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2008.03.11.

[][]教材としてのD20・SRS

 D20 Systemを久しぶりに見ていて、深夜にふと思いついた。

 1週間前くらいから言っている、〈ファシリテーション〉の一例。

「個人利用」の範囲でフリーでまわして配布できるD&D簡易版みたいなシステムを作って、D&D3.5版3冊(2万円相当)を買う金がない子供たちにTRPGの面白さの基礎を伝えられるGMがいたら、既存システム全体の売り上げもだいぶ変わってくるんじゃないですかね?

 F.E.A.R.が提供しているSRSでもいいのですけれどね。*1英語が読めるなら、あっちの方にデータリファレンスがいくらでもあるから断然有利だ、というだけで。

 ゲーマー個人としてシステムデザインレベルでものを考えた場合、ダイス判定のメカニズムは世界記述の方針を決めてしまうというのが常識です。その範囲でシステムデザインに挑戦することは、TRPGのシステムデザイン全体の可能性を探求することを考えた場合、「もっともクリエイティヴである」とは少し言いがたいところがあります(よほど素晴らしい〈背景世界〉が、そのダイスシステムと適合したカタチで提供できるなら別ですが)。

 したがって私はこれまで、D20やSRSに対してはあまり個人的な興味がもてなかったのですが、そこに「非商業目的でTRPG普及に使える無料システムデザインを設計する」という目的をはさめば「本格的なTRPGシステム」としての『D&D3.5』や『アルシャードff』を評価できるような競技人口を増やすたすけになるのではないか、と思うようになりました。

 さて、現実問題として、以下の3つの問題が考えられます。

  • どこまでデチューン*2を掛ければ、プロの方に迷惑がかからない「教材用システム」として認められるか。
  • どういう〈背景世界〉を設計すれば、できるだけ多くの人にもTRPGの4つのプレイ目標*3を理解してもらえるか。
  • D20システム、あるいはSRSシステムから商業TRPGの購入へと移行させる場合、どういう評価基準でTRPGシステムの〈システム選択能力〉を身に付けてもらえばよいか。*4

 このあたりの考え方が整理されれば、「部活動でTRPG」とか「ゲームデザイン部」とかいったものが、単なる趣味の領域じゃなく、ちゃんとした文化活動として可能になるのではないでしょうか。クリス・クロフォードとかエリック・ジマーマンの文献と一緒に、多摩豊とか新清士のデザイン論も勉強しつつ、ゲームデザイン実践も楽しめる、みたいな部活。

 いまデジタルゲーム業界でプランナー業をやってる方々は、学生時代のうちに多かれ少なかれ自分でそういう環境を作ってきたと思うのですが、そういうのを組織的に提供すれば、ゲームエリートならぬゲームデザイン・エリートが増え、今のゲーム業界ももっと面白くなるのではないでしょうか。今TRPGを現役で楽しんでいる人にとっても、悪くない投資ですね。

 D20システムの翻訳ライセンスは今のところないみたいなので、英語を読める人にしか仕えないわけですが、それはそれで「英語の勉強としてゲームデザイン実習です」とか言えば。……ダメか(笑)。

 日本語の障壁を考えると、一番難易度が低いので使えるものはSRSですが、こちらはこちらで、2d6で進行管理となると、SRSからアクロバティックに進化した『天羅WAR』くらいうまくできるGMでない限りは、あまり面白そうなのができなさそうな感じがします。

 なんにせよ、基礎として提供するべき〈背景世界〉がネックかもしれませんね。面白さの根幹になる要素なので、教材TRPGだからといって、〈背景世界〉をしっかり設計し提供する腕がないと、そもそも遊んでもらえない。D20であれば、D20クトゥルフD20モダンあたりが参考になるかもしれません。アクションポイントはあったほうがいいですよねー。

 誰か作ってくれれば、中学生相手にGMやるくらいはしますよ?

 

*1:ところでSNEの2d6システムはどうなった。『スクラップド・プリンセス』で終わってるぞ。

*2:プロの製品と競合しない程度に、システムの面白さを制限すること。これは既存の公式製品のデータ・ルールに抵触する危険性があるため、システムデザインの巧拙に関わらず考えなければならない。

*3〈課題の解決〉〈役割分担〉〈ロールプレイング〉〈狙いの再現〉

*4:これは、D&Dばっかり遊んでD厨になったり、ソードワールドばっかり遊んでソ厨になったり、F.E.A.Rゲー遊んでばっかりでFEAR厨になったり、冒険企画局ばっかり遊んで冒厨になったり、Aマホばっかり遊んでα厨になったり、海外TRPGばっかり遊んで海外厨になったり、えーともういい? ともかくそういう偏食ゲーマーを生み出す不幸を防ぐためです。私はそれぞれのゲームは好きですが、そういう立場を黙認したまま〈システム選択能力〉を狭めるのはちょっとごめんです。マスターリングうまくならねえし、そんなんじゃ。一部のゲーマーが好き好んでそうするならともかく、教える側としては、生徒さんのためにならないことや、システムデザイナーの儲けにつながらないことをしてはいけませんよね?

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