのであれば,公園を住所とする転居届は受理されなければならない。

 話がややこしくなるのは,この先。

 社会保障や社会福祉に関することでいえば,住民票というのは実はまったく関係が無い。生活保護にしても医療保険制度の利用についても,住所の有無を問わないのです。だから,行政との関係で言えば,本件は訴訟の実益というものが無い*4。なお,住民票が無ければ受けられないサービスは,銀行口座の開設とパスポートの発行ぐらいらしい。

 「ホームレスが公園を住所として住民票を取得できる」ことになってしまうのが法制度上は正しいのに,市民感情としては不適切な結論のように思われるのは,そもそも公共空間に居住しているという〈生活の本拠たる実体〉を与えていることの是非に遡らなければならない,ということなのです。

 ホームレスに対して住民票を発行しないという「絡め手」ないし「水際作戦」で問題解決を図ることは許さない,というのが本件の意義。ホームレス問題を解決するならば嫌がらせをするのではなく,どのような施策を行政が講じるべきか正面から取り組む必要がある,というのが教訓でしょう。

*1:大阪地裁判決 平成18年1月27日 賃金と社会保障1412号58頁
http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/c1eea0afce437e4949256b510052d736/1cccd41134377f3a4925711b0005f766?OpenDocument

*2http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S42/S42HO081.html

*3:最一小判 平成15年6月26日 判例時報1831号94頁

*4:それなのにどうして紛争が生じたかについては,弁護士による解説が掲載誌に載っている。どうやら友人宅を住所として形式的に届けていたところ,実体がないことを理由に大阪市が登録を抹消しようとしたため,それならばということで公園を住所とする〈正しい〉届けを出したということらしい。

tanizakuratanizakura 2006/04/22 21:36 いまいち納得がいかないですが、法律的には仕方ないのでしょうね。
ところで、これが私有地でも同じなんでしょうか?

genesisgenesis 2006/04/22 22:47 占有権原が無い場所であっても,届出があれば役所は受け付けることになります(受付の段階では実質について審査をしないので)。そのうえで,正当な住人の側からの異議申出を待って取り消す,ということになるのだと思いますよ。

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Thursday, 2006/04/20

GOTH

[] 乙一 『GOTH』  乙一 『GOTH』を含むブックマーク

 文学研究科で開催されたミステリ研究会に参加。本日のお題は,乙一(おついち)『GOTH[ゴス]』(ISBN:4048733907)。

 で,ライトノベル作家を取り上げるならば「日本三大ラノベ読み」が札幌にいるから呼んでみよう*1――というわけで,浅木原書店の中の人(id:asagihara)を口説き落として召喚。

思いがけないところからちょっとお誘いを受けて只今考え中。どうしよっかな……。

どうでもいいけど乙一って目立ったフォロワーのいない作家だよなぁとふと思った。

http://d.hatena.ne.jp/asagihara/20060403

この問題提起を受け,西尾維新佐藤友哉舞城王太郎らとの比較において乙一が占める立ち位置の独自性について意見交換を行う。例えば,それは文体のことであったり,イラストが持つ価値であったり。キーワードを挙げていくと,「余計なことを書かない端正でオーソドックスな文章」,「エグさの排除」,「〈語り=ナラトロジー〉の面白さ」,「テーマとかしての誤読*2」,「ライトノベルから本格ミステリへの越境」,「壊れた本格」などなど。他には,「分断の年(2003年)に第3回本格ミステリ大賞を受賞したことから透けて見える政治的配慮」,「どうして文庫版は分冊なのか」,「早く長編を書け」とか。

 この読書会のために初めて乙一作品を読んだわけですが,とても面白かった(私が送る最大級の賛辞)。

GOTH 夜の章 (角川文庫) GOTH 僕の章 (角川文庫)

 研究会終了後,g:book:id:asagihara の閲覧者であれば誰しもが持つであろう疑問「いったい一冊あたり時間をどれだけかけているのか?」をぶつけてみる。得られた回答は「平均して40〜45分,早ければ15分,最長で3時間」でした。今度,実演してもらおうと思う。

*1http://d.hatena.ne.jp/asagihara/20050407#1112888339 を見たときから企んでいた計画でした。ちなみに,研究会には「少女論」の助教授もご臨席。

*2:文庫版を購入し,先に「僕の章」を読んでしまった参加者がいた。そこから,単行本と文庫本での配列の違いや,コミック版との際についても話題が広がったもの。

Wednesday, 2006/04/19

涼宮ハルヒの陰謀

[] 谷川流涼宮ハルヒの陰謀 谷川流 『涼宮ハルヒの陰謀』を含むブックマーク

 谷川流(たにがわ・ながる)『涼宮ハルヒの陰謀』(ISBN:4044292078)読了。〈涼宮ハルヒ〉シリーズの第7巻。

 エピソードごとに評価がばらついているのだが,この巻は楽しく読み終えた。その理由を私の自意識に問いただしてみると,どうやら「涼宮ハルヒ」というキャラクターの破天荒な振る舞いを眺めるのはお気に召したものの,その余についてはさほど興味を持たなかったらしい。

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Tuesday, 2006/04/18

涼宮ハルヒの動揺

[] 谷川流涼宮ハルヒの動揺 谷川流 『涼宮ハルヒの動揺』を含むブックマーク

 谷川流(たにがわ・ながる)『涼宮ハルヒの動揺』(ISBN:404429206X)読了。〈涼宮ハルヒ〉シリーズの第6巻。

 短編集。特筆すべきこと無し。

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Monday, 2006/04/17

涼宮ハルヒの暴走

[] 谷川流涼宮ハルヒの暴走 谷川流 『涼宮ハルヒの暴走』を含むブックマーク

 谷川流(たにがわ・ながる)『涼宮ハルヒの暴走』(ISBN:4044292051)読了。〈涼宮ハルヒ〉シリーズの第5巻。短編集。

 ストーリーの流れを説明するのに「起承転結」が良く用いられるが,それになぞらえて言うならば,本作は〈転〉が生じないよう主人公キョンらが奔走して「終わらない〈承〉」に留まろうとする。変な成長物語……。

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Sunday, 2006/04/16

涼宮ハルヒの消失

[] 谷川流涼宮ハルヒの消失 谷川流 『涼宮ハルヒの消失』を含むブックマーク

 谷川流(たにがわ・ながる)の『涼宮ハルヒの消失』(ISBN:4044292043)読了。〈涼宮ハルヒ〉シリーズの第4巻。

 長編。筋立てについては,タイム・トラベルを上手に味付けとして使っていると思う。でも,結末(の手前部分)に引っかかりがあるん。話の辻褄は合っているけれど,そもそもどうして××は時空の○○などという行為に出たのか。動機なんでどうでもいい――とうそぶいてみるものの,便利なキャラクターを便利に使いすぎていて……。〈ビルト・インされたデウス・エクス・マキナ〉だよなぁ。

 これが純然たるファンタジー世界であれば別に文句はないし,御都合主義を振りかざしてくれるならそれも良し。ところが,神坂一新井素子であれば盛り上がって大団円になりそうな場面なのに,どうにもしっくりこない。きちんと着地はしたけれど実は複雑骨折していました,みたいな。

 本作の場合,最後に働く〈現実〉へ帰ろうとする引力が,ファンタジーや御都合主義とは少し違ったベクトルで作用しているのだろうか(作用の結果が,現状の維持・肯定だしね)。この作品から得られる奇妙な感覚が『ハルヒ』シリーズの設定に伴うものなのか,それとも作者の能力なりスタンスによるものなのか。別シリーズと比較しながら読んでみないと,「谷川流」についての評価を誤りそうだ。

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Friday, 2006/04/14

涼宮ハルヒの退屈

[] 谷川流涼宮ハルヒの退屈 谷川流 『涼宮ハルヒの退屈』を含むブックマーク

 谷川流(たにがわ・ながる)の『涼宮ハルヒの退屈』(ISBN:4044292035)読了。〈涼宮ハルヒ〉シリーズの第3巻。

 短編3本に中編1本。第1巻が刊行される数か月前に雑誌掲載されたSOS団初お目見えの表題作に始まり,伏線を張り巡らす「笹の葉ラプソディ」を挟んで,番外編で終わる。この巻については位置づけが不鮮明で,ぎこちなさを覚える。ストーリーの掘り下げにしては物足りないし,キャラと戯れるには早すぎるような感じがする……

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Thursday, 2006/04/13

ASIN:B0002RN9A4

[] パラレルなヒロインの遷移  パラレルなヒロインの遷移を含むブックマーク

1) 偶像(アイドル)の時代。――「同級生」

2) 憧れから、親しみやすさへ(幼なじみ、妹の時代)――「ときめきメモリアル」「To Heart

3) そしてトラブルメーカー、事件の発端(象徴)へ

エロゲのメインヒロインの変遷(嘘 

 id:natu3kan さんが,上記のエントリーで説いている「メインヒロインの変遷」は,宮崎駿作品におけるヒロイン像の移り変わりを追いかけているように思える。

1) 紛う事なき姫様ナウシカ,王家の血統シータ

2) 田舎に越してきた少女さつきとメイ,都会に出てきたキキ*1

3) サンとエボシ御前

 よって,次世代のヒロインは「働く幼女」,次々世代には「心は少女で身体は老婆」が一世を風靡するのではないでしょうか*2

*1:アニメのヒロインだって朝は催すのだ,という(少し間違った)親しみやすさを演出するため,『魔女の宅急便』では(半ば不自然ながら)おトイレに駆け込むキキの姿が描写されている。

*2:本気にするな危険

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Wednesday, 2006/04/12

涼宮ハルヒの溜息

[] 谷川流涼宮ハルヒの溜息 谷川流 『涼宮ハルヒの溜息』を含むブックマーク

 谷川流(たにがわ・ながる)の『涼宮ハルヒの溜息』(ISBN:4044292027)読了。〈涼宮ハルヒ〉シリーズの第2作。

 朝比奈みくるが愛くるしかった。

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Monday, 2006/04/10

涼宮ハルヒの憂鬱

[] 谷川流涼宮ハルヒの憂鬱 谷川流 『涼宮ハルヒの憂鬱』を含むブックマーク

 旬のものを滋味の豊かなうちに味わっておこうと思い,谷川流(たにがわ・ながる)の『涼宮ハルヒの憂鬱』(ISBN:4044292019)を読む。〈涼宮ハルヒ〉シリーズの第1作。

 読み始めたら面白くて,ぐんぐん引き込まれる。最初のうちはクセのある独白文体に戸惑ったものの,それが本作の妙味だと分かってくると楽しい。会話文との組み合わせ方が小気味よい。

 読者が作品世界に順応したところを見計らって繰り出される「ROOM NO.708――眼鏡少女はインフォマティック?」。そして,めくるめくビミョーな〈非日常〉。展開の運び方が実に上手い。

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Saturday, 2006/04/08

労働判例901号

[] 大学院はてな :: 専門学校教員の配転と解雇  大学院はてな :: 専門学校教員の配転と解雇を含むブックマーク

 研究会にて,菅原学園事件*1の検討。

 被告Yは専門学校を運営する学校法人。原告Xは,Yの従業員であった者。Xは1995年に採用されて教諭を命じられ,1998年からは就職部企業情報課課長補佐であった。2001年2月24日,YはXが企業訪問を実際に行っていたか疑わしいとして解雇した。本件は,XがYの専任教員職員の地位にあることの確認を求めるもの。

 論点は,(1)X‐Y間において,Xの職種を教員に限定する合意があったか,(2)本件解雇は有効か。

 裁判所は,前者については否定したものの,後者については請求を認めた。

 (1)についてであるが,Xは社会科教諭免許を持っているが,実際に受け持っていた科目はOA実習/秘書検定/簿記/ビジネスマナーなどであり,強い専門性が求められていたわけではないと考えられる。加えて専門学校では,授業に携わり教育内容に明るい者でなければ企業訪問をして説明をすることができないと思われることから,Xを就職部へと配転したことには違法性は無いものと考えられる。

 (2)は,企業訪問をした証拠として名刺が提出されていないことなどがYから主張されているが,どのような記録を作成して提出すべきかという手続的側面をYが整えていなかったことが背景にあるので,これを理由とする解雇は不適当であろう。よっぽど裁判所の心証が悪かったのか,次のような少し変わった言い回しがなされていた。

本件記録表の提出後本件解雇前に,YがXに対し,その旨指摘して,Xに釈明を求めて本件記録表の再提出を求めたり,訪問先に問合せることなどによって企業訪問の有無を確認することは容易であった。ところが,本件全証拠によるも,Yがそのような行動をとったことは認められず,本件解雇に至っている。本件解雇に至るこのような経緯は,始末書の提出や本件戒告処分等により,X‐Yの関係が相当程度険悪になっていたとしても,解雇という最終手段の選択場面においては,本件労働契約の一方当事者として誠実な態度とはいえない

*1:さいたま地裁川越支部判決 平成17年6月30日 労働判例901号50頁

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Friday, 2006/04/07

『危機と克服』[下]

[] 塩野七生 『危機と克服』[下]  塩野七生 『危機と克服』[下]を含むブックマーク

 塩野七生(しおの・ななみ)『ローマ人の物語――危機と克服[下]』(ISBN:410118173X)を読む。

「学者には史料を信ずる傾向が強いが,作家は,史料があってもそれらを頭からは信じない,としてよいかと思う。」

142頁

その通り。但し,学者は「そもそも信用できる史料なのか」の判断で悩むのです。

kimucokimuco 2006/04/08 18:32 初めてコメントさせていただきます。史学を学ぶものです。相変わらずむかつくことを書く著者に衝撃を受けました。

genesisgenesis 2006/04/08 23:13 刺激を得るために読んでいるようなところがあるのでいいのですが…… 直接会って話をしなければいけないような事態にはなりたくないなぁ,とは思います(^^;

yms-zunyms-zun 2006/04/09 19:51 「作家は自作に都合の悪い史料を無視するのも自由である」というだけのことですよね本当は。

genesisgenesis 2006/04/10 21:35 それが作家の醍醐味だからいいのですが,だからといって学者を嫌わなくてもいいのに――といじけてました(笑)

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Thursday, 2006/04/06

ISBN:4840219435

[] 美少女ゲームのパラダイムは4年で交代する〔仮説〕  美少女ゲームのパラダイムは4年で交代する〔仮説〕を含むブックマーク

 元々は http://d.hatena.ne.jp/hajic/20060406/p1 に宛てて書いたコメント。

 ギャルゲーを中期的に支配するパラダイム(paradigm)すなわち「規範となるフォーマット」は,およそ4年単位で動いているのではないか――という仮説を経験則から導いてみました。

 この他に,半年程度で短期的に変化する属性単位での「流行り廃り」の波が,長期的にはハードウェア面やOSレヴェルにおける「技術革新」の波があると思うけれど。

《蛭田と剣乃の時代》

《幼なじみとメイドロボの時代》

《妹とメイドさんの時代》 あるいは 《ろりぷにとI’veの時代》

《きのことひぐらしの時代》

《?の時代》

 この4年周期仮説に従えば,今すでに次の時代の萌芽はどこかに現れていて,2008年頃に開花するはず。

 2006年現在,クリエイター達が意識しているかどうかは別として,「奈須きのこ」と「竜騎士07」が到達目標であり仮想敵であると理解していいでしょう。

結語

 で,元々何が言いたかったのかというと,この〈波〉仮説を受け入れるような人であれば,2006年は谷間に当たるので「最近のエロゲーは面白くなくなった言説」に結びつくのではないかなぁと思った次第。

 司馬遼太郎は『アメリカ素描』(ISBN:4101152365)の中で,次なる文明は先行する文明と対立するところではなく縁辺から生ずると説いていました。20世紀に繁栄を極めたアメリカは,19世紀の大英帝国からすれば縁辺部。英国は,大航海時代のスペイン・ポルトガルからすれば縁辺部。スペインは,ルネサンス期のイタリアからすれば縁辺部―― この考えに従えば,今は未だ〈見慣れたもの〉にしか見えていないものが次なるパラダイムになることでしょう。たぶん。


▼ 参考資料

▼ 追補

*1http://www.tinami.com/x/review/02/

*2http://www.tinami.com/x/interview/04/

*3:追記。パラダイム転換により〈幼なじみ〉から〈妹〉へと移行したことについては,本田透が『萌える男』(ISBN:4480062718)で構築した理論的枠組みで処理できるかと思います(cf.id:genesis:20051111:p1)。同書の第2章では,「萌える男」は進化して〈男性性〉から解脱して〈少女性〉を獲得する――という説を展開しています。まず移行過程として『マリア様がみてる』のスール制度を捉え,男性の存在しない空間を描き出したものとします。そして,終局的には〈萌える男〉自身が萌えキャラ化する(すなわち脳内少女化する)ものとし,例として『処女はお姉さまに恋してる』(2005年,キャラメルBOX)を挙げていました。ちなみに,『かしまし〜ガール・ミーツ・ガール〜』に登場するはずむは,この本田理論をそのままなぞったような造形です。本田理論の軸線を繋いで『おとボク』の先にあるものを考えてみたとき,そこに『かしまし』がぴったりと符合します。

cognicogni 2006/04/08 00:46 『2006年は谷間に当たる』とのことですが、同じく谷間の2002年(もしくは1998年)にも「面白くなくなった」という言説が流布されたのでしょうか。そうした流行があったのなら4年周期仮説を補強する証拠になるかと思います。自分はその時期(2001中盤〜2004年)このジャンルから離れていたので、流行り廃りが体感出来ておらず判断付きません。

genesisgenesis 2006/04/08 01:20 私は,観鈴ちんのせいで虚脱症状になっていたのか,その辺りの記憶が朧気なのです……。ただ,追記しておいた参考資料「基礎教養的タイトルを集約する試み」を眺めてみると, 2001年から翌02年にかけては後世に語り継がれるほどの作品が無かったように思うところです。

JV44JV44 2006/04/08 03:00 01〜02年頃は「Air」バブルの反動だったのか、現在まで続くエロゲ不況の始まりでした。つまらなくはないが売れないという、またアリスソフトの低価格路線もあり、大作不在の時代でした。作品構成の根幹ではなく、多分にマーケティングなモノを含んでしまいますが、その中で記憶に残ってるのは「はじるす」あたりでしょうか。それまでもニッチな作品はありましたが、総花的なヒロイン配置を廃し、ヒロインの少人数化、属性統一、によりロリブームから妹ブームへの端緒となったと言えるかなと。その流れが「つよきす」まで続くと。
つまらなくなったといわれだしたのは03年頃ではなかったでしょうか。特に遅れてきた大作たちが実際に発売されましたが、(特にネット上で)失望の感想を良く見かけました。

REVREV 2006/04/08 07:58 2002年は、販売本数的には「谷」です。例のあれの補足を見てください。「4年」というマジックナンバーを補強する意図はありませんが。本来、2002年には出す筈?の、KANONをプレイし、AIRを横目に見ながら作った各社の大作が、後年にずれ込んだのも原因かと。

kagamikagami 2006/04/08 13:50 JV44さんが仰っている通り、「はじめてのおるすばん」が2001年12月28日に出て、あれでいっきにロリエロ萌え路線がブレイクしました。おるすばん発売当初の祭りは盛大なものでした…。各店舗で売り切れが相次いで、はじるす難民(はじるすを買えずに捜し求める人)が大量に発生しました。2002年ははじるすの余波でユーザー的にはむしろ盛り上がっていましたね。また多分にはじるすの影響もあり2002年頃から和姦ゲーでもエロが重視されるようになり、現在もエロ重視のかぐややルネ(マリゴールド系)はコンスタントに良い売上を上げていますから、2006年現在は特にエロゲ不況ではないと思います。「えっちなのはいらないと思います」というKANONが齎した風潮は2000〜2001年頃の泣きゲーブームの時が全盛でそれ以後は廃れました。売上年間トップテンでは見えないベースの部分を支えているのは基本的にエロだと思います。5000〜10000本くらいの中堅ヒット作だとエロいのが強いかと。あと近年は卑語ってるゲームは売れることが多いです。エロゲに卑語が必要不可欠になってきたと云えるかなと。
http://www3.atwiki.jp/higo-is-beautiful/
http://iweb.sakuranet.or.jp/~haruno-c/gameplaza/vulgar_db/vulgar_db.cgi
長くなってすみません(^^;

genesisgenesis 2006/04/08 13:58 当所では,長文コメントも歓迎です。議論の叩き台になれば嬉しいので。

JV44JV44 2006/04/08 18:35 kagamiさん、論の補強ありがとうございます。02年頃不況といわれたのは2〜3万本を境に格差が広がってユーザの大作、人気ブランド志向が鮮明になり、1万本クラスでペイできていた作品が売り上げが半減したため、苦しくなったというものでした。ランキングに出てこないこの辺りの売り上げが改善したというデータが見つけられなかったため、「現在まで続く」と書いてしまいました。
また、本論とはずれてしまいますが、02年のランキングを見てて思い出しましたんですが、媒体のDVDへの切り替えが本格化した年だったというのも影響ありますかね。集計方法が良く分からないのですが、エスカレイヤーはDVD版の他、1ヵ月遅れで発売されたCD版も7〜8000本位売り上げた筈です。D.CもDVD版はCD版と同発ではなかったと思いますし、集計からもれている可能性があるかなと。

kagamikagami 2006/04/08 21:55 平均的なエロゲは大体3000本も売れればペイできるのではないでしょうか。一万本も売れると大ヒットだと思うのですが…。以前ファンタジェンヌに掲載していた今はなきリビドーの社長さんのコラムで、エロゲはコンシューマに比べると格段と製作コストが安いので、3000本売れれば十分にペイできて、5000本でヒット、一万本で大ヒットというようなことを社長さんが書いていたのを読んだ記憶があります。一万本でペイというような高コストエロゲは、過去も今もエルフやアリスの出す手間の掛かった大作以外にはあまり存在しないように思うのですが…。

RhinoRhino 2006/04/09 00:26 犀の目工房です(汗)。
取り上げられてる「試み」テキストは書いてるうちに方向性がおかしくなったので再構成かけたいんですけど、夏コミ準備とか始める関係で立て込んでまして暫く手がつけられません。スミマセン。

cognicogni 2006/04/10 11:57 事実確認を行う議論が一段落したようなので、理論的枠組みに関しての意見を少し書き込ませて頂きます。
古典に近い扱いを受けていますが、Christensenの”The Innovator’s Dilemma”で描かれている持続的/破壊的イノベーションのモデルを、物語のパラダイム転換にも当て嵌められるのではないかと愚考します。本田理論(〈男性性〉から解脱して〈少女性〉を獲得する)では、パラダイムの遷移を一度だけしか説明出来ない(=行き詰まる)のに対し、Christensenの理論では幾度も適用可能なところに長所があります。詳しいところはGoogleで『イノベーションのジレンマ』を検索して頂ければ、レジュメなどがネットに落ちておりますので(e.g. http://www.isc.meiji.ac.jp/~sano/htst/Theory-of-Technology/technology-strategy/index.htm)、そちらを見て戴くのが早いのですが、簡単にいうと、本書では「優良企業は優良であるが故に失敗する」というテーゼを擁立し、ニッチであった技術がデファクトスタンダードになるにつれ、その技術を早期段階で得ていた企業が発展すると唱えている本です。この理論は有名ですのでご存知かもしれませんが、恐らくid:genesisさんの理論構築の役に立つかと思います。少なからず、月姫による伝奇バトルの再発見から昨今のバトル系統の隆盛に関してはこの理論を補助的に利用出来るのではないでしょうか。
また、同人系の台頭の解析に関しては昨今話題のブルーオーシャン戦略の例としてみることが可能ではないかと考えます。もちろん安易な当て嵌めは危険ですが、こちらも補助線的な役割は十分行えると思います。
こうした物語の廃り流行りに関しての理論の構築は(時間周期的な格差はともかく)興味深いものですので、深化させて下さると有難いです。

genesisgenesis 2006/04/10 22:13 cogniさん,ご示唆どうもありがとう。▼ 紹介いただいたイノベーション・モデルは,聞き及んだ覚えが微かにあるものの,名称と詳細を知りませんでした。参考になります。私が念頭に置いていた生物学の進化モデルと重なるところがありそうなので,少し調べてみようと思います。

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Tuesday, 2006/04/04

容疑者Xの献身

[] 東野圭吾容疑者Xの献身 東野圭吾 『容疑者Xの献身』を含むブックマーク

 昨日,東野圭吾(ひがしの・けいご)『容疑者Xの献身』(ISBN:4163238603)を題材にした読書会が開催されたので参加してみた。

 この作品を文学研究科の人たちが,どのように捉えているのかに興味があって出かけていったわけなのですが,論点は「『容疑者X〜』は本格ミステリであるか」論争でした。何でも,発端は二階堂黎人の発言とのこと。

 『ミステリマガジン』にて誌上討論が繰り広げられているが,2006年3月号(ISBN:B000E5KWEK)においては,

 これは「限りなく本格に近い(広義の)ミステリー」であり,「叙述トリックを駆使した〈捜査型の小説〉であるというのが正しい

とする。これに対して数多くの論者が討議に参加しており,この議論状況について検討を加えるというのが読書会の趣旨。参考資料の取り寄せを頼んだら,以下の資料が送られてきた。

分量は多いが論点が明確であったため,さほど大変ではなかった。むしろ評論が豊富に出ていたおかげで,理解の助けとなる。

 このなかで異彩を放っているのは笠井だろう。文献《1》において笠井は,二階堂が「『容疑者Xの献身』の探偵小説としての二重性を正確に把握しえていないからだ」と説き伏せている。私にはこれで十分と思われたのだが,最新の文献《2》では少々首を傾げる方向に。そもそも,

「真の〈問題〉は,〈ホームレス〉が見えなくなっている本格ジャンルの荒廃なのだ」

前掲・文献《1》23頁

って何? さすがセミプロが集まる読書会だけあって探偵小説に明るい人が複数いたので,これ幸いと色々教えてもらってきた。

 本格論議を離れて参加者の作品評価を突き合わせてみるというのもしたのだが,これが様々。本作を「裏返された『電車男』」として位置づけるという視座が提供されたところで,それをマイナス要素にするものも居れば,プラスに評価する者も。私なんかは,犯人の動機が開示されていることに対して驚いてみたり(それは森博嗣の読み過ぎだ)。そもそもミステリーとして読むかどうかについても見解が分かれたり。多様な読みにも耐えうるということが,『このミステリーがすごい!』(ISBN:4796650334)ならびに『本格ミステリ・ベスト10』(ISBN:4562039728)において多くの支持を集めた理由だろう。久しぶりに感想を直にぶつけ合って,なかなかに楽しい思いをしてきた。

 ともあれ私は『容疑者Xの献身』という作品を面白く読み終えました。ミステリの側面と大衆娯楽小説としてのバランスが取れていると思う。

Sunday, 2006/04/02

『カーリー 〜黄金の尖塔の国とあひる

[] 高殿円 『カーリー』  高殿円 『カーリー』を含むブックマーク

 高殿円(たかどの・まどか)『カーリー 〜黄金の尖塔の国とあひると小公女〜』(ISBN:4757726619)読了。まいじゃー推進委員会id:tonbo)のご推薦です*1

 時は1939年の夏,ところは英国支配下の北インドにある藩王国パンダリーコット。シャーロット(表紙右の金髪くしゅくしゅ少女)は,当地で駐在大使を務める父からの招来を受けてロンドンを離れ,インドへと渡航して海沿いの街にある寄宿学校に入学する。同室となったのは,オニキスの様に黒い瞳を持つカーリー(表紙左)。二つの民族の間に生まれ,流血の女神の名を与えられたカーリーからインド独立に懸ける思いを聞かされ,シャーロットは社会へと目を向けていく。

 前半は,赤毛で縦ロールのいじわるお嬢様ヴェロニカ,取り巻きの双子姉妹,厳粛な院長先生,秘かに主人公たちを支える奉公人の少年,それに〈真夜中のお茶会〉など,数々のオマージュが散りばめられる。

ずーっとずーっとやりたかったんですよ。

昔、大好きだったハウス名作劇場

(中略)

世界名作劇場

アニメで復活しないなら自分で書いてやる!

と、一大決心してできあがったのが、これです。

http://akusyumi.blog59.fc2.com/blog-entry-8.html

この作者の言で,コンセプトは説明できるでしょう。開始段階での主人公シャーロットは,フランシス・ホジソン・バーネットによる『小公女』にあこがれる妄想娘。初期設定の展開にかける紙幅が,わずか145頁に抑えられてしまっていることが本書の難点だろうか。「キャラクターが立つ」前に,次章に繋がる出来事――すなわち,隣家に住む住人との遭遇が起こってしまう。ノベルゲームで言うところの〈日常パート〉に当たる描写が最小限にも満たないほどに切りつめられてしまっているために,情景の描写が著しく弱い。加えて,あともう少し感情表現がていねいに描写されていれば,もっと繊細な仕上がりになったろうに……。舞台設定はなかなかに魅力的であるだけに,何とも惜しまれるところ。

できれば寄宿舎の中の話をもっと書いてくれると嬉しいんだけど……。

http://www.booklines.net/archives/4757726619.php

 中盤以降についての詳しいことは伏せておくが,砂糖菓子のような学園百合物語には似つかわしくないキナ臭い実在の人物達が,間接的ながら役回りを持たされて登場する。リッベントロップとか。地理的・歴史的な位置づけを特定して示すことにより,ファンタジーとフィクションを兼ね備えた作品となっている。

 本作は約310頁で構成されている。ところが,本書全体で「第一話」なのだ。作者は続刊を出す気が満々らしい。先に述べた私の不満は,続刊が出れば幾分か減じられるものと期待する。

 ところで初版の帯には,

高殿円×椋本夏夜が贈る

珠玉のヴィクトリアン・ラブ・ストーリー

http://www.enterbrain.co.jp/fb/newbook/072/01/index.html

とあるけれど,これ,何でしょうね。ヴィクトリア女王の在位は1837〜1901年だし。時期ではなく様式?

1900年代中期だから、ヴィクトリア時代じゃないんじゃ・・という突っ込みは無しで(^^;

http://d.hatena.ne.jp/binbin530/20060330/p1

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