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2009.02.18.

[][][]TRPG議論のルールブック/読む価値のあるロールプレイ論まとめ

 井上(仮)さんの昨年の記事を見つけて、面白かったのでここで紹介。

 スタイルシートが変わったのか、とても読みやすくなってますね。

井上(仮),2008,「TRPG系ブロガー入門 」(http://gamemaster.g.hatena.ne.jp/inouekari/20080916#1221524083,2008.09.16).

 TRPGに関して語ることの難しさがまとまっていると思います。こういう記事がもっと読まれるといいですね。「流儀」のところは、基本的には戒めとして読みながらも、色々思い出して笑ってしまいました。

 ところで、記事の中で言及されている岩田宗之さん(なんだか個人的に親近感のわくファーストネームです)が公開されている、各種ゲーム論考の存在をつい最近まで知りませんでした。*1

 特にここで語られているロールプレイ論は、おそらくMMORPG登場以降の、馬場秀和さんが活動した文脈とはまったく異なるところから改めてロールプレイ論を語りなおしたものとして、面白く読めます(しかも、馬場さんとは違い、歴史的文脈を省略せずに書いているのも重要です)。

 今のところ、私が参照価値があると考える(全肯定ではない。あくまで、議論を進める際に参考に値するだけの強度を備えている、という意味である)TRPGのロールプレイ論は、たぶんこのあたりになるのではないかと。

馬場秀和,2000,「キャラクタープレイのすゝめ」(http://www.scoopsrpg.com/contents/baba/baba_20000523.html,2000.05.23).

俵ねずみ,[2002]2004,「ロールプレイについての考察」(http://www.river.sannet.ne.jp/rojin/kousatu_roleplay.html,2004.11.12).

iwatam,2007,「ロールプレイについて」(http://iwatam-server.sakura.ne.jp/game/whatisrp/whatisrp/index.html,2007.02.23).

iwatam,2007,「ロールプレイとなりきり」(http://iwatam-server.sakura.ne.jp/game/narikiri/narikiri/index.html,2007.02.23).

 あとは、手前味噌ですが「イマジナリィ・ボードの提唱」(2005)も、上記論文の問題意識を継承して書かれた文章だと考えています。もっとも、そこでたどり着いたのは「ボードゲームデザイン」として再考した場合の〈ロールプレイング〉という話だったのですが。

 私の文書でよりわかりやすいものとしては、岡和田晃さんのウォーハンマーリプレイに参加させていただいた時のロールプレイ分析ですかね*2。その前置き*3と合わせて、私のロールプレイ観を整理していると思います。これは今でもまったく変わりませんね。当ブログではかなり評判の良かったCoCセッションレポート*4も、以上のロールプレイ論を継承しているからこそ書けたものです。

 では、ロールプレイ論には別の流れは無いのか。たとえば今月に入って、acceleratorさんが平田オリザ的な演劇論に着目していましたが*5近年では白石直喜(2007)*6以外にはあまり出てきてないかな、というのが私の率直な感想です。

 進んでいるのは、(馬場さんはまあ、どうしてもプロパガンダで見る人が多いのでスルーしていただいたとしても)俵ねずみさんや岩田さんの方向での整理ですね。こっちはたぶん、簡単には無視できないでしょう。

*1:著書はこれだそうな。

議論のルールブック (新潮新書)

議論のルールブック (新潮新書)

*2:高橋志臣,2008,「RPGにおける〈プレイング〉の内実(2)――ウォーハンマーリプレイにおける高橋の〈意志決定〉プロセスを事例に」(http://d.hatena.ne.jp/gginc/20080303/1204513902,2008.03.03).

*3:高橋志臣,2007,「RPGにおける〈プレイング〉の内実(1)」(http://d.hatena.ne.jp/gginc/20071223/1198393681,2007.12.23).

*4:高橋志臣,2008,「Co-Con『クトゥルフと帝国』セッション(2008年01月19日@池袋旧日出小学校)」(http://d.hatena.ne.jp/gginc/20080121/1200932033,2008.01.21).

*5:accelerator,2009,「TRPGに役立てる平田オリザ流演劇論」(http://d.hatena.ne.jp/accelerator/20090207/p1,2009.02.07).

*6白石直喜,2007,「演劇屋はTRPGの夢を見るか」『季刊R・P・G』国際通信社,4: 42-9.

ThornThorn 2009/02/19 17:55 役に立つまとめでした。最近の高橋さんのRPG論の復活ぶりはすごいですね。お疲れ様です。
平田オリザの演劇入門については、僕もR&R誌Vol.38の「うまいプレイヤーになりたい!」でもさらっとふれておきました。ロールプレイそのものの啓蒙記事なので、本当にさらっとにしかならなかったのですが、読者には気がついた人もいるみたいです。今度見せます(笑)あとは、残念ながら手放してしまったのですが(大汗)「Hollywood Lives」http://www.hollywood-lives.com/hl_index.htmなど、Diceless RPG(つまりライブRPG)のような演劇性の強いシステムのマスターパートなどに「はっ」とするノウハウが隠れていたりします。日本語で読めるなかでは、WoD系のシステムのマスターパートの演劇志向的部分などが比較的近いでしょうか。しかし、強度の高い言説はほんとないですね……。

ggincgginc 2009/02/20 00:20 Thornさん:

 ありがとうございます。なんか別のことやってても、ふと数時間経ってみるとTRPGのこと書いちゃってるんですよ。おかしいなあ(笑)。

 ところで、私は「ロールプレイ=なりきり(という見方でのロールプレイ)は、楽しいから正義」という主張が、今サブカルネタで言われるような「かわいいは正義」と同じくらいのネタにしか聞こえないというスタンスがあります。ネタだったり情熱の意思表示だけだったらよいのですが、それが大真面目だからこちらが返答に窮するという(苦笑)。

 そういうのじゃなくて、こういうもっと強度のある言葉を土台に語って欲しいなあというのがありますね。気に入らない言説を「プロパガンダだ」と言うのは簡単ですが、そのプロパガンダ的性格を含み込んだ議論の中から、自説のダシに使えるものを拾うくらいの整理が出来ていないと、傍目からみれば、言及するにも足らない、ダサいdisで終わってしまうと私は思っています(演技論でうまい発展が見られないのは、馬場さんや私などのdisにこだわりすぎるあまり、自分でしっかりロジックを組み立て、その視点を通して気に入らない言説を解体・再構築するという、一番重要な作業をサボっているからじゃないか、と私はシニカルに見てしまいます。上で取り上げた数少ない名前は、その例外、建設的な例であるから取り上げているのでした)。

 ところで Thornさんの連載記事、読ませていただいています。物語論的なアプローチについては、まだ私が「学習とは何か」について整理がついていない段階なので、うまく返答できない状態なのですが、この「すぐにはうまい応答がみつからない記事」だからこそ、自分のためにじっくり読んで考える価値があると私は思っています。そういう記事こそ沢山欲しいのです。私は最近、TRPG批評をやる人というよりは、「よいTRPG批評をきっちり読んで、“これが良い TRPG批評というものだ”と宣伝できる人」へとシフトしていきたいと思っています。
 何か建設的な読みができたら、また言葉にしてみるつもりでおります。

ThornThorn 2009/02/20 16:44  ロールプレイ論の貧しさについては、簡単に言えばロールプレイの実体というものが、うまく形になっていないからではないかと思いますね。小説であれば、すでにできあがったものがそこにあるので、批評するのは比較的簡単ですが、実セッションというのはとりとめのないものなので、それを切るのというのは難しいのでしょう。
 「ロールプレイが面白いから正義」というだけの言説は、言説そのものとしては貧しいですが、インタビューがつまらない俳優が優れた演技を見せることがあるように、そう言う人が必ずしも優れたロールプレイができないわけではななかったりする。ここにおいて、理論と実践の乖離という厄介な問題が浮上してきます。

 それゆえ一つの方法としては、高橋さんが言ったように、既存の言説を再構築している例を紹介することでしょうが、もう一つ必要な作業としては、実プレイ的なものから物語要素を抽出することではないでしょうか。
 優れた例としては、高橋さんのウォーハンマーリプレイの行動解析のようなものが挙げられると思います。
 僕はわりと批評的意識をもって実プレイすることが多い(はず)なのでも同じように自分のリプレイを解析したり、意図を説明することもできてしまう(と思う)のですが、どうも自分でそれをやると(マスター件リプレイライターであるためか)無粋というか面白くならなかったりする(笑)。なので、ブログの連載は、ある意味苦し紛れのものです。
 で、難しいのは、TRPGの物語論的な部分を抽出するには、批評的な言説であっても経験則の部分を無視できないんですよね。ある意味、ゲームシステムはそれ自体が環境管理的なアーキテクチャなので、そこの設計思想が端的に説明されているマスタリングガイドはわりと引き出せる部分が多く、それゆえHollywood Livesを紹介させていただいたというわけです。

 そうか、とりあえずはリプレイ批評論壇もいるのかもしれない!(笑)

ggincgginc 2009/02/22 22:30 >リプレイ批評論壇

 それは私には難しいんですよねー……。たぶん私の実力不足だと思うのですが、何か良い方法論はないかなーと頭を抱えるところです。
 非言語的な部分の技巧というのはとても重要だと私も思います。スポーツ選手のイチローや清水宏保は、自分の技量をかなりのところまで言語化していますが、だからといって彼らなみの一流選手の全てが言語化がうまいとは限りませんし。似たようなことが、TRPGにもしばしばあると私は感じています。

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