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博物士

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Saturday, 2008/08/30

あずまきよひこ 『あずまんが大王〔3〕

[] 大学院はてな :: ジンギスカンとビールの因果関係  大学院はてな :: ジンギスカンとビールの因果関係を含むブックマーク

 研究会で,学校法人K大学〔高校教諭・停職処分〕事件(大阪地裁判決・平成19年11月29日・労働判例956号29頁)が取り上げられました。

 とある大阪の高校生,約230名が修学旅行でルスツへスキーに来ました。原告Xは,その引率教諭の一人。午後の飛行機で戻る予定であったところ,搭乗予定の飛行機が欠航になったため,その日は札幌市内のホテルに分宿し,翌日の便で戻ることになりました。一行は,新千歳空港からバスに分乗して札幌市に向かい,各自で夕食をとりました。Xらは夕食にジンギスカンを食べたとのこと。食事をしていたところ,近くに生徒がやってきて,食事風景を見られたようです。その後,一行は宿泊先へと移動しました。

 戻ってきたあと,Xらが食事中に飲酒をしていたことを聞きつけた保護者らが問題にしました。本件のポイントは,Xが保護者に向かって謝罪するかどうかでもめたことなのですが,それはさておき。被告Y学校は,緊急事態であるにもかかわらず飲酒をしたことを理由の一つに挙げ,Xに対して停職処分を課しました。

 本件で重要になるのが「サッポロファクトリー」です。元は開拓使麦酒醸造所であったところで,現在はサッポロビールが経営する商業施設になっています。判決は次のように述べます。

 「Xは,平成18年2月4日,高校2年生が参加したスキー学舎において,サッポロファクトリーでの夕食の際,B教諭及びD教諭とともに,各自が中ジョッキ1杯のビール,3人でフルボトル1本のワインを飲食したこと(中略)が認められる。

 これらによれば,本件飲酒は,上記のような状況において少量とはいい難い飲酒をしたものであって,スキー学舎の引率教諭として不適切なものであったというべきである。

 これに対しては異論が続出。「関係者は皆,北海道のことを分かっていないだろう」と。

  •  ジンギスカンを食べながらビールを飲まないなど冒涜的行為だ。あやまれっ! ヒツジさんに謝れっ!!
  •  ジョッキ1杯のビールは“少量”っしょ。
  •  雪が降ったら飛行機が飛ばないのは当たり前だべや。なんも“緊急事態”なんかでねぇ。

まぁ,本件の場合にはXの事後的対応にも問題があったので,譴責処分ぐらいは致し方なかったかと思われます。しかし,それにしても類似事例に照らすと停職処分3か月は重すぎるというのが印象。矛先を収めず問題を長引かせた保護者の対応も大人げない感じを受けますし,それにおろたえた学校の理事会もまずい。懲戒処分についてゼミで議論するには適した設例でしょう。

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Thursday, 2008/08/28

乙一 『天帝妖狐』

[] 乙一 『天帝妖狐』  乙一 『天帝妖狐』を含むブックマーク

 ようやく入稿できました〜(編集者さん,分量が増えてしまってゴメンなさい……)。このあと3週間で,また2本書きますけれどね。

 さて,この一週間で読んだのは乙一(おついち)の『天帝妖狐(てんていようこ)』(2001年7月,ISBN:4087473422)1冊きりという状況。中編が2本収められています。

 1つめは,トイレの落書きでコミュニケーションがされていくサスペンス仕立ての作品。こういうのは映像だと恐怖感が煽られますけれど,乙一の淡々とした文章だと冴えません。

 2つめが表題作。こちらは,こっくりさんの描写で始まります。全身を包帯でくるんだ奇妙な行き倒れの男と,男を助けた娘。手紙と述懐とを交互に織り交ぜて話が進む。やがて,男が面妖な風貌をしている理由が明かされていく。実に人間味と慈愛に溢れたお話しでございました。

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Thursday, 2008/08/21

スパンエアー機事故  スパンエアー機事故を含むブックマーク

 朝,新聞を開いたらバラハス空港(Barajas, MADRID)でのスパンエアー(Spanair)JK5022便事故のニュースが。「事故機の乗客名簿に日本人らしい名前は含まれていない」っていうのは,友人知人が日本人限定の時にだけ役に立つ慰めだよね……。急ぎスペインのニュースサイトを開いて搭乗者リストを確認。

f:id:genesis:20080821115012j:image

事後現場地図は www.elmundo.es より引用 左下が第4ターミナルの建物

 目的地のラスパルマス(Las Palmas)は,金糸雀の名前の由来にもなったカナリア諸島(Canarias)にあり,モロッコの西方沖に位置する。カナリア諸島は果物の産地として知られており,バレンシア留学時代にバナナを買うと《国産》であったことが多くありました。

 事故を起こしたのは1992年に就航したMD-82型機。現時点では「死者153,負傷者19」と伝えられている。この機材の定員は172だから満席だったわけか。8月下旬は遅めのバカンスに出発する人が多い時期。乗客162名の内訳について“entre ellos, 20 ninos y dos bebes”(うち,児童20,幼児2)との注記があり,家族連れが多かったことをうかがわせます。

Wednesday, 2008/08/20

西尾維新 『化物語』

[] 西尾維新化物語 西尾維新 『化物語』を含むブックマーク

 『傷物語』に引き続いて,西尾維新(にしお・いしん)『化物語(バケモノガタリ)』を。上下巻組(ISBN:4062836025ISBN:4062836076)で全5話構成。各話を毎晩1つずつ(第5話は長いので2晩かけて)読み終わったところ。

 刊行当時,講談社BOXという仕様が好きになれないので勝手に不買運動などしていたのですが,海燕さんに薦められて購入し,そのまま積んであったもの。

 すっごく面白かった。

 まず何より会話の掛け合いが楽しい。各話ごとにヒロインが配置されているのですが,凄まじきツンデレ(ひたぎ),伊吹風子(まよい),褒め殺し(するが),幼馴染み系妹属性(なでこ),委員長(つばさ)と性格設定をはっきりと効かせた会話がテンポ良く繰り広げられます。アニメだったら,ぼーっと声を聞いているだけで幸せになれそうな。

 本作のストーリーは,主人公が《怪異》に惹かれることで起こることどもを追うことで展開していきます。ところがその《怪異》に絡むものがネコだったりサルだったりヘビだったりカニだったりカタツムリだったりするので,愛嬌がある。

 さらに全体構成。『傷物語』を読んで,とある人物との関係が不自然だと思っていました。それが本作の上巻を読んだら,なるほどねとなって。でもやっぱりそれって不自然だよと作中人物が指摘して。それらがエピソードの伏線として回収されていく様は手慣れたものでした。

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Tuesday, 2008/08/12

西尾維新 『傷物語』

[] 西尾維新 『傷物語』  西尾維新 『傷物語』を含むブックマーク

 雑誌原稿の締め切りが2本重なってしまって大わらわ。でも,寝る前には何か読みたい。ちょっとずつだったので一週間ほどかかってしまいましたが,西尾維新(にしお・いしん)『傷物語(キズモノガタリ)』(ISBN:4062836637)を読みました。先行する『化物語』も買ってあるのですが,上下巻本だと手を出しにくいので躊躇していたん。あとがきを見てみると読む順は問わないとあったので,新刊の方から。その後に『化物語』の冒頭部を続けて読んでみたのですが,時系列では『傷物語』の方が先行しているので,むしろ『化物語』を後に読む方が自然な繋がり。

 えっと,内容は《学園異能バトル》です。

 説明としてはそれだけでいいんじゃないかな。このキーワードを知っている人なら其れで話が通じるだろうし。吸血鬼になっちゃったというパターンの話に,上手く始末をつけています。

 これまでに読んだ西尾維新と比べると軽い仕上がりでした。あまり好き嫌いの問題が生じないような。

 ただ,その軽さのせいなのか,読了後において鮮明に記憶に残るのが委員長のパンツと羽川翼のブラジャーというのが困りもの。本作で緻密な描写がなされていたのは冒頭部でスカートが風でめくれ上がる場面と,終盤においてブラジャーを外す場面であったのだから,作者の本意を汲み取った真っ当な読後感であるといえましょう。大変に中学生的な反応で恐縮なのですが。印象的な場面ということであれば,ハートアンダーブレードのお食事シーンなどもありましたが……(グロテスクですので描写を控えさせていただきます)。

Gaius_PetroniusGaius_Petronius 2008/08/14 22:36 いいんちょのブラジャーとパンツはあまりに鮮烈に記憶に残りますね。・・・・はー。でもこの話の悲劇さは、化物語を読んでみないと、ぜったいわかりませんよ!ぜひに。読んだ後、きっと、がく然としますよ。

genesisgenesis 2008/08/14 22:41 まさに今,読んでます(笑) や,読書に時間を割けない状態なのですが,面白くって1日1編を超えて読んでしまいたくなります。

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Thursday, 2008/08/07

[] 東京都美術館フェルメール展』  東京都美術館 『フェルメール展』を含むブックマーク

 絵画の中で好きなジャンルは何? に対しては暫定的に「ネーデルラント絵画」と答えています。これが時代が下って「オランダ絵画」になると少し違ってくるのですが,それにしても『フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち』(Vermeer and the Delft Style)が開催中となれば真っ先に足を運びたいところ。

 銀座線の上野駅で降り,上野公園内の緩やかな坂道を昇って東京都美術館へ。朝の9時だというのに汗が噴き出してきます。平日だから大丈夫かも,と思ったのですが,有閑マダムと制服姿の学生とで結構な人の入り。約40点が出品されておりましたが,人の垣根越しだと小品は良く見えません。人の集まるフェルメールは軽く流し,人だかりの出来ていないところを狙うことに。

 長時間独占できたのは,フォスマール(Daniel Vosmaer)《壊れた壁のあるオランダの町の眺望》,ファブリティウス(Carel Fabritius)《歩哨》,フレル(Jacobus Vrel)《子供と本を読む女のいる室内》など。フェルメールも悪くはありませんけれど,周囲を固める作品群の方が好みでした。

 東京都美術館へ来たのは始めてですが,建物の構造が悪いために使い勝手が非常に悪いのは致命的。エントランスが地下にあるうえ,展示室は垂直方向に3つのフロアに分かれているというのではバリアフリー化も困難でしょうねぇ。

f:id:genesis:20080808235553j:image

[] 国立新美術館 『静物画の秘密展』  国立新美術館 『静物画の秘密展』を含むブックマーク

 こんどは日比谷線に乗り,六本木駅で降りて国立新美術館へ。『ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展』(Europian Still-Life Painting from the Kunsthistorisches Museum Wien)を見にいきました。

f:id:genesis:20080808235554j:image

 展示は文句無しに良かったです。出来たばかりで空間的に余裕のある建物,ゆったりとした配置,程よい光の具合,適度な数の観客。そして何より出品75作品の選定と質。じっくりと楽しんできました。

 企画展の“顔”としてはベラスケスの《薔薇色の衣装のマルガリータ王女》にならざるを得ないのでしょうけれども,静物画という企画からすれば人物画は異質でしたね。会場に入って最初に目にするのが《解体された雄牛》であるというあたりこそが,よっぽど企画の本質でしょうに……。

 今回のお気に入りを挙げるとヤン・アントン・ファン・デル・バーレン(Jan Anton van der Baren)《御公現の寓意》でした。東方の三博士――メルキオール,バルタザール,カスパーの来訪を,人物の姿を描くことなく彼らの携えてきた贈り物によって表現する実に示唆的な作品。

 唯一不満があるとすれば,ビデオプログラムが貧弱であったこと。休憩室でウィーン美術史美術館を紹介する映像が流されていたのですが,わずか数分と短すぎて紹介の役目を十分に果たしていない。加えて,置かれていた椅子の背丈が低すぎるために脚の疲れをとることができません。

genesisgenesis 2008/08/09 00:56 追記。帰りの羽田空港で姪へお土産を買っていこうとして,〈空とぶ「でかドラ」〉が販売終了になっていたことを知りました。好きだったのに……

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Wednesday, 2008/08/06

“文学少女”と穢名の天使

[] 野村美月“文学少女”と穢名の天使 野村美月 『“文学少女”と穢名の天使』を含むブックマーク

 先週の金曜日は帯広に出張,土曜日から月曜日までニセコで合宿研究会,火曜日には札幌で仕事,そして水曜日から東京へ出張。この一週間は殆ど自宅にいない日程です。移動時間にしても行きは仕事の準備をして帰りはビールを飲んでくきゅー(*><*)だったり,あるいは自動車を運転していたりで本を読む余裕も無く……。

 今日は研究会のあと暑気払いということで会食を致しました。あまりの蒸し暑さに意識朦朧としながらもホテルに着き,人心地ついたところで久しぶりに読書。野村美月(のむら・みづき)『“文学少女”と穢名(けがれな)の天使(アンジュ)』(2007年4月,ISBN:4757735065)を。

 古典をモティーフにして展開する“文学少女”シリーズの第4作ですが,今回のお題は『オペラ座の怪人』。有望な若き歌い手がクリスマスを目前にして失踪する。果たして誰が《ファントム》で,クリスチーヌで,ラウルなのか。もともと作中世界と参照作品とでパラレルに展開していくので話の筋を追いかけていくのが大変なシリーズでありますが,特に今回は〈歌姫のモノローグ〉に困惑させられました。

 ななせの恋は大きく前進をみるし,〈僕〉と〈天使〉を縛る過去は遠子の読み解きによってほぐされていく。ディケンズクリスマス・キャロル』をも重ね合わせて綴られる光景はキャンドルの灯火のように暖か。なのに,物悲しさをまとってしまうのが“文学少女”シリーズ

 「それが××さんの“真実”よ」

 長く苦しかった物語を,最後の瞬間,清らかな優しい光に満ちた祈りの物語に変える言葉を,“文学少女”が,そっと伝える。

290頁より引用(固有名は伏せ字にした)

 独白については反則気味なところもありますが,本作をミステリーとして読むのは筋違いでしょう。遠子先輩から放たれるメッセージの強さの前には些細なこと。

 あと,カストラートに妄想ひろがりんぐ。

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