GOD AND GOLEM, Inc. (はてなダイアリー倉庫版)

2007-2012まで運用していた旧はてなダイアリーの倉庫です。新規記事の投稿は滅多に行いません。

Vampire.Sさんから聞いたRuneWars設計思想メモ

 昨晩の夜23時ごろから3時間ほど、RuneWars*1のメカニズムデザイナーであるVampire.Sさんと、Skypeボイスチャットでお話しました。

■RuneWarsWiki(同人RPG『RuneWars』の基本的なテキストがアーカイヴされている)
http://www.dunharrow.org/pukiwiki/runewars/

 先日久しぶりにまりおんさん(id:mallion)の卓でRuneWarsのセッションをしたので、その感想がてら、改めてRuneWarsのデザインコンセプトや、細かいルールの解釈について伺い、沢山メモを取らせていただきました。
 今回提示するのは、私が3時間くらい話を聞いた中での私なりの解釈ですので、Vampire.Sさん自身の考えを捉え損なっている部分もあると思われます(もし実際まずいところがあれば、コメント欄でご本人が指摘してくれるはずなのであまり心配はしていないのですが)。
 それを踏まえた上で、RuneWarsというゲームメカニズムの志向性を、より楽しむにあたっての参考資料になればと思い、UPすることにしました。

 なお、Vampire.Sさんは、基本的に自分の作ったメカニズムやそれにまつわる発言・書き込みについて、「コピーレフト」的な著作権感覚を持っていらっしゃる方のようです。RuneWars関連のテキストも、私が想像していたよりもかなり著作権的に開かれたテキストであると本人は考えているもよう。
 今回はその辺の塩梅も冒頭に書き留めましたので、「RuneWarsを色々解析してみたい」「RuneWarsに手を入れて別の方向性のゲームを作ってみたい」という方は、「そっから面白いモンが出ればどう使ってもどう改造してもオッケー(でも数学的にまずいところは個人的に指摘しに来るかもね!)」という原著者の立場を踏まえて、二次利用されるのがよいのではないかと思います。

自分の記述に誤解があり、変更しました。きっかけとなったやりとりは以下です:
Vampire.S: ところで。ハッカーカルチャーの話で思い出したのですが、よろしければ、ご自分のBlogでR=Wを紹介する際、CreativiComonsに関する議論とR=Wに関する議論について、少し整理しておいていただけるでしょうか。というのも、私自身はR=Wに関してCC的議論は全く無関係だと思っているのです。
私が主張したのは「R=Wなんて同人なんだから、みんなで適当にやればイイでしょ」というだけで、著作関連権利やそれに対する社会的スタンス等の議論は一切関与させていません。“主観的な責任さえ取ってれば、文句言われる筋合いは無い”=同人活動における責任意識 ってなところですかね。

志臣: 了解です。それは私の誤解でした。補足記事と元記事の訂正をします。
Vampire.S: よろしくお願いいたします。現状のBlog記事だと、なんだかRuneWarsのアジェンダの中に“CCライセンスにより同人RPGを開発することの有効性を実証するための試み”ってのが入っているように読める気がします。無論、"R=Wの編集作業において、CCライセンスの方がGPLよりも有効である"といった議論はあってしかるべきとは思いますが。
志臣: はい、了解です。その相談コストを下げる上でCCは有効かも、ということと、R=Wが同人活動としてどういうスタンスを持っているかということは無関係ですね。
Vampire.S :ええ。

(090912_Sat_0400 転載)

 私自身がもしVampire.Sさんのテキストを、「ゲーム批評」ではなく「メカニズムデザイン」のために利用する場合は、私が最近関心をもっているCreative CommonsのCC[BY]と同じような感覚で行こうかと思ってます。原著者には敬意を示しつつ、あくまで自分の解釈には全責任を持つことを強調する方向で。といっても、今作っている『MOD』は、メタルールの一部以外はだいぶ異なる設計になりそうですけれども。
 最近では、RQコミュニティのなゆたさんも『呪に交われば――The Powers of Words』というシステムをデザインされており、これはオンラインに適合するよう再設計したRuneWarsヴァリエーションと言えるかもしれません。

 あと、Vampire.Sさんは、硬質で論理的な文体に似合わず、発話の雰囲気それ自体はとても穏やかな方です。声を聞いたことがない人は、適宜脳内変換してお読みください。私は「だ・である」調にまとめたので、全体的に重めになってますが、実際はそういうわけではないこと、あらかじめ付けくわえておきます。

 それでは以下、お読みください。

  • RuneWarsの著作権について(著作者本人の志向)
  • RuneWarsの設計にまつわる背景
  • アトリビュート]についての補足
  • RuneWarsにおける[判定]についての基本的なおさらい
  • [ルーン強度]を解釈するにあたっての重要な論点
  • メタルールの一つ、[クーポン]についての重要な補足
  • 以上をまとめた高橋の感想

*1:TRPGシステム『ルーンクエスト』『ヒーローウォーズ』『ヒーロークエスト』などに共通する世界観、グローランサの「英雄探索行」的な側面をTRPGシステムデザインによって記述するために設計された、同人TRPGシステム。主なデザイナーはVampire.S氏。

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