genki switch

祁答院町黒木817-4で整体してます。

【技術と嗜好】

genkiswitch2017-06-03

音楽を聞く機械の一部にスピーカーがあります。世の中にはたくさんの製品が溢れていますが、技術的に成熟しているかと言うとそうではありません。今から25年程前、電子のエンジニアを目指していたころ、「オーディオが趣味」と言うと「アマチュア」扱いされて、鼻で笑われた記憶があります。所属が高精度のICのテストをする部署でしたから、扱う帯域も狭く精度も必要のない(と思われていた)オーディオが素人の遊びに見えるのは仕方のないことでした。でも面白いし装置によって違いが存在することは否定できませんでしょう。今に至ってその技術の曖昧さが判ってきました。オーディオが趣味の人が、それぞれにいい音と主張してもそれは趣味の範囲を超えません。どれだけ高価な重たいアンプを使おうと有名メーカーの最高級のスピーカーを使おうと技術的に裏付けのないものは所詮信号としては「嘘」です。それが「嘘」でないことは技術的に証明するべきものです。「良い音」とは一体どう定義できるのか。その良い音はどう測定することができるのか。その良い音を出すにはどんな構造や素材にする必要があるのか。そういったことがずっと疎かにされてきたのがオーディオの世界なのだと思います。人間の耳が好いと言えばいいのだというのは、趣味の中では成り立っても技術とは呼べません。趣味と技術とは違う視点を持つものなのです。逆に技術的な裏付けが取れていても趣味の世界を満たせないとすればそれは、その技術の裏付けが不十分だということになります。双方から満足できるモノを双方を満足させる測定方法で作り上げて行くことが、本当の技術的進歩に繋がります。


※この話は続きます。写真は「無線と実験・1996年10月号」よりお借りしています。