銀界のジャイロスコオプ

2011-08-08

66本目:「デストロイヴィシャス」監督:島田角栄

21:35

島田角栄監督といえば、以前「ジャップ・ザ・リップ・リボルバー」というドキュメンタリー映画を見ている。

聴覚障害者のロックバンドを取材したものだった。


それは本作にも少なからず影響を与えているように思う。

ヒロインは聾唖者でパンクバンドのボーカル。

主人公との言葉を介しない交流を続け、互いに惹かれ合うようになるが、物語のラストで彼女は絶叫する。

思いのたけを込めて愛してると叫ぶのだ。


魂の奥底からしぼり出したかのようなその叫びは、虚飾のない極めて純粋なものであり、だからこそ熱く胸を打つ。

とても感動的だった。



と、こういう感想を記すと、本作は素晴らしい作品であるかのように思われるかもしれないが、実際はそんなに単純な分かりやすいものではない。

ストーリーには脈絡がなく、舞台となるネオオオサカシティーの世界観もかなりいい加減だ。

いきなり出現するオブジェも意味不明である。

乳房丸だしの内田春菊を筆頭に各界の著名人が出演しているが、そのあまりに強烈な個性のため、見事なまでに本編をぶち壊している。

だが、駄作と切って捨てるには惜しい、魅力的ななにかを本作には感じた。


その無茶苦茶な混沌のなかから立ち上ってくるなにかがあるように思った。

それは、ヒロインの言葉にならない呻き声のなかから発せられる愛の言葉だとか、イメージシーンのなかだけでは聾唖者ではないヒロインが歌う美しい歌声だとか。

そういうとても切ないものだった。


だから、この映画のことを駄作だとは思えないし、嫌いにもなれない。

少なくとも、そういう真実を描いている映画だと思った。

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