Gerbera Diary

2014-07-27

ジョーン・G・ロビンソン著 高見浩訳 「思い出のマーニー」 新潮文庫

振り返るとここ数年、夏になるとジブリの映画を観ている。今年は「思い出のマーニー」。ということで、映画を観る前に原作を読んでおこう!と思い手に取ってみた。

良かった。実に良かった。思春期の少女の心の動きがていねいに描かれている。それだけでも十分良いのに、後半ミステリーっぽく前半の謎解きが行われるのだ。予想外の展開だった。

読み終えた後味もとてもよい。さわやかというか充実感がある。


……この原作をどう料理してあるのか?


というのが映画を観る一番の楽しみであり興味のありかである。

とはいっても、原作と映画とは別物であるから、映画は映画でおそらく楽しめるとは思いますがー。


ジブリさんありがとう!

たぶん「映画化」してくれなかったら、こんなすてきな本に出会えなかったと思います。あまり有名な本ではないですよね(自分が知らなかっただけ?)。

(本書を読んで思い浮べたのがやはりイギリスの児童文学「トムは真夜中の庭で」である。これについては、本書の訳者が「訳者あとがき」でも述べてらっしゃいますが。)

情景がありありと目に浮かぶように描かれているので、飽きることなくリアリティをもって本書の世界に入り込むことができた。(リアリティがあるのは、作者がかつて住んでいたところをお話の舞台にしているそうです)。

2012-01-26

覚書

アーシュラ・K.ル=グウィン著 清水真砂子訳 『影との戦い ゲド戦記1』(岩波少年文庫

山崎 豊子著 『運命の人』第一巻 (文春文庫


読了。どちらも面白い。引き込まれる。通勤電車の時間があっという間。

しかし感想書けぬ。死ぬほど左肩痛し。

ではでは〜。 

2012-01-08

宮崎 駿著 「本へのとびら −岩波少年文庫を語る」 岩波新書

夏になると「○○文庫の100冊」というような薄い冊子が書店に並ぶ。それを見ると、なぜかしらそこに載っている100冊を読破したくなる。しかも同じ出版社でー。

それと同じ感覚を味わった。「岩波少年文庫」を制覇したいとー。


宮崎氏の本(岩波少年文庫)への想いや氏の少年時代の思い出などが、紹介文の中につまっていてどの本も手に取ってみたくなる。また自分自身がすでに読んだ本についての記述を自分の想いと比べて読むのも面白い。また、宮崎氏がどうしても最後まで読めない本というのもあるそうで、それはそれで興味がわいてくる。

以上岩波少年文庫の紹介(50冊)が第一部とすると、第二部の1は「自分の一冊にめぐり逢う」同2は「3月11日のあとに」と題した文章がが載っている。

その中で自分が一番興味を抱いたのが宮崎氏が吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』を次世代の少年に手渡したいと述べている部分だ。実は自分もこの本が好きでとある少年にプレゼントした覚えがある。大人になってからだが友人にプレゼントされたりもした(笑)。

再読という行為は自分はほとんどしないのだが、唯一この本は例外。中学生の時に初めて読んで、読書をしながら心臓がドキドキしてきて、自分がそこに引っ張り出される感覚を味わった。そしてその十数年後も同じような感覚を味わったのだ。いい本は次世代にも伝えていきたい。

また石井桃子氏の功績についてほめちぎっていらっしゃる。なるほど翻訳というのはかなりセンスのいることなのだなと思った。


本書は紙質も良く特に第一部の本の紹介ページは写真入りで、文章も簡潔でさらりと読める。読む本に困ったらここから一冊選んでみるのもいいかもしれない。


というわけでもないのだが『ゲド戦記1』読み始めました。もちろん岩波少年文庫版(清水真砂子訳)でー(笑)。

2009-11-28

 感動!PART2

今日は某児童文学者かつ詩人であるK氏の講演会に行ってまいりました!

あまりにもいい話で(今の自分にとって)、話を聴いているだけでいや声をきいているだけでうるうる状態。

しかも、そこにK氏ご自身の作品の朗読をされダブルパンチ!!


笑いあり、涙あり(これは私だけだと思う 苦笑)ですばらしい時を過ごすことができました。


実はK氏のお話を直接聴いたのは2回目。1回目はかれこれ14年位前(古すぎ!)。

その時はなんとなくもの足りない気がしたK氏の話。

けれど今は全く違う。

K氏ご自身の話し方とか内容にも違いがあるにはあるのだろうと思うのだが、受け手である私自身の変化が一番の要因だと思う。


K氏の話がぴんとこなかった頃の自分……今振り返ればかなりイケイケ!だった(苦笑)。

でも今は。自分がへこんでいる分、こころやさしい話を聞くだけでじ〜〜〜んとくる。


日常の何気ないひとこまを切り取って、作家独自の眼で分析されそれをおもしろおかしく料理して聞き手の私たちに提供してくれる。

なんて豊かな想像力!描写力!

深い知識と見識に裏打ちされて出てきた言葉たち。平易な言葉だけれど、その裏にこめられている思いは深く鋭い。


人のこころを揺り動かせる人ってほんとうにすごいと思う。


70を過ぎてなお学び続けるお姿。元気ではつらつとしていながら慈愛にみちあふれたお姿。金太郎飴のように、K氏のどこを切ってもやさしさがあふれてくるのだろうな。


素敵でした!話の内容はまたいつかここで紹介できたらと思います(予定は未定)


こうしてK氏に出会えお話を聴かせていただけ感謝感謝。ありがとうございました♪(500名定員で抽選で当たったので参加できたのでした)

2009-02-14

エーリヒ・ケストナー作 「点子ちゃんとアントン」 岩波少年文庫

点子ちゃんがかわいい。実にかわいい。天真爛漫というのか子どもらしいというのか。

アントンがけなげ。貧しさにもめげず病弱な母親のためにがんばる姿がとくにー。

そんなふたりと犬(ダックスフント)のピーフケとのやりとりがとってもいい。


「折りたたみ式の小型船の大西洋横断ごっこ」をふたりでする場面など笑ってしまう。


「そうだ、アメリカ大陸発見ごっこをやろうよ。ぼくがコロンブス」

「いいわよ。あたしがアメリカ大陸ね。ピーフケは卵よ」


点子ちゃんの発想がとんでもないのだが、それにアントンはつきあう。そしてアントンが困っているときは点子ちゃんが陰ながら助ける。その逆もある。貧富の差を越えていいコンビなのだ。ちなみに点子ちゃんは社長令嬢(笑)。


そして出てくる大人が様々。

いい人も悪い人も、欠点のある人もそうでない人も出てくる。

しかし本書の中で彼らは罰せられたり、反省したりする。


子どもも大人もいろんな役を与えられ、作者の意図するところを伝えるためにお話という表現形態をとっていることがわかる。

個人的には先に思想ありきだと思う。本著者の場合。


そう感じるのには本書のなかに答えがある。

というのは、お話→立ち止まって考えたことという順番で、必ず著者ケストナーによる考えが書かれているからだ。


そこではお話のなかでの登場人物の行動についていい点を認めたり、逆にその危険性を指摘したりするのだ。

そうやっていくつかの掌編があつまりひとつの作品ができあがっている。


話が変わるが、私が子どものころ(5歳くらい?)、家にあった本で何度も読み返していた本がある。

題名は忘れたが、内容はいわゆる道徳的なもの。

たとえば、財布を落とした人が警察に行って財布を落としたことを告げる。そのなかにいくら入っていたかを警官に尋ねられ、欲を出して高い金額を言う。すると届いていた財布ではないということで結局財布が手元に戻らずお金も失った、というような話。


そのお話の横に<おうちのかたへ>という小さな文字で(赤色だったか?)なにやら数行書かれているのである。

そこには、お子様には<うそはいけない>ということを教えましょう…というようなことが書いてあった。

そこの部分を読むのがおもしろかった。


へー。このお話はそういうことが言いたいのか……と思っていたかどうか(笑)。


……そんな大むかしの体験を思い出した。本書はそんな構成の本である。



本書は楽しみながら読める。そして、著者の立ち止まって考えたことは読まなくてもいいとはじめにことわりがある。

でもでも。

セットで読むとやっぱりいい。


著者の子どもへの思い、世の中への思いがストレートに伝わってきて深みのある作品に仕上がっていると思うのだ。


大人にも是非読んでもらいたいと思える一冊。

2008-05-25 講演会&行列

角野栄子氏!

児童文学作家、角野栄子氏の講演会に行ってまいりました!

おばけの「あっちそっちこっち」のぬいぐるみとともにTV・CMでごらんになられた方はご存知かと思うのですがー。

その風貌をひとことでいうとー。


……おしゃれなかた……!


耳ぐらいの長さの白髪ボブ(すこしウエーブがかかっていた?)で、首には赤い玉が5つついたネックレス。左の中指には赤っぽい指輪!(七宝焼?)

そして、全身がまっ黒!


……まるで魔女の宅急便の魔女!?


とはいえ、その黒いドレスは一枚の布ではなく2枚がさねで着てらっしゃるのです!

外側のドレスの下には、シースルーのブラウス!そで口がすこしだけひらひらしている!

(なぜこんなに細かい所までわかるかというと。。。なんとずーずーしく一番前の席を陣取ってしまったのです!←会場に早く着きすぎ 苦笑)


しゃべりかたも、おっとりしているようなしっかりしているような。まじめなんだかそうでないんだか。

声にしても風貌にしてもしなやかな感じで、角野氏のまわりにはすてきな空気が漂っているようにかんじました。

作品と同様、こころが自由なかただなあと思いました。最後は、たくさんの質問がなされその一つ一つに対してやさしく答えてくださいました!こういうやりとりから、作者の人となりがうかがえるものですね。。。


話された内容は、『ファンタジーが生まれるとき』(岩波ジュニア新書)と重なる部分も多分にあったのでそちらを参考にしてください(残念ながら参加できなかった方 笑)


サイン会もあり、しっかり本をかかえて並び(『魔女からの手紙』ポプラ社)握手までしてもらいました♪

(ちなみに、この本は作家さんに描いてもらった「絵」に、角野氏が文章をつけていったそうです!)

<追記>

すみません。大事なことをひとつ思い出しました!

おしゃれなことの大きなポイントに、赤いふちの六角形の眼鏡をかけてらっしゃったこと!

……白髪・お肌の白!眼鏡・ネックレス・指輪の赤!そしてドレスの黒!色彩的にもきれいでした♪

2008-04-06 子どもにとって物語の意義

脇 明子著 「物語が生きる力を育てる」 岩波書店


本書は三年前に同出版社から出された『読む力は生きる力』(岩波書店)の第二弾ともいえる。内容は著者の考えの変化もありすこし色合いが変わっているように思われる。

著者はいう。

<いま私が、以前にも増して確信しているのは、子どもたちがちゃんと育つことこそが大切なのであって、本が読まれること自体が大切なのではない、ということです。>

そこからすべてを発想され、今子どもたちに必要なことはなにか。そのためにはどのような物語がふさわしいのかという観点から本書は書かれ、本を選定・考察・分析されている。実際に子どもたちに読み聞かせをしたときの反応や感想をもとに書かれているので説得力があった。

本書の目次は以下のとおり

はじめに

第1章 昔話の不思議な力

第2章 昔話のメッセージ

第3章 昔話から物語へ

第4章 感情体験の大切さ

第5章 物語で味わう自然

第6章 ゆっくりと、心にしみこむように

第7章 願がかなうことと成長すること

第8章 鳥の目と虫の心

あとがき

本書でとりあげた書目

最後に五十音順で書目の索引がついているのがなんともありがたい。

個人的には、翻訳ものの児童文学に触れた数が少ないように思われるので、今から読んでみたいものがみつけられとてもうれしい。

<生まれてくる子どもたちが持っている知性の種子を芽吹かせ、それを本物の人間的知性へとはぐくんでいく過程で、物語がはたす役割は非常に大きいものです>

まず、自分自身が物語の世界で楽しみ心を自由にさせること。その次に子どもたちへと渡していくことができたらいいと思う。