2010年度(US編)

遅くなりました! といっても誰も待っていないだろう自己満足企画iTS年間ベストセラー大人買い祭りの「US(アメリカ)編」です。iTunes Store USの曲ダウンロード年間50位に入った曲を片っ端から購入して無責任に感想を書きなぐる企画です。

概観ですが、去年から顕著になったオートチューン&ユーロダンス・サウンドの席巻は、その勢いが衰えるどころか、むしろ激化しています。アッシャーもフロ・ライダーもエンリケ・イグレシアスも、プライドも何もかなぐりすててユーロダンス路線にまっしぐらです。恐ろしいですねえ、市場経済って。

この破壊力は、かつてファンク・ミュージックを絶滅においやったディスコ・ブームに匹敵するかもしれません。もう、R&Bもヒップホップも破壊されまくりです。

ただ、去年も書きましたが、ユーロポップは実は嫌いでないし、エレクトロはむしろ大好きなオレですので、この傾向にはそれほど批判的ではありません。ていうか、楽しんでいます。また、ユーロ系は無個性・匿名的、そしてトラッシュなのも、ちょうアリな世界なので、個性がなくたって、皆おんなじだって、別に構わないのです。ユーロ・トラッシュまんせー。

というわけで、以下、各曲の感想を書きなぐります。たかだか1曲や2曲聴いただけで判断するのは無茶だと分かりつつ、お気に入り度を★で記しますが、「★★★」が標準。「けっこういいな」と思ったら「★★★★」、「これはけっこう聴くのがキツい」と思ったら「★★」。「★★★★★」は、「この曲なら何回でもリピートオッケー!」という曲です。

あくまで【な】本人の「お気に入り度」ですので、もし貴方と意見が違ったら「こいつ分かってねえな」と笑ってやってください。

ではでは、本年度分。

1. Train / Hey, Soul Sister (2009) ★★★

いきなりトレインかよ! というのが第一印象。トレインといえば、2001年の「Drops of Jupiter」という、アメリカの中庸な白人が好きそうな暑苦しいアメリカン・ロック・バラードを大ヒットさせたグループという印象が強いのですが、まだしぶとくヒットを飛ばしていたとは…。しかも、昨年度23位、一昨年度13位だったジェイソン・ムラーズのI'm Yoursにそっくりの、軽いレゲエ風味、軽いウクレレ風味のさわやか〜なポップスで、ユーロ・エレクトロ路線の他はこういうアコースティックなのが今のアメリカの流行なんかね。てか、I'm Yoursとほとんど同じ曲じゃん、これ。

2. Katy Perry / California Gurls Feat. Snoop Dogg (2010) ★★★★★

さて、2位は売れっ子の「破天荒姫」ぶりっこのケイティ・ペリーのこの曲。もう、おまえ恥ずかしくないんかいというほど、モロのエレクトロ・ダンスチューンです。ちょっとハウスよりかな。驚くほどの商業主義、驚くほどの節操のなさですが、嫌いじゃない。むしろ好きです。この泡沫な感じにしびれます。Keshaが歌ってもまったく違和感のないナンバーですが、いいんです、個性とか、そういうのはもう。この無個性でドポップなサウンドに溺れるのみ。カッコいい。

3. Eminem / Love The Way You Lie (2010) ★★★

すっかり復活したエミネムですが、どうも最近のエミネムは哀愁シリアス路線ばかり(最近でもないか)で、あまり好きになれません。この曲も、「メランコリックな女性ボーカル+タフなエミネム」というエミネム定番曲で、好きな人は好きなんでしょう。初期のユーモア精神のあったエミネムが懐かしい。

4. B.O.B. And Hayley Williams / Airplanes (2010) ★★★

上のエミネムと似たような、哀愁女性ボーカル(こっちは白人)+ラップの曲です。どっちもイントロがピアノだし、あんまり区別付きません。

5. Taio Cruz / Dynamite (2010) ★★★

この人はイギリス人なんですね。ナイジェリア人とブラジル人のハーフということで、オートチューンばりばりのボーカルには少しエキゾチックな風味があります。曲はおもいっきりユーロダンスで、レディ・ガカを薄味した感じですが、この薄い感じも持ち味になっていると思います。サビの「Sayin' Ayo / Gotta let go」という一節が頭に残ります。嫌いじゃない。

6. Usher Feat. will.i.am / Omg (201) ★★

アッシャー、おまえもか。という感じで、アッシャーもオートチューン&ユーロトラッシュ路線に走ってしまいました。このあたりの節操のなさには、逆にアメリカのショウビズの熾烈さが喚起されますね。売れるためなら悪魔に魂を売らなければならない、と。しかしこの曲はwill.i.am(ブラック・アイド・ピーズ)の悪い面が出たように思います。ぬるいサウンド、単調なメロディ。サウンドプロダクションのぬるさに合わせるかのように、アッシャーのボーカルにもまったく生気がなく、おまえらやる気あんのか!?と怒りさえおぼえますが、それでもヒットしてしまうんですから、よっぽどオレの耳が狂っているに違いありません。

7. Taio Cruz / Break Your Heart (2009) ★★★★

タイオ・クルーズ2曲目。出世作ですね。ほんと、こんなユーロな曲がアメリカのチャートを駆け巡るなんて、どうしちゃったんでしょうね、世の中。ただ、単にユーロなだけでなく、オートチューンのボーカルに黒さがある(といってもソウルフルではない)のが、新しさでしょうね。泡沫感バリバリのぬるいユーロ・トランス・ポップのこの曲ですが…嫌いじゃありません。病み付きになるキャッチーさです。空っぽな感じがいい。

8. Kesha / Tik Tok (2009) ★★★★★

「ちょっと不良な歌姫」の座を巡り、ケイティ・ペリーを猛追しているのがこのケシャ。デビュー曲であるこの曲、すみません、オレもはまりました。イントロはモロにレディ・ガガの亜流なんですが、全体としてはレディ・ガガの「アート感」がまったくないのが重要な違いで、もっとティーネイジャーに近い目線で人気をかっさらいました。中高生からはほど遠いオレが何に惹かれたのかというと、このだらしない、ただれた雰囲気ですね。かなり計算も入っているかと思うんですが、スラッカー(だらしのない駄目人間)的な雰囲気が(・∀・)イイ! サビも頭にこびりつきます。

ちなみにケシャの最初のメジャーな仕事はフロー・ライダーの「Right Round」(iTSチャート昨年度2位)のサビのコーラスだそうです。

9. Lady Antebellum / Need You Now (201) ★★★

最近のUSチャートの傾向として、コンスタントにカントリー系のポップソングが入るというのがあり、この曲もそうです。カントリーといっても、コンテンポラリー・カントリーは普通のロック/ポップスとほとんど変わりなく、この曲も知らない人が聴いたらカントリー・アーティストとは思わないでしょう。メロウで良い曲ですが、あまり頭に残らないかな…。

10. Eminem / Not Afraid (201) ★★★

ま、いつものエミネムです。今回は女声は入ってませんが、ハッタリっぽいシリアスな芸風は変わりません。

11. Black Eyed Peas / Imma Be (2009) ★★★★

BEPの曲はほんと玉石混淆で、「Boom Boom Pow」のような大胆で創造的な曲と、「I Gotta Feeling」のような凡庸でクソつまらない曲の両極を自由自在に行き来しています。まあ、それでどっちのタイプもヒットさせてしまうのがBEPの強さですね。

で、この曲は前者の素晴らしい方の極にあります。「アマビー、アマビー」と連呼する、極端にシンプルかつチープな前半部から、同じく「アマビー、アマビー」と連呼する予測不能な後半部の馬鹿馬鹿しい展開まで、ヒット曲の定石を破壊する様は見事であります。斬新かつ馬鹿っぽいというのが素晴らしい。

ちなみに、PVの方はCDの方と後半部が全然違っていて、それでも同じ曲のふりをしているのがまた笑えます。

12. Enrique Iglesias / I Like It (201) ★★★

エンリケ、おまえもか! という感じで、こいつもオートチューン&ユーロダンス路線に臆面もなく走っています、ある意味アッシャー以上に。このあたりの節操のなさには、逆にショウビズの(以下ry

13. B.O.B / Nothin On You (Feat. Bruno Mars) (201) ★★★

今年度のトレンドとしては、フィリピーノ・ヒスパニックのシンガー、ブルーノ・マーズのメロウなテナー・ボーカルをフィーチャーした曲が多かったということでしょうか。しかも、マーズのボーカルは、意外に存在感があるので、この人がラッパーの曲のサビを歌うと、ラッパーがメインなのか、シンガーがメインなのか、分からなくなります。

この曲もそういった曲の一つで、むしろラッパーの方が喰われています。

14. Kesha / Your Love Is My Drug (201) ★★★★

ケシャ、2曲目です。「Tik Tok」ほどのアクはなく、普通のハウス系ユーロ・ダンス・ポップですが、ド・キャッチーなサビが良いです。が! ケイティ・ペリーに似すぎている気もする。

15. Travie Mccoy / Billionaire (Feat. Bruno Mars) (2010) ★★★

ブルーノ・マーズがフィーチャーされた曲、2曲目であります。この曲はボーカル部が長く、しかも「I wanna be a billionaire, so fucking bad」で始まる歌詞のインパクトも強いので、もう完全にラップの方が脇役になっています。てゆうか、最初ラジオで聴いたとき、まさかラッパーメインの曲とは思わなんだ。

ちなみに、この曲も、1位のトレインの「Hey, Soul Sister」やジェイソン・ムラーズ「I'm Yours」と同じく、ちょっとレゲエ入ったアコースティックなさわやか泣きナンバー。歌詞は好き嫌い分かれるでしょうし、ぼくはあまり好きじゃないですが、ブルーノ・マーズのボーカルの存在感は認めざるを得ません。ラップ? 印象残らん。

16. Justin Bieber / Baby (2010) ★★★

人気爆発、話題のポップR&B系ティーン・シンガーのヒット曲。人気と同じぐらいバッシングもされているジャスティン君ですが、まあ、バッシングというのも大人げないんじゃないかと、外野は思ってしまいます。

この曲のリリース時、ジャスティン君は15歳で、声が幼く、美しい。パンチには欠けますが、このサビの透明感に全世界のショタコンが感涙にむせぶのは当然の摂理だと思います。ハイ。

17. Katy Perry / Teenage Dream (2010) ★★★

ケイティー・ペリー2曲目。はっきりいってフツーのエレクトロ・ポップです。ケシャの「Your Love Is My Drug」の方がいい。ま、大した違いはありませんが。

18. Bruno Mars / Just The Way You Are (2010) ★★★

すでにフィーチャリングで2回登場しているブルーノ・マーズの本人のソロ曲です。ポップ、さわやか、ビートも軽快。ほんと良い曲…と言いたいところですが、サビがベタベタすぎて今いち乗り切れません。「君は君のままで素晴らしいよ」というストレートすぎる歌詞と合わせて、聴いている方の歯が浮いてしまいます。

19. Jason Derulo / In My Head (2009) ★★★

タイオ・クルーズと同じ路線の、ポップで軽いユーロダンス曲ですが…タイオ・クルーズほど響かないのはなぜ? ボーカルが普通すぎる?

20. Lady Gaga / Telephone (Feat. Beyonce) (2010) ★★★★★

2009年にブレイクしたレディー・ガガ、2010年は大爆発するかと思ったんですが、このチャートを見ると、20位が最高位と、「大爆発」とは行かなかったようです。

しかし曲は最高。マドンナ直系のダンスチューンですが、ガガ印はマドンナにはなかった「濃さ」があります。ビヨンセとのガチンコ勝負も強力。

また、ガガは歌詞も素晴らしく、男から別れ話を切り出されて「Stop callin', stop callin', I don't wanna think anymore / I left my hand and my heart on the dance floor」と歌い上げるのは、ダンスフロアの女王の強気とも取れるし、強気を装いつつ動揺しているとも取れます。シンプルな歌詞にそういったニュアンスをもぐりこませ、なおかつ曲として高揚感をもたらすガガは、本当に素晴らしいです。

21. Rihanna / Rude Boy (2010) ★★★

リアナ、おまえもか! ということで、ミッドテンポの思いっきりエレクトロ路線です。うーん、でも「アンブレラ」のような強烈なインパクトはここにはありませんね…。

22. Far East Movement / Like A G6 (2010) ★★★★★

ついに来た、本当のエレクトロ! いくらエレクトロ/ユーロ旋風が吹き荒れているといっても、ここまで純度の高いエレクトロがチャートを駆け上ったことはありませんでした。最高にカッコいい、素晴らしいです。アルバム聴いたらそれほどエレクトロじゃなかったけど…。

ちなみに、このグループはエイジアン・アメリカン(日系・中華系・韓国系・フィリピーノ)で、アジア系がこれだけ成功したというのも快挙。サビはDevという、これまたエレクトロ系女性シンガーで、この「ド・エレクトロ」なボーカルも(・∀・)イイ! 内容からっぽ、個性もからっぽ、だがそれがいい。

サビのオリジナルはDevの「Booty Bounce」の一節からの借用で、こっちもかなり良い、どエレクトロ。

23. Jason Derulo / Ridin' Solo (2010) ★★★★

ジェイソン・デルーロ、2曲目で、こちらは「In My Head」よりもだいぶR&B寄り。「早漏」と連呼するこの曲の方が印象に残ります。

24. Lady Gaga / Bad Romance (2009) ★★★★★

レディー・ガガの、現状での最高傑作。とオレは勝手に思っています。「オオオオオーオオオオーオー」というチャントから始まる、高揚感あふれるこのユーロ・トランス・ポップ曲は、オレが見に行ったライブではアンコールで演奏され、当然盛り上がりました。素晴らしい。さすがにちょっと飽きたけど。

25. Usher / Dj Got Us Fallin' In Love (Feat. Pitbull) (2010) ★★★

思いっきりユーロダンスな曲。「omg」よりはアッシャーの持ち味が出ているとは思うけど、まあ、別にアッシャーじゃなくてもいいかな、みたいな。

26. Mike Posner / Cooler Than Me (2010) ★★★

白人シンガーのエレクトロ・ポップ曲。ボーカルもサウンドもえらい薄味だけど、それが持ち味? 特にボーカルは、オートチューン全盛の中にあって、ちょっとハスキーな生声で、それが新しい…のか? とりあえず薄味。

27. Young Money / Bedrock (Featuring Lloyd) (201) ★★★★

電子音のバックながら、トラディショナルなヒップホップ/R&Bで、ちょっとほっとします。グループというよりは、リル・ウェイン率いる同名レーベルのショーケース的な、コラボレーション・ユニットのようです。もちろんぼくには誰が誰だか分かりません。

28. Kesha / Blah Blah Blah (Feat. 3Oh!3) (2010) ★★★

今回のケシャの曲では一番平凡な曲です。

29. Nelly / Just A Dream (2010) ★★★

中堅ラッパー、ネリーのソフト&メロウな曲です。スムースで心地よい。

30. Black Eyed Peas / I Gotta Feeling (2009) ★★★

まだ入ってたんか、この曲! 昨年度4位。

31. Jay-Z / Young Forever (2010) ★★★

重鎮Jay-Zのマイペースなリリース。ラヴァーズロック(レゲエ)っぽいサビのメロディだなと思っていたのですが、原曲はドイツのシンセポップ・グループ、Alphavilleの「Forever Young」だそうで。YouTubeで見ましたが、なるほど、アレンジ、メロディなど基本的に同じです。良い曲です。もっとも、原曲のメロディが良いだけという感じも…。いや、それをヒップホップの文脈に生き返らせたのは功績だとは思いますが。

32. Timbaland / Carry Out (Feat. Justin Timberlake) (2009) ★★★

90年代半ばにアリーヤのプロデューサーとしてティンバランドがブレイクしたとき、その異能すぎるサウンドから一過性の流行かと思ったものですが、未だに一線とはすごいですね。…とはいえ、この曲は薄味であんまり印象に残らない。

33. Lady Gaga / Alejandro (2010) ★★★★★

レディ・ガガの、ABBAへのトリビュートとも言える一曲。ABBAの「フェルナンド」がインスピレーションかな? しかし、インスピレーションというだけで、曲としては全然違う曲であり、見事にレディー・ガガのゴシック耽美的な世界に昇華している一方、ABBAの影も垣間見えるという大変奥深い味わいのある傑作。

34. Flo Rida / Club Can't Handle Me (2010) ★★★

出た、世界一節操のないラッパー、フロー・ライダー! 今回は思いっきりユーロポップになっていて、ここまで魂を売れるというのは逆に清々しい。皮肉でもなんでもなく、本当に感心しています。ちょっとBEP「I Gotta Feeling」テイストが入っているのがマイナスポイント。

35. La Roux / Bulletproof (2010) ★★★

イギリスのエレポップ・デュオの曲。思いっきり80年代なシンセポップですが、ここまで行くと理解不能というか、ケシャやレディ・ガガは、R&Bのテイストやクラブミュージックのテイストが入っているから分かるけど、La Rouxはそういうのもない純粋なエレポップで、なぜこれがアメリカで売れるのか、すごい時代になったものです。

36. Kesha / Take It Off (2010) ★★★

ケシャ4曲目。今回入賞したケシャの曲ではもっともエレクトロ色が強く、サビメロも印象に残って良いんですが、ケシャならではの味が薄いのが残念。

37. Script / Breakeven (2008) ★★★

ダブリンのロックバンドらしい。ちょくちょくイギリスやアイルランドのミュージシャンがチャートインするのが近年のアメリカのチャートの特徴でしょうか。このバンドは、言われなければアメリカのバンドと思ってしまいそうです。悪くない曲です。頭に残らないけど。

38. Jay-Z / Empire State Of Mind (Feat. Alicia Keys) (2010) ★★★★

ジェイZ、2曲目。ニューヨーク讃歌で、アリシア・キーズのサビの歌唱の艶やかさが良いです。全体としてはいつもながらの安定したジェイZ。

39. B.O.B / Magic (Feat Rivers Cuomo) (2010) ★★★

ポップ系ロックシンガーとラッパーの共演というと、ロックシンガーの8ビートの乗りと、ラップの16ビートの折り合いをどう付けるかというのが問題となり、日本の例ですが、スチャダラオザケンはなんとか成功したものの、スチャダラカエラはどうもつまらない出来になっていました。で、ウィーザーのリヴァース・クオモと組んだこの曲ですが、サビのあざといまでのキャッチーさに救われているという気がします。ていうか、クオモも良くこんなシゴト引き受けたな。けっこうシゴト選ばない人ね。

40. Adam Lambert / Whataya Want From Me (2010) ★★★

アメリカン・アイドル出身のロック・シンガーの曲。自己陶酔一歩手前の泣きのメロディに引きそうになりましたが、この人、ゲイだそうで、ゲイのミュージシャンに甘いオレとしては、ゲイならこのナルシスティック&ドラマチックな感じも良いかも、と思い直しました。

41. 3Oh!3 / My First Kiss (Feat. Kesha) (2010) ★★★★

去年も「Don't Trust Me」を11位に入賞させていたアホっぽいアメリカン・エレクトロ・ポップ・デュオの3Oh!3。オレは「Don't Trust Me」は好きになれなかったですが、この曲は(・∀・)イイ! 何がいいって、ゲスト参加しているケシャのエロだらしないボーカルが(・∀・)イイ! 曲全体もデリカシーのかけらもない、知性ゼロの馬鹿丸出しな感じで、素晴らしいですね。

42. Taylor Swift / Mine (2010) ★★★

乙女な女子に根強い人気を誇るカントリー・ポップ・シンガー、テイラー・スウィフト。いつものポップさ、悪くないですね。あまり印象にも残らないけど。

43. Dj Khaled / All I Do Is Win (Feat. T-Pain, Ludacris, Snoop Dogg, Rick Ross) (2010) ★★★

パレスチナ系アメリカ人DJの曲ということで、アラブ色があるのかと思いきや、そういう色は何もないですね。普通の、シンセでマッチョなヒップホップR&B。

44. Iyaz / Replay (2009) ★★★

去年も50位、今年44位というしぶといロングセラーのオートチューン系ラガR&B。別に印象に残る曲でもない。

45. Drake / Find Your Love (2010) ★★★

Young Money一派の、カナダ人シンガー/俳優…だそうです。ボーカルはソフトで、この一曲だけだとあまり印象に残らないっすね…。

46. Taylor Swift / Today Was A Fairytale (2010) ★★

バレンタイン・オムニバスの一曲ということで、テイラー・スウィフトのスイーツな側面が炸裂しています。「貴方は王子様」とか「魔法を感じた」とか「今日はおとぎ話みたいだった」とか、もうスイーツもいい加減にしてくれと思う…けど、嫌味はないし、乙女専用音楽として良いんじゃないでしょうか。

47. One Republic / All The Right Moves (2009) ★★★

バラード中心のロックバンドでありながら、今もっとも「ヒップホップで使われそうなサビメロ」を紡ぎ出すグループの、これまた泣き100%のバラード。悪くないです。

48. Trey Songz / Bottoms Up (2010) ★★★

トレイ・ソングスのボーカルは線が細いんですが、この曲は何となく印象に残ります。アルコール讃歌とも言える曲ですが、あくまでクリーンでクールなのが現代的というか。中間部に来る、Young Money一派の女性ラッパー、ニッキー・ミナージュの「Fucker! Fucker!」と連呼するラップがインパクトあります。

49. Owl City / Fireflies (2009) ★★★

昨年34位だった、ソフトなエレポップ曲。なぜ売れたのか良く分からない曲の一つです。

50. Michael Buble / Haven't Met You Yet (2009) ★★★

最後はこれまた、オレには良く分からないジャンルのシンガーが来ました。ジャズのバックグラウンドがあるらしいけど、どちらかというと、ポピュラー系? とはいえ、もちろん、もろポピュラー系の曲がチャートインするわけもなく、この曲は70年代AOR、ソフトロック系のサウンドです。ビリー・ジョエルにも似ている? ボーカルはクルーナーというほどクルーナーでもなく、ロックバンドにもいそうな性質で、評価に困ります。少なくともこの一曲じゃわからんです。

わからん、で締めるのもなんですが、以上で筆を置かせていただきます。

2010年度(日本編)

いかん。せめてアカデミー賞の前にはやっておきたかったこの(オレ的)恒例企画、今年はなんと3月に入ってしまいました。でもなんとかやるぞやるぞやるぞ!

2006年度から毎年やっております(US編は2007年度から)「iTS年間ベストセラー大人買い祭り」、iTunes Storeの年間チャート(曲単位)のトップ50を大人買いして片っ端から感想を書くコーナーです。日を改めてUS編もやる予定。

さて、日本版年間チャートの概観です。

どうも今年のチャートはぱっとしない。2010年度はオリコン年間シングルチャートが嵐とAKB48の2グループに独占されるという異常事態が発生し、「嵐とAKB48の破竹の勢い」を反映しているのか、あるいは「ヒット曲に乏しい現状」を反映しているのか、話題になりましたが、iTSチャートの方も、なんというか「おまえら他に買うもんないんかい!」とツッコミたくなる感じです。

それはともかく、概観など…。

躍進したAKB48関係が4曲入っていますが、嵐はiTSで売っていないので入っていません。他、目立った動きとしては、カエラが昨年2位の曲で1位を取るなど、ブレイクを強く印象づけている他、話題のK-Pop女性アイドルのKARAが14位、少女時代が29位、30位に入っています。しかし、新味はそれぐらい。

いっぽう、去年以前のチャートにランクインしていた曲の再ランクインが目立つんですよねえ。以下がそのリストです(左端の数字は今回の順位)。

  • 1. 木村カエラ / Butterfly(昨年2位)
  • 9. ヒルクライム / 春夏秋冬(昨年14位)
  • 16. Lady GaGa / Poker Face(昨年39位)
  • 23. HY / 366日(昨年4位)
  • 27. ザ・ブルーハーツ / 1001のバイオリン(2006年度27位)
  • 33. Superfly / 愛をこめて花束を(昨年27位、一昨年9位)
  • 35. MONGOL800 / 小さな恋のうた(昨年37位、一昨年24位)
  • 38. 一青 窈 / ハナミズキ(2006年度30位)
  • 41. 絢香 / みんな空の下(昨年10位)
  • 46. FUNKY MONKEY BABYS / 桜(昨年12位)
  • 47. GReeeeN / キセキ(昨年6位,一昨年2位)

こんだけ旧曲が入っていて、新機軸がAKBとK-Popだけって、寂しいよなあ。ほんまに、「おまえら他に買うもんないんかい!」という感じです。

入っている曲もパターン化していて、アイドルじゃなかったらFUNKEY MONKEY BABYSかヒルクライムかSuperflyかExileか、あとは癒し系の女声ポップR&Bっぽい曲か…全般的に草食系の優しい曲ばかりだし、FMBとExileが金太郎飴のように毎年同じ芸風なので、聴いていて腹も立たないけどお腹いっぱいにもならないという、薄味のチャートでありました。iTSチャートの常連の宇多田ヒカルが今回入っていないのもチャートの小粒化・薄味化に拍車をかけております。

この点、エグいまでに商業路線をぶっとばすiTS USのチャートとは好対照です。向こうのチャートのプライドもかなぐり捨てたような商業主義もどうかと思うけど、あのギラギラした感じがもうちょっと日本のチャートにもあればいいのに…と思いました。

ちなみに、複数入賞は、FUNKEY MONKEY BABYSが5曲(6, 13, 17, 18, 46位)、AKB関連が4曲(3, 5, 40, 49位)、以下3曲入賞がSuperfly(2, 15, 33位)、ヒルクライム(9, 26, 36位)、EXILE(10, 28, 44位)、Lady Gaga(11, 16, 31位)となっています。

洋楽組は、ブレイクしたLady Gagaの他、Keshaが19位、Katy Perryが10位と、4曲のランクインです。まあ、順当な感じです。

本年度のワーストはダントツで「We Are The World 25 For Haiti」です。

というわけで、以下、感想を書きなぐります。たかだか1曲や2曲聴いただけで判断するのは無茶だと分かりつつ、お気に入り度を★で記しますが、「★★★」が標準。「けっこういいな」と思ったら「★★★★」、「これはけっこう聴くのがキツい」と思ったら「★★」。「★★★★★」は、「この曲なら何回でもリピートオッケー!」という曲です。あくまで【な】本人の「お気に入り度」ですので、もし貴方と意見が違ったら「こいつ分かってねえな」と笑ってください。

ではでは、本年度分。

1. 木村カエラ / Butterfly (2009) ★★★★★

今年は去年2位だったカエラの「Butterfly」が本年度の1位。強い! カエラ・ブレイクの強さを見せつけました。結婚・出産と、芸能ニュースにもなったのが後押ししたか。

2. Superfly / タマシイレボリューション (2010) ★★★

今年は引き続きSuperflyが堅調。アン・ルイス大黒摩季というラインの歌謡ロックの正統な後継者で、活躍は好ましく思っていますが、いまいち曲が響かないというか…。もっとアクが欲しい!

3. AKB48 / ポニーテールとシュシュ (2010) ★★★

AKB48がモー娘。と違うのは、圧倒的にAKB48の方がおニャン子臭がするということですね。当たり前と言えば当たり前だけど。サウンドも80年代歌謡曲と大差ないのがスゴいというか、「アイドル売るのに新しいサウンドなんかいらん!」という秋元康の強い信念が伺えるようです。

4. 斉藤和義 / ずっと好きだった (2010) ★★★

ぼくの知り合い圏内にも斉藤和義信者がいるんですが、良さがいまいち良く分からない…。この曲も悪くないと思うんだけど、昔ながらのジャパニーズロックなブギーロックにどう反応したらいいのか、距離を取りかねている自分がいます。アルバム聴かないと良く分からんのかもなあ…。

5. AKB48 / ヘビーローテーション (2010) ★★★

頭から超キャッチーな、超ど級のサビを押し出してくる、英語で言うところのunapologeticなアイドル歌謡に頭がくらくらしつつ、けっこう良いメロだなと思ったりもします。サビ以外が今いち印象に残らないけど。

6. FUNKY MONKEY BABYS / 涙 (2010) ★★★

いつものFMBです。ストリングスもたっぷり。励ましもいっぱい。

7. 坂本冬美 / また君に恋してる (2009) ★★★★

一部の好事家からキング・クリムゾンの「Moon Child」のリメイクと言われている曲(リメイクとは誰も言ってないか)。ビリー・バンバンの最近の曲のカバーだそうです。坂本冬美ならではの演歌ポップスに仕上がっていて、クリムゾン風味も加味されて素晴らしい仕上がりとなっています。サウンド、アレンジ、歌すべてが高度にプロフェッショナルで聴いていて気持ちが良い。ある意味、今年度チャートのオレ的ナンバーワン。

8. 木村カエラ / Ring a Ding Dong (2010) ★★★★

携帯CMの曲。ま、正直大した曲じゃないと思うけど、ファンなので甘めに。

9. ヒルクライム / 春夏秋冬 (2009) ★★★

昨年14位。サビはいいけど、それ以外がどうも…なんでこんなヌメっとした声なん?

10. EXILE / もっと強く (2010) ★★★

いつもの安定したEXILE節です。以前から書いてますが、嫌いじゃないんですよね。この曲はサビ前のブリッジのメロディが良いんだけど、偶然にも42位のBUMP OF CHICKEN / 魔法の料理のサビに似ている。

11. Lady Gaga / Telephone (Feat. Beyonc) (2010) ★★★★★

素晴らしい曲です。詳しくはiTS大人買い祭り USバージョンを参照ください。

12. moumoon / Sunshine Girl (2010) ★★★★

なんだこの曲は?! レゲエっぽいリズムのどポップな曲調にバイリンガルっぽい爽やかでキュートなボーカルが乗ります。CMからヒットした曲のようですが、近年のJ-Popのヒット曲の系統とは離れていて、こういう曲がチャートに入るならCMソングも良いもんだなと思います。佳曲。

13. FUNKY MONKEY BABYS / あとひとつ (2010) ★★★

6位の「涙」と17位の「大切」と46位の「桜」とこの曲でブラインド・テイスティングしたら正解する自信がまったくない。てか、ストリングス使い過ぎじゃね?

14. KARA / ミスター (2010) ★★★★

K-Pop女性アイドル対決はKARAが制しました。歌謡曲っぽいエグみがあって良い曲です。日本語も少女時代よりこなれている気がする。新曲の「Jumpin'」はさらに良い曲なので2011年度にチャートインしていたらいいな。

15. Superfly / Wildflower (2010) ★★★★

今回のSuperflyの曲ではこれが一番好き。高揚するサビのメロディが素晴らしい。

16. Lady GaGa / Poker Face (2008) ★★★★

昨年39位。ガガの出世曲であります。

17. FUNKY MONKEY BABYS / 大切 (2010) ★★

今回のFMBの曲でもっともメロディが平坦。加えて、「たいーせつーー、たいせつーーー」という連呼が耐えられない。うっさいわ!

18. FUNKY MONKEY BABYS / ヒーロー (2009) ★★★

2009年の紅白で歌った曲。お父さん応援歌。今回では唯一アップテンポで、これまでドラマチックなのばっかりだったのでほっとする。ストリングスは相変わらずバリバリだけど。

19. Kesha / Tik Tok (Original Version) (2009) ★★★★★

アメリカでもKeshaのブレイク元年となりました。実はけっこう好きなんだよねえ、この曲。ゴミみたいな曲、だがそこがいい! 詳しくはUS編参照。

20. Katy Perry / California Gurls Feat. Snoop Dogg (2010) ★★★★★

こんなの好きだなんておまえは馬鹿か!と罵倒されそうですが、この曲も好きなんですよねえ。「Tik Tok」よりさらにゴミみたいな曲。だがそこがいい! 同じく、後日アップロード予定のUS編参照。

21. Honey L Days / まなざし (2010) ★★★

ストリングスいっぱいのミッド・テンポのバラード。ファンキーモンキーベイビーズが作ったと言われたら即信じます。

22. ナオト・インティライミ / タカラモノ〜この声がなくなるまで〜 (2010) ★★★

いやほんと、ストリングス使った曲多いなあ。この曲はアップテンポだけど。サビのファルセットの感じが良いですね。薄い平井堅? 中間にある嘘ラップが恥ずかしい。

23. HY / 366日 (2008) ★★★

昨年度4位の曲。紅白出場も果たしました。なぜ白組だったかは良く分かりませんが。

24. Dreams Come True / ねぇ (2010) ★★★

なぜか二年連続で紅白のトリを勤めたドリカムのバラードっぽい曲。ふつう。

25. Various Artists / Artists For Haiti - We Are The World 25 For Haiti (2010) ★

ハイチ地震のために録音された「We Are The World」の新バージョン。オリジナルの方もはっきりいって大した曲じゃないけれども、新バージョンはヒドい。安っぽいイントロからして腰砕けですが、オリジナルと比べるとカリスマ性の欠けるイマドキのヒットシンガーの連発には聴いている方の気分がブルーに。大体、主導権握っているのがファーギーとプッシーキャット・ドールズのニコールだなんて、ありえねえよ! ワイクリフ・ジョンのボーカルはほとんどギャグだし。

Wikipedia USには、"'We Are The World 25 for Haiti' received extremely negative reviews from contemporary music critics."とある(リンク)。そりゃそうだよな。この曲買うなら普通に募金したほうがはるかにマシ。

26. ヒルクライム / ルーズリーフ (2010) ★★

曲は普通だと思いますが、「自由に書いていいぜ/自由に破いていいぜ/何度でもやり直せるこのノート/ルーズリーフに記された/君が主人公のその物語」というサビの歌詞がもう無理。心の穢れたオッサンには耐えられない。これを聴いてじーんと出来るのは、10代の特権だな。オレは10代のときに聴いても絶対無理だけど。10代のころから穢れていたんだな、きっと。

27. ザ・ブルーハーツ / 1001のバイオリン (1993) ★★

2006年度27位のこの曲が返り咲き。なんで?! ブルーハーツならもっと他に良い曲があるだろうが!

28. EXILE / VICTORY (2010) ★★★★

サッカーの応援歌ですか? いいんじゃないですかね。EXILEも一曲ぐらい★★★★つけておこう。

29. 少女時代 / GENIE (2010) ★★★★

少女時代けっこう好きです。某とよちゅんは少女時代が洋楽っぽいのが弱いと述べていますが、ぼくはJ-Popに思い入れがないので、洋楽っぽくても全然OK。この曲は少女時代の代表曲になるであろう、トランス風味のポップス。ビデオが最高。ただ、日本語バージョンはちょっと固いかなあ…。韓国語バージョンなら★★★★★。

30. 少女時代 / Gee (2010) ★★★★

こちらはもうちょっとアイドル歌謡っぽいが、それでもやはり90年代R&Bのテイスト、2000年代エレクトロの雰囲気もあって、「泥臭さのKARA」「洗練の少女時代」という対比が感じられます。

31. Lady Gaga / Bad Romance (2009) ★★★★★

レディー・ガガの、今のところの最高傑作。スタジアム・アンセムになることが確定している名曲です。「I want your loving, I want your revenge / You and me could write a bad romance」…シンプルで力強いサビの歌詞も素晴らしい。オレが聴きたいのはこういう大人の歌詞なんだyo! 大切とか、ルーズリーフとか、そんなんじゃなくて!

32. 菅原紗由理 / 素直になれなくて (2010) ★★★

そのままEXILEが歌ってもおかしくない、ミッドテンポ哀愁バラード。聴き終わった瞬間に忘れてしまう曲。

33. Superfly / 愛をこめて花束を (2008) ★★★★

昨年27位、一昨年9位とロングセラーの代表曲。やっぱりなんだかんだ言っても良い曲です。ロングセラーも納得。

34. かりゆし58 / オワリはじまり (2010) ★★★

昨年も別の曲をランクインさせていたブルーハーツ・フォロワー。ブルーハーツよりずいぶんと洗練されているけど。悪くないんじゃないでしょうか。

35. MONGOL800 / 小さな恋のうた (2001) ★★★

昨年37位、一昨年24位。なんでこのインディー曲がロングセラー?! 嫌いではないけど、不思議であります。ちなみにMONGOL800かりゆし58も沖縄のバンドだそうで、沖縄パワーなのか?

36. ヒルクライム / 大丈夫 (2010) ★★

おまえらに大丈夫って言われたくないわ! と大人げなく反応してしまう自分が哀しい。しかしそんなに他人に大丈夫って言ってほしいのだろうか、最近のガキどもは。

37. 北乃きい / サクラサク (2010) ★★

もうやめようよ…素人の歌手デビューは。新垣結衣ほどはヒドくないけれども、逆に言えば、ガッキーのような破壊力に欠けるため、なんともコメントしがたいとも言えます。

38. 一青 窈 / ハナミズキ (2004) ★★★★

これは同名映画の公開にともなうリバイバルヒットですね。iTS年間チャートでも2006年度に30位にランクインしていました。もっとも、あちらはライブ版でしたが。良い曲だと思います。

39. サカナクション / アルクアラウンド (2010) ★★★

一癖も二癖もあるグループのようですが…この曲は変化球すぎて、これ1曲では良さがわからへん(´・ω・`)。

40. AKB48 / Beginner (2010) ★★★

今回の曲ではもっとも歌謡R&B寄りの曲で、その意味、意欲的…なのか? 「Stand up! Together!」という歌詞が間抜けだけどそれ以外はけっこうカッコイイ…のか?

41. 絢香 / みんな空の下 (2009) ★★★

昨年度10位でした。

42. BUMP OF CHICKEN / 魔法の料理 〜君から君へ〜 (2010) ★★★★

良い曲です。Bump of Chickenは良く知らなくて、もちろん一部で人気があるのは知っているし、以前も2007年度iTS年間チャートに「天体観測」が入っていたので聴いたのですがあまり印象に残りませんでした。しかしこの曲は良い! 繊細なサビのメロディが素晴らしいです。こういうちゃんとした曲をもっと聴きたい。

43. 放課後ティータイム / GO! GO! MANIAC (2010) ★★★

けいおん!」の曲です。アニメは見たことありません。テレビ持ってないし。この曲は、うーん…アニソン独特のハイパーな感じに馴染めません、すみません。

でもこれ↓は最高。

44. Exile / ふたつの唇 (2009) ★★★

Exileの常套の不倫ソング…かな。「Ti Amo」系。悪くないけど、ま、いつもとおんなじEXILE節です。

45. lecca / TSUBOMI feat.九州男 (2010) ★★★

レゲエシンガー…だそうですが、レゲエ色はほぼ皆無で、最近流行のせつない系ポップR&Bですね。ほんのり和風。

46. FUNKY MONKEY BABYS / 桜 (2009) ★★★

昨年度12位。

47. GReeeeN / キセキ (2008) ★★★

昨年度6位、一昨年度6位。

48. 阿部真央 / いつの日も (2010) ★★★

新垣結衣の「heavenly days」っぽい曲。あまり印象に残りません。

49. AKBアイドリング!!! / 会いたかった (アイドリング!!! バージョン) (2009) ★★★

この曲を初めて聴いたのが「あらびき団」でしたから、その印象が強すぎてなんともかんとも…。

50. 倖田來未 / Lollipop (2010) ★★★★

AKB48の後に聴くと、あまりのマトモさに安心してしまいます。今回の入賞曲の中で唯一アメリカの今どきのR&Bを取り入れた曲ですね。ブリトニーっぽくもありますね。

以上。

Live concert at ワールド記念ホール, Kobe, 4/14/2010, 7000円 ★★★★★

Lady Gaga / (Live concert at Live concert at ワールド記念ホール, Kobe, 4/14/2010, 7000円 ★★★★★)

::★★★★★::2010::--::pop::rock::jp::

■ 今一番気合いが入っているエンタテイナー

レイディ・ガガ(レディ・ガガ)を知ったのは、「iTS年間ベストセラー大人買い祭り 2009年度(日本編) - ghostlawns」でのことで、そのときぼくは「Poker Face」に★★★★★を付けたものの、それほど激しく興味を惹かれたわけではありませんでした。

しかし今月初めに、どういう流れだったかは覚えていませんが、たまたまYoutubeでガガのTVライブの映像に行き着いて、「けっこう声出てるじゃん」と感心し、次に、「Telephone」のプロモビデオを観て、強いインパクトを感じたんですね。

「これはマリリン・マンソン以来の気合いの入り方だ」といたく感心したぼくは、「このレイディ・ガガというひとは、今後消えるか、それとも大物になってチケットが入手しにくくなるか、どちらかに違いない、今がライブの見頃だ!」と結論づけ、「日本にこないのかな」と調べてみたら、なんとなんと、再来週に神戸でライブがある! しかも、サイド席ながらも、チケットがまだ帰る!

ということで、4/14の公演のチケットを4/4にゲッツ。行ってきました。

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ずばり、すばらしかったです。

事前に聞いていた通り、とにかくセットが立派。衣装替えが多いというのは想定の範囲内でしたが、まさかセット替えも何回もあるとは。

また、「演奏は録音だろうな」と思っていたんですが、なんとちゃんとフルバンド(ドラム、ベース、ギターx2、バイオリン、キーボード(x2?))を引き連れて来ていて、ほとんどの曲は生演奏でした。個人的には、この手のラウドなダンス音楽は録音でも全然かまわない(むしろその方が音圧が安定していていい)と思っているのですが(でもボーカルだけは生じゃないとイヤ)、ちゃんとバンドでやるという心意気は良かったと思います。

また、エグザイルとタメはれるぐらいやたらと数の多いダンサーがまた良かったです。特に、ガガ自身が「My gay boys!」と呼んでいた男性ダンサーたちが素晴らしく、中でもリーダー格だった「ほぼ全裸」の長身黒人男性ダンサー(上の写真の右側に写っている人物)が、一挙一動がゲイっぽくて最高でした。

ちなみに、ガガはまだアルバム1枚(「Fame」)と、ミニアルバム?1枚(「Fame Monster」)を出しているだけなんですが、2時間のコンサートをやるには十分な曲数でした。途中衣装替えのための時間もあったし(その間はダンスビートと、アングラ的映像が流れる)。出している曲数が限られていることもあって、代表曲はほぼすべて網羅していたのも良かった。たいていの場合、コンサートって「なんであの曲やってくれなかったの?!」という不満が残るのが常ですが、ガガの場合はそんなこともなく、聴きたい曲はすべて聴くことができました。

また、ヒットしたデビューアルバム「Fame」以上に、ミニアルバム「Fame Monster」の内容が非常に素晴らしかったので、楽しみにしていたのですが、期待に違わず、「Fame Monster」からの曲が重点的な扱いを受けている感じでとにかく嬉しかった。

Just Dance」で始まったコンサート、前半のハイライトはなんといっても「Telephone」。Youtubeで演出は大体分かっていたんですが、生で体験する「Telephone」はやはり本当に素晴らしかった。若干「Cofession on a Dancefloor」のマドンナとかぶる楽曲ですが、名曲なのは確か。

中盤のピアノ・ロッカバラードでは、片足を鍵盤の上に乗せてピアノを弾くとか、椅子の上に立ってピアノを弾くとか、「うわっ、弾きにくそう!」としかいいようのない姿勢でピアノを弾くサービス精神がほほえましかったです。

後半のハイライトは「Poker Face」と「Paparazzi」で、特に後者のステージセット(深海魚のようなモンスターが登場)はすごかったですが、曲としての盛り上がりはやっぱり「Poker Face」かなあ。

そしていったんステージ終了。スーパー同居人ちゃんは「これで終わり?」と聞いてきましたが、ぼくはこう答えました。「終わりな訳ないだろ、バッドロマンスやってないんだから(キリッ)」

そう、アンコールは「バッド・ロマンス」でした。ぼくがガガのコンサートのチケットを取ったのはこの曲を聴くためです。こんな、「スタジアムアンセム」になるために運命づけられた曲はないでしょう。そして期待を裏切ることなく、すばらしかったです。思う存分「オオオオオ〜オオオオ〜オ〜」と叫んできましたよ。叫びながら鳥肌たちまくりましたよ! 来て良かった! アンコールでしたが、ガガはちゃんと声が出ていてそこも良かったです。

全体としては、血ノリの演出やモンスターハンド、修道女コスプレなど、マリリン・マンソンっぽいテイストもあったものの、全体的にはやはりマドンナ的なテイストが強かったように思います。髪型が往年のマリリン・モンローのゴス風味だったというのもマドンナっぽさに拍車をかけていました。

ただ、ガガがマドンナと違うのは、ガガは馬鹿馬鹿しいというところですね。その馬鹿馬鹿しさは、グラムロック、プリンス、そしてPファンクを思わせる感じです。そしてスーパー同居人ちゃんをして「ガガはマドンナを超えた!」と言わしめたのは、ラストでガガのサイボーグ・レオタードの、ボイン部だけでなく、股間からもプシャーッと花火が噴出されたところ。この志村けん的なテイストはマドンナには絶対できない。このあたりの笑いのセンスは侮りがたい。

ということで、ほぼ何のセットもない空気公団の1時間ちょっとのライブが4000円だったことを考えると、7000円(サイド席だったので1000円安かった)のガガのライブは超コストパフォーマンス高かったです。てか、ちゃんと黒字になってるの?と心配になるほど立派なセット、構成のライブでした。

ちなみにステージが始まる前のPAから流れていた音楽はすべてマイケル・ジャクソンでした。

(4/20/201)

レディー・ガガについて

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Lady Gaga

レディー・ガガ (3/28/1986年生、2008年デビュー)
genre: pop/rock

【概観】

ユーロポップ旋風が吹き始めた2008年のアメリカに、彗星のように現れた女性シンガー。奇抜でチープなSF的ファッション、80年代エレクトロポップの影響をモロに感じさせる音楽性、クィーンの末期のヒット曲「レイディオ・ガガ」を由来とする芸名と、泡沫感をプンプン漂わせながらも、「一発では終わらない」という強さも感じさせる。2010年現在の立ち位置は、「(マドンナ+マリリン・マンソン+グレイス・ジョーンズ+クリスティーナ・アギレラ)/4」という感じか? 消えるのか、大物になるのか。今後の展開に注視。

(4/20/2010)


Live concert at Koo'on, Osaka, 4/10/2010, 4000円 ★★★★★

空気公団 / (Live concert at Koo'on, Osaka, 4/10/2010, 4000円 )

::★★★★★::2010::--::pop::rock::jp::

■ ガラス細工のような美しさと緊迫感

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本人たちが「ライブはほとんどやらない」と宣言している*1空気公団のライブ情報をキャッチして行ってきました。結論から言うと、素晴らしかった。

大阪市内は阿波座にあるKoo'onというライブスペースに、スーパー同居人ちゃんとともに到着したのは開場の15分ほどまえ。いつもかなりテキトーな時間に会場入りする我々ですが、今回、開場時間より早く来たのは、整理番号順の入場だったから。ぼくは発売(先行販売?)当日に買ったので、整理番号が一桁だったんですよ。せっかく一桁なんだから、ぜひ開場に間に合うように行きたいと思いました。

Koo'on(空音)という、空気公団にあつらえたかのような名前のライブハウスは、ライブハウスというよりはアートスペースという感じの場所で、ホールは地下にあるんですが、残念ながらホールでは飲食不可。せっかく入り口脇でアルコール販売しているんだから、店内で買ったアルコールぐらいは持ち込めるようにしてほしいな。

…という文句はともかく、陣取った席は2列目の真ん中。嬉しい。

ステージには、左端のキーボード席を含め、椅子が五脚横に並んでいます。空気公団は現在3人編成ですから、2人のサポートメンバーがいることが伺いしれます。ドラムセットはありません。スーパー同居人ちゃんと、ボーカルの山崎ゆかりは真ん中の二席のどちらの席だろうと予想を話し合っているうちにメンバー登場。

我々の予想に反して、山崎ゆかりはなんと、ステージの右端。左端がキーボードの窪田渡、次がアコーディオンの良原リエ(サポート)、次がベースの戸川由幸、次がギターの奥田健介(サポート)、そして右端が山崎ゆかり。失礼ながら、思っていたよりずっと美人な方でした。

「旅をしませんか」で静かに幕を開けたコンサートは、その後もMCもほとんどなく、淡々と進みます。ステージ進行を引っ張っているのはどうやらキーボードの窪田渡。いっぽう、空気公団の曲をほぼすべて作詞作曲し、歌い、かつ「代表」の肩書きを持つ山崎ゆかりは、緊張しているのか、硬い表情を崩さず、言葉もほとんど発せず、常に伏し目がちに、右手にハンドマイクを持ち、曲が始まると、伏し目がちなまま、淡々と歌います。座っているのでアクションもなく、ただ手持ち無沙汰な左手だけが、何かをさぐるように小さくもがいています。

そんな山崎のボーカルでしたが、素晴らしかった。ドラムレスの静かな演奏だったので、山崎の歌は、まるでヘッドホンでレコードを聴くときのように近く聴こえました。特に何かプラスアルファがあるわけではなく、CDで聴く通りといえば聴く通りなのですが、生演奏独特の緊迫感が山崎のハスキーで朴訥なボーカルの美しさを際立たせていたように思います。実際、ぼくは聴いていて手に汗握っておりました。そして胸にぐっとくる瞬間が何度も何度も訪れました。

30分続けて演奏したあと、10分ほどの休憩を挟んで、次は45分ほどの演奏。この「第二部」では、バンドの雰囲気もだいぶほぐれ、MCもたくさんありました。山崎ゆかりのしゃべるのもちゃんときけた。MCはやはり窪田が先導し、山崎は挙動不審な部分を突っ込まれるという感じで、このライブだけ見ると、山崎ゆかりが空気公団の核だということを忘れてしまいそうになります。でも、やっぱり常人ではないんだろうな、山崎ゆかり。

驚いたのは、最後の2曲で山崎が歌詞を間違えたところ。歌詞を間違えるのは、ライブで一般に良くあることだと思うんですが、山崎ゆかりの場合、間違えた瞬間、なんと「ああっ!」と叫んで歌うのを思わず中断してしまった。しかしバンドは止まらず、山崎を諭すように次のフレーズをコーラスでフォローしつつ、その曲は進行しました。その次のラスト曲(「田中さん、愛善通りを行く」)でふたたび山崎が歌詞(構成?)を間違え、今回はバンド演奏も止まり、最初からやり直しました。

その後のMCから察するに、山崎はよく歌詞を忘れるそうで、しかも間違えたのを流すことができずについ「あっ!」と叫んだりしてしまうようです。なるほど、アルバム「融」に「あれ?」という声が入っているのは、その延長線上なのか。

しかしそういうアンプロフェッショナルなところが許されるどころか持ち味にもなってしまうのが空気公団ですね。素晴らしいです。はい。何でも受け入れてしまいます。

アンコールでは、大好きな「メロディ」を、別アレンジながらやってくれてほんと感激しました。予習不足で、認識できない曲もいくつもありましたが、次にライブに行くときは全曲認識できるようにしておきます。

とにかく、久々に感動した、その後何日もこころに余韻が響くライブでした。

(4/13/2010)

*1:とはいえ、ここんところ一年に一度ぐらいやっているようですが。

空気公団について

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空気公団

くうきこうだん (1997年結成、1999年アルバムデビュー)
::pop::rock::jp::

【概観】

山崎ゆかりを中心とするグループ。第一期は、山崎(vo)、戸川由幸(b)、小山いずみ(piano)、石井敦子(organ)の4人編成、2005年からの第二期は山崎(vo)、戸川(b)に窪田渡(key)を加えた3人編成で活動している。写真は左から戸川、山崎、窪田。

(4/13/2010)

2009年度(US編)

さて、iTS年間ベストセラー大人買い祭りの「US(アメリカ)編」です。iTunes Store USの曲ダウンロード年間50位に入った曲を片っ端から購入して無責任に感想を書きなぐる企画です。

音楽雑誌も読まない&チャートもふだんまったくチェックしない&ラジオなど全然聴かないぼくですので、毎年この企画には「世の中こんなトレンドなんだ!」と新鮮な驚きを感じるのですが、今年のUSチャートにはほんとビックリしました。

驚いたことの第一は、ユーロダンス・サウンドが席巻していること。なんじゃこりゃ! 前年のチャートでも、ラッパーT.I. (featuring Rihanna) / Live Your Life(2008年度31位、今年度も49位にランクイン)が、O-Zoneの「恋のマイアヒDragostea Din Tei)」を大々的にサンプリングしていて、ヒップホップとユーロという組み合わせに驚いたものですが、今年はそれがチャート全体に蔓延している! しかもヒップホップからロックからポップまで、すべてのジャンルに! 知らなかったのはぼくだけでしょうが、それにしてもびっくりです。基本的にユーロって80年代の香りなんで、なんかタイムスリップした感じがして不思議な感じであります。ついにはLady Gagaみたいな、存在そのものがユーロダンスポップどまんなかのアーティストがバカ売れしたり。いやあ、チャートって何が起こるか分からないものですねえ。

驚いたことの第二は、オートチューンの氾濫! 去年からじゅうぶん兆候はあって、昨年12位のChris Brown / Foreverとか、さわやかにメロウな曲なのにボーカルがオートチューンばりばりでヴォコーダー処理していたのを、個人的には「Zappのロジャーがヴォコーダーでバラードやっている感覚でおもしろいな」と思っていたのですが、まさか、2009年にはこんなに蔓延していたとは…。今年のチャートはオートチューンでロボット化した声だらけで、生声を探すのが難しいほどです。もちろん、オートチューンは昔から、アイドル/ショービズ系シンガーを中心に、音程・声量補正のために使われていたわけですが、2009年のトレンドは、音程補正というより、オートチューンを強くかけて、わざとエレクトロ感を出すために使われているようですね。上に書いたユーロダンスのトレンドと同期しているということでしょう。そういうのって、嫌いじゃないけど、こんなに氾濫しているとちょっとうんざりしますね。大体、歌声をピッチ的にも強弱的にも標準化して粒をそろえるのがオートチューン補正ですので、つまり、オートチューンかけると安定するかわりに個性が削ぎ落とされることになるわけです。まあ、ヒットチャートなんてオートチューンがあろうがなかろうが大して個性なんてないシンガーがたくさんいるわけですが、今年の歌声の「標準化」ぶりには驚きを禁じ得ません。

ただ、ぼくはクラブ音楽好きという特性がありますから、そんなに嫌悪感を感じるわけではありません。少々うんざりすることがある程度で。ユーロ風味も嫌いではありません。

ということで、今年度のアメリカ版のiTS Top 50は驚くほどぼくの耳に優しい。聴いてて抵抗がない。嫌いな曲がない。むしろ「けっこういいんじゃね?」と思ったりします。暑苦しいアメリカンロックと歌い上げバラードが激減したのも良かったかも。ただ逆に、「これはホント最高!」ってオレ的に思える曲は今年はなかった。

というわけで、以下、各曲の感想を書きなぐります。たかだか1曲や2曲聴いただけで判断するのは無茶だと分かりつつ、お気に入り度を★で記しますが、「★★★」が標準。「けっこういいな」と思ったら「★★★★」、「これはけっこう聴くのがキツい」と思ったら「★★」。「★★★★★」は、「この曲なら何回でもリピートオッケー!」という曲です。

ただ、今回はどの曲もけっこう気に入っており、いつもの調子で★をつけると「★★★★」だらけになってしまうので、「★★★★」の基準はちょっと辛くしています。

あくまで【な】本人の「お気に入り度」ですので、もし貴方と意見が違ったら「こいつ分かってねえな」と笑ってやってください。

ではでは、本年度分。


1. Black Eyed Peas / Boom Boom Pow (2009) ★★★★

BEPがこんなにヒットメーカーになるなんてびっくりで、いやあ、こんなに中庸で中途半端であることをうまくヒットに結びつけられるなんて感動的でさえあります。

…と微妙な悪口書きましたが、この曲に限って言えば、ビートとエレクトロなベースに徹底的に特化し、実験性とヒット性を兼ね備えた曲で、BEPもやる気になりゃできるんだなと思わせる佳曲です。

そういえば、ファーギーって別にBEP辞めたわけじゃないのね。

2. Flo Rida / Right Round (2009) ★★★

わお、2位にしていきなりDead Or Aliveですか。今年のUSチャートの波乱を強く感じさせる曲です。去年までFlo Ridaなんてどこが良いのかわかんねえよと思っていましたが、こういう路線ならOK。てか、これってヒップホップなのか?

3. Lady GaGa / Poker Face (2008) ★★★★★

なんですか、この人は。栗山千明似の人は。

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…というのはどうでも良くて、なんですかこの80年代先祖帰りみたいなニューウェーブでトラッシーなユーロポップは! 何曲かチャートインしている曲ではこの曲が一番好きです。どうでも良い曲だけどサビが頭に妙に残る。声もなかなかいい。ちなみにiTS大人買い祭りの日本編の★★★★より星の数が多いのは、USのチャートの中でより映える曲だから。

4. Black Eyed Peas / I Gotta Feeling (2009) ★★★

この曲は、ほんと普通のポップロックで、こういう中庸の極み(パーティーやって楽しいな、的歌詞も含め)を堂々とやってのけてヒットさせるのがBEPのすごさなのかもしれません。トンガってないのが重要、ほどほどにキャッチーなのがエラいと高らかに宣言しております。オレ的にはヌルすぎて風邪引きそうになりますが。

5. The All-American Rejects / Gives You Hell (2008) ★★★★

オールアメリカン・リジェクツはあまりちゃんと聴いたことないんですが、この曲良いですね。はっきりいって新しさとか、強い個性とかはない、ポップでキャッチーなパンク系ハードロッカーですが、優れたメロディと心地よいサウンドに素直に気持ちよくなれます。

6. Lady GaGa / Just Dance (2008) ★★★

レイディ・ガガの出世作…かな。「Poker Face」には劣るけど、相変わらずの確信犯的ユーロ・トラッシュ・ポップで、良いです。繰り返しになりますが、声がいい。

7. Miley Cyrus / Party In the U.S.A. (2009) ★★★★

前年16位にチャートインしていた「See You Again」は、いかにもティーンアイドルという感じのクソつまらない曲でしたが、この曲はイイですね。アホみたいなタイトルの、他愛のないポップソングですが、曲自体は意外にアホっぽくなく、ミディアムテンポの落ち着いたグルーブも好ましいし、マイリー・サイラスのボーカルも張りがあってとても良い。もちろん軽くオートチューン仕様でありますが、オートチューンで平均化された声の中にも、サイラスならではの伸びやかな個性もきちんと感じられます。東洋人差別写真のスキャンダルなどもあったサイラスですが、それはそれ。この曲は良い曲です。

8. Miley Cyrus / The Climb (2009) ★★★

マイリー・サイラス2曲目。ベタなアメリカン・パワーバラードですが、これも意外なことに良いです。サイラスのボーカルはなかなかに力強く、ありがちなパワーバラードをかっちり魅力あるものに昇華しています。好きなタイプの曲ではないが、ナイス。

9. T.I. / Dead and Gone (feat. Justin Timberlake) (2008) ★★★

ティンバランドの「Apologize (featuring OneRepublic)」路線の、白人が哀愁のあるメロディを歌い、黒人がラップするタイプの曲。この手の曲はあまり好きじゃないんだよねえ…薄味で。

10. Kings of Leon / Use Somebody (2008) ★★★

今回のTop 50の中ではかなりマッチョ・アメリカン・ロックっぽい曲ですが、王道マッチョ・アメリカンが嫌いなぼくなのに、この曲はなかなかに良くて、自分のアイデンティティーが崩れそうです。うん、暑苦しいけど悪くない。

11. 3OH!3 / Don't Trust Me (2008) ★★★

「mixture of electro music, alternative rock and hip hop」をやるバンドということですが、この曲はただの安っぽいテクノ・ポップ・ロックという感じです。そしてアホっぽい。

12. Soulja Boy Tell 'Em / Kiss Me Thru the Phone (feat. Sammie) (2008) ★★★

アホっぽさと山師っぽさが突出していて素晴らしかった「Crank That」でブレイクしたソウルジャ・ボーイ・テレムですが、今回はえらいマジメにオートチューンなバラード・ヒップホップやってます。ま、フツーですね。

13. Jay Sean / Down (feat. Lil Wayne) (2009) ★★★

またオートチューン系、ユーロ系R&Bバラード。毒にも薬にもならず。

14. Kelly Clarkson / My Life Would Suck Without You (2009) ★★★★

アイドルを脱してロッカーとしてイメチェンしようとしてレコード会社と揉めたらしいケリー・クラークソンアメリカン・アイドル出身)。その「ロック」な作品が今いち売れなかったせいか、今回はこれ以上ないほどセルアウトな芸風で戻ってまいりました。ロッカー指向はどこへやら、オートチューンばりばり、ユーロっぽいトラッシーなニューウェーブ・サウンド。おまえは恥を知らんのか! と言いたいところですが、これが意外に良いから困ったもんです。オートチューンかけていても、クラークソンのパワフルで伸びのあるボーカルは十二分に存在感があります。良いシンガーです。要するに、オートチューンかけて平均化しても個性がちゃんと出るかどうかが勝負の分かれ目なんだな、この時代。

15. Sean Kingston / Fire Burning (2009) ★★★★

ショーン・キングストンみたいな商業主義ラガ・シンガーは、正直嫌いなタイプなんですが、アメリカにユーロダンス・ブームが訪れたため、ただでさえ「売れるためならなんでもやるぜ」的なキングストンの芸風が突き抜けたものとなり、逆にオレ的には「ここまでやればOK!」というところまで来てしまいました。もうアホ丸だしのイケイケ・ユーロダンスチューン(ラガ風味)で、素晴らしいです。てか、良い曲です。

16. Taylor Swift / You Belong With Me (2008) ★★★★

前年も33位に「Our Song」が入っていたカントリー系若手パツキン・シンガーのタイラー・スウィフトですが、今年はよりブレイクして、16位と20位に入賞しています。「Our Song」はピンと来ませんでしたが、この曲はほんとうにキャッチーで、心地よい楽曲であります。まあ、全然カントリーでもなんでもなくて、マイリー・サイラスが歌ってもおかしくない曲ですが。

17. The Fray / You Found Me (2009) ★★★

ありがちな普通の男声ロッカー。

18. Kanye West / Heartless (2008) ★★★

失恋してとちくるったらしいカニエ・ウェストの新作から。808のシンプルなリズムに乗せて、ハートブレイクな思いを、ラップではなく歌で聴かせるというアルバムらしい。この曲もその路線だけど、いまいち…。てゆうか、むしろゴミみたいな曲。でもこのあさっての方向に向かってボール投げる感じが確かに哀愁を感じさせます。

19. Pitbull / I Know You Want Me (Calle Ocho) (2009) ★★★

拒否反応を引き起こしそうでいて、クセになってしまうアホ曲、登場。マイアミっぽい馬鹿さに満ちたアホなダンス・パーティー・ナンバーです。NYハウスの巨匠マスターズ・アット・ワークの片割れが昔ヒットさせた「The Bomb! (These Sounds Fall into My Mind)」でもサンプリングされていたシカゴの「Street Player」のブラスパートが、この曲でも効果的に使われていて、そこが聴いていてすごくクセになるんです。しかし! 調べたところによると、この印象的なサンプリングはPitbullの発明ではなく、バックトラック自体はNicola Fasano Vs Pat Richの「75, Brazil Street」という曲のトラックを流用しただけらしい。なんだ。Pitbullのオリジナルなら★★★★付けるのに。

20. Taylor Swift / Love Story (2008) ★★★

タイラー・スウィフト2曲目。こちらも悪くないです。ただ、ロミオとジュリエットになぞらえた甘ったるい歌詞がちょっとやりすぎでは…。「あなたが王子様で私が王女様よ」なんてよう言うわ。

21. Beyonce / Halo (2008) ★★★★

なかなかにパワフルなポップ・バラード。ビヨンセは2000年代の女声R&Bボーカルのトレンドを決定づけた重要なシンガーだということはわかるんですが、どうも深みに欠けて、悪く言えばアンドロイドみたいなボーカルで個人的にはあまり好きになれません(もちろん同じアンドロイドでも日本の浜崎なんかとは比べ物になりませんが)。しかし、この高揚感のあるポップ・バラードには、ビヨンセの押しの強いボーカルがたいへん良くマッチいしていて、相変わらず深みはないものの、聴いていて大変気持ちのよい曲に仕上がっています。

22. Beyonce / Single Ladies (Put a Ring On It) (2008) ★★★

ディスティニー・チャイルドに戻ったかのような曲ですね。こういうメカニカルな曲にはビヨンセのボーカルは良く合います。しかし相変わらずの「強い女性の代弁者ぶりっこ」ですな。

23. Jason Mraz / I'm Yours (2008) ★★★

昨年13位。悪くないです。

24. Jason Derulo / Whatcha Say (2009) ★★★

オートチューンばりばりのポップなR&B。悪くないけど、他の似たようなのと区別つかない。

25. Shinedown / Second Chance (2008) ★★

この曲は今回のTop 50でも最も暑苦しいです。ハードロック・パワーバラード。

26. Kid Cudi / Day 'n' Nite (Nightmare) (2009) ★★★★

この曲はなかなかに独創的。一聴すると、去年あたりまで流行っていた「ピピピピ」という電子音に導かれるスカスカな音のヒップホップ(2008年度Top 50でいえばFlo Ridaの「Low (feat. T-Pain)」やLil Wayne & Static Majorの「Lollipop」)の亜流かと一瞬思わされますが、良く聴くと、売れ筋ヒップホップにはない、ひたすら内省的でドープな世界にはまってしまいます。ラップとも歌ともつかないKid Cudiの言葉のフロウも独特であり、エレクトロなサウンドなのに、オートチューンなしで生声で言葉を紡いでいるところも、生々しさがあり、そこがこの曲のテーマ(であると思われる)「日常麻痺的」感覚が良く表現されています。

27. Jamie Foxx / Blame It (feat. T-Pain) (2008) ★★★

コメディアン/俳優のジェイミー・フォックス(最近では「レイ」をやっていました)のヒット曲。この人はテレビでコメディアンとして活躍していた時代から歌やキーボードの演奏がたいへんうまくて器用な人だったんですが、この曲はひたすらオートチューン、オートチューン、オートチューン、といった感じの曲で、今いちフォックスの顔が見えてきません。

28. Keri Hilson, Kanye West & Ne-Yo / Knock You Down (2009) ★★★

系統としては、リアナ系のR&Bシンガー。オートチューンばりばりで、シンガーとしての個性は見えにくい(競演しているニーヨがほぼ生声で歌っているのと対照的)けれども、曲自体はとても良いです。

29. Lady GaGa / LoveGame (2008) ★★★

レイディ・ガガ、3曲目。今回の中では一番トランス/エレクトロ色が強い曲かな。

30. Kevin Rudolf & Lil Wayne / Let It Rock (2008) ★★★

U2をハードロックっぽくして、流行通りにユーロテイストを混ぜていっちょ上がり。安易。

31. Cobra Starship / Good Girls Go Bad (feat. Leighton Meester) (2009) ★★★

ロックにもユーロ旋風は吹き荒れてまして、この曲もアホっぽいパーティーソングなポップなR&B風味もあるハードロックですが、思いっきりユーロも入っています。上の「Let It Rock」よりはマシ。

32. Britney Spears / Circus (2008) ★★★

ブリトニーちゃん、頑張ってますね。悪くありません。ただどうもシンガーとしての個性が薄くて、このあたり安室ちゃんとも共通する問題かもしれません。

33. Katy Perry / Waking Up In Vegas (2008) ★★★

良いですね。ケイティー・ペリーにしてはアクがないけど、歌もパンチがあって良いです。もう一息、印象的なフックが欲しいところですが。

34. Owl City / Fireflies (2009) ★★★

加工したボーカルがどことなく「ラジオスターの悲劇」のバグルスを思い出させるユニット。でも穏健な楽曲であんま印象残んない。

35. Eminem / Crack a Bottle (feat. Dr. Dre) (2009) ★★★

うーん、どうなんだろう。あえて近年の流行に背を向けたオールドスクールラップという感じですが(なんてったって、ゲストラッパーがDrドレですし)、デビュー当時の強烈な個性が薄れている感じで印象に残りません。

36. Katy Perry / Hot N Cold (2008) ★★★★

前年22位。元気の良いポップチューンです。

37. Asher Roth / I Love College (2009) ★★★★

白人ラッパーの曲。馬鹿っぽさが突き抜けていてイイ! 知性の否定がテーマじゃないかと思わせるほど内容が馬鹿。なんといっても出だしが「I wanna go to college for the rest of my life / Sip Banker's Club and drink Miller Lite」で、「人生(life)」と「ミラー・ライト」の「lite」で韻を踏ませるところに、この曲全編に漂う「人生舐めた感じ」が集約されています。続く歌詞も、「アルコール最高!」「女最高!」「ビール飲んで大麻吸って、友達最高!」とか、日本だったら発禁になりそうな馬鹿丸出しのパーティー讃歌。で、けだるい曲調(ウィーザーの「Say It Ain't So」が土台)も、デビュー当時のエミネムっぽいラップのフローも(と言うとエミネムは激怒するだろうけど)、駄目大学生というテーマに合っていて好ましいです。ちなみに、ウィーザーの「Say It Ain't So」がサンプリングされるはずだったのが、リヴァース・クオモがサンプリングを許諾しなかったという話ですが、ウィーザーやりながらハーバード大に入って休学含めて8年かかって卒業したクオモにはこの曲に自分の曲が使われるのは耐えられなかったのかもしれません。が、使われていたらもっと良い曲になったのに。

38. Flo Rida / Sugar (feat. Wynter) (2009) ★★★

ユーロ的サビ(イタリアのEiffel 65というユニットの「Blue (Da Ba Dee)」という曲らしい)が印象的な曲。まあ、サビだけ、という気がしないでもないけれども、スピード感と裏腹に音数の少ないバックのサウンドも悪くありません。

39. Jay-Z / Run This Town (feat. Rihanna & Kanye West) (2009) ★★★

うーん、普通かなあ。

40. The Pussycat Dolls / I Hate This Part (2008) ★★

この曲は、今回のTop 50のワースト。何が嫌か、説明はできませんが、なんか嫌。Pussycat Dollsの存在自体が嫌なのかも。コマーシャリズムしか感じられなくて。しかも、今いち余裕が感じられず、ショービズから忘れられないよう必死な感じが嫌。

41. The Ting Tings / That's Not My Name (2008) ★★★★

一発屋の匂いがプンプン臭う一品。80年代に流行ったトニー・ベイジルの「Micky」をブロンディー風味にしたらこうなった、的な曲ですが、サビがクセになります。特に「They call me Hell / They call me Stacy」の「Stacy」の「cy」の部分。



しかし改めて、「Heart of Glass」のデビー・ハリーの美しさはネ申レベルだな。

42. Akon, Colby O'Donis & Kardinal Offishall / Beautiful (2008) ★★★★

ユーロ丸だしオートチューンR&B。アメリカのR&Bはどこへ行ってしまうんでしょう。しかし! この曲のユーロな泣きメロと透明感のあるユーロシンセの響き、けっこう好きです、この曲。

43. Linkin Park / New Divide (2009) ★★

リンキン・パークの良さがいまいち分からない私です。「Shadow of the Day」(2008年度45位)はモロにU2でしたが、この曲ではちょっぴりユーロ風味。節操ねえなあ。

44. Lady GaGa / Paparazzi (2008) ★★★★

レイディ・ガガ、4曲目です。この曲は「Poker Face」の次に好きです。タイトルからして泡沫的で彼女のキャラにはまっています。

45. Coldplay / Viva la Vida (2008) ★★★

前年2位。

46. Plain White T's / 1, 2, 3, 4 (2008) ★★★

2007年度に「Hey There Delilah」を3位にチャートインさせていた、アコースティックな持ち味のグループ。悪くないです。でもちょっと薄味かなあ。

47. P!nk / Sober (2008) ★★★

力強いパワーバラードです。パワフルなP!nkのボーカルはいつも通り良いです。

48. Pitbull / Hotel Room Service (2009) ★★★

19位の「I Know You Want Me」と同じ、「女にモテモテなオレ」路線のダンスチューンですが、さすがに「I Know You Want Me」のクォリティーはありません。

49. T.I. / Live Your Life (feat. Rihanna) (2008) ★★★★

前年31位。「恋のマイアヒ」を大々的に使い、ヒップホップへのユーロダンスの導入というトレンドを決定づけた曲。かな。良いです。

50. Iyaz / Replay (2009) ★★★

ユーロ風味のオートチューン・ラガR&B。普通。

以上。