GOD AND GOLEM, Inc. (はてなダイアリー倉庫版)

2007-2012まで運用していた旧はてなダイアリーの倉庫です。新規記事の投稿は滅多に行いません。

個人向けメモ

 これまでのまとめ。

A.TRPGの議論領域

bold;">1.TRPG史:TRPGに関する歴史的事件・組織・人物・思想などの、客観的事実に基づいた整理。
bold;">2.TRPG学術研究(各種):既存の学問分野でTRPGを研究テーマとした場合の、各学問分野における方法論を(各々の研究者が)提示する。
bold;">3.TRPGの実践活動:〈セッション〉と〈ファシリテーション〉を扱う〈システムデザイン〉〈マスターリング〉〈プレイング〉3者に関する〈定義論〉〈表現技法〉〈教育方法〉の体系的整理。

B.高橋のスタンス

 基本的に、TRPGゲーマーが必ず関わる領域は「3」のみであり、残りの2つはTRPGという文化領域を「研究」あるいは「学習」する目的意識をもたない人にとって無用の長物である。
 高橋はたまたま、その残りの2つを調べる必要に迫られてやっているだけであり、他人にこれを強要するものではない。
*1

bold;">1.TRPG史:雑誌研究(リファレンス)の整理が必要。『タクテクス』『ウォーロック』『ドラゴンマガジン』『ゲーマーズフィールド』『RPGamer』『季刊R.P.G.』『Role&Roll』などに書かれた各種文献の研究。また、NIFTY RPGフォーラムや蓬莱学園OBなどのヒアリングが必要かもしれない。その他、TRPG業界に関する情報整理。
bold;">2.TRPG学術研究(各種):TRPGのミクロ社会学的研究や会話分析は、先行研究に存在する。高橋は今後その方向で詰めていく予定。その他、ルドロジー関連の議論やデジタルゲームでの議論と接続したり、CGMマーケティングとの関連で考えを進める。
bold;">3.TRPGの実践活動:これまで整理した活動領域をもとに、この分野における先行論文を踏まえつつ、記述を淡々と進めていく。また、個別TRPGシステムへの適用とその実践(つまり〈セッション〉&〈ファシリテーション〉)を行う。

C.直近の課題(先日のコメントにおける議論)

  • 〈セッション〉と〈ファシリテーション〉はよいが、TRPGの参加者を運営する活動領域である「セッションコーディネート」(とF.E.A.R.社が名づけたもの)についてはどう考えるか。新たに項目を設けるか、2者のどちらかに回収するか。これをつめる。
  • 〈共同ゲームデザイン〉における〈プレーヤー〉の介入権限でもっとも大きいのが「〈キャラクター〉作成」である。これは〈キャラクター〉が、編集可能な〈管理資源〉であると同時に、プレーヤーが唯一操作可能な〈ゲームトークン〉であることから生まれている権限であるが、これを〈共同ゲームデザイン〉〈ゲーム〉双方の領域でどう記述するか。
    • 「設定申請」と「行動申請」は相互に混ざり合う。〈ゲームマスター〉はこれを裁定する必要がある。したがってプレーヤーに無制限の権限はない(必ずゲームマスターの指示を仰がなければならない)。ただし、GMの裁定が概ね通ると考えた場合、プレーヤーの〈キャラクター〉および〈背景世界〉に関する「設定申請」「行動申請」の権限は十分にあるものとして捉える。
    • 裁定によりPLの「設定申請」「行動申請」が取り下げられる可能性をどんどんと排除していった場合(裁定責任がズルズルになっていった場合)、GMとPLの区別は、GM〈シナリオ〉の保持者であるという点以外、なくなっていく(PLはPCを、GMNPCをそれぞれルールにのっとって動かすだけになる)。もしそこにシナリオによる裁定基準すら欠落してしまった場合、GMとPLの区別はただ、保持するゲームトークンの数・種類によってしか区別できなくなり、〈イマジナリィ・ボード〉を真に管理できる人間は現場から失われる。*2
    • 採用するシステムごとに〈キャラクター〉の作成基準は異なる。したがって、GMのインストラクションはシステムの特性ごとに区別しなければならない(プレロールドか、全振りか、それだけで遊ばれるゲームの傾向は変わってくるはずである)。
    • 「キャラクター作成メカニズム」と「キャラクター成長メカニズム」を区別することからTRPGシステムの評価を始めるべきだ、と主張したのはVampire.S氏であった。この点も含めたシステム運用のイレギュラーケースについて考えていくべきだろう(おそらく、それを考える際に私がもっとも有用だと考える個別システムは『シャドウラン』である)。

D.今後の長期的な予定(TRPG方面/先日のアンケートを反映して)

bold;">1.TRPG実践活動表の整理:5大目標の細分項目をもとにした膨大な注釈の作成。特に、〈システムデザイン〉〈マスターリング〉方面の拡充。Scoops RPGへ連載可能な目次の編纂。タイトル未定。
bold;">2.『Shadowrun ∞』:TRPGシステム『シャドウラン』の〈背景世界〉である「第六世界」に対して、1999年から2087年まで約88年間までカヴァーするような独自の編纂を仕掛ける(したがって、版の適用はシナリオコンセプトによって異なる)。編纂方式は、高橋の運用教則「/!ターニング・オーヴァー」*3を起用。できるだけ公式設定は採用する方針。別件で立ち上げている「Bacardi」と相互互換するような方向で進める。そのコンセプトは、「シャドウランは、世界でもっとも豊饒な文字数を誇る“寓話的サイバーパンクである」という一文。当面の活動は「NPCデータ(文芸的・ゲーム的双方)の呈示」「FASA以来の公式シナリオ記法の紹介」「ネット上のSR関連アマチュア活動の有効活用法」「自己の運用結果の報告」「その他イベント活動」等。
bold;">3.『月夜埜市再開発計画』:同人TRPG『月夜埜綺譚』の紹介・運用記事。まずシステムサマリー/システム紹介記事の作成から?
bold;">4.『Aの魔法陣のつかいみち』:Aの魔法陣のシステム特性を論じる勉強会等の開催。まりおんさんが活動中の『ルーンウォーズ』企画と併せて、オンラインだべり会を予定中。
bold;">5.『アラウンド・ザ・オールドワールド・イン・ア・デイ』:『ウォーハンマー・ファンタジーロールプレイ第二版』の国内公式リプレイ(『Game Japan』で連載中)紹介と、それに繋げたウォーハンマー関連の記事掲載。また、「ウォーハンマーキャリアシート」作成の提案。
bold;">6.『読書人のための恐怖TRPG入門』:『クトゥルフ神話RPG』の運用研究。特に、BRPシステムと歴史系シナリオ運用との関連で。
bold;">7.『すくすくゲームマスターの達人』:T&T第七版オンラインセッションとD&D新和版or3.5eを中心とした、既製品に囚われないセッション記事の紹介。T&Tの場合、〈背景世界〉は「トロールワールド」を起用せず、時代に反逆して独自構築、「ドキっ! 異形だらけの罠ゲー大会」とかを考え中。T&Tの師匠に期待された一代作業のひとつ。D&Dの方は多少遅れるが、いずれ考える予定。
bold;">8."Springbank":上記活動要件を満たすためのカジュアル・ゲームサークル「スプリングバンク」の立ち上げ(ON/OFF両方,運営条件は現在策定中,ネット公表の予定なし)

E.その他の個人的な予定(むしろこちらが7割程度)

  • 運動能力の再育成と保持(活動力全体に影響するため)
  • 社会学研究の続行
  • 堅い方面でのゲーム研究の続行
  • 文体論
    • 描写とセクシャリティ研究
    • 理論的アプローチによる編纂
    • 別場所でまとめたエッセイ/コラム/実験作文の執筆続行
  • 積読の消化(各種)
  • 生活維持(各種)
  • 常に遊び心と思いやりをもつ

*1:ただし、3.の方法論をより客観的に分析するためには「1」や「2」の体系的整理も時に必要であることだけは、すべての人に理解していただきたいと思っている。私はこの立場にもとづき、「TRPGに小難しい理屈など無用、システム遊んでいればいい」と言う人に対して「否」を唱えるものである。個々人がそう考えるのは勝手だが、個々人が「1」や「2」を行うスタンスすら封じ込めてしまうのはあまりにも横暴であり、狭量であり、そしてひとつの文化を盛り立てていくにあたってあまりに危険な態度であることを──何度でも言う──1人でも多くの方に自覚していただきたい。

*2:アドリブセッションの欠陥は〈シナリオ〉の欠落であり、GMの裁定力の欠如と一緒になったと時に初めて悲惨な結果を生む

*3:「設定構築の楽しみ」(〈共同ゲームデザイン〉と、そのフィードバックとしてのゲーム的状況の呈示〈シナリオ〉を重視する、〈第二世代RPG〉的な方法論を重視した運用。公表する教則としては未完成。