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博物士

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Tuesday, 2008/04/29

大内伸哉『労働法学習帳』

[] 大内伸哉『労働法学習帳』  大内伸哉『労働法学習帳』を含むブックマーク

 大内伸哉先生から,新刊『労働法学習帳』をお送りいただきました。

http://www.koubundou.co.jp/books/pages/35418.html

 これがもう,面白くてたまりません。元になったのは法科大学院で使っていた副教材なのだそうですが…… なんと赤シート対応の穴埋め問題集。

f:id:genesis:20080429164236p:image

これを作ったのがωセミナーでもГЁ℃でもましてや××塾でもなく,労働法学会中堅の雄たる神戸大学教授。いやはや,ロースクールの担当は大変そうです。

 このアイデア,定期試験の最初に出す《足切り問題》として良く使われます。こういう元ネタがあると,自分が出題するときに(ごにょごにょ)。

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Saturday, 2008/04/26

判例時報1968号

[] 大学院はてな :: 新規採用者の賃下げと団体交渉  大学院はてな :: 新規採用者の賃下げと団体交渉を含むブックマーク

 研究会で,国・中央労働委員会(根岸病院・初任給引下げ団体交渉拒否)事件を素材に議論しました。

 この事件の面白いところは,「新規採用者の初任給を引き下げること」は労働組合との義務的団体交渉事項にあたるのか? が焦点となっているところです。

 団体交渉において労働組合と使用者が何を取り上げるかは当事者の任意に委ねられます。しかし,労働委員会(行政委員会)に対して行政救済を求めうるかという関係では,使用者が団体交渉を拒否できない範囲(義務的団交事項)が定められます。一般的にいって労働者は入社したあとに労働組合に加入するので,新規採用者は労働組合の組合員ではありません。果たして,新規採用者(=労働組合のメンバーではない者)の賃金決定は義務的団交事項にあたるのでしょうか?

 これについて,第一審(東京地裁判決平成18年12月18日判例時報1968号168頁)は,義務的団交事項ではないと判断しました。

 「義務的団体交渉事項とは,団体交渉を申し入れた労働者の団体の構成員たる労働者の労働条件その他の待遇,当該団体と使用者との間の団体的労使関係の運営に関する事項であって,使用者の処分可能なものと解するのが相当である。そうだとすると,非組合員に関する事項については,それが当該労働組合やその構成員である組合員の労働条件に直接関連するなど特段の事情がない限り,原則として義務的団交事項には当たら」ない。

 「本件初任給引下げは平成11年3月1日以降の新規採用者に対し適用されるものであり,それ以前に根岸病院との間で雇用契約を締結していた者,換言すると,本件初任給引下げについての団体交渉申入れの時点でZ労組に加入していた職員には適用されないことが認められる。そうだとすると,Z労組は,非組合員の労働条件について,Y病院に対し,団体交渉を申し入れていたというべきであり,本件初任給引下げは,特段の事情が存在しない限り,Y病院とZ労組との間の義務的団交事項には当たらないというべきである。」

 これに対して控訴審(東京高裁判決平成19年7月31日労働判例946号58頁)は,義務的団交事項であるとして原審の判断を取り消しました。

 地裁判決が変な結論を出してしまった原因ですが,まず第1に職場における労働組合の役割を代理的に考えていたということがあります。すなわち,弁護士に顧客が解決を依頼するときのように,労働者から労働組合に交渉を依頼した範囲で義務的交渉事項が定まると捉えていたようにうかがわれます。しかしながら,労働組合の役割は労働者を代表することにあります。職場におけるルールを公正に設定するような場合,所属する組合員のみならず非組合員を含めた職場全体を調整する役割が期待されます。

 地裁判決の問題点の2つめとして,「義務的団交事項である」ことと「処分可能である」ことを混同していたことがあるでしょう。例えば賃金の引き下げを行うような場合,団体交渉を通じて労働組合がこれに同意したとしても,この合意に拘束されるのは原則として組合員に限られます。これを非組合員にまで広げて職場全体に適用しようとするならば,(1)協約の拡張適用(労働組合法17条)を行う,(2)使用者が定めることになっている就業規則の記載を労働者にとって不利益に変更する,(3)労働者と個々に協議して労働契約を変更する,といった方策を講じる必要があります。つまり何を言いたいのかというと,「団体交渉のテーブルに乗せるかどうか」と「労働協約で決められるかどうか」とは範囲が異なるということです。これを本件に即してみると,控訴審判決では次のように説示しています。

 「労働組合法7条2号は,使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなく拒むことを不当労働行為として禁止しているところ,これは使用者に労働者の団体の代表者との交渉を義務付けることにより,労働条件等に関する問題について労働者の団結力を背景とした交渉力を強化し,労使対等の立場で行う自主的交渉による解決を促進し,もって労働者の団体交渉権(憲法28条)を実質的に保障しようとするものである。このような労働組合法7条2号の趣旨に照らすと,誠実な団体交渉が義務付けられる対象,すなわち義務的団交事項とは,団体交渉を申し入れた労働者の団体の構成員たる労働者の労働条件その他の待遇,当該団体と使用者との間の団体的労使関係の運営に関する事項であって,使用者に処分可能なものと解するのが相当である。

 非組合員である労働者の労働条件に関する問題は,当然には上記団交事項にあたるものではないが,それが将来にわたり組合員の労働条件,権利等に影響を及ぼす可能性が大きく,組合員の労働条件との関わりが強い事項については,これを団交事項に該当しないとするのでは,組合の団体交渉力を否定する結果となるから,これも上記団交事項にあたると解するべきである。

 そして第3の問題点として,地裁判決は問題の背景事情――コンテクストを見ていなかったということがあります。控訴審判決を読むと,この職場では新規採用者も相当数が組合に加入していたことと,これまで慣行的に初任給が議題に取り上げられてきたことが分かります。

 「新規採用者の少なからぬ者が短期間のうちにZ労働組合に加入していたと認められるから,本件初任給引下げは短期間のうちに組合員相互の労働条件に大きな格差を生じさせる要因でもあるから労使交渉の対象となることが明らかである。」

 「初任給額が常勤職員の賃金のベースとなることから,Z組合が初任給額を重視し,Y病院においてもこのことを理解し各年度の初任給額をZ組合に明らかにするとの運用がされてきたものであり,本件初任給引下げは,初任給の大幅な減額で,しかも,Z組合の組合員間に賃金格差を生じさせるおそれがあるものというべきであり,将来にわたり組合員の労働条件,権利等に影響を及ぼす可能性が大きく,組合員の労働条件との関わりが極めて強い事項であることが明らかである。」

労働事件審理ノート
このような取り扱いがなされてきたにも関わらず,初任給の引き下げを実施5日前に突然,一方的に通告した使用者の態様は誠実さを欠く行動だったと評価されるものでしょう。

 あと,もう一つ,この事件で困ることは,第一審の裁判長が難波孝一氏だったことでしょうか。昨今,法曹実務に携わる弁護士さんの間でマニュアルとして重用されている『労働事件審理ノート』の編者です。こんな“頭の堅い”判決を出すような真似はしてほしくないのですが……。

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Friday, 2008/04/25

桂遊生丸 『Roman』

[] 桂遊生丸 『Roman』  桂遊生丸 『Roman』を含むブックマーク

 桂遊生丸(かつら・ゆきまる)の新刊『Roman(ロマン) 〜朝と夜の物語〜』の第1巻(ISBN:408877406X)を読みました。

 ゆきまる作品は〈作者買い〉だったので手に取るまで知らなかったのですが,帯によると『Sound Horizon』の手になる同名組曲をモティーフしたサウンドコミック,だそうです。発売元である集英社のサイトで原曲の試聴ができるのですが,そちらを観ることでようやく本作の位置づけが(おぼろげながら)理解できます。

 コンセプトは,生と死が《焔》の如く瞬く世界へと遣わされた使者が《物語=ロマン》を集めていく,というもの。第1話については上記サイトで試し読みができます(と,ここまで書いてから検証のために参照したところ単行本では大幅に加筆修正されていて,雑誌掲載版とでは幕開けの意味合いが相当に異なることに気付いたのですが……)。ちなみに,ゴスロリ少女さんは第2話以降,インターリュードにしか出てきません。

5th story CD「Roman」

 この巻では,上述の序幕を含めて5つの《物語》が収められています。

「生まれてくる朝と 死んで行く夜の物語」

とも記されているように,いずれも死の翳りを帯びつつも,暗闇に現れ出づる星の如き僅かの光明を短編連作の形式で綴っていきます。ト書きに連ねられている文字が多いのですが,察するにこれが原曲との対応になっているのでしょう。原曲を知る者に対しては共鳴を呼ぶ言葉になっているのだと思います。そういった事情に不知であると,縦書きと横書きとが混在する文字列に視線が困惑するところがありました。

 組曲形式でありますから作品の終幕で《物語》が統合されていくのだと推察しますが,それは未だこの巻では編まれていないところ。

 主題(短編)を個別にみておくと,第3話「星屑の革紐」が出色の出来でしょう。星(Etoile)の名を授けられながらも星を視ることのできない弱視の少女エトワールと彼女に沿う犬の《物語》。エトワール(15歳)かわいいよエトワール(8歳)。社会的弱者を主人公にして組まれた話で安定した骨格があるということもありますが,この話は〈夜〉の引き受け方が後味の悪さを残さない(換言すれば『フランダースの犬』的ではない)ので。

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 背景事情(原曲)を知らずに読んでも楽しめるものになっていると思います。ストーリーはそこそこベタですが,安定した造りであるということでもあり。

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Friday, 2008/04/18

雑破業 『おねがい☆ツインズ』

[] 雑破業おねがい☆ツインズ 雑破業 『おねがい☆ツインズ』を含むブックマーク

 木崎湖旅行の直前,なんとか『おねがい』シリーズのアニメ本編(全13話×2)を観るところまでは済ませたものの,周辺情報まで把握するのは間に合わず。星湖亭で「まりえカレー」が出来るのを待つ間に関連書籍など漁っていたのですが,ノベライズ版が面白そうだったので戻ってきてから購入。昨晩のうちに読了。

 『おねがい☆ティーチャー』は同居を始めることになる話の時点で突飛さについていけなくなってしまいました。それに対して『おねツイ』の方は「写真に写っているのは碧い瞳を持つ1組の男女」「手がかりとなる家にやってきたのは,男の子が1人に女の子が2人」「女の子のうち,どちらかが肉親で,どちらかは他人」というラブコメの基本骨格があるお陰で楽しめました。

 ただ,難点は12話の最後。「どうして他人であるはずの女の子が3枚目の写真を持っていたのか」については,唐突に過ぎるところがありました。あきかんの手になるコミック版(ISBN:484023194X)も取り寄せてみたのですが,これは真相の出現が《機械仕掛けの神》を持ってきたようなところがあっていただけない。

 その点,雑破業(ざっぱ・ごう)による小説版(上巻ISBN:4840225184,下巻ISBN:4840226903)は問題の箇所について上手く処理されておりました。しかも,アニメ本編とはピンクと緑の関係を逆にするという構造(著者曰く「ギャルゲーの別ルート」)。本編の基本構造には沿いつつも,原作に引きずられない程度に独自性を加味しています。さらに「恋愛同盟」の解釈については心理描写をていねいに行うことにより,本編よりも練られた展開になっていることは特筆に値します。

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Monday, 2008/04/14

Ricoh R8

Ricoh R8  Ricoh R8を含むブックマーク

 過日,信州旅行に備えて,デジタルカメラを新調しました。

 これまで Nikon Collpix 3700(2003年12月モデル)を使っていたのですが,そろそろ性能が不足してきまして……。機内食を撮影するときなどには「ISO400の高感度」や「手ブレ補正」が欲しいことがあって。

 機種選定にあたっては「広角28mm」と「3倍を超える光学ズーム」も条件にしたところかなり絞り込まれ,3〜4機種が候補に残りました。

 しかし,実際に触ってみると操作性が悪かったり,マニュアル補正ができなかったり,デザインが好きになれなかったりで,いずれもしっくりこない。結局,購入したのはRICOH(リコー)R8asin:B0014JPJ6Q)でした。約4万円。

 ホワイトバランスを変更したいというようなときにも,直感的にボタンを操作してみれば思った通りの機能が呼び出せるメニュー体系に組まれています。シャープネスの効いた堅めの絵作りは好みに合います。未だクセが掴めていないのですが,曇天や室内撮影時にはホワイトバランスが地味な方に触れてしまうように感じます。

 慣らしもせずに旅行に出かけたのですが,何ら操作に迷うこともなく撮影でき,おおむね思った通りの絵が撮れます。スクウェアフォーマット(正方形)は構図を選ぶのが楽しい。モードダイヤルにユーザー設定を割り当てることができるので,[4:3][1:1][3:2]と3通りのアスペクト比を用意して使っています。

 

 とにかくマクロに強い,というのが印象。料理を近接撮影すると迫力のある絵になります。

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Sunday, 2008/04/13

おねがいツインズ

[] 信州 (その3)  信州 (その3)を含むブックマーク

 木崎湖畔で泊まったのはアルペンハイム山正旅館でした。朝食後,食堂内のコーヒーサロンに飾られている色紙など拝見しておりますと,女将さんから「フィギュアはお好きですか?」と声を掛けていただきました。こちらが答える暇もなく陳列台を覆う布が取りのけられると―― 妙に肌色がまぶしい立体が約40体。うん,これを一般客の目にさらしてはいけない。

 さて,旅館をチェックアウトした後,信濃大野駅まで準急鷲羽さんを迎えに行き,これで参加者が全員集合。信濃木崎駅を経由して湖岸にもどり,星湖亭前のブランコを起点にして反時計回りに稲尾駅側から順に木崎湖を一周。およそ90分かけて縁川商店へ。ツインズのカッティングシートに出迎えられた店内で,軽食におやきをいただきました。

海ノ口駅,一津踏切,神城邸と巡っていき,もう少しでキャンプ場に着くというところで降雨。救援に来た車に乗って星湖亭へ戻り,昼食がてら歓談の後に解散。

 松本市内に戻ってきたのは17時。ホテルで少しばかりくつろいでから,松本城の夜間公開へ足を運んできました。

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Saturday, 2008/04/12

みずほ桟橋

[] 信州 (その2)  信州 (その2)を含むブックマーク

 今回の信州旅行ですが,きっかけはハブさんからの「舞台探訪に関わる有識者一同を集めて話がしたい」との呼び出しでした。近年になって《舞台探訪》の裾野人口が広がってきたことにより,一次情報の掘り起こしを率先して目指す〈探索系〉の者たちにおける認識と,二次情報の案内に沿って楽しむ〈追従系〉の人たちとの行動様式とにズレが生じてきており,ちらほらとトラブルの発生が報告されるようになってきました。舞台探訪に関しては先駆者の一人であると自認しているので,いろいろ発言しておきたいこともある。いろいろと支障もあったのですが,こんな機会でもなければ行くことは長野へ足を運ぶことも無いだろうと思い参加を決意。

 さて,ホテルをチェックアウトした後に「あがたの森」で旧制松本高校の中庭を撮影(東面しているので午前中でないと光線が上手く取れない)していると連絡が。id:USO9000さんに車で迎えに来てもらい,途中には城山公園の楓展望台に寄ってもらってから木崎湖へ。

 集合場所は星湖亭。予定時刻の12時より1時間遅れで参加予定者(この時点で9名+翌日に2名)が揃い,昼食は「まりえカレー」を。食後には苺桟橋みずほ桟橋などを散策していたところ,小雨が降り出したのでゆ〜ぷるに避難(して,そのまま入浴)。

 駐車場に痛車が停まっておりましたので目線は合わせないようにしつつ車体を眺めるなどしていたのですが,後にメンバーの知り合いであることが判明(笑)

 ※ ここに登場する単語の意味が不明であると感じられるような場合には,こちらを参照のこと。

   

 夕食の後は,杯を傾けながら懇談。プレイヤーが持ち込まれていたので『Snow Angel』を上映してもらいました(本編に出てこないのに撮影ポイントになっているのが分からなかったのですが,これで氷解)。

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Friday, 2008/04/11

ボンバルディア DHC-8-400

[] 信州 (その1)  信州 (その1)を含むブックマーク

 松本に来ました。かなり強引に休暇をもぎ取りまして……

 ボンバルディアDHC-8-400に乗るのは初めてなので,プロペラの動きが良く見える[8A]を座席指定(普段は,乗り降りしやすい通路席を選ぶのですけれど)。ジェット機には無い振動を楽しんで信州まつもと空港に降り立ったのが15時。市内に入ったのは16時をまわっていたのですが、何はさておき旧制松本高校(通称:木崎高校)へ。中庭にしだれ桜がちょうど見頃でした。

   

 「あがたの森」で水飲み場を観た後,《まほ橋》(薄川に掛かる歩行者専用橋)を巡ったところで日没。

 夜には,PC-VAN時代の知人と会食。『米芳』で馬刺の定食をいただく。美味しかったのですが,その後にちょっとした事件が…… 普段はお肉を食べないもので妙にスタミナが付いてしまい,夜が更けても寝付けませんでした(^^;

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Thursday, 2008/04/10

紅玉いづき 『ミミズクと夜の王』

[] 紅玉いづきミミズクと夜の王 紅玉いづき 『ミミズクと夜の王』を含むブックマーク

 胃が痛むもので床に伏せつつ,紅玉いづき(こうぎょく・いづき)の『ミミズクと夜の王』(2007年2月,ISBN:9784840237154)を読みました。デビュー作であり,電撃小説大賞〈大賞〉受賞作。

 食べられたいミミズクと,人間嫌いなフクロウのお話。

 《喪失と回復》という民話のセオリーを踏まえているのですが,本作では《喪失》の描き方が秀逸。盗賊の村に囚われ,物心の付く前から奴隷的拘束に置かれていたミミズクを主人公に据えることにより,まず自らが喪失という状態にあることを認識するに至るまでをも描いています。

 そして,ミミズクの《回復》に関わる周囲の人物も暖かい。

「そういう時はね――ありがとう,って言えばいいの」

感謝という概念すら知らなかったミミズクが,出不精な聖騎士とその妻,それに四肢萎えの王子らと交わることで言葉を知り,自らを取り巻く世界を新たに構築していきます。

 シンプル,オーソドックス,ストレートな物語というのも良いものです。

▼ おとなりレビュー

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Friday, 2008/04/04

[] 杉基イクラ砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 杉基イクラ 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』を含むブックマーク

 杉基イクラ(すぎもと・いくら)『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない――A Lollypop or A Bullet』を読みました。

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない (富士見ミステリー文庫) 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 上 (単行本コミックス) 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない 下 (2)

 桜庭一樹の出世作である同名作品を漫画化したものですからストーリーについては割愛しますが,実に良く出来ている。

 例えば《山と海に挟まれた山陰の田舎町》という設定。原作の場合,それが冒頭で強く打ち出されるわけですが,ストーリーが進行すると主人公たる少女たちが浮き立ってくるために,ともすれば意識から逸れていってしまいます。対してマンガの場合には背景というシステムがあるおかげで,彼女たちを囲む空間が提示される。本作では,原作において伝えようとしたものが漫画家によって解釈されるという作業が適切になされており,文章が持っていた魅力を損なわぬよう配慮しつつ映像としての表現が達成されている。

f:id:genesis:20080406195926p:image

 文章には文章の,絵には絵の魅力がありますが,両者が良好な協力関係に立つことで成り立った例といえるでしょう。

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