遠藤 周作著 「沈黙」 新潮文庫

実は遠藤周作氏の著作初読みです。。。

すごく面白かった!!物語世界に引き込まれ、一気に読みました。

テーマは重いです。本書で扱われている事件や人物の大方は史実にもとづいているという。なので一種の歴史小説ともいえます。


予備知識なしに本書を書店から選び(紫色のプレミアムカバーに惹かれた!)読み始めたので、<沈黙ってなに?>という疑問を終始抱きながら読んでいきました。著者がキリスト教信者であるという知識だけをもってー。


……読み進めていくと、途中でタイトルの『沈黙』の意味がわかりました。


そうか、そうか、そういうことだったのか!!


裏表紙に書いてある文をもう一度読み直してみると……書いてあったんですね。(以下引用)


島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制のあくまで厳しい日本に潜入したポルトガル司教ロドリゴは、日本人信徒たちに加えられる残忍な拷問と悲惨な殉教のうめき声に接して苦悩し、ついに背教の淵に立たされる……。神の存在、背教の心理、西洋と日本の思想的断絶など、キリスト信仰の根源的な問題を衝き、<神の沈黙>という永遠の主題に切実な問いを投げかける書下ろし長編。>


……読み飛ばしていたというか全く腑に落ちていなかった。


歴史的事実として知ってはいることでも、こうして物語として読むことによって、ぐっと「昔の事実」が現在の「自分の生き方」に迫ってくる。


氏の文章の力がすばらしく、眼前に世界が開けて見えるようでした(匂いも感じられるくらい!)。自分が主人公の司教ロドリゴとなり、問題をつきつけられ考えさせられました。「苦境」の立たせられ方がはんぱなく、自分を極限まで追い込み、その苦悩を書いていて、本当にすごい作品です。。。


しかも、この司教ロドリゴが「自分ひとり」が苦悩するだけでなく、他人(過去に日本に伝道に来て“転んだ”フェレイラ師)の目を意識した自分という視点もあるので、さらに苦悩が深まりそれを描いているのもすごいです!(ロドリゴの来日の目的・動機から考えるとこんな自分の姿は見られたくはないでしょう。。。)


なんかまとまらず乱文すみません。


心に残った文章を覚書

<罪は、ふつう考えられるように、盗んだり、嘘言をついたりすることではなかった。罪とは人がもう一人の人間の人生の上を通過しながら、自分がそこに残した痕跡を忘れることだった。>