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博物士

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Friday, 2007/06/29

高田崇史『QED 六歌仙の暗号』

[] 高田崇史QED 六歌仙の暗号』  高田崇史 『QED 六歌仙の暗号』を含むブックマーク

 読書会で,高田崇史(たかだ・たかふみ)の『QED 六歌仙の暗号』(ISBN:4062736888)を取り上げる。どうしてシリーズの第2作を題材にしたのか聞いてみたところ,この作者を代表するものとして真っ先に思いついたから,ということらしい。確かに,前作に比べると練度は高いと思う。

 しかしながら,国文学の人からはトンデモだと苦言を呈せられる。自然と話は《京極堂》との差異に向かうのですが,(1)妖怪に比べると怨霊は資料が散逸するので散漫になってしまう,(2)京極堂には榎木津という対話相手がいるが,本シリーズでは桑原崇の講釈を棚旗奈々&小松崎が一方的に聞くという構図になっており,仮説への反論が提出されていない,(3)本作は過去と現在の連結が弱い――といった指摘があがる。あと,(4)アレルギーの取扱いについては御都合が宜しすぎる,(5)奈々ちゃんが「!」の連発によりおばかキャラになっていくのは哀れだ,といったことも。

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Tuesday, 2007/06/26

高田崇史 『QED 百人一首の呪』

[] 高田崇史QED 百人一首の呪』  高田崇史 『QED 百人一首の呪』を含むブックマーク

 高田崇史(たかだ・たかふみ)の『QED 百人一首の呪(しゅ)』(ISBN:4062736071)を読んだ。

 題名にあるように,百人一首をモティーフにとったミステリー。メフィスト賞受賞作である。途中で延々と繰り広げられるトンデモめいた百人一首の読み解きが見どころ――ではあるのだが,殺人事件との関連はするものの連結しているわけではない。それはそれで十分に面白かったのだけれど……。国文学を取り込んだという点から,自ずから北村薫の『六の宮の姫君』が想起されたわけですが,その北村が本作を評して

「水は水,油と油を混ぜるような作業」

と述べているのは,上手い褒め方だと感心しました。

 それより,殺人事件のアリバイに関する部分で《常識》が通用しないというところに釈然としないものがあります。『人形館』以降としては有りだというのは分かるのですが。この部分の伏線処理が,もう少し親切だったらなぁと思うところ。

Thursday, 2007/06/21

『ねこめ〜わく』

[] 朝日ソノラマ解散。それは――  朝日ソノラマ解散。それは――を含むブックマーク

 当社は9月で店仕舞いします

http://www.asahisonorama.co.jp/hp/whatsnew/readers.html

 とっさに本棚を眺め,自分への影響度を測った。川原由美子選集は完結しているから構わないとして,行く末が気がかりなのは『ねこめ〜わく』か*1

  1. ISBN:439191445X 第1巻(1993年8月,主婦と生活社
  2. ISBN:4391916339 第2巻(1997年3月,主婦と生活社
  3. ISBN:4872877128 第3巻(2002年8月,宙出版
  4. ISBN:425790545X 第4巻(2006年1月,朝日ソノラマ

 あ゛…… 会社が解散する理由,ものすごく納得できました。*2

 うじゃうじゃ。

*1:このシリーズは,掲載誌が『アップルファンタジー』→『ミステリーコレクション』→『アップル謎組』→『アップルミステリー』→『ねこミックス』→『夢幻館』と変遷を辿っている。ちなみに,編集長はすべて同じ人らしい。

*2竹本泉が描くと雑誌がつぶれるのか,雑誌がつぶれそうになると竹本泉が呼ばれるのか:that is the question.

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Tuesday, 2007/06/19

日日日 『狂乱家族日記 壱さつめ』

[] 日日日狂乱家族日記 壱さつめ』  日日日 『狂乱家族日記 壱さつめ』を含むブックマーク

 日日日(あきら)『狂乱家族日記 壱さつめ』(ISBN:4757722907)を読みました。

 初速は良かったけれど,24頁(超常現象対策局本部ビルに向かったところ)から先は話がこなれていないと思う。ハチャメチャな登場人物設定で真面目な寸劇をやっているので,どうも格好が付かない。主ヒロインのネコミミ少女・凶華(きょうか)にしても,優歌(ゆうか)のエピソードになると影が薄くなってしまい,あまり魅力が現れてこない。コメディかメロドラマか,どちらかに寄ってくれた方が落ち着きがよいように思うのだけれど。

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Saturday, 2007/06/16

労働判例932号39頁

[] 大学院はてな :: 偽装閉店と整理解雇  大学院はてな :: 偽装閉店と整理解雇を含むブックマーク

 研究会にて,J社ほか1社事件(大阪地裁判決・平成18年10月26日・労働判例932号39頁)を検討。

 被告Y会社は,パチンコ店を経営する会社。3店舗を擁していたが,2005年4月4日に経営状態の悪化を理由として店舗閉鎖が告げられ,同月28日に閉店し,従業員約30名全員を解雇した。ところが,2か月後の6月28日,同一の場所で再びパチンコ店がオープンし,名称は異なるものの同一の会社が経営していることが判明した。そこで原告Xらは,本件解雇が旧店舗の閉店を偽装したものであるから無効であると主張した。

 裁判所(裁判官:山田陽三)は,請求を認容。地位確認に加え,慰謝料(30〜50万円)の支払いも命じた。

 「ところで,Yらは,本件解雇の理由として整理解雇であることを主張し,一方,Xらは本件解雇が新店舗開店のための偽装閉店による解雇であると主張する。Xらが主張する偽装閉店が認められた場合は,整理解雇の主張の最大の根拠である旧店舗の閉鎖(の必要性)を否定することになるとともに,本件解雇が権利濫用であることを積極的に基礎付けることにもなる。

 そこで,以下,整理解雇に関する要件の検討に先立ち,偽装閉店の有無を検討することとする。」

 「旧店舗の閉店が偽装であるというためには,閉店の時点で,既に新店舗の開店を計画していたことが必要十分条件であるといえる。」

 「旧店舗の閉店と新店舗の開店には2か月の間隔があるが……その間に,大規模な改装工事があり(中略),その時点までに,設計を含め,いろいろな準備が必要であり,しかも,多額の開店資金を要することを考えると,これらの新店舗の開店に向けての準備(工事と資金の確保)を旧店舗の閉店時である4月28日以降,初めて計画したものとは考えられず,それ以前から計画していたものといわざるを得ない。」

 人件費が,旧店舗では月額1590万円であったものが新店舗では約1000万円と減少していることは,「旧店舗の閉店による従業員の全員解雇によってのみ成し遂げることのできた経費削減(中略)というべきであるが,旧店舗の偽装閉店の大きな動機であったことを強く推認させるというべきである。」

 「以上を総合すると,Hは,平成17年4月4日の時点で,F銀行から多額の入金が予想されたことから,旧店舗を一気にリニューアルし,かつ,人件費の削減を実施するために,新店舗の開店計画を秘したまま,全従業員を解雇した上,旧店舗を閉店したと認めることができる。」

 「本件解雇は,新店舗の開店計画を秘したまま,旧店舗の閉店を理由に,Xらを含む全従業員を解雇したものであって,それ自体で,解雇権を濫用したもので無効というべきである。

 私見だが,結論は支持するものの,判旨の理由付けに疑問あり。

 本件を「整理解雇法理」にあてはめてみると,(1)経営は黒字であり整理解雇に踏み切る必要性が弱い,(2)一時帰休(レイオフ)などの解雇回避措置が講じられていない,(3)全員解雇しており人選の合理性が欠如している,(4)欺罔的な解雇理由の説明が行われている――といった状況が認められるから,整理解雇は無効(=従業員たる地位確認請求を認容)との結論が導かれるだろう。

 しかし,本件は整理解雇法理の検討に立ち入る前段階で「それ自体で,解雇権を濫用したもので無効」としているので,この論理構造をどう解釈するかが今回の論点。

 この事件,経営者が偽装行為を行わず,真っ正面から「リニューアルのため長期間にわたって休業しますので,全員を解雇します」と言っていたならば,理論的には興味深い事案になっていたことと思う。

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Wednesday, 2007/06/13

吾妻ひでお 『逃亡日記』

[] 吾妻ひでお 『逃亡日記』  吾妻ひでお 『逃亡日記』を含むブックマーク

 吾妻ひでおあじま)『逃亡日記』(ISBN:9784537254655)が本棚の中から出てきた。

 この本,巻頭部分で作者自身が

「皆さん この本 買わなくていいです! 漫画だけ 立ち読みして ください」

と宣言する,明白な“便乗本”なのです。冗談かと思っていたら,必然性もなくメイドさんとのツーショット写真がピンナップとして挟まれていたりして見るに堪えない。でも買ってしまったからには今さら立ち読みで済ませるわけにもいかず放ってあったのでした。

 で,文章編を読んでみたのですが―― インタビュアーに不満を感じる。色々と資料を集めて努力したのは分かるのだが,対談相手になるほどの力量は持ち合わせていないようだ。かといって,読者を代行する位置に退いて黒子に徹しているわけでもなし。インタビュアーが私見を陳述している頻度が多く,あまり褒められた構成ではないと思う。

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Sunday, 2007/06/10

谷原秋桜子 『龍の館の秘密』

[] 谷原秋桜子龍の館の秘密 谷原秋桜子 『龍の館の秘密』を含むブックマーク

 谷原秋桜子(たにはら・しょうこ)『龍の館の秘密』の創元推理文庫版(ISBN:488466028)を読む。

 死した画家の残した館には,龍をモティーフにしたトリック・アートが仕掛けられていた。たまたま友人が同じ館を訪ねてきたことから一緒に投宿することになった美波(みなみ)は,夜中に水音を耳にする――

 主人公のひたむきさに溢れた小説。なのですが,伏線の張り方がこなれていなくて,ミステリーとしては結末の納得性が足りなかったのが残念。

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Wednesday, 2007/06/06

小林立 『咲 -Saki-』

[] 小林立 『咲 -Saki-』〔1〕  小林立 『咲 -Saki-』〔1〕を含むブックマーク

 書店で面陳されていた小林立(こばやし・りつ)『咲 -Saki-』の第1巻(ISBN:4757517823)を眺めているうちに,表紙の少女のほにゃっぷりに中てられて購入。

 ヤングガンガンスクウェア・エニックス)掲載の麻雀漫画。ですが,マージャンそのものを描いた作品では絶対にない。主人公の得意技が嶺上開花(リンシャンツモ)だというところあたりに無理があるのは,不得手な私でもわかる*1

 これは,マージャンをスポ根ものの文脈で捉えた萌えマンガです。

f:id:genesis:20070607055547p:image:right

 私みたいな年寄りだと,普段は恥ずかしくて《萌え》なんて言えません。でも,小動物ちっくショートカット主人公と巨乳ツインテールお嬢様が揃ってぱんつはいてないだと,ここに在るものが《萌え》の一つの形だよね,と感じ入ってしまう。コマごとに静止画として見ると歪さが気に掛かるのですが,それがドラマという流れの中に置かれると魅力的に仕上がっています。

 麻雀ってゲームはですね、リアリズム重視で描いても面白くなりません。(中略)

 勝負事を扱っていて「強い奴」が出てこない、というのは無理です。そしてそれが「作者が勝たせてるから強い」だと思われるんじゃ興ざめです。

 それを上手く隠して、説得力のあるウソで強い奴を表現する、ってのが腕の見せ所。

http://sfrenatezze.com/ioriha/rnote.php?u=02novels/saki.html

 ストーリーを駆動させる装置として「生き別れの姉」とか「無理解な保護者」が埋め込まれているのですが,そんなのどうでもいい,というのが印象。だって,本作の見せ場は試合中の4人を躍動的に描いているところですもの。経緯に無理があって展開が強引でも,スポ根のバトル・シーンとしてみれば,動いていることの心地良さ=疾走感が場面を支配する。バトルの途中経過を思い切って省き,テンポを良くしてあるおかげで展開にまごつくところも無い。いざ主人公がツモ牌を手にした時,指先からはスパーク白煙があがり,集中線がコマを覆う! 類型的マンガ表現だが,ベタにやってくれるので安定感に繋がる。

 マージャン+スポ根+萌えのトリニティ(trinity)を上手く仕立てあげた作品だと思う。

*1:『スーパーリアル麻雀PII&PIII』で キャティ 芹沢未来を相手に小刻みに上がる練習をしたけれど,役を覚えていないため,牌の上に▽印が来ないと捨てられないのです。

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Saturday, 2007/06/02

世界の名探偵コレクション ミス・マー

[] アガサ・クリスティミス・マープル アガサ・クリスティ 『ミス・マープル』を含むブックマーク

 最近,ミステリーの古典を少しずつ読んでいる。

 昨晩はアガサ・クリスティAgatha Christie)『世界の名探偵コレクション ミス・マープル』(ISBN:4087485633)を読んでいた。これがもう面白くって。

 大した事件が起こるわけではない。殺人事件になるのは稀で,ちょっとした不可解な出来事がマープルおばさんのところへ持ち込まれる。短編8本が収められた文庫ということもあって,手際よく事件の糸がほどかれていく。結末に辿り着いて安心できる,というのが好ましい。。

 この本は,赤川次郎の解説も良かった。「くり返し読んで楽しい」という感覚が,本作のどこに由来するものかを簡潔に伝えている。

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