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博物士

 

Friday, 2016/01/01

[] 川田稔『昭和陸軍全史』  川田稔『昭和陸軍全史』 - 博物士 を含むブックマーク

 第1巻の途中までを出張の移動中に読んでそのままになっていたのですが,2日間で全3巻を読了しました。

 本書の特質は,陸軍における戦略構想の変遷を内部抗争という視座から解き明かしているところ。永田鉄山を理論的指導者とする「一夕会」が満州事変の時期に実権を掌握していくが,日中戦争の拡大か不拡大をめぐる武藤章石原莞爾の意見対立も背景には永田の構想した軍需資源確保という命題があった。それがやがて,近衛内閣の時期に南方(東南アジア)の軍需資源を確保することでの自給体制確立を目指す国家構想となる。

 特に強調されるのは,日本が南方進出を目指したのは日中戦争の打開のためであるとする通説的理解に誤りがあること。すなわち,日本は自給経済の確立を目指して大東亜共栄圏構想を掲げ南方に進出したものであるが,アジアの英領植民地が奪われることになればドイツの攻勢にさらされているイギリスの存続は困難となり,イギリスが崩壊すればアメリカの安全保障を揺らぐことから開戦に至ったものであることを示している。

昭和陸軍全史 1 満州事変 (講談社現代新書) 昭和陸軍全史 2 日中戦争 (講談社現代新書) 昭和陸軍全史 3 太平洋戦争 (講談社現代新書)

Saturday, 2015/01/31

genesis2015-01-31

[] 石川孝織『釧路炭田 炭鉱(ヤマ)と鉄路と』  石川孝織『釧路炭田 炭鉱(ヤマ)と鉄路と』 - 博物士 を含むブックマーク

 勤務校の図書館に要望して入れてもらった本を最初に借りてきました。著者は釧路市立博物館の学芸員であり,本書は北海道新聞に連載された記事をまとめたもの。石炭と鉄道が主役であった昭和20〜30年代の写真にていねいな解説が添えられている。実に興味深い産業史。惜しまれるのは,地図があまりに簡略に過ぎて記事に登場する場所が把握できないことでしょうか。

ISBN:4905307082

Wednesday, 2014/01/01

genesis2014-01-01

[] リンダ・グラットン『ワーク・シフト』  リンダ・グラットン『ワーク・シフト』 - 博物士 を含むブックマーク

 リンダ・グラットン(Lynda Gratton)『ワーク・シフト:孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』を読了。

 働き方の未来を形作る5つの要因〔第1部〕については特に異論はない。しかしながら,そこから導き出される働き方の3つの〈シフト〉〔第4部〕になると苦々しく読んだ。著者がロンドン大学のビジネススクール教員であるせいか,アングロサクソン的エリートにしか適用できないのではないかという節が強い。上位2%に相当する人材については著者の指針に従って生きてもらうとしよう。では,残りの98%にあたる大衆はどのような働き方を描くのか? さらに,格差の拡大を是正する政治の役割というものが一顧だにされていないのも本書の難点だろうか。

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

Tuesday, 2013/04/30

さやわか『僕たちのゲーム史』

[] さやわか著『僕たちのゲーム史』  さやわか著『僕たちのゲーム史』 - 博物士 を含むブックマーク

 釧路高専で毎年発行している「図書館だより」に教員推薦図書を挙げて欲しい――との依頼がありました。話を受けたのは昨年10月のことでしたので,刊行されたばかりのさやわか(@someru)さんの『僕たちのゲーム史』(2012年9月,星海社新書)でレビューを書きました。す〜っかり忘れていたところ,4月になって掲載されました。旬を過ぎてしまいましたけれども,せっかくなので担当部分を載せておきます。

 アニメ,マンガ,音楽,あるいはゲームといったポップカルチャーは,趣味として付き合うには良き友ですが,研究対象にしようとすると実にやっかいな難物です。〈面白さ〉というものは,どう解明すればよいのでしょうか? 研究アプローチには様々なものが考えられますが,先ずは歴史を紐解いてみようという試みが世に問われました。

 ゲームの過去を紡いだ大著としては,赤木真澄『それは《ポン》から始まった』(2005年,アミューズメント通信社)があります。《ポン》というのは1972年にアタリ社が開発した卓球ゲームのこと。1970年代から80年代にかけて業務用に開発されたビデオゲームがどのように発展してきたのかをつぶさに追うもので,副題の「アーケードTVゲームの成り立ち」が的確に本書の概要を伝えています。

 でもこの本に対しては“なんか違う”という気持ちが拭えませんでした。ゲーセンの話ではなく,日本のパソコンゲームで紡がれてきたゲームの歴史を知りたい! その欲求に応えてくれたのが多根清史『教養としてのゲーム史』(2011年,ちくま新書)です。同書では技術の発展史を軸に置いたうえで,その技術を活かすアイディアがどのように組み込まれていったのかを追いかけています。

 しかしながら,多根の着眼では抜け落ちてしまう視点がありました。思うに,パソコン上でのゲームに関わる〈技術〉はWindows95の登場によって出そろいます。しかも,『To Heart』の登場を機にトレンドが形成されることになるビジュアルノベル形式は,言うなれば枯れた技術です。1990年代後半についての多根の分析は〈技術〉抜きでアイディアを語らざるを得なくなっており,やや精彩を欠く印象を受けます。

 それに対し,新たな分析軸を提示してみせたのが今回ご紹介する『僕たちのゲーム史』。著者のさやわか氏(@someru)はアニメやアイドルの分析も手がける物語評論家。氏の視座は単純明快で,ゲームとは《ボタンを押すと反応するもの》である,というのを不変の定義として掲げます。なるほど,その定義であれば,選択肢を排除した一本道シナリオである『ひぐらしのなく頃に』であっても,クリック動作によって文章と音声に変化が生まれるのでゲームだと言えます。そのうえで,ゲームにおいて変化してきたものは《物語をどのように扱うか》であるとして歴史を描いていきます。ゲームが歩んできた30年間の歴史を巧妙にまとめた本書は,知的好奇心を存分に満足させてくれるものでした。

僕たちのゲーム史 (星海社新書)

Monday, 2013/02/25

genesis2013-02-25

[] 黒史郎『未完少女ラヴクラフト』  黒史郎『未完少女ラヴクラフト』 - 博物士 を含むブックマーク

 先日,寮の宿直があったときに持っていったのが黒史郎(くろ・しろう)の『未完少女ラヴクラフト』(ISBN:9784569679440)。あのラヴクラフトを擬少女化してみました,という設定だけで買い。頁の下部に用語解説を付しているという親切仕様なのでクトゥルフに造形が無くても大丈夫。

 ちょうど半分,宿屋の場面のあたりで巡回時間になったため読むのを中断し,そのままに。で,今日,入試の採点が終わったので続きを読んだのですが…… どうしてだか後半は読んでも上手く認識できない。もともと戦闘場面の描写には興味が湧かない体質だということに加え,先行作品群からの《引用》がまったく解釈できないために飽和しちゃったのでしょう。

 
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