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博物士

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Thursday, 2006/04/06

ISBN:4840219435

[] 美少女ゲームのパラダイムは4年で交代する〔仮説〕  美少女ゲームのパラダイムは4年で交代する〔仮説〕を含むブックマーク

 元々は http://d.hatena.ne.jp/hajic/20060406/p1 に宛てて書いたコメント。

 ギャルゲーを中期的に支配するパラダイム(paradigm)すなわち「規範となるフォーマット」は,およそ4年単位で動いているのではないか――という仮説を経験則から導いてみました。

 この他に,半年程度で短期的に変化する属性単位での「流行り廃り」の波が,長期的にはハードウェア面やOSレヴェルにおける「技術革新」の波があると思うけれど。

《蛭田と剣乃の時代》

《幼なじみとメイドロボの時代》

《妹とメイドさんの時代》 あるいは 《ろりぷにとI’veの時代》

《きのことひぐらしの時代》

《?の時代》

 この4年周期仮説に従えば,今すでに次の時代の萌芽はどこかに現れていて,2008年頃に開花するはず。

 2006年現在,クリエイター達が意識しているかどうかは別として,「奈須きのこ」と「竜騎士07」が到達目標であり仮想敵であると理解していいでしょう。

結語

 で,元々何が言いたかったのかというと,この〈波〉仮説を受け入れるような人であれば,2006年は谷間に当たるので「最近のエロゲーは面白くなくなった言説」に結びつくのではないかなぁと思った次第。

 司馬遼太郎は『アメリカ素描』(ISBN:4101152365)の中で,次なる文明は先行する文明と対立するところではなく縁辺から生ずると説いていました。20世紀に繁栄を極めたアメリカは,19世紀の大英帝国からすれば縁辺部。英国は,大航海時代のスペイン・ポルトガルからすれば縁辺部。スペインは,ルネサンス期のイタリアからすれば縁辺部―― この考えに従えば,今は未だ〈見慣れたもの〉にしか見えていないものが次なるパラダイムになることでしょう。たぶん。


▼ 参考資料

▼ 追補

*1http://www.tinami.com/x/review/02/

*2http://www.tinami.com/x/interview/04/

*3:追記。パラダイム転換により〈幼なじみ〉から〈妹〉へと移行したことについては,本田透が『萌える男』(ISBN:4480062718)で構築した理論的枠組みで処理できるかと思います(cf.id:genesis:20051111:p1)。同書の第2章では,「萌える男」は進化して〈男性性〉から解脱して〈少女性〉を獲得する――という説を展開しています。まず移行過程として『マリア様がみてる』のスール制度を捉え,男性の存在しない空間を描き出したものとします。そして,終局的には〈萌える男〉自身が萌えキャラ化する(すなわち脳内少女化する)ものとし,例として『処女はお姉さまに恋してる』(2005年,キャラメルBOX)を挙げていました。ちなみに,『かしまし〜ガール・ミーツ・ガール〜』に登場するはずむは,この本田理論をそのままなぞったような造形です。本田理論の軸線を繋いで『おとボク』の先にあるものを考えてみたとき,そこに『かしまし』がぴったりと符合します。

cognicogni 2006/04/08 00:46 『2006年は谷間に当たる』とのことですが、同じく谷間の2002年(もしくは1998年)にも「面白くなくなった」という言説が流布されたのでしょうか。そうした流行があったのなら4年周期仮説を補強する証拠になるかと思います。自分はその時期(2001中盤〜2004年)このジャンルから離れていたので、流行り廃りが体感出来ておらず判断付きません。

genesisgenesis 2006/04/08 01:20 私は,観鈴ちんのせいで虚脱症状になっていたのか,その辺りの記憶が朧気なのです……。ただ,追記しておいた参考資料「基礎教養的タイトルを集約する試み」を眺めてみると, 2001年から翌02年にかけては後世に語り継がれるほどの作品が無かったように思うところです。

JV44JV44 2006/04/08 03:00 01〜02年頃は「Air」バブルの反動だったのか、現在まで続くエロゲ不況の始まりでした。つまらなくはないが売れないという、またアリスソフトの低価格路線もあり、大作不在の時代でした。作品構成の根幹ではなく、多分にマーケティングなモノを含んでしまいますが、その中で記憶に残ってるのは「はじるす」あたりでしょうか。それまでもニッチな作品はありましたが、総花的なヒロイン配置を廃し、ヒロインの少人数化、属性統一、によりロリブームから妹ブームへの端緒となったと言えるかなと。その流れが「つよきす」まで続くと。
つまらなくなったといわれだしたのは03年頃ではなかったでしょうか。特に遅れてきた大作たちが実際に発売されましたが、(特にネット上で)失望の感想を良く見かけました。

REVREV 2006/04/08 07:58 2002年は、販売本数的には「谷」です。例のあれの補足を見てください。「4年」というマジックナンバーを補強する意図はありませんが。本来、2002年には出す筈?の、KANONをプレイし、AIRを横目に見ながら作った各社の大作が、後年にずれ込んだのも原因かと。

kagamikagami 2006/04/08 13:50 JV44さんが仰っている通り、「はじめてのおるすばん」が2001年12月28日に出て、あれでいっきにロリエロ萌え路線がブレイクしました。おるすばん発売当初の祭りは盛大なものでした…。各店舗で売り切れが相次いで、はじるす難民(はじるすを買えずに捜し求める人)が大量に発生しました。2002年ははじるすの余波でユーザー的にはむしろ盛り上がっていましたね。また多分にはじるすの影響もあり2002年頃から和姦ゲーでもエロが重視されるようになり、現在もエロ重視のかぐややルネ(マリゴールド系)はコンスタントに良い売上を上げていますから、2006年現在は特にエロゲ不況ではないと思います。「えっちなのはいらないと思います」というKANONが齎した風潮は2000〜2001年頃の泣きゲーブームの時が全盛でそれ以後は廃れました。売上年間トップテンでは見えないベースの部分を支えているのは基本的にエロだと思います。5000〜10000本くらいの中堅ヒット作だとエロいのが強いかと。あと近年は卑語ってるゲームは売れることが多いです。エロゲに卑語が必要不可欠になってきたと云えるかなと。
http://www3.atwiki.jp/higo-is-beautiful/
http://iweb.sakuranet.or.jp/~haruno-c/gameplaza/vulgar_db/vulgar_db.cgi
長くなってすみません(^^;

genesisgenesis 2006/04/08 13:58 当所では,長文コメントも歓迎です。議論の叩き台になれば嬉しいので。

JV44JV44 2006/04/08 18:35 kagamiさん、論の補強ありがとうございます。02年頃不況といわれたのは2〜3万本を境に格差が広がってユーザの大作、人気ブランド志向が鮮明になり、1万本クラスでペイできていた作品が売り上げが半減したため、苦しくなったというものでした。ランキングに出てこないこの辺りの売り上げが改善したというデータが見つけられなかったため、「現在まで続く」と書いてしまいました。
また、本論とはずれてしまいますが、02年のランキングを見てて思い出しましたんですが、媒体のDVDへの切り替えが本格化した年だったというのも影響ありますかね。集計方法が良く分からないのですが、エスカレイヤーはDVD版の他、1ヵ月遅れで発売されたCD版も7〜8000本位売り上げた筈です。D.CもDVD版はCD版と同発ではなかったと思いますし、集計からもれている可能性があるかなと。

kagamikagami 2006/04/08 21:55 平均的なエロゲは大体3000本も売れればペイできるのではないでしょうか。一万本も売れると大ヒットだと思うのですが…。以前ファンタジェンヌに掲載していた今はなきリビドーの社長さんのコラムで、エロゲはコンシューマに比べると格段と製作コストが安いので、3000本売れれば十分にペイできて、5000本でヒット、一万本で大ヒットというようなことを社長さんが書いていたのを読んだ記憶があります。一万本でペイというような高コストエロゲは、過去も今もエルフやアリスの出す手間の掛かった大作以外にはあまり存在しないように思うのですが…。

RhinoRhino 2006/04/09 00:26 犀の目工房です(汗)。
取り上げられてる「試み」テキストは書いてるうちに方向性がおかしくなったので再構成かけたいんですけど、夏コミ準備とか始める関係で立て込んでまして暫く手がつけられません。スミマセン。

cognicogni 2006/04/10 11:57 事実確認を行う議論が一段落したようなので、理論的枠組みに関しての意見を少し書き込ませて頂きます。
古典に近い扱いを受けていますが、Christensenの”The Innovator’s Dilemma”で描かれている持続的/破壊的イノベーションのモデルを、物語のパラダイム転換にも当て嵌められるのではないかと愚考します。本田理論(〈男性性〉から解脱して〈少女性〉を獲得する)では、パラダイムの遷移を一度だけしか説明出来ない(=行き詰まる)のに対し、Christensenの理論では幾度も適用可能なところに長所があります。詳しいところはGoogleで『イノベーションのジレンマ』を検索して頂ければ、レジュメなどがネットに落ちておりますので(e.g. http://www.isc.meiji.ac.jp/~sano/htst/Theory-of-Technology/technology-strategy/index.htm)、そちらを見て戴くのが早いのですが、簡単にいうと、本書では「優良企業は優良であるが故に失敗する」というテーゼを擁立し、ニッチであった技術がデファクトスタンダードになるにつれ、その技術を早期段階で得ていた企業が発展すると唱えている本です。この理論は有名ですのでご存知かもしれませんが、恐らくid:genesisさんの理論構築の役に立つかと思います。少なからず、月姫による伝奇バトルの再発見から昨今のバトル系統の隆盛に関してはこの理論を補助的に利用出来るのではないでしょうか。
また、同人系の台頭の解析に関しては昨今話題のブルーオーシャン戦略の例としてみることが可能ではないかと考えます。もちろん安易な当て嵌めは危険ですが、こちらも補助線的な役割は十分行えると思います。
こうした物語の廃り流行りに関しての理論の構築は(時間周期的な格差はともかく)興味深いものですので、深化させて下さると有難いです。

genesisgenesis 2006/04/10 22:13 cogniさん,ご示唆どうもありがとう。▼ 紹介いただいたイノベーション・モデルは,聞き及んだ覚えが微かにあるものの,名称と詳細を知りませんでした。参考になります。私が念頭に置いていた生物学の進化モデルと重なるところがありそうなので,少し調べてみようと思います。

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