『世紀末オカルト学院』の舞台探訪 〈長野市中心街編〉

第10話「暖炉のあかり」

 クリスマスの飾り付けが行われているのは,長野駅善光寺口。撮影時刻も,作中と同じ〈21時05分〉に合わせてみました。




 なお,作中では,あかりの父の勤務先はイルミネーションの真向かいであるかのような描写がなされていますけれども,これは実在しません。駅前は大きな広場になっておりますし,勤務先のモデルとなったビルは松代町内にあります。

第11話「マヤの死」

 善光寺を出た二人が歩いているのは『植木商店』の前。ちなみにこの店,『羊のうた』にも登場しているのだそうです。


 場所は,善光寺とJR長野駅の中間くらい。画面奥に見えている大きな建物は「TOiGO(トイーゴ)」という再開発複合施設。



 訪問時間の都合,お店は閉まっておりましたが,そのあたりはご容赦ください。



 このシーン,少し疑問なところがあります。『植木商店』と正面から向かい合った場合,左側に善光寺があるのです。二人で遊び終わったあと,Uターンしてきた……というのなら分かるのですが……。



 『植木商店』の前に立って,善光寺方面を眺めた様子。手前の店は空き店舗になっていましたが,その奥に洋品店があるのは作中と同じです。



 マンホールや誘導タイルも正確に表現されていました。


引用画像の著作権は,A-1 Pictures,ANIPLEX,テレビ東京に帰属します。

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諏訪大社×4

 0900に出る「特急しなの6号」にて長野を出発し,塩尻で「特急あずさ12号」に乗り換え。とにかく今日一日で諏訪大社をめぐってみよう――ということだけは計画してあったのですが,移動については車内で考えました。当初,手前の下諏訪で降りようかと考えていたのですが,このまま上諏訪まで乗っていけば運行本数の少ないコミュニティバスに接続できそうだということが分かり,急遽目的地を変更。
 時刻表では1021に上諏訪駅到着のはずが2分遅れ。急ぎコインロッカーに荷物を放り込み,1026発の「かりんちゃんバス(市内循環内回り線)」に乗車。約50分で上社本宮に到着。

 全国に数万社あるお諏訪様の本社なのだから立派な参道があるのかと思いきや,冴えない郊外の住宅地。案内も出ていないので不安を覚えつつ鳥居をくぐり抜けて進んでみると,ほどなく境内への入口に辿り着きました。半年前に茅野を旅した時には“材木”として道端に転がっていた丸太が,御柱としてそびえておりました。諏訪信仰は自然崇拝の色彩が強いので,社殿はあまり立派にしつらえていないなぁ――と思ったのですが,4社すべて回り終えてから振り返ってみると上社前宮が最も建築物としては見るものがあったという不思議。東方の聖地であると聞いていたので痛絵馬の枚数を数えてみましたが《洩矢諏訪子》の比率は概ね10〜15%ほどでした(※東方については無知なのですが『すわこフロッグ』だけは知ってる)。

 次は上社前宮に行こうと考えたのですが,調べてもバス路線がありません。本宮は諏訪市所在だけれど前宮は茅野市所在なので,駅を中心とした交通網だと繋がらない。でも,同じ「上社」だから昔の人は歩いて詣でていたのだろう――と徒歩で向かうことにしました。20分ほど歩いたところで神長官守矢史料館というのがあるのを目にする。携帯で調べてみると,神長官(じんちょうかん)という神職を代々勤めてきた守矢(もりや)家の史料を展示するものであり,その守矢家は国譲り神話の時代にまで遡るらしい――という話を知りました。興味を惹かれたのですが,あいにく祝日の翌日は休館ということでしたので,また次の機会にしましょう。

 普段の旅行なら予め行動計画を立ててから出かけるところなのですが,今回は珍しく無計画です。正しくは,計画を立てようにも立てられなかった,というべきか。観光ガイドを読んでも諏訪大社の解説がぞんざいなうえ,自動車を使っての参拝しか紹介されていなかったので。来てみて分かりましたが,これは余程の物好きでなければ公共交通機関を使って上社2社を巡ろうとは思わないでしょう(前宮‐本宮間の徒歩移動は決して無理ではないのですが,そこに駅からの移動を含めると相当に難しい)。さらに10分ほど歩いたところでファミリーマートがあったので,簡単に昼食を済ませました。

 コンビニを出発したすぐの信号に「前宮」と書かれた灯籠が立っていたので,え?と思いつつ見渡してみると,右手に鳥居が立てられておりました。あまりに質素な佇まいで,案内が出ていなければ見逃しそうなくらい。石段を登っていってみると,確かに此処が前宮でした。これが本当に参道なのかといぶかしむような田舎道を登っていくと本殿に出ます。左手には沢が流れていて水が心地よい音を立てており,周囲には色とりどりの花が美しく咲いておりました。神域は本当にこぢんまりとしていて,四隅に立てられた御柱がなければ大社とは気付かないようなところ。回り込んで裏手に行ってみると,ゲートボールのコートのような場所の隅に御柱が立てられていました。この配置だと,狙いの逸れた玉が勢い余って神様にぶつかるのではないだろうか(笑)
 4社すべてに参拝してみての感想ですが,この上社前宮が最も強く印象に残りました。人の所作ということならば他の3社の方が構えは余程立派ですが,山に抱かれた上社前宮に立つと諏訪信仰の出発点は何であったのかを考えたくなる。

 さて,では次に上社から下社へ移動するべく駅へ向かうことにします。半年前の信州旅行で,ここが『咲-Saki-』の舞台だという触れ込みで事情も分からず茅野駅に連れてこられたことがありました(※後に,第57局巻で茅野駅からの風景が登場していたことが理解できたものの,第7巻が刊行される前の話)。幸いにして一度来たことがある場所ならば忘れないという抜群の方向感覚が備わっているので,「寒天の里」と書かれたビルを目指して,とてちてとてちて。セブンイレブンの横を通り抜け,宮川にかかる橋を渡り,国道20号線を歩いて上川を渡り,坂道を登って茅野駅へ。駅の南西側,郵便局の前を通る県道197号線がかつての甲州街道であったのだろうと推察されるのですが,参道を示す鳥居をくぐっていったところで前宮まで道が直線的に繋がっていないのは如何なものか。むしろ,鉄道が敷設されていなかった時代の道筋に興味が湧きます。
 茅野駅から通路を挟んだ向かい側,『咲-Saki-』にとっては撮影地点となる喫茶店前に着いたところで,下り列車が出ていきました。これはまずいかも――と時刻表をみたところ,今し方出ていった1314発の次は1431という空白の時間帯だったのでした。やることもないので,駅前のYショップでビールを買い求めて昼酒を満喫。
 待ち時間は長くかかりましたが,乗車10分で,1441に下諏訪着。何となく歩いているうちに,程なく下社秋宮に到着。交通の便が良いこともあって参拝客も多い。

 その後は旧中山道に沿って歩きます。歴史民俗資料館には興味があったのですが,やはり休館日だったので次の来訪での楽しみに取っておくことにします。およそ20分ほどで下社春宮に到着。奉納されている絵馬の枚数は此処が最も多かったので数えてみたところ,痛絵馬の比率は10%程度でした。ところがその,割合的には少ないはずの痛絵馬が,こぞって最前面に置かれているものだから直感的には8割くらいを占めているように見える不思議(笑)
 諏訪大社めぐりを無事に終えたところで,今夜の宿へ向かいます。上諏訪駅のコインロッカーから荷物を回収し,湖岸にある温泉宿『ラルバ諏訪湖』へ。家族経営らしき小さな宿泊施設でしたが,快適な滞在を楽しめました。
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