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博物士

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Wednesday, 2008/02/27

NYAN『病院のないしょ』

[] NYAN 『病院のないしょ』  NYAN 『病院のないしょ』を含むブックマーク

 先日のこと。amazon.co.jpにカスタマーイメージを登録しつつ,蔵書の整理をしておりました。すると,出ているのを知らなかった本というのが幾つか見つかりまして……。直近では,NYAN(にゃん)さんの『病院のないしょ♥』第1巻(2007年12月,ISBN:4821185350)の存在に慌てました。ここ数年,とらのあなの発売予定表を参照して1か月ぶんの購入予定を書き出し,自己アフィリエイトで注文するという購買スタイルを採っているのです*1。が,あまりに変わったところから刊行されていたので気がつかなかったらしい。掲載誌は,ぶんか社『読者投稿爆笑4コマ魂』(でも,本作は四コマではありません)。

 NYAN(にゃん)さんの略歴に触れておくと,『キャンディタイム』誌の1993年5月号で商業デビューしています。『巫女様HELP!!』(ISBN:489421119X)の連載が始まった号が,えびふらい『夢で逢えたら』の終了した号でもあったという縁で目を付けた作家さんでした。半ば公然となっている別名は「祥寺はるか」さんで,同人では創作少女畑の人*2。イベントで気に入って購入したレターパッドが,実は祥寺はるかさんのものだったということもございました。初期の頃は頭身も高かったのですが,1999年頃からは絶妙な《ぷに》具合の絵柄になっています。

 と,十数年に渡るお付き合いではあるものの,寡作な人でありまして,単行本はこれまでに実質7冊。一冊にまとまるまで時間がかかるため,数年単位の空白を置いて出ています。別名の方で単行本が出ているのに気がついたのも今回のことなので,前作『みずいろ・ぴんく』以来,約3年半ぶりに新刊を手にいたしました。

 さて,『病院のないしょ』の紹介。元ナースであるNYANさんによる,お仕事の裏話でできています。この分野はいろいろと手がけられており,最近では新井葉月さんが薬剤師であることを活かして『薬屋りかちゃん』を送り出しております。『病院のないしょ』は〈感動〉とか〈成長〉とかをテーマに掲げるようなものではなく,客(患者)には見せられない〈実態〉に迫ります。かといって〈暴露〉のような悪趣味なところはありません。

f:id:genesis:20080227222302p:image

  • 救急外来に泥酔者が来ました!
  • 解剖見学には古い靴を履いて
  • はじめてのどうにょう
  • ナースのお食事事情
  • すみこみこナース
  • ごいっしょに胃カメラはいかがですか〜?
  • ミルク(母乳)プリン

と,医療関係の小ネタを集めてできています。かわいくラブリィな仕上がり。イニシャルG(ゴ×××)や流血シーンまでも愛くるしいのはいかがなものか(笑)

 各話6頁で構成されていますが毎回オチもきれいに決まっています。造りは文句なしに上手い。苦労も多いであろう看護師の姿をコミカルに描いた逸品。

▼ おとなりレビュー

*1http://www.sv15.com/money/boople.htm

*2:持説に「ビジュアルノベル的価値観は,葉や鍵の以前,青年マンガにおいて少女まんがが取り込まれていくことで素地が作られていた」というのがあり,その萌芽として秋葉凪樹(1994年デビュー)を具体例に挙げております。が,その遷移段階にNYANさんを位置づけられそうな……

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Saturday, 2008/02/23

谷川流 『ボクのセカイをまもるヒト』

[] 谷川流ボクのセカイをまもるヒト 谷川流 『ボクのセカイをまもるヒト』を含むブックマーク

 昨秋から,今まで担当したことのない科目の講義を引き受けていまして。「行政法」に取り組むのは12年振りなのですが,どうやって教えようかという目線で眺めると面白いように理解が進む。大学院入試の時には,ついぞ《公定力》という概念が掴めなかったものですが……。

 とはいえ,自転車操業ならぬ一輪車操業。今週は3コマもあったので体力を使い果たし,金曜日から伏せっておりました。

 うつらうつらとしながら読んでいたのが谷川流(たにがわ。ながる)『ボクのセカイをまもるヒト』第1巻(2005年11月,ISBN:4840232067)。〈僕〉は守護されることになった。自爆する妹キャラと,武士(もののふ)っぽいツリ目キャラに。何でも,〈僕〉に8つの世界の命運がかかっているらしい――

 まぁ,モチーフ自体は題名でも堂々と謳われているように《セカイ系》なのです。が,ハルマゲドンに至る悲惨さを削いで戦闘美少女のファンタジーを前面に打ち出し,中間項に奇抜な姉(で高校教師)を配置すると,誠にもって珍妙な仕上がりに。本作をけなすつもりはないが,さりとて続刊を読みたいとも思わないというところ。

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Saturday, 2008/02/16

谷川流 『電撃!!イージス5』

[] 谷川流 『電撃!!イージス5』  谷川流 『電撃!!イージス5』を含むブックマーク

 玄関を開けたら……

――歩道が遠い。目測で積雪40センチメートル。自動車は,タイヤの直径に等しい量の雪にすっぽりと埋まっている。がしがしと掻き分けて道を作り,それから大学へと出かけたわけなのですが,報告者を乗せた飛行機が新千歳に降りられずに羽田へ引き返したとの連絡が。

 そんなわけで予定より早めに帰宅。確定申告の書類を整えて,それから読書の時間。

 そそのかされて買い求めた『××系』を読み始めたのですが,十頁ほどで緊急停止。これは,もっと大らかな気分の時でなければ読んではいけない危険な代物だと判断。急遽,一つ手前の谷川流(たにがわ・ながる)『電撃!!イージス5』ISBN:4840228523,2004年11月)に変える。

 変人科学者たる祖父の家に行ってみたら女の子がいて,聞けば他次元から侵略している何かを撃退するためにここにいるらしい。ジャンルで言えば,戦隊ものにパロディのひねりを加えたハーレム・コメディ。このノリは何だっけ?と脳内検索したら,吉岡平『鉄甲巨兵SOME-LINE』シリーズ(ISBN:4829123397,1989年11月〜)の『ギャラクシーエンジェル』風味という回答でした。

 さくさくと読み終わりました。キャラものとして没入するほどでもないし,ギャグ要素などで笑わせてくれるわけでもない。お気楽極楽ではありましたが,ちょっと物足りないです。

giolumgiolum 2008/02/24 23:58 『電撃!!イージス5』は事実上1・2巻で上下巻構成なので、1巻で止めてしまうと意味不明の内容が多いです。2巻まで読まれると多少印象が違うと思いますよ。どうせ大したページ数ではないんですから1冊にまとめて出して欲しかったですね。

genesisgenesis 2008/02/25 00:28 ん〜 続きを読みたいという欲求に欠けるのが何とも。こんど本屋さんへ行って第2巻を斜め読みしてから購入の是非を検討してみます。

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Thursday, 2008/02/14

鮎川哲也 『黒いトランク』

[] 鮎川哲也 『黒いトランク』  鮎川哲也 『黒いトランク』を含むブックマーク

 文学研究科での読書会へ。今回はミステリーの古典を読もう!の一環で,鮎川哲也(あゆかわ・てつや)の代表作であり,実質的デビュー作である『黒いトランク』を。昭和31年に世に出たもの。何でも,2月14日は鮎川の誕生日なのだそうで粋な計らいですねと或る参加者が発言したものの,選定者は気づいていなかったという(^^;

 事件が起こるのは昭和24年12月。汐留駅に届いたトランクから腐臭がするので開けてみると,死体が出てきた。荷物が送り出されたのは福岡県。送り主であった近松千鶴夫は,兵庫県で溺死体となって発見された。事件は,犯人の自殺とされて終わるかに思われた。しかし,千鶴夫が英字新聞を持っていたことに妻,由美子は疑問を抱く。大して勉強熱心でもなかった夫が,自殺の前に英語を勉強しようなどと思うはずがありません――

 調べを進めていくと,関係者が同じトランクを持っていたことが判明する。かくて,東京と九州の間を,2つのトランクはどのように移動したのか推理が展開される。

 もう,これは社会史の史料に属する作品になっていますね。朝鮮戦争勃発前夜,麻薬の密輸ルートだとか,引き揚げ者の暮らしぶりとか,もはや注釈が無くては読解しがたいものになりつつあります。当時の世相を感じるという目論見で読むのも,なかなか楽しい。そのうちIC乗車券が普及する頃には,「切符」を使ったトリックは未来の読者に通じなくなる日が来るんだろうなぁ。

 本作が「トラベルミステリー」という評価を受けていないのは,旅先での情景が描写されていないからだと思っていたのですが,「いや,列車に乗っているのは死体ですから!」との発言で納得。被害者視点のトラベルミステリーは嫌だよなぁ。

 この本作に関する限り,《本格》対《社会派》という構図で位置づけることが困難。証拠が「後出し」で出てくるので犯人を当てるという読みはできない。あと,若松駅‐二島駅で偶然性に頼るトリックの要素があるし……。他方,末尾に犯人の独白を載せているところなどは動機に腐心していることが見受けられる(納得はいきませんでしたが)。これを戦後ミステリが未だ分化していなかった時期の姿としてみれば乙。

 『黒いトランク』は種々の改訂版が出ており,参加者が持ち寄った各版を突き合わせてみると,特に脚注に違いが見られた。差異については創元推理文庫有栖川有栖北村薫戸川安宣が触れているところであるが,書誌学的に分析してみると面白そうではある。

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Saturday, 2008/02/09

労働判例946号

[] 大学院はてな :: マンション住み込み管理人の労働時間  大学院はてな :: マンション住み込み管理人の労働時間を含むブックマーク

 研究会で,大林ファシリティーズ(オークビルサービス)事件(最高裁第二小法廷判決 平成19年10月19日 労働判例946号31頁)について報告。

 マンション管理人として夫婦住み込みで勤務していた労働者からの時間外割増賃金請求。所定内労働時間(09時〜18時)の外で「管理員室の点灯・消灯」「冷暖房の運転・停止」「ごみ置場の施錠・解錠」を行っていたことから,朝(07時〜09時)と夕方(18〜22時)についても労働時間だと認定されるよう求めた事件。

 使用者は,上述のような行為は労働とは評価できないとして争っていました。最高裁は,平日については朝夕の労働時間性を認める判断をしています。

 結論としては,破棄差戻し。「犬の散歩」*1や「病院への通院」をしていた部分を控除する必要があるので労働時間を算定し直せ,という面倒くさそうな理由です。

*1:余談。犬の散歩ルートを地図で眺めていたところ,どうも見覚えがあったので調べてみたら,『うみねこ』や『かにしの』に登場する某洋館の近所にあるマンションで起こった事件でした。

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Wednesday, 2008/02/06

谷川流 『学校を出よう!』

[] 谷川流学校を出よう! 谷川流 『学校を出よう!』を含むブックマーク

 ここ数日,就寝前に谷川流(たにがわ・ながる)の電撃文庫側デビュー作『学校を出よう! Escape from The School』(2003年6月,ISBN:4840223556)を少しずつ読んでおりました。

 かなり,きついです。

 双子の妹の片方が幽霊として取り憑いてから6年たっていて,超能力者を隔離した学園にいて,何か良くわからないことが起こる話。

 初期設定の突飛さは乗り越えられたのですが,どこで息を継いだらよいのか迷う冗長な文体のせいで喉に甘食が詰まったような感覚がつきまとう。それも慣れてくるうちに流し読みできるようになったのですが…… 中盤からのストーリー展開は,もはやさっぱりでした。

「やけにSFっぽい設定と開いた口がふさがらない不条理さ。もしかしたらこの人は、ラノベの枷を外すとエログロナンセンスっぽい方向に走るんじゃないかぁとか思ったり。」

http://d.hatena.ne.jp/KeiKomori/20061109/p1

 とはいえ,作品が悪いのだとうそぶいて放り出すにしても引っかかりがありまして……。さらに検索をかけて出てきたのが夏葉さんの読解。

谷川流作品を貫く中心にあるモチーフは、理不尽に対する怒り、とでもまとめてしまってよかろうものだと思います。〈中略〉

 そんな『学校』一巻を受け入れられない読者が多い、というのが谷川的な理不尽のモチーフがあまり受け入れられやすいものでないこと〈中略〉を示していると思います。」

http://d.hatena.ne.jp/K_NATSUBA/20070501#1178089511

 この記事,発表された当時に目を通してはいたのですが,作品を読んで漸く企図するところが把握できました。

 『涼宮ハルヒ』を読んだだけでは「谷川流」の姿を見誤りますね。さて,谷川作品はあと2冊積んであるのだけれど……

trivialtrivial 2008/02/08 00:30 谷川流の真の姿を知るためには、まず何をさしおいても『絶望系 閉じられた世界』を読むべきだと思います。『涼宮ハルヒ』シリーズは巻数を重ねるごとに作者のやりたい事と「大人の事情」との軋轢が増していくのが面白いといえば面白いのですが、『絶望系』はそのような裏読みをしなくても素直に楽しめる愉快な作品です。ぜひご一読を。

genesisgenesis 2008/02/08 20:25 そうか〜。読むべきは『絶望系』ですか〜。とがったものを好んで手を出す習性があるもので前々からチェックリストに入れてあったのですが,評価が真っ二つに分かれているので躊躇していたのでした。推薦をいただきましたことですし,近いうちに読んでみようと思います。

Sunday, 2008/02/03

榊 『CIRCLEさ〜くる』

[] 榊 『CIRCLEさ〜くる』  榊 『CIRCLEさ〜くる』を含むブックマーク

 榊(さかき)『CIRCLEさ〜くる』第1巻(ISBN:4832276700)を表紙買い。八重歯っ娘が好きなもので……

 これが,なかなかに良いものでございました。

 大学の漫研を舞台にした4コマ。きらら系ならではのほんわか空間に,ちょっぴり恋の要素を交えています。際だったメッセージを持たないぶん,口当たりまろやか。デフォルメが強めの絵柄ですが,愛くるしさがあって好印象(どういうわけか,女性キャラのお胸とお尻だけ妙に感がある)。

 例えて言うなら,『ファンロード』ちっくな『トリコロ』キャラが『あずまんが大王』の気怠さで送る『げんしけん』――みたいな。

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