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博物士

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Thursday, 2007/05/31

森博嗣 『イナイ×イナイ』

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 森博嗣(もり・ひろし)の新シリーズ第1作『イナイ×イナイ』(ISBN:9784061825314)を読む。

 Gシリーズに気怠くのし掛かっていた“……。”感が薄れ,正統的なミステリーになっている。とはいえ,早々と《閉じた密室》ではなくなってしまう構成。姉妹が出てきたら入れ替わりを疑え――という法則に忠実。

 オカルト風味というところが森作品としては珍しいかも。しかし,動機に対する興味の薄さはいつも通り。

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Monday, 2007/05/28

田中ロミオ 『人類は衰退しました』

[] 田中ロミオ人類は衰退しました 田中ロミオ 『人類は衰退しました』を含むブックマーク

 田中ロミオ人類は衰退しましたISBN:9784094510010)を開く。口絵のイラスト(画:山崎透)を見て数秒ほど悩み,ちょびっツ?という解を得て本文へ進む。

 主人公の丁寧語少女によるモノローグがしばらく続き,舞台設定が紹介される。次いで,昔から馴染みの人物が出てきて会話が行われ,主人公の性格設定が伝えられる。それから主人公の行動ターンへと進み,未知の存在と接触。

 ――この導入構成,安定感があって誠によろしい。

 さて,本書は全2話で構成されていますが,前半では会話の掛け合いが楽しい。ズレた主人公とボケた妖精さん達との相乗効果がぜつみょー

 後半になると展開っぽいものは出てくる。けれど,ストーリーというよりフェアリーテール(≠F&C)。諧謔が効いている。

 ふわふわんとしたここちよいことばのおーしゅーがたまらないみりょくあふれるいっさつ。

genesisgenesis 2007/05/29 21:17 追記) y_kamishiroさんに「仕事速すぎ」と言われてまた数秒悩み,昨晩ガガガ周りのキーワードに手を入れたことを思い出したのでした。

y_kamishiroy_kamishiro 2007/05/29 22:15 説明が足りずに失礼しました。迅速な更新にいささか驚いたもので。

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Friday, 2007/05/25

伊坂幸太郎 『アヒルと鴨のコインロッ

[] 伊坂幸太郎アヒルと鴨のコインロッカー 伊坂幸太郎 『アヒルと鴨のコインロッカー』を含むブックマーク

 読書会に参加。今回のお題は,文庫化(ISBN:4488464017)&映画化記念で,伊坂幸太郎(いさか・こうたろう)『アヒルと鴨のコインロッカー』(ISBN:4488017002)。

 東京創元社ミステリ・フロンティア》の第1回配本であってシリーズの方向性を示したものであるとか,直木賞候補の常連である――といったコンテクストにおいてはそこそこ話ができるものの,テクストについてとなると沈黙してしまう。

 トリックをスパイスに用いた青春小説と言えるかと思います。しかし,言い換えてみれば,展開に論理的な整合性がなく,主人公らの行動については動機が不明で,事件性についても偶然性によって左右される要素が大きい。加えて,村上春樹へのオマージュが強く意識される(らしい)文体は,どうも苦手。

 先行上映された映画を観てきた人の話では,原作だと違和のあった部分が上手く削ぎ落とされた仕上がりになっていた,ということでしたが……

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Saturday, 2007/05/19

ロレンス 『チャタレイ夫人の恋人』

同人誌と表現を考えるシンポジウム――論点整理のために  同人誌と表現を考えるシンポジウム――論点整理のためにを含むブックマーク

 豊島公会堂で開催された「同人誌と表現を考えるシンポジウム」に参加。

1

 第一部「今,どうなっているのか? 〜現場からの発言〜」では,即売会を運営する側(各準備会)と商業流通に携わる者(とらのあなメロンブックス)から,わいせつ性の強い同人誌を頒布することに関してどのような運用がなされているのか,実態の紹介があった。こちらについては,即売会という場を設定する運営者からクリエイターへ向けての情報提供がなされていた。この点,対内的コンセンサスの形成に寄与するものではあったが,これまで積極的な対外的アピールをする姿勢に欠けていたことはパネラー達,とりわけ永山薫氏(id:pecorin911:20070521:1179764392)からも指摘されていた通りであろう。

 続く第二部での「どうすべきなのか 〜有識者討論〜」であるが,もどかしさを感じるものであった。松文館事件の被告人側弁護士である望月克也氏からは,チャタレー事件最高裁判決を引用してわいせつ性にかかる司法判断の枠組みについて簡単ながら述べられていたものの,その意味するところを司会の坂田文彦氏(ガタケット事務局)らが理解できておらず,焦点のボケた流れになってしまっていた。

2

 望月弁護士からは刑法175条に該当する猥褻物の判断につき「一般社会において行われている良識すなわち社会通念」によって判断がなされていることについて触れるくだりがあった。

ところが,司会者はそこから話を児童ポルノ規制へと繋げ,児童であるか否かの判断基準が18歳であることの当否へと移してしまった(坂田氏の言では,どの年齢で成人と児童を区切るのかというところで「社会通念」を用いていた)。これは幾つかの論点を混濁させてしまっているものであり,シンポジウムの進行としては不適切であったと思う。つまり,「青少年がポルノ性を有する表現物に接触すること」「表現物の中で青少年が性的行為に関わっていること」とは分けられて然るべきであろう。

 ポルノ規制は憲法学や行政法学では基礎的な問題であるけれども,今回のパネラーには法律家が一人しか含まれておらず,しかも事件に携わった弁護士という立場であったので,上記のような議論の流れを抽象化して整理できていなかったことが惜しまれる。

 司会者が「同人誌文化は素晴らしいものであり、安易に規制してはならない」という素朴な信仰に支えられているため、議論が広がらなかった恨みが残る。

http://d.hatena.ne.jp/yskszk/20070519#p1

3

 では,「青少年がポルノ性を有する表現物に接触すること」については,どのような観点から論じられるべきであろうか。

 シンポジウムの中では斎藤環氏(精神科医)にコメントを求めていたが,引き出された返答は予想された通りのものであり,児童がポルノに接触したとしても性犯罪を引き起こすわけではない――というものであった。この議論の組み立ては,森昭雄ゲーム脳の恐怖』をめぐるそれと同じである。

 しかしここで思い起こされるべきは,『ゲーム脳』に対しての理性的な反論が親たちには届かなかったという現実ではないだろうか。すなわち,ポルノ規制をめぐる議論においては親たちの持つ曖昧な不安を抜きにして論じることはできない。

 伊藤剛氏(id:goito-mineral:20070512:1178922782)が繰り返し「調整」という言葉を用いて発言していたが,その内容についてまで検討は及んでいなかった。これについて私から議論を提起してみようと思う。

 先に挙げたチャタレー事件とは「表現の自由」と「芸術性」とが衝突を起こしていた。その後の四畳半襖の下張事件(最高裁第二小法廷判決・昭和55年11月28日・刑集第34巻6号433頁)は「表現の自由」と「思想性」とが衝突している。*1

 ここで「バーチャル社会のもたらす弊害から子供を守る研究会」が提起した問題を捉え直してみよう。これは,同人誌を介した「表現の自由」と親が持つ「子女に教育を受けさせる権利」とが衝突したものではないだろうか。すなわち,親がその保護する子供に何を与えるか(換言すれば,子供を何から遠ざけるか)は親の持つ権限なのであって,その表現物が有する猥褻性・有害性は副次的なレヴェルに後退する論点なのである。

 今回のシンポジウムは即売会主宰者が中心であったということが影響して,同人誌における表現の自由を如何に護るかに主眼が置かれていた。それ故,クリエイターに対してコンセンサスを得るという構図になってしまったのは否めない(そのこと自体は有益であったと思う)。だが,今回の問題に関して言うならば,説得すべき相手は「親」であることを意識しておかねばなるまい。

4

 ここで,研究会の名称に「バーチャル社会」という文言が入っていることを再確認しておく必要がある。すなわち,同人誌の頒布に関しては即売会という場をモデルにした理念系では擁護論を構築し切れていないことを実態の指摘として捉えねばならないだろう。

 思うに,ポルノ(わいせつ表現)に関しては(1)実体的問題と(2)手続的問題とがある。市川孝一氏(コミケット準備会)や武川優氏(日本同人誌印刷業組合)は,実態報告として黒塗り・消し・モザイクなどについて述べたが,これらは主に実体的問題についてのものであって,何が刑法175条にいう猥褻物に該当するかについての話題に留まるものである。

 シンポジウムにおける討論では,即売会における対面頒布を念頭に置いていたため,ポルノに関わる手続的問題(流通プロセス)への配慮が欠けていたように感じた。

 この点につき「虎の穴」や「メロンブックス」の代表者からは,自主的に内容審査をしていることや売り場のゾーニングを試みていることが述べられていた。だが,即売会における頒布者を代理している(クリエイターから作品をお預かりしている)という意識があまりにも強いため,流通過程における独自の役割を期待されているにも関わらずそれに応えられていないように見受けられた。

 《漫画のわいせつ性》や《児童ポルノチャイルド・アビューズ》も関連する問題ではあるが,表現の自由そのものをめぐる話題であって,利害の「調整」は馴染みにくい。それに対して《18禁》は「調整」の余地が多分にある。青少年保護育成条例が多くの都道府県で定められている以上,そこで求められている配慮を尽くすことは送り出す側の責務であろう。親の保護下にある青少年がポルノ性を含む同人誌・同人ゲームに対して接触しにくい状態(=システム)を用意することが,検討課題ではないだろうか。*2

 シンポジウムの中では「コンセンサス」というのが繰り返し持ち出されていたのだが,ガバナンスの問題として見た場合には不十分と言わざるを得ない。例えば企業が不祥事に問われた場合,いくら「がんばってきました」と弁解してもダメで,問題の発生を未然に予防するための制度(システム)を構築し運用してきたのかどうかが責任問題を判断する際の指標となる。

 シンポジウムの第一部において語られていた性表現に関する内部的ガイドラインにしても,刑法175条にかかる猥褻物についての判断基準に過ぎない。これを“マナー”の問題として捉えた場合には,より広範な配慮が検討の対象となるのだという認識が弱いように思われる。即売会の会場内では配置(ゾーニング)で対処される問題に留まるかもしれないが,司法判断では「性行為の非公然性の原則」というものが登場したこともある。商業流通(さらにはネット経由での頒布)においては,表紙において性行為を描いたり乳房を露出させていることで目に付きやすい状態にしていることの是非も考慮の余地があるところだろう。

 今回はあくまで18禁への自主規制の取組を問われている。18禁何とかせい、との警察の問いかけに、「ワイセツの自主規制しっかりやってます」では、厳密に言うと話がズレているような気がする。

 18禁についての取組を語るべきなのに、ワイセツに話が摩り替わっている。

http://blog.livedoor.jp/analstrike/archives/50797747.html

 ポルノ性のある表現物へ子供が接触することを「親」が嫌っている場合,性表現に対する態度(信条)もまた尊重されるべきものであることを相手側当事者として認めなければなるまい。クリエイターの側においても,かかる信条に対して配慮していることを具体的な形で示さなければ,表現の自由を振りかざすだけに終わってしまう。松文館事件の敗訴が教えるように,表現の自由といえども絶対的価値ではない。

 まずは同人誌の送り手における対内的コンセンサスを得ることが先決だとしても,その次には,対外的にも説得性を持つシステムとして構築する作業が課題となるのではないか。成年コミックが“黄色い楕円”という制度を導入したことから教訓を引き出しておきたいところだと思う。


▼ 関連資料

offline meeting  offline meetingを含むブックマーク

 cogniさんの帰国を記念して,有志による懇親会を催す。なお,いずれも直接にお会いするのは初めての方ばかり。

*1:余談であるが,松文館事件の弁護人主張を読んだとき,これまでに構築されてきた最高裁判例の枠組みに従う限り敗訴するであろうと私は感じた(事実,第一審も控訴審も有罪判決になっている)。それというのも,弁護人は『蜜室』の芸術性なり思想性について主張することをしていなかったからである。

*2:もっとも,同人活動は商業誌・美少女ゲーム・映画などと状況が異なり,統一的に取り組むことが難しいとの意見が出てくると思われる。そこでは,ISOの各種認証制度が参考になるのではなかろうか。任意団体を設立して《18禁》ガイドラインを策定し,当該ガイドラインに準拠していることを表示する,というのもアイデアである。利権が絡んできそうで不安であるけれども。

pekoraikoiupekoraikoiu 2007/05/26 05:38 なんともタイムリーな…

今同人誌と権力と言えばこの話題でもちきりですがhttp://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/
たけくまメモ : 【著作権】とんでもない法案が審議されている

これについても話にのぼらせなきゃならないような気も。
いずれこのことをあつかったBlogとうのまとめもしてみたい気ですが、今のところ、議論はまっぷたつって感じでかなり危うそうです。

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Friday, 2007/05/18

支倉凍砂 『狼と香辛料』

[] 支倉凍砂狼と香辛料 支倉凍砂 『狼と香辛料』を含むブックマーク

 東京へ出張。移動中の機内で,明日会おうと思っている人が折に触れて広めている支倉凍砂(はせくら・いすな)『狼と香辛料』(ISBN:4840233020)を読む。

 冒頭,未だヒロインが出てくる前の時点で「これは面白い」と思う。西洋中世の行商人を題材にとってみたという設定も面白みの一つではある。しかし,何より文章の醸し出す気品が気に入った。綴られた言葉,句読点によって刻まれるリズム,描き出される情景などが総体として作用し,豊穣なファンタジー空間をもたらしてくれる。

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Thursday, 2007/05/17

日本労働法学会誌109号

大学院はてな :: 基礎疾患の存在と労働災害の認定  大学院はてな :: 基礎疾患の存在と労働災害の認定を含むブックマーク

 まもなく発売になる日本労働法学会誌109号(ISBN:9784589030283)に,拙稿「基礎疾患の存在と業務(公務)上外認定」が掲載されます。

 この論文では,地公災基金鹿児島県支部長(内之浦町教委)事件(最二小判・平成18年3月3日・判例時報1928号149頁)を素材としています。

 最高裁の判断は破棄差し戻しであり,事実認定が絡んでくるので結論は控えましたが,否定的な見解を述べました。これまでの裁判例の積み重ねで,脳・心臓疾患についても労働災害であると認定されるようになってきました。私の見解は,こうした傾向に逆らうものであり,被害者救済を重視する立場からは批難を浴びせられるやもしれません。

 しかしながら労働災害保険というシステムは,就労することに伴って生じるリスクを使用者の負担によってカバーしようというのが本旨であると考えます。脳・心臓疾患の発症は,普段の生活習慣が寄与する割合が高いものであることから,本来的には労災保険が負うべきものではありません。しかしながら,「過労」が引き金となって労働者が死亡・疾病を引き起こしたのであれば,使用者がリスクを引き受けて然るべきだ――というのが労災とされる範囲を拡張してきた流れを支えるロジックだと理解します。

 本件では「過労」という状況がなかったうえ,被災労働者は数年前に心筋こうそくを発症していたことが明らかになっています。かかる基礎疾患を有していた者が,バレーボールの試合に出場して急性心筋こうそくを発症して死亡に至ったという場合,労働災害と認定すべきものなのでしょうか。

 評者は,これを否定的に解しています。

 家計を支えていた働き手を失うことによって生じるリスクというものもあることは理解します。しかし,これは労働者に特有のものではなく,農家や自営業者なども抱えるリスクです。企業における被用者を対象とする労災保険に留まらず,医療保険にまで及ぶ社会保険システム,さらには生活保護制度も含めた社会保障政策の全体で議論されるべきものでありましょう。

 未熟なところも多い論文ですが,ご笑覧いただければ幸いです。

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Wednesday, 2007/05/16

竹本泉 『わらいの園々』

[] 竹本泉 『わらいの園々』  竹本泉 『わらいの園々』を含むブックマーク

 竹本泉(たけもと・いずみ)の新刊『よみきりものの… わらいの園々』(ISBN:9784757734982)を開く。

 新刊なのに,とてつもない既視感。

 まぁ,竹本泉はいつもアレだしね――と読み進めているうちに,「マンホールのあうの人」で通常よりも変であると気がつく。何ですか,正式名称『よみきりものの… よみきりもの2(1)』って……*1

 構造レヴェルで竹本泉ワールドだなんて,感涙ものですよ(笑)

*1:解説。本書は,5年前に刊行された『よみきりもの(第1巻)』(ISBN:4757705891)と同じキャラクターによる続編6本が,同じ配列で収められています。

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Tuesday, 2007/05/15

大塚英志 『更新期の文学』

[] 大塚英志更新期の文学』(再読)  大塚英志 『更新期の文学』(再読)を含むブックマーク

 《ゲーム的リアリズム》の元ネタとして位置づけられている『キャラクター小説の作り方』(ISBN:4061496468)を読み,物足りなくなったので大塚英志(おおつか・えいじ)『更新期の文学』(ISBN:4393444132)を再読する。

 最初に読んだときには「荒っぽさ」や「傲慢さ」が鼻についたのだが,ぐるっと迂回してから読み返してみると「言説の力強さ」と「自説に対する強い自負」に思えるから不思議。

 昨今における大塚の活動は「ジャパニメーション」「戦後民主主義」「おたく論」「ブンガク」「民俗学」といった領域で展開されており散漫なように思えるが,それらは泉源を一にするものであることが本書で記されている(口汚くはあるのですけれど)。現時点での「大塚英志論」としては最もまとまった業績だろう。

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Friday, 2007/05/11

東浩紀 『ゲーム的リアリズムの誕生』

[] 東浩紀ゲーム的リアリズムの誕生』 第2章  東浩紀 『ゲーム的リアリズムの誕生』 第2章を含むブックマーク

 東浩紀(あずま・ひろき)『ゲーム的リアリズムの誕生――動物化するポストモダン2』(ISBN:9784061498839)をめぐる読書会を催す。

 僕は、1990年代末から2000年代にかけての日本文学(の一角)の光景は、「自然主義的リアリズム」=J文学と、「アニメ・まんが的リアリズム」=ライトノベルの二つの潮流がぶつかって作られていたのだ、と考えると、いろいろ見通しがよくなると考えています。

http://www.hirokiazuma.com/archives/000125.html

 以下,覚え書き。

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Sunday, 2007/05/06

北村薫 『冬のオペラ』

[] 北村薫 『冬のオペラ』  北村薫 『冬のオペラ』を含むブックマーク

 北村薫(きたむら・かおる)『冬のオペラ』を読む。*1

 姫宮あゆみが勤める不動産屋の上に「名探偵」が事務所を開いた。引き受けるのは「名探偵」に相応しい事件だけだという。そんな名探偵は,週に3日のアルバイトをして生計を立てつつ,事件の訪れを待つ―― 

 名探偵も大変だなぁ。

 収められているのは3つの事件。「三角の水」「蘭と韋駄天」は《日常の謎》系統の雰囲気を保ちつつも,犯罪性を帯びた事件が起こる。結末において事件は解決するのに,やるせなさが残る。

 表題作「冬のオペラ」は,本書の半分を占める中編。ひたすらに文章が美しい。平易でありながら瀟洒(しょうしゃ)。綴られる言葉は誠に端整で,それらが流れ行く様は心地よい。

*1:単行本ISBN:4120022382,新書版ISBN:4125004366,中公文庫版ISBN:4122035929,角川文庫版ISBN:4043432054

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Saturday, 2007/05/05

蘇部健一 『六枚のとんかつ』

[] 蘇部健一六枚のとんかつ 蘇部健一 『六枚のとんかつ』を含むブックマーク

 昨日の一冊で脳がおかしくなってしまったので,反作用を期待して蘇部健一(そぶ・けんいち)『六枚のとんかつ』(ISBN:4062731274)を読む。

 空前絶後のアホバカ・トリックで話題の,第三回メフィスト賞受賞作

(裏表紙より)

という売り文句に偽りはなかった。収録されている短編13本(+α)は,いずれも「バカだッ!!」の連続。ショート・ショートのような軽いノリが楽しめる。

 なお「しおかぜ17号四十九分の壁」は,出題が出そろう前に“気づいてしまった”ことを地理講師の名にかけて申し添えておく。

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Friday, 2007/05/04

舞城王太郎 『九十九十九』

[] 舞城王太郎九十九十九 舞城王太郎 『九十九十九』を含むブックマーク

 読み止しになっている某書の作品論を読むに先立ち,どうしても触れておく必要が生じたので,舞城王太郎(まいじょう・おうたろう)『九十九十九ツクモジュウク)』(ISBN:406182306X*1を開く。

 2頁目で意識が飛びました。めまいを起こして動けなくなる(例えでも,誇張でもなく)。第2段落を理解しようとして,言語脳がブルースクリーン状態に……。

 比較してみると,清涼院流水の『コズミック』は荒唐無稽ではあっても未だ物語の体を為していたのが分かったよ。

*1:文庫版は,ISBN:4062756242

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Thursday, 2007/05/03

清涼院流水 『コズミック』

[] 清涼院流水 『コズミック』  清涼院流水 『コズミック』を含むブックマーク

 読書会に備え,清涼院流水(せいりょういん・りゅうすい)のデビュー作『コズミック 世紀末探偵神話』(ISBN:4061819283*1を通読する。

 既に批評を通して本書の位置づけは把握してはいたものの,そこはかとない“やるせなさ”にさいなまれる。参照しなければないという必要がなければ,裁断して燃やしてしまいたい気分。

「1200個の密室で、1200人が殺害される」という『コズミック 世紀末探偵神話』で第2回メフィスト賞を受賞してデビューした清涼院流水は、探偵小説愛好家に賛否両論で迎えられた。清涼院の書く「流水大説」は、ミステリの脱格化=脱コード化を極端に推し進めたもので、ミステリの破壊行為と見る向きすらあったのである。

http://d.hatena.ne.jp/dzogchen/20050708

 もう,悪意がカバーを被っていると言いたくなるような内容で,再読などしたくないし,できることなら清涼院の後続作も読まずに生きていたい。でも,文学史の上で記念碑的な作品であることは否定しがたい。

hajichajic 2007/05/04 00:22 それってただの大量殺戮では・・・

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