パルマ(3/3)

 朝一番に,国立パルマ美術館(Galleria Nazionale Parma)を訪れる。なぜか入口がファルネーゼ劇場(Tetro Farnese)の袖にあって,料金を払ってもいないのに劇場の見学も出来てしまった。木製のベンチがしつらえられたこぢんまりとしたところで,ここでオペラを観たらさぞかし臨場感があると思う。
 美術館の方ですが,これがめがっさ良かった。広い館内でありながら3組しか入場者がいなかったということもあり,絵との対話をじっくり楽しみながら見て回る。フレスコ画,歴史画,寓意画,祭壇画など,12世紀から18世紀に至るまでを満遍なく取り扱っている。全体として質が高く,絵画好きなら見逃せない。陳列も変わっていて,歴史的建造物を活かすべく,パイプで中空の上階を造っている。最初は手早く見て回るつもりだったけれど,1時間40分ほどかけて楽しむ。
 次は洗礼堂(Battistero)の内部へ。外観はバラ大理石で仕上げられた柔らかな眺めだが,内部は説話を描いた荘厳な仕上がり。
 コレッジョの部屋も訪ねてみたが,こちらは冴えない。

モデナ

 午後はマントヴァを訪ねてみようと列車に乗ってはみたものの,車中で時刻表を見てみると片道3時間ほどの場所にあり,現地での滞在時間を長く取れないことがわかった。そこで代わりに,乗換駅のモデナ(Modena)を目的地に変更。
 駅を出てしばらく進むと,光を受けて輝くドゥカーレ宮殿を回り込むように道が続く。かつての町の支配者エステ家の繁栄振りが忍ばれる構え。
 柱廊を抜けてさらに歩を進めると,世界遺産になっているグランデ広場(P.za Grande)に出る。右手には時計塔を備えた市庁舎,左前方に大聖堂,正面には緩やかに張り出した半円柱形のテラス,そして正面に鐘楼と均整の取れた美しさ。大聖堂は修復工事中であったために正面のファサードを目にすることは出来なかった。
 総合博物館も修復工事中だったので,市内を一巡して立ち去ることにする。

ピアチェンツァ

 特急列車ICに乗り,パルマを通り過ぎて,エミリア=ロマーニャ州の北端にあたるピアチェンツァ(Pacenza)に向かう。まずは,かつての為政者の居城を博物館として利用しているファルネーゼ宮殿(Palazzo Farnese)に向かうが,9月中は夏季短縮営業中ということで入場は出来なかった。そこで,首都が移転したために途中まで造って放置されてしまうことになったという建物だけを見ていくことにする。
 名刹サン・シスト教会に寄ってから,ゴディコ(旧市庁舎),サン・フランチェスコ教会を通ってドゥオ−モ(Duomo)へ。高くそびえる鐘楼を持つ優雅なファサードは,夕陽を受けてとても美しい(その割には,内部は簡素でしたが)。
 サン・アントニオ教会(Bascilica di S.Antonio)もまた,夕陽が似合う。正面から見るとそこそこ立派なだけなのだけれど,右手にある広場の方から眺めると実に堂々たる構え。