God & Golem, Inc. このページをアンテナに追加 RSSフィード

2009.10.08.

[]反応があまりに予想通りだったので補記

 相変わらず反論ヒエラルキーが低いなあと思ったので寸評してあげよう。今回はDH2だね。精進してね。

 業界批判としか読めてないのなら,相変わらず読めてない証拠。今回の文章は(というか,毎回そうなんだけど)TRPGの受容者の側がシステムデザインの優れた部分とどういう風につき合っていくか」が主題にある。〈設計〉の担い手をあげつらうのが問題の本質ではなく,〈設計〉を吟味した上で〈運用〉を考えるという話ね。それをふまえて言うんだが,『死にバラ』は,ちょっと検索すればわかるように「遊び方のサポート」というものは相当できてない。そういう点で『ガンメタル・ブレイズ』は今後,遊び方をどうサポートするかという点ではまったくの未踏領域に挑みうる。回転翼さんの『ガンメタル・ブレイズ』エントリで書かれた疑問に応えるようなサービスが必要となる。その挑戦はプロにとってやりがいがあることだし,ユーザーを幸福にする作業でもあるんじゃないかな。自分はそれについてはとても期待しているし,またたとえ自分が期待していなかったとしても,必ずやり遂げてくれることだろうと考えている。

 こういう趣旨のもと,「けれど,『死にバラ』はものすごく速い段階でこういうアイディアをシステムのメカニズムとして実現した同人TRPGシステムだったね,それが続かなかったのはとても残念だね(おそらくプロのTRPGベンダのように「TRPGシステムにおいて,サポートは何か」というところまで含めて戦略的に振る舞えなかったからなのだろう)というようなことも同時に批判している。つまり『死にバラ』を肯定しているようでいて,実はその隘路も同時に指摘しているわけだ

 そういう意図について特に何も思わないで,「業界を批判している」,と読み違えるようなら,それはあなた,それこそアマとプロを混同してプロを馬鹿にしてますよ,と私には思えます。あなた,誰の味方してるつもりなの? という話になる。自分の言論が,自分の好ましい人たちのみぞおちを図らずも殴っているかもしれないことに,どれだけ気づいているかな?(「地獄への道は善意で舗装されてる」,だっけ?)まあ,君が誰を言葉で殴ろうと,それぞれの受け取られ方があるから知った事ではないのだけれど。

 そもそもね,システムデザイナーによって最初に作られた基礎的なメカニズムデザインと,(メカニズムの基本仕様の変更も含めた)ユーザーサポートの中でなされる諸々の事は,全然別の作業としてみた方がいい。Vampire.S氏の〈ポリシー〉と〈メカニズム〉の区別で言うと,あるゲームで達成したい〈ポリシー〉を目指した〈メカニズム〉がセッションの現場で使われるのが望ましい。

 そしてメカニズムに関わる作業は,だいたい以下の作業分野に分かれる。

  1. メカニズムの基礎設計(明示化された〈ポリシー〉が含まれる)
  2. メカニズムの改造
  3. メカニズムに沿ったボード(=ゲームを遊ぶのに必要な〈背景世界〉)の設計
  4. メカニズム及びボードに沿ったギミックマニュアル(=GMが使うシナリオのこと)の設計
  5. 以上の4つの作業を経た上での,セッション運営(=プレイヤーにゲームを提供する作業)

 TRPGの商業というのは,(1)から(5)までのすべてを,ユーザーの望みに応じてサポートしていくというスタンスで成り立っている。「メカニズム設計」「メカニズム改造」「ボード設計」「ギミックマニュアル(=シナリオ)設計」「セッション運営」この5つが,卓上に「TRPGというゲーム」を生み出すための五つの手続きだ。そして,これら全てをビジネスにし得るのが,プロのTRPGベンダだ。

 『死にバラ』が優れているのは,メカニズム設計の点で新しい視点を示した事だ。しかし他はどうか?「メカニズム改造」「ボード設計」「ギミックマニュアル設計」「セッション運営」まで,ルールブックやその他のサポート記事においてサポートされていただろうか?

 されていない。『死にバラ』は基礎メカニズム設計以外の仕事をほとんどしていない。そうした作業は,おそらくデザイナー自身やその他マスタリングした人々が対面でほとんどを補っただろう。ボード設計は「既存の犯罪映画一般」に仮託しているという点で典型的な〈第三世代型RPG〉だし,改造しうる変数やシナリオ作成の指針等もそれほど充実しているとは言えない。「それが同人の限界だ」という事もできるし,「しかしそのような他の作業をも“サービス”として発掘してきたのがプロのTRPG市場のあり方だ」とも言える。

 しかし,それでも純粋に〈システム選択〉というゲームマスターの作業を考えたとき,必ずしもプロのサポートのすべてを購入する必要は無い。「メカニズム改造」「ボード設計」「ギミックマニュアル設計」「セッション運営」に,何らかの独自の手がかりがあれば,後は純粋に「そのメカニズムの基本的な〈ポリシー〉は何だったのか」ということになる。

 文字だけでわかりにくいのであれば,氷川霧霞さんのこのエントリを読めばよく理解できるだろう。

氷川霧霞,2006,「TRPGの苦労は買ってでもしよう」(http://www.trpg-labo.com/modules/article/index.php?content_id=45,:2007.08.25).

 こういう前提を共有した上で,「手厚いサポートが今回は必ずしも必要ではなく,ポリシーに対応する基本アイディアだけがゲームマスターに足りないだけだ,と言うとき,〈システム選択〉はいかに為されるべきか?」 を問いかけたとき,そこで初めて,『ガンメタル・ブレイズ』と『死に急ぐ奴らのバラード』は,「メカニズム設計」というその一点で相互に評価しうるものとなるのだ。そして,その二つはなかなか良い勝負をするように思うのだが,どうだろう? もちろん,色々なサポートを必要とする初心者GM,あるいはプレイヤーたちが独自に熟読して「TRPGの手続き」を把握した状態でぜひともゲームをやりたい,という場合は,『死にバラ』は『ガンメタル・ブレイズ』にかなう訳が無い(そこには莫大なプロの仕事が投下されている)。しかし,「遊ばれる手続きがルールブックにおいて丁寧に書かれていること」と,「メカニズムの基本的な仕様それ自体」は,〈システム選択〉という作業においては,分けて考えてかまわない。

 それが,TRPGという営みにおいて〈設計〉と〈運用〉とを区別した時に言えることだ。

 この基本的な区分けには一定の批評的効能があると自分は考えているのだけれども,その前提を理解せず別の方向で論駁しようとしても無駄だし,取り上げる気にならないよ。そのことははっきり言っておく(もちろん,この考えそれ自体の不備を指摘した時は,喜んで対応するだろう。もっとも,今までの発言を見る限り,それは望み薄なのだけれども)。

 あ,「物言いが」とか「言ってる雰囲気が」とかいうのはマジでNGね。それ「批判」って言わないから。それを書きたくなった時は,自分の議論の無力を露呈した時だと思った方がいい。

追記:毎度の致命的な難点に際して

 よくがんばったが,残念。おおむね予想通りだが,DH(反論ヒエラルキー)4止まりだ。相変わらず主張と関係のないところを論じている(したがって,効果がない)。

 なにより,書かれた問いには,他人が言及に値するゴールがない。そうなってしまう理由は,君の議論が「いつもある主張xの代替を目指さなければ」という立場表明に終始しているからだ。代替物の価値を信じたいなら,自力でその価値を論証しなければならない。その仕事を君は怠っている(自分ではやっているつもりだろうが,ノー・アイディアであることに気づいていない。そもそも批判において具体的なアイディアが必要だとは思っていない節がある)。

 「それが首尾よく果たされたとして,どんな価値があるのか?」を明示しないと,他人にやらせる説得力は持てない。他人に「特定のトピックに対して論じることに価値がある」と思わせたいのならば,自分でももっとがんばって,自律した「批評」を立ち上げる必要がある。

 そのためには,今の論法自体を変えなければならないだろう。そのために,僕の発言はどこまでその問いにとって本質的であるのか,本当に吟味できているのか,疑わしい。一言でいうなら,君は何かを生もうとしているそのくせ,選ぼうとしている産婆を間違っている。あるいは,そもそも産む問いがないのに,問いがあるかもしれないことを偽装している(そう取られたくないのなら,はやいところ方法論について批判可能な水準の問いを立ててみなさい。今のままではできないだろうが)。そうでなければ,君がどう考えているのかは知らないが,「君自身が論じたものに影響されて何かを論じ始める人間」は出て来ない。そうした人間を生み出さない文章に,言及する必要は無い。

 そうしたことを変えられない/変えるつもりがない,というスタンスで,これからも似たようなことを続けるつもりなら,特に僕から言うことはない。

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/gginc/20091008/1254983384